俺の好きな人は破滅フラグがあるらしい…   作:とうふ

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予定より遅くなりましたか、できたので投稿しました!
最後だけなかなか手が進まず……申し訳ない。

6話もよろしくお願いします。


6話 優しさと厳しさの二刀流

 今は森の通り道。オセアンへ向かう途中だ。

 ドコン、とかガラン、とか。たまにはグチャってなる馬車の音。

 

 え?グチャ?

 

「ねぇ、トル?馬車のタイヤってどんな音がなるっけ?」

 

「基本的には道の凹凸や石などを通った時になる音ですので、グチャはなかなか聞きませんね」

 

 やっぱりトルも聞こえてたんだ。なんだよグチャって!何を踏んづけたんだ?

 

「まぁ大方、野犬の——」

「言わなくていいよ!」

「……そうですか」

 

 はぁ、御者には申し訳ないが掃除も頼もう。貴族の馬車のタイヤに糞なんで格好がつかない。

 外の景色が変わっていく。窓を開けてみるとほんのりと、王都では絶対にない塩の匂い。そして海が見えてくる。

 

「ルビア様がオセアンに来るのは1年ぶりでしょうか。バウル様も喜ばれるでしょう」

 

 バウルとは俺のじい様の名前だ。

 確かに、じい様は俺に甘い。しかし剣の稽古となるととても厳しい。そしてなんといってもイケてるじい様、ダンディーでかっこいい。

 

「もうすぐだよね。じい様の家」

 

 町を抜ける。そして少し場所の空いているところに馬車を止める。この場所は止めれるよう、父さんが用意してくれたのだろう。

 

「ルビア様。ここからは歩いて行きますよ」

 

「うん。ハーツ、ありがとう」

 

「いえいえ、これが私の仕事ですので」

 

 御者のハーツにお礼を言ってトルと一緒にじい様の家まで歩く。

 今の俺とトルの服装はTHE・平民だ。普段着るような服を着てしまったら街の人が萎縮してしまうからね。

 本来なら馬車も普通のにするべきなんだけど、お尻が痛いんだよ。うちのは公爵家なだけあって長時間座っても痛くないけど、普通のは揺れるし硬いしで慣れてないと辛いのだ。

 

「よしっ!着いた!」

 

 少し丘になっているその先にある家がじい様の家だ。周りが開けていてここでいつも剣の稽古をつけてもらっている。

 

 コンコンコン

 

 数秒後に眼鏡をかけたじい様が出てきた。

 

「どちらさんかな———おぉ!ルビア!よく来たなぁ」

 

「じい様!久しぶり!」

 

 小麦色に焼けた肌。じい様も王都出身だから、ここで過ごして肌が焼けたのだろう。

 俺が飛びついても軽々受け止めてそのまま3回くらい回ってくれた。

 服の上からでもわかる鍛え上げられた筋肉。やっぱ俺の憧れはじい様だな!

 

「ルビア様。令息としてなってませんよ。バウル様、お久しぶりです」

 

「おぉ、ルビアのメイド———トルだったかな。久しぶりだね」

 

 トルは俺が移動する先々まで着いてきてくれるのでじい様に顔を覚えられているのだ。まぁじい様は元々記憶力がいい方だが。それに、じい様はまだ50代だから現役だよね。

 

「とりあえず2人とも中に入って。お茶を出すよ」

 

 中はそこまで広くなく、でも清潔感のある俺の好きなタイプの家。

何より、ここに来ると貴族という堅苦しさが無くなる感じがする。

 

「はい、どうぞ。それでルビア、ユイツ(ルビアの父)は元気にしてるか?最近会ってないからね」

 

 紅茶を出しながらじい様は俺に聞いた。おそらく手紙ではやり取りをしているがここ3年は顔を合わせてないんじゃないかな。

 

「うん、元気だよ。今回も母さんへの説明は父さんがしてくれたんだ。父さんがいなかったら来れてなかったよ」

 

「おぉ、それはユイツに感謝しなくてはな」

 

 愉快そうに笑いながらじい様も椅子に座った。

 

「あのね、じい様」

 

 俺はそろそろかな、と思いじい様に本題を切り出した。

 じい様は顔をこちらに向け続きの言葉を待っている。うわぁ、断られたらどうしよー。普通に困るやん!

