現代怪奇談 WORLD with MONSTERS(モンスターのいるセカイ)   作:不死身のケダモノ

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 どうも、不死身のケダモノです。

 現実の生活が上手くいかず、創作がスランプ状態になって半年以上過ぎてしまい、その間に何も生み出せていない自分に腹が立ったので自作小説を書くことにしました。

 ザックリ言うとアニメ、マンガ、ゲーム等…古今東西様々な怪物「MONSTER」が現代に降臨するお話になります。
 人知を超えた存在がこの世に現れし時…人々は一体どうするのか。何を思うのか。
 そして、その「MONSTER」が蔓延るこの世で生き残ることが出来るのか。
 

 記念すべき第1回の「追う」は不死身のケダモノなりに知恵を絞った作品になります。
 それでは、どうぞご覧ください。


第1話 「追う」MONSTER

 「未来ある子供たちの為に!「将来性を見据えて」行動するべきなのです!ましてや目先の利益など追い回しても何にもなりません!」

 

 ブチンッ!ガンッ!

 

 「ふざけんな!そんなのお前の「余裕がある」からそんな事が言えるんだよ!」

 

 ドガン!バギャッ!ガリッ!ボゴォン!

 

 「てめぇに一体何がわかるんだこの野郎!死ねッ!死ねッ!」

 

 とある一軒家の一室。

 一人の若い青年がテレビの電源を切ると、怒鳴り声を上げ、電源を切るのに使ったリモコンを画面に向かって投げつけた。

 鈍い音が鳴り、上等な液晶の画面にヒビが入る。

 そして、机の上に置いてあった金属製の置時計で何度も何度もテレビを殴打する。

 大の男に重厚な凶器で何度も殴り倒された液晶テレビは、あっという間に見るも無残なガラクタになり果てた。置時計の方も、うんともすんとも言わない。

 だが、それでも青年の怒りは収まらず口からは荒く息が漏れ、目は見開いて血走っている。

 元から「ある事情」で追いめめられていた青年を怒らせたのは、先程テレビに映った政治家の発言だった。

 

 「未来ある子供たちの為に!将来性を見据えて行動するべきなのです!ましてや目先の利益など追い回しても何にもなりません!」

 

 彼が言うように、将来を考えて慎重に計画的に行動する事は人間が生きていくうえで非常に重要だ。

 後先考えずに行動しようものなら、最悪肉体的に…あるいは社会的に死に至る。

 更に物事をスムーズに進められて更なる利益の追求にも一役買う。

 動物の中でもずば抜けて知能の高い人間が持つ最大の強み、それが「先の事を考えて行動する」事である。

 だが、それは「この先どうすればいいか考えられる時間」、「利益が出るまで持ちこたえられる余裕」があればの話。

 怒り狂ってリモコンを放り投げた青年にはそのどちらも無かった。

 故に、テレビに出てきた政治家の何気ない発言に怒り、ひと時の感情に任せて数十万円もする高級液晶テレビを木っ端みじんに粉砕し、腕の立つ職人の作った一千万円もする置時計を粗大ゴミに変えてしまう愚行を犯したのだ。

 

 「畜生…!俺には…「俺の会社」にはそんな余裕ねーんだよ!」

 

 実はこの青年、社長である。

 たった二十代後半という若さで父の建設会社を継いだ彼だったが、社長になってから一週間もたたないうちに不景気の荒波がこの会社を襲った。

 さらに、某会社の手抜き工事が頻繁に取り上げられていたおかげで風評被害からくる信頼低下の追撃も受けてしまう。

 その爪痕は中小企業である青年の会社にはかなりのダメージを負わせており、彼が経費の削減に尽力して会社の存続を図るがいずれも効果はない。

 

 「クソッタレ……でもよぉ、人を減らしちまったらもっと状況悪くなるしなぁ………」

 

 社員を食わせてやらなければならない…というのは建前で、人員・給与カットによる作業効率の低下を懸念している彼にはこれ以上の事はどうしようもなかった。

 

 「嫌だが、やるしかねぇんだよな。ごめんよ…オヤジ…「こんな事」に手を染めるバカ息子を許してくれ……これもアンタの会社の為なんだよ………」

 

 拳を握り、涙をこらえて青年は父の遺影の前に深々と頭を下げる。

 そして仕事着である背広を着こんで鞄を持ち「仕事場」へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オーライオーライ!」

 

 「そこ全部切っちゃって!」

 

 「モタモタすんなぁ!」

 

 「ウッス!」

 

 「わかりやした!」

 

 

 

 とある山間部の森林。降りしきる雨の中、青年の率いる社員たちはそこを「無駄に」切り拓いていた。

 チェーンソーで木を伐採し、残った切り株や草地を根こそぎ引っこ抜く。

 さらにブルドーザーや様々な機械でそこを真っ平にしていく。

 数時間前まで緑の木々や草花が生い茂っていた豊かな森は、生気の無い赤茶色の更地と化していた。

 

 「いや~、ありがとうございます!建設業者を何軒も回りましたが、快く引き受けてくださったのは貴方だけですよ!ハッハッハッハ!」

 

 ひげ面に禿げ頭という、いかにもな風貌の男が手をすり合わせて青年に向かって高笑いする。

 身に着けている者は隣にいる青年のものより豪勢で、手には葉巻を持っており、同じものを青年にも一本勧めていた。

 

 「お褒め頂き光栄です。こちらも良い案件に携われて感謝しています。」

 

 勧められた葉巻を手に取り、ライターで火をつけて吸う青年。

 その顔はどこか暗さがにじみ出ていた。

 しばらく青年社長が男と話していると、ショベルに乗った作業員が声を掛けてきた。

 

 「社長!「パネル」到着しました!」

 「わかった。すぐに作業に取り掛かれ。」

 「了解しました!おい!サッサと終わらすぞ!」

 

 ショベルの作業員の一声で慌ただしく無数のトラックが現場に入る。

 トラックの荷台には分厚いシートがかぶせてあり、それを他の作業員たちが開けていく。

 土と泥に汚れた銀幕の中から現れたのは巨大なソーラーパネル…俗にいう「メガソーラー」だ。

 ざっと100台はあろうかというそれらを作業員たちが卒なく設置していく様を見て、男は感心してまた高笑いする。

 

 「ハハハハ!流石ですな!お宅の社員は仕事熱心で何より!……「コンサル料」は弾みますからね。」

 

 男は脂ぎった笑顔で一台のスーツケースを青年に渡す。

 これはいわゆる「山吹色のお菓子」だとか「袖の下」というヤツ…つまり「賄賂」だ。

 そう、青年は会社を存続させる為の資金をかき集めるのに違法な工事を請け負っていたのである。

 経費を限界まで削減しても補いきれない部分は違法建築で得た賄賂で補填していた訳なのだが、どれも明るみに出てしまえば一発でアウトな案件だった。

 しかし、正規の仕事はほぼ全て大手に取られてしまっている上に、経営のノウハウがほぼ無いに等しい状態で社長になってしまった青年にはライバルの中小企業を出し抜く術がない。

 だからこうして、手っ取り早く稼げる汚い案件を受けまくるしかなかったