俺の好きな人は破滅フラグがあるらしい… 作:とうふ
上手い話の内容が思いつかなくて、っていうのは言い訳なんですけどね!?
ごめんなさい。反省します。
俺がクラエス邸に行けなかった一週間の間にカタリナはキースと仲を縮められたそうだ。
詳しく話を聞くと、カタリナの不注意でキースの魔力によって怪我をしたカタリナに拒絶されるのが怖く、部屋に閉じこもってしまったキースの部屋の扉を無理やり斧でぶち壊しカタリナが深く謝って仲が深まったそうだ。
目で見たわけじゃないからどういうことかさっぱりわからなかったけど————いや、おそらくその場で見ていたとしても理解はできない気がする。
カタリナに「なぜ斧で扉を壊したのか」と聞くと「背に腹は変えられないから、仕方がなかったのよ」と返ってきた。
俺も『花瓶で‼︎全力キャッチボール!』をして花瓶を割っているからカタリナのこと「何やってんだよ」なんて言えないしな。
そして外出禁止令が解除されるこの日、早くも俺はクラエス邸へ行こうとしていた。
「ルビア、カタリナ嬢に迷惑をかけないようにね。迷惑をかけていいのは身内とこのバルスリア邸だけだよ」
「あなた、身内や我が家でも迷惑をかけるのはよくないですわよ。やっぱり、プラス一週間、外出禁止にした方がいいんじゃないかしら。この一週間にうちの花瓶を九つも割ったんですよ?」
「まぁまぁ、本人も反省……は、していないようだけど。元気が一番だよ」
「あなたはこの子に甘すぎです‼︎」
やれやれ。また夫婦喧嘩が始まったよ。仲がいいんだか、悪いんだか。
うちは身分の高い貴族の中数少ない恋愛結婚だが、温厚な父さんと違って母さんはちょっと怖い。たまに悪魔にすら見えてくる。
カタリナに話すと「うちもです‼︎」と共感してくれるから、クラエス家とうちは似ているんだな。
「聞いているかい?ルビア。父さんから出す条件は、表向きに跡継ぎとして恥ずかしくない行動をとっている事だ。それが守れるなら自由にしてもいいから、絶対に忘れてはだめだよ」
「うん。分かってるよ」
母さんがまた小言を言い始めたが右耳から左耳へと聞き流してちょっとした家族会議が終わる。
そしていつも通り馬車に乗りクラエス邸へ向かい始めた。
⬜︎⬜︎⬜︎
「ルビア様っ!お待ちしておりました!」
大きく手を振って出迎えてくれるのはクラエス家長女カタリナ。
作業服を身にまとい、ほっかむりを被ったその様子はまるで農民。
「久しぶりっ!カタリナ!」
一週間ぶりとなる幼馴染との再会。勢いで抱きついてしまいそうになるが、自分の中にある貴族としての自制心がそれを阻止する。
ふぅぅーーー。さすが貴族の中の貴族、ルビア・バルスリア。自制心は人一倍だぜ。
「久しぶりですね。ルビア」
「久しぶりです。ルビア様」
「うん。久しぶり」
俺は心の中でため息をつく。カタリナと俺が作り上げた畑には俺とカタリナ、その他にもジオルドとキースがいた。
もちろん2人のことは好きだけど、たまにはカタリナと二人っきりで遊びたいものだ。
「そんなあからさまにため息を吐かなくても。僕はカタリナ様の婚約者なのですから、いるのは当たり前ですよ」
ため息ついたのバレてんじゃん。俺ってばうっかりさん。
軽くジト目でジオルドを見る。なんか悔しい。
会話にひと段落つくとカタリナが声をかけた。
「今日は、少し生えていた草を取ったりしたいのですけど……」
「「「もちろん手伝うよ(います)」」」
「本当ですか!ありがとうございます」
目をキラキラさせてパァッと笑うカタリナ。そして俺たちも自然と笑顔になる。
とんとん拍子で話が進み、それぞれが動きやすい服に着替えて草取りを始める。そこまで大きくない畑。一時間もかからず草取りが終了した。
「やっぱり大人数でやると早いですね!じゃあこの後は———」
「水やりでしょ。俺に任せてよ」
カタリナが言い終わる前に俺が答える。先程なんとなくジオルドに悔しい思いをさせられたので、俺は当然かのように行動を先読みする。俺が言ったことにカタリナは頷いたため、すぐに水やりにかかった。