 

「稽古をつけてもらいに来たのはもちろんなんだけど、騎士団を作ろうと思っててさ」

 

「おぉ、騎士団かぁ。いいなー」

 

「うん!それで、まだ出来てないんだけど、できた後の団員の稽古もつけて欲しいんだ」

 

 かなり急な話だし流石に断られるかもしれない。まぁ断られたらしょうがないけど。

 じい様の様子を伺おうと顔を見ると、じい様はとても楽しそうに笑顔で笑っていた。

 

「稽古か?全然いいさ!私も暇が多かったからなー。団員が決まればここに送ってくれ」

 

「本当!?うん!ありがと!」

 

「もう夕方だ。晩御飯の準備をするからトル、いつもの部屋の掃除を頼んでいいか?」

 

 こんな快くオッケーをしてくれるなんて。さすが頼りになるじい様だ。よかったよかった。

 じい様はテキパキと動きながら指示を出していく。

ススッと腕をまくった。これから料理するんだよね!楽しみだ。

 

「はい、お任せください」

 

 トルもいつも泊まらせてもらっている部屋の掃除を始める。

 テキパキと掃除をして埃一つ落ちてない部屋に一瞬で成り変わった。さすがトル、できるメイド。

 みんながそれぞれ準備を始めているので俺も手紙を書き始めた。父さんに送る手紙だ。

 約束の中には『着いたら手紙を送る』ことと『毎日手紙を送る』ことがあったからね。

 流石に俺も7歳の子供だから手紙での安全確認が必要なのはわかる。

 サラサラと文字を書き進めていく。

内容は簡単で、無事についたことの報告とじい様も元気だと言う報告。そんな内容を書き終えて伝書鳩を放つ。早くて今日、届くのではないのだろうか。

 

「ご飯の支度ができたぞー」

 

 じい様の声で机の下に行くとスープとパン、メインにはお肉があってとても美味しそうだった。

 

「私の分までありがとうございます」

 

「いやいや、気にするな。さぁ、早く食べよう」

 

「「「いただきます」」」

 

 食事が始まる。パンはふわふわでスープも味が深くてお腹はジューシーで、とても美味なり。

 

 そういえば、騎士団のメンバーをどうやって集めよう。俺って人見知りじゃん?え?本当どうやって集めよう。

 今のまま集めたら「あっ、はじめまして」で終わっちゃうよ。勧誘なんて絶対できない。あーー、ここにきて甘い考えが……。

 

「どうした?ルビア。口に合わなかったか?」

 

 おそらく渋い顔をしていたから、じい様が声をかけた。

 味はとても口にあってるし美味しい。

 

「ううん。騎士団のメンバーをどう集めようか考えてたんだ。俺、人見知りが激しくて」

 

「人見知りかぁ。確かに勧誘が大変かもしれないな」

 

「だよねぇ」

 

 食事を進めながら考える。

 そもそもなんで人見知りなんだろうか。人が苦手になったのいつからだっけ?カタリナと初めて会った5歳の頃からは人見知りだったよね。

 確か、父さんのお茶会に参加してそこににいる大人数の人が怖かったような……。はっきり覚えてはいないけど。

 

 でも人見知りが治る気はしないなー。

 友人たちのおかげで、きっかけと時間さえあれば普通に接することができるっていうのは分かってるから、なんとかならないこともない。ただ10人の勧誘だから、すごく時間がかかってしまうけど。

 

「そうだな。せっかくだし、私が秘策を考えておこう。できるだけ早めに思いつくようにするから待っといてくれ」

 

 なんと、ありがてぇ……。

 秘策だなんて嬉しい!これで人見知りが治る可能性が出てくる訳だ!

さすがじい様。感謝してもしきれないよ。

 

「じい様、ありがとう!」

 

「なんのこれしき。ご飯食べ終わったら、歯磨きしてお風呂入って、ゆっくり寝るんだよ」

 

「はーい!」

 

 じい様は頭もいいから、きっといい秘策を思いついてくれるはず。俺はできるだけその秘策に対して努力をしよう。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

「ルビア!朝だ!起きなさい」

 

「うぅん、じい様……?」

 

 大きな声で目が覚める。

 まだ(おぼろ)げな視界に映るのは、眼鏡をとったラフな格好をしたじい様だった。

 今何時?まだ外暗いけど……。

 

「今日から稽古なのだろう?早朝はランニングだ。トル、ルビアを着替えさせてくれ」

 

「かしこまりました」

 

 おそらく5時くらいなのだろう。いや、7歳が起きるに早すぎるよね。まだ寝たいー。

 トルによる高速早着替えで、じい様のようなラフな格好への着替えが終わる。

 まだ目は覚めきってないが、じい様に引きずられるより自分で歩きたいので台所へ向かう。

 

「もう目は覚めたか?まぁ覚めてなくてもランニングはするがな」

 

「……え?今から?」

 

「当然」

 

 じい様に手を繋がれて外に出る。まだ朝日が上りなっておらず外は薄暗い。

 やー、まだ寝てたい。きつい、きついよー。

じい様の家の丘を降りて海辺まで行く。こんな早朝、腹立たしいほど綺麗な海。

 

「いいか?この砂浜をまっすぐ行ってそこから街を一周。それを3回するんだ。もちろんランニングでね。終わったらうちに戻っておいで、朝ごはんを作って待っているから」

 

「え、待って!じい様!?」

 

 恐ろしいくらいの速さでじい様は家に戻ってしまった。

……え?きっつ。

 俺はただ無心で走りました。

 

「はぁはぁはぁはぁ。じ、じぃ様、終わったよ……」

 

 1番きつかったのは3周終わった後の家までの上り坂だよね。終わったはずなのにきつい坂道。いや、本当きついよ。

 外の日はもう高く上がっている。その日差しが俺がかなりの時間走っていたことを証明した。

 かなりの距離を走ったから正直お腹はあまり空いてないけど、やっと休憩だからとても嬉しい。はぁ、しんどいって。

 

「おぉ、思ってたより早かったなぁ」

 

「そうですか?じゃあ、休憩で」

 

「いや、予定より早いから()()()()()。姿勢を崩すなよ」

 

—————いやいやいや、じい様!?

 休憩なしですか!?ええ!?……まぁやりますけどー!しんどいのは治らないんですよ!?

 じい様は料理を味見しつつ、練習用の木剣を指さした。これでやれって事ですよねー。はぁ。

 

「じゃあ…、素振りしてきます」

 

「おおー、気をつけてなー」

 

 1ヶ月ぶりだからだろうか。じい様の特訓がこんなにも厳しいなんて……。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

「ルビア様はお爺さまのところで楽しくやっているかしら……」

 

「ルビア様ならどんな場所でも楽しく過ごしていそうですね」

 

 畑を目の前に座り込んで、私カタリナ・クラエスは畑でお世話になっているメアリ・ハントと喋っていた。

 植物を育てる才能のあるメアリが手伝ってくれてるおかげで畑の作物は枯れることなどなく、元気に実ってくれている。————ほんとに美味しそうね。このまま食べてみようかしら。

 

「え!?カタリナ様!?」

 

「うん!やっぱりいけるわね。メアリも食べてみる?」

 

「え!?え、ええと……」

 

 トマトを(かじ)りながらメアリにも勧めてみるけど……はっ!令嬢は野菜を丸齧りなんてしないんだったわ!盲点!

 

「カタリナ様ー!!!!」

 

「あ、アン。そんなに慌ててどうしたの?」

 

 もしかして、アンも美味しそうな野菜を食べたかったのかしら?

なら悪いことをしたわ。アンにも勧めなければ。

 

「ごめんねアン。1番美味しそうなトマトをあげるわ。みずみずしくて美味しいわよ」

 

「違いますカタリナ様!」

 

「え?」

 

「何度も言ったじゃないですか!畑で実った野菜をそのまま食べてはいけないと!しかも、自分で食べるだけではなく、メアリ様に勧めるなんて。メアリ様、申し訳ありません」

 

「ええ〜!?でもほらっ!とっても美味しそうよ?このまま放置したら鳥に食べられちゃうわ。ルビア様だって前、できた野菜をそのまま一緒に食べていましたし————あっ、これ内緒だった」

 

「ルビア様にも勧めていたんですか……」

 

