俺の好きな人は破滅フラグがあるらしい…   作:とうふ

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できるだけ早く投稿しようと考えるけど、なかなか手が進まない今日この頃。

本っっっっ当にいつも不定期で申し訳ないです。

反省はしてます。実行ができないんです。


3話 義弟と友達‼︎

「慌てた様子だけど、何かあった?」

 

 心配そうな様子でルビアは私を見た。

 珍しく1日空けてうちは来たルビアには第二の破滅フラグについて何も説明をしていない。そしてそれは、ルビアの来なかった1日の間に起こった。

 

 

『カタリナの婚約が決まってクラエス家を継ぐ人間がいなくなってしまっただろう?だから分家から養子をとることにしたんだよ。今日から君の義理の弟になる()()()だ』

 

『よろしくお願いします』

 

 

 キース・クラエス。私の第二の破滅フラグとなる攻略対象。まさかこんなに早く来るなんて予想もしていなかったわ。ルビアと毎日特訓するのが楽しすぎてキースの対策なんて何もしたいない!どうすればいいの⁉︎

 

「ルビア様。今日からうちの養子となって私の義弟(おとうと)になったキースを紹介したいので、呼んでもいいですか?」

 

「うん。もちろんいいよ」

 

 ルビアに一旦待ってもらってキースを呼びに行く。

 

「キース!今日は天気がいいから庭を案内するわ!あと、私の友達も来ているの」

 

「あ、ありがとうございます。カタリナ様」

 

 キースは少し笑って他人行儀に答えた。

うーん。せっかく姉弟になったのだからもっと仲良くなりたいわね。

 

「キース、私たちは姉弟になったのだから、私のことは姉さんと呼んでいいのよ。それから、敬語も使わなくていいのよ」

 

「でも、それでは失礼では……」

 

 そう言って遠慮するキースに。

 

「もう、姉弟なんだからいいのよ!それに私、姉さんと呼ばれるのが夢だったのよ。ぜひ、呼んだちょうだい」

 

 鼻息を荒く詰め寄ると、キースはとても驚いた顔をして———その後ややぎこちなく。

 

「……お願いします。義姉(ねえ)さん」と言ってくれた。

 

「さあ!ルビア様も待っているし早く行きましょ!」

 

 私はキースの手を引っ張りルビアのいるはずの庭は向かう。

 澄んだ青空のとてもいい天気で絶好の散歩日和ね。それにしてもこんなに平和でいいのだろうか。カタリナの破滅は15歳だけど、キース攻略ルートではハッピーエンドで身分剥奪で国外追放。バッドエンドでキースに魔法で殺されてしまう。どうしよう!冷静に考えてみたらジオルドと同じで危険すぎる。できるだけ早くルビアにも相談して対策を立てないと。

 

「ルビア様っ!お待たせしました。今日から義弟になったキースです」

 

「キース・クラエスです」

 

 私が紹介するとキースも合わせて挨拶をした。

 

「———あっ、ルビア・バルスリア……です」

 

 あれ?いつもに比べて元気ない?ルビアを見ると姿勢はカチカチに固まって、表情も無表情。

 少し待たせすぎちゃったかしら?いや、ルビアはそんなことで怒ったりしたことないし……。

 ————あっ!そういえばルビアは超が付くほどの人見知りだったわ!それで初対面のキースにも緊張しているのね。ルビアも普段とのギャップがまた可愛いわ。

 

「ルビア様。そんなに緊張しないで大丈夫ですよ。今日はキースに庭を案内したいので、散歩を一緒にしましょう!」

 

「あぁ、うん。散歩しよう」

 

 そう言って3人で並んで庭を歩くことになった。

クラエス家の庭はさすが公爵家だけあって無駄に広い。庭には小川が流れ、池までついてる。バルスリア家の家にも何度か行ったことがあるけど、庭だけならうちの方が広い気がする。

 

「ここの小川には魚もいるのよ。釣りができるの。でもルビア様は魚が苦手だからあまりやらないけどね」

 

「……釣り…⁇」

 

 小川を覗き込むキースにそう言うときょとんとした顔をする。

————はっ!もしかして。魚の苦手なルビアを考えないでたまに釣りをしていることに気がついて幻滅しちゃった⁉︎

 確かにルビアが釣りができないから基本的に見ていることが多いけどやっぱり我慢させてちゃったかしら。これからはもっと釣りの回数を減らすことにしよう。

 

「すみませんルビア様。これからは釣りの回数減らしますね……」

 

「え……?急にどうしたの?別に俺は今まで通りでいいけど」

 

————うぅ。なんて優しいの。私はこんなに年下に気を遣わせてたなんて。反省しなきゃ。

 私は次に私とルビアで作った畑に案内した。この畑もたくさんの人の手を借りてとても立派になった。いくつか野菜の苗も植えた。

 