俺の魔力は水。自分で言うのもなんだがかなりレベルの高い。だから畑の水やりは俺がよく手伝っているのだ。
カタリナが言うには魔力の特訓は魔力との会話だと言うことで、水遊びに誘われたが、流石に足丸出しの令嬢と水遊びをする勇気はなかったのでしっかり断らせていただいた。
実際水遊びより、畑の水やりの方が魔力のコントロールとしていい特訓になったのでよかったよ。
「悔しいですね。ルビアにしか出る幕がないというのは」
一見、口だけで悔しがっているように感じるが、いつもより表情が怖いので割と本気で悔しいのだろう。
はっはっはっはっ。普段は何一つ勝てないジオルドに勝てたような気がしてすごく気分がいいなぁ。
「ま、火の魔力じゃあ畑仕事の役には立たないよね。俺と違って」
俺はわざとらしく、嫌味ったらしく、ジオルドに精神攻撃を仕掛ける。ふふっ。なかなかこの優越感も悪くない。
俺が
「ま、そうですね。ですが、それは状況によって変わりますよね。もし、収穫終わりの時期であったのなら僕の魔法で調理することができます。その場合水の魔力であるルビアは何にも役に立たないでしょう。そもそも今のカタリナ様がルビアを必要としているのは水やりをしてもらうのに便利だからお願いしているだけであって、僕の魔力の使い所が————(以下略)」
ははははははは(乾いた笑い)調子に乗った俺がバカだった……。
——————初めて本気でジオルドが怖くなったよ。
まさかちょっとしたいたずら心で嫌味を言っただけなのに2倍、いや100倍で返ってきた……。怖えーよジオルド。笑顔がもう狂気にしか見えない。
—————よし、これからジオルドをからかうのをやめよう。
そして腹黒ジオルドからカタリナをしっかり守ろう。
「カタリナ。ジオルドは要注意だね。大丈夫。俺が絶対守るから」
「いや、今のはルビア様が原因だと思いますが……」
ははっ。なんのことだか。
⬜︎⬜︎⬜︎
『FORTUNE・LOVER』について、現在俺がわかっている現状はこうだ。
攻略対象は4人。ジオルドとその弟のアラン。カタリナの義理の弟キース、宰相の息子ニコル。
カタリナの破滅に関係する人物はジオルドとキースであるが、
アラン攻略の
と、こんな感じ。
カタリナ達と過ごしていて現段階で言えることはジオルドもキースもカタリナに悪印象を抱いていない。むしろ好印象だ。
アランとは城ですれ違う程度で特に関わりはない。ニコルも噂で聞く程度。二人と関わりはないが無闇に命を脅かすような真似をするような人じゃないから現段階のまま進めばカタリナに命の危険はないだろう。
でも、おそらくそんな簡単じゃないのだろう。
カタリナの言うゲームというのは決められたシナリオ通りに動く。ジオルドがカタリナのお見舞いに来たのも、キースがカタリナの義弟になったのも決まっていたシナリオ(らしい)。
だから、カタリナの破滅もどれだけ変えようとしても変えられないかもしれない。
意地でも変えるんだ。本気で、全力を持ってカタリナを守ろう。できる限りのことをしよう。
俺はよしっと声をあげて
読んでいたのはカタリナが読みはじめているというロマンス小説。題名は『従順な下僕』。
ルビアはカタリナと読んでいるロマンス小説のジャンル違いに気づかない。
⬜︎⬜︎⬜︎
「ルビア。カタリナ嬢もジオルド王子と婚約をした。ルビアもいつまでもカタリナ嬢に固執していてはダメだと思うんだ。もちろん距離を置けというわけではない」
父さんが机の引き出しから一つの手紙を出し俺に渡した。
「ルビアへお茶会の招待状だ。父さんが厳選したものだ。必ず出席するように」
「はぁ」
まぁお茶会には何度か出席しているし、父さんのことだからジオルドとかキースとか、カタリナはいないにしても知り合いくらいはいるだろう。適当に出席してちゃちゃっと帰ろう。
「————ちなみに、ルビアの顔見知りがいないお茶会を選んだからな」
爆弾投下。
ま じ で ?
父さん知ってる?俺の人見知り度。本当、目すら合わせられないんだよ?どうやってこのお茶会を乗り切れ、と!
うわぁ無理無理無理無理。絶対無理!どうしよう。困る困る。
「そんな顔しないで。大人への階段だと思って割り切ってね。とりあえず、決定事項だから。お茶会明後日だからね」
⬜︎⬜︎⬜︎
はいっ、最悪終わったぁぁぁぁぁぁぁ。
当日になり、体調不良を訴えても。クローゼットの中に隠れても。たとえ、父さん管理の金庫の鍵をチラつかせても。
引きずられてここまで来ちゃいました。俺も子供じゃない。ただをこねるのはよくないと分かっている。
だ か ら!家に帰らせて!!無理!本気でやだぁ。
「ルビア様、本日は我が家のお茶会にはご参加いただきありがとうございます。長女のラアです」
「長男のリイです」
「初めまして。ルビア・バルスリアと申します。本日はお招きいただきありがとうございます」
は、はははははは(乾いた笑いVer2)
できるだけ人混みに紛れよう。人に喋りかけられないように……。
そこそこ大きいお茶会であった為、幸運なことに人が多く交流が盛んだった。そのため飲食スペースには人が少なく俺はすぐさま飲食スペースに逃げた。
しかし、俺がジュースを片手にひと息つこうとしたら、令嬢数人が俺の元に来る。
「あのっ、ルビア様///趣味などございますか?」
「ルビア様はどのような女性がタイプなのですか///」
「ルビア様は何が好きですか?私は///———」
わいわいと質問攻め。さっきから見られているような気がしていたけど、そういうことだったのか。俺が婚約者のいない玉の輿だからって……。
「はぁ、ちょっと外の空気を吸いに……」
適当に流して庭へ出る。
はぁ、疲れたぁぁぁぁ。帰りたい。帰りたい。もうやだ。
え?そもそもなんでお茶会なんてするの!分かりますよ分かります。大人になってからはパーティーやらなんやらで交流が増えてこういう場で経験を積ませているということは。でもさぁ、人見知りのこと考えて欲しいよ!なんだよ!質問攻めって!怖いわ!
「はぁ、疲れたぁ」
「大丈夫ですか?」
パッと振り返るとそこにいたのは姉妹とこのお茶会に参加していた令嬢。えっとー、名前は確か…
「あっ、失礼しました。メアリ・ハントです」
「あ、いえ。ルビア・バルスリアです」
静寂が訪れる。
———あー気まずい。助けて欲しい。
ここに友人がいれば話を広げてくれるのだろうけど、俺は自分から話を振れないし。
「あのっ、先程ため息をついておられましたが、どうかなされましたか?」
優しいことにメアリ嬢は俺に話を振ってくれた。男が動けず情けない。
「いえ、人見知り故に話しかけられるのが苦手で…あっ、もちろんメアリ嬢が話しかけてくれたのは嬉しかったです」
あーしくじったぁ。辺にフォロー入れると嘘を隠してるみたいになってしまう。
「わかります。私もこのような場は苦手で…。ここにも逃げに来ちゃったんです」
おぉ、全く一緒じゃないか。気が合う。
メアリ嬢は俺が座っていたベンチを一つ飛ばして座ったが、俺が手招きをすると隣に座ってくれた。あぁ断られなくてよかった!
隣に座るメアリ嬢を見ると下を向いていて、纏う雰囲気は……誰だっけ、かなり前に出たお茶会で会った赤髪の令息————まぁ、失礼な言い方をすると、幸薄そうな感じの雰囲気だ。しかし顔立ちはとても綺麗で将来は確実に美人になる感じのする顔。
「俺たち似ていますね。あっ変な意味ではないです!決して。単純に思っただけです。いや、失礼でした」
「は、はい。大丈夫です」
やっぱり会話は難しい。カタリナから面白話をたくさん聞きておくんだった。
顔色を伺おうとメアリ嬢を見ると暗い表情から一変、少し口角が上がって微笑んでるように見えた。視線の先には庭師が精を出して作り上げたであろう綺麗な薔薇が咲き誇っていた。
「あ、あの。植物が好きなんですか?」
「あ、はい。植物を育てるのが唯一の心の安らぎなんです」
なんて、なんて女性らしい人なんだろう。
カタリナときたら、畑や釣り、木登りなんて日常茶飯事。しまいには裸足で庭を駆け回る。
「あの!女性らしくとても素敵です。俺の友人に見習わせたい!ぜひうちは来てくれませんか!俺の友人に女性らしらを教えてほしい!」
「は、はい?バルスリア様の御自宅へですか?」
「えぇ!それと友人を呼んでもいいでしょうか。安心してください。気のいいやつなのですぐに打ち解けられると思います。そして!俺の友人に女性たるもの叩き込んでほしい!」
「え、えええと」
3日後に約束をしてもらいお茶会は終了した。
俺は畑も釣りも木登りも付き合うが、カタリナには令嬢として反省してほしい。頭の中に本物の令嬢とは何かを入れておいてほしい。
俺は、可憐な令嬢を見て初めてそう感じた。
⬜︎⬜︎⬜︎
後日、我が家への招待を兼ねてクラエス邸に来ていた。
目の前には作業服を見に纏い、ほっかむりを被ったその姿はまるで農民。
「捕まえたぁぁ!!」
畑に紛れ込んだ蛇を手に持ちながらこちらを向いて、太陽のような笑顔を浮かべるその令嬢。カタリナ・クラエス。
おかしい。止まらない心臓の動悸。日はまだ上りきっとおらずそこまで暑くない。にもかかわらず顔は火照って熱がたまる。
まさか、まさかこれが俗にいう———-
「ッ———これって恋!?/////」
【速報】ルビア君、カタリナへの恋に気づく。
蛇を片手に持ったカタリナで恋に気づくなんてなかなか変ですね。