 もしかして美味しそうな野菜をルビアにしか勧めていないと思って幻滅したのかしら。

 アン、私はみんなに勧めているわ。キースやジオルドにだって勧めている。

 

「アン!大丈夫よ!」

 

「何がですか……。あ、この野菜はいただいてもいいでしょうか」

 

「もちろんよ!」

 

 やっぱりアンも野菜が食べたかったのね。正直にいえばいいのに。恥ずかしがり屋なんだから。

 

「実った野菜は収穫しましょうか。メイドに料理させますね。キース様やジオルド様も呼んで少し休憩をしましょう」

 

「やった!ありがとうアン!これでメアリも美味しい野菜を食べれるわね!」

 

「はい、ありがとうございます。カタリナ様」

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

「すごく美味しいですね」

 

「ですよね!私もそう思います!」

 

 目の前には綺麗に盛り付けられたサラダに軽食としてのサンドイッチが出されていた。

 さすがうちでできた野菜たちね。そしてメイドの作ったサンドイッチも野菜とあっていて美味しい!ジオルドが絶賛するのも頷けるわ。

 多分この野菜たちは私たちの手だけじゃこんなにも美味しくできなかったわ。

 

「こんなに美味しく実ったのはメアリのおかげだわ。ありがとう」

 

 私は隣に座るメアリにお礼を言う。ほんとに感謝してもしきれないわ。

 

「いいえ、カタリナ様が頑張られたからですわ。私は特に何もしていません」

 

 メアリは微笑みながら謙遜をする。美少女の微笑みほど眼福なものはないわね。

でもやっぱり、この美味しさはメアリのおかげだと思う。

 すくすくと育ってこんなにも美味しくなったんだもん。私は前世で植物を育てると枯らしてしまうから、きっと私だけではこんなにならないわ。

 きっとメアリの手は特別な手なのだ。そういえばこんな風に特別な手のことを確か……。

 

「メアリの手は緑の手なんだわ」

「……緑の手?」

「そう、緑の手。植物を育てる才能のある人の特別な手よ」

「……特別な手……」

「そう、メアリは植物や育てる才能にあふれた特別な手を持っているのよ!」

 

 私はそう言って、食べ物を取ってない方の手でメアリの手を握った。メアリは握られた手を見開いて見つめている。

 

「……私の手が特別……」

 

「ええ、緑の手を持つメアリは特別で素晴らしい存在だわ!」

 

 私がそう言って笑うとメアリも微笑んだ。

その笑みは花が咲いたような愛らしい微笑みだった。

 

「カタリナ様……畑という約束でなくても、遊びに伺ってもよろしいですか?」

 

「もちろんよ!いつでも遊びにきてちょうだい」

 

 メアリに「大歓迎」だと伝えるとそれは嬉しそうに笑った。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

「緑の手って素敵だね。僕は本を読んで知ったけど義姉さんもその本を読んだの?」

 

「うーん。その本は読んでないけど……どこで知ったのかしら」

 

 カタリナは数秒頭をうねりながら考えたが結局思い出せなかったようだ。キースは苦笑いをしながら話しだす。

 

「そう言えば。メアリ様、そろそろアラン王子との婚約も決まる頃だね」

 

「へえー、そうな———ん?メアリが誰と婚約ですって?」

 

「ジオルド様の双子の弟、アラン様だよ」

 

「アラン王子の……婚約者?」

 

 カタリナはそう呟いたあとスカートの裾を掴みながら走り出した。それはもう全力疾走で。部屋に向かった。

 

「どこ行くの義姉さん!!」

 

 キースが追いついた頃にはカタリナは部屋で『FORTUNE LOVER』の情報がまとめてある『前世でのゲームの記憶を書き出した帳』を開き目を丸くしていた。

 

「ルビア様にお手紙を書かなきゃ!」

 

「えぇ!?またルビア様?」




この二次創作を読んでくれてる方のはめふらの情報はどう言う感じなんですかね?

アニメだけ、漫画だけ、または小説もなろうも読んでいるとか。
今更ですけどネタバレ(?)要素が入るかもしれないので、よろしければ教えてください。

騎士団設立の話ってどのくらいの長さがいいですか?

  • しっかり、がっつり
  • そこそこ、深く
  • さくっと、ちゃちゃっと
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