「ここがナスでここがトマトなのよ」と畑の作物を紹介した。今世の野菜はほとんど前世のものと一緒なのだ。

 

「……畑、義姉さんが作っているの?」

 

「そうよ。正確には私とルビア様で作っているの。ジオルド様もたまに手伝ってくれるわ。でもなかなか上手くいかなくて、今は庭師や使用人にも手伝って貰ってるの。収穫できたらみんなで収穫パーティーをする約束をしているから、キースも一緒に食べましょうね」

 

 そう言ってキースを見れば、今日はこの驚いた顔がずっと張りついているような気がする。ぽかんと口を開けている可愛いキースを見て、私は彼のゲームの設定を思い出す。

 孤独に部屋にこもり過ごすキース。きっとここにくるまでのキースはほとんど外で遊んだことがなかったのではないだろうか。

 またキースに、私とルビアがよくする楽しい遊びを教えてあげよう。

 

「キース。次は私が一番お気に入りの場所を案内するわ」

 

 そう言って2人の手を掴んで速足で歩き出した。

 

「ここが私の一番のお気に入りの場所なの」

 

 そう言って私は庭の外れにある大きな木を指す。

 クラエス家の庭で一番高く大きな木は今世の私の一番のお気に入りだ。よりかかって本を読んだり、木陰でお昼寝したりするのに最適なのだ。

 

「俺もここが一番好きだな。なんてったって、この木に登ってみる景色が最高なんだ」

 

 今日初めて見たルビアの笑顔はそれはそれはキラキラしていて、それを見たキースも驚いた顔から少し笑った顔になる。

 ルビアのいう通り、この木は庭一番の高さを誇るため上まで登ると、庭が一望できてそれは素敵な眺めを満喫できるのだ。

 

「木を登るのですか?」

 

「そう、木登り。キースはしたことある?」

 

 再び口をぽかんと開けたキースに問えば「したことない」と首を振った。

 

「じゃあ教えてあげる!まずは私が登ってみるから見ていてね」

 

 ルビアにも下で待っていてもらい、スルスルと登り始める。前世では裏山に巨大な猿がいると噂されるほどの実力だった。もし、オリンピックに『ターザン』なんていう種目があったら私が代表選出されたに違いない。

 木登りの天才、野猿と呼ばれ称えられていた私だったが、一つ大きな欠点があった。

 それは調子に乗りすぎるということだ。……残念ながら死んでも生まれ変わっても私の調子に乗る癖は直らなかった。

 木の中間あたりでだいぶ調子に乗ってきた私は下にいるキースに満面の笑みで手を振った。

 ぶんぶんと調子に乗って大きく振った。その結果……バランスを崩した私は……それは見事に木から滑り落ちた。

 

「カタリナ!」

 

 あぁ。ルビアの声が聞こえるわ。ドスンと派手な音を立ててお尻から地面についたようだ。そこそこの高さだったら怪我を覚悟していたのだが……。

 あれ?あまり痛くないな。下の土が柔らかい気がする。そして下を見れば……。

 

「キ、キース⁉︎」

 

 可愛い義弟が私のお尻に踏み潰されたまま仰向けに倒れるぐったりしている。

 

「いや〜〜キース死なないで〜〜せっかく可愛い義弟ができたのに〜〜」

 

 ぐったりしたキースを腕に抱き私は号泣した。

 まだ破滅フラグの問題は解決していないが、こんなに可愛い弟ができたのは本当に嬉しかったのに。

 

「———カタリナ……自首しよう。クラエス公爵だって、カタリナに悪意がないことがわかれば庇ってくれるだろうし、罪は軽くなる筈だ……」

 

 私と同じように目に涙を溜めたルビアがそう言った。

 

「………あの、義姉さん?ルビア様?」

 

「死なないで〜〜まさか、お尻で義弟を殺してしまうなんて……キース〜〜」

 

「あの、姉さん、ルビア様。聞いてる?」

 

「なんか声が聞こえる。もしかしてキースが天国から声をかけてくれてるのかもしれない」

 

「死なないで〜〜キース〜〜」

 

「生きてます‼︎」

 

 突然聞こえた大きな声ではっと腕に抱いていたキースを見ると、ぱっちりと開いた青色の瞳と目が合った。

 

「キース⁉︎生きていたのね‼︎」

 

「よかったぁー!!」

 

 キースにぎゅっと抱きついて生きているかを再び確認する。

申し訳ないけれど、今日は早めにルビア様に帰ってもらい、キースにはすぐに医師に見てもらった。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

「そうですか、そんなことが。木から落ちたと聞いて慌ててお見舞いに来たのですが、ご無事で何よりです」

 

「私はキースを下敷きにして無傷だったんです。キースの怪我も幸い背中をちょっと打ったくらいで大したことなかったけど……悪いことをしました」

 

「カタリナはすぐに調子に乗るからね。落ち着くことも大切だよ」

 

 『カタリナ木から落ちて義弟を下敷きにする事件』の後日。いつも通りクラエス家に行ったらジオルドがすでに来ていた。理由はカタリナのお見舞いらしい。

 なんというか、最近カタリナと2人っきりになる時が無さすぎる。ジオルドは3日開けずと来るし、キースは義弟だからほぼ毎日一緒にいる。

 もちろん悪いことではないのだが、なんというかモヤっとするような気持ち。カタリナが取られたような気がして寂しいのだろうか。

 

「でもっ!いつもは上手に登れるんですよ‼︎」

 

「そ、そうですか。それにしてもカタリナ様のご両親は以前にもまして仲睦まじくいらっしゃいましたね」

 

「えぇ、まぁ色々ありまして……すっかり幸せ家族です」

 

「そうですか。それはよかった」

 

 ジオルドとカタリナだけで進む会話になんとなくいやなきもちになり、俺はジオルドには知り得ない話題をカタリナに振った。

 

「カタリナ。破滅フラグ(例の話)のことなんだけど、これからは手紙にしない?直接は時間も取れないし」

 

「そうですね。まず私から出しますわ。伝いたいこともありますの」

 

「うん。待ってるよ」

 

 これではジオルドはわかるまい。俺たちにはジオルド達には知らない『FORTUNE LOVE』の話をしているのだからなっ。

————でも、やっぱり少し悪いことをしてしまったな。例の話なんてジオルドには知り得ないことを言っちゃうなんて。少し反省しよう。

 

「カタリナ様。()()()とはなんですか?」

 

 ジオルドはカタリナにそう聞いた。申し訳なくは思ったが、秘密を共有したいわけでない!

ここでその話題を振ってしまった俺が悪いから、どう答えようか迷っているカタリナに視線を配り俺がジオルドに答えた。

 

「だめだよジオルド。これは俺とカタリナだけど秘密なんだからね」

 

ちょっとドヤりながら言うと、ジオルドの笑顔が少し黒くなる。そんな怖い顔しなくていいじゃないか……。俺はジオルドの繕った笑顔が苦手なんだよっ。

 

「———まぁいいですよ。いつかカタリナ様の口から言ってもらいますから」

 

 ジオルドは一口紅茶を飲んで俺の方を向く。怖い怖い。

 でもそんな怖い顔しても絶対教えないけどねー!カタリナが言うっていうならしょうがないけど、そんなことはないだろう!きっと!

 ジオルドに少し意地悪をして気が済んだ俺は帰り支度を始めた。

 

「今日はもう帰るね。母さんに早めに帰るよう言われてるんだ。あと、一週間ほど顔を出せないと思う」

 

「何かご予定があるのですか?」

 

 一週間来れないことを言うとカタリナは少し寂しそうな顔をした。また反対にジオルドの顔は少し明るくなる。

 

「うーんと、まぁ。予定、かな」

 

 顔を出せないのは残念だが自己責任だ。

 座学の先生から出た宿題をやってないことがばれて外出禁止を言われたなんて、カタリナには恥ずかしくて言えないしな。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

 カタリナから手紙が来てカタリナの第二の破滅フラグについて理解できた。

 キース・クラエス。こないだカタリナの義弟になった亜麻色の髪に青の瞳の少年。彼は孤独から愛を求めさまざまな女性と浮名を流すチャラ男になるらしい。そこで主人公マリア・キャンベルと出会い本当の恋をする。ジオルドの時と同じようカタリナには破滅しかないらしい。

 その対策としてはキースをチャラ男にさせなければいいということで、キースが孤独にならないようたくさんかまってあげるという事。そして魔力で殺されそうになった時のために、以前に引き続き魔力の特訓と剣の特訓もすると言っていた。

 カタリナが俺にして欲しいことは、孤独にさせないよう良き友人になって欲しいそうだ。

幸い『カタリナ木から落ちて義弟を下敷きにする事件』を通して、キースとは喋れるようになったから、そんなに難しいお願いじゃない。

 

「ルビアっ!もう宿題は終わったの⁉︎」

 

 庭の木に登っているのがばれ、母さんが使用人を引き連れ木下まできた。

 

「うん。終わったよ」

 

「しかしっ!公爵家跡継ぎとして木に登るなんていけません‼︎」

 

「げぇ。いいじゃんかよ」

 

 いやいや降りて、母さんのところに行く。そしてそのまま襟を引っ張られ連れて行かれた。おそらく母さんの部屋で説教があるのだろう。気が重いぜ。




『姉さん』って打ちたくて、『ねいさん』って打っても漢字が出てこなくてなんでだ?って色々やってたら『ねいさん』じゃなくて『ねえさん』だった。

自分のバカさを再び感じ、とてもとても危機感を覚えました。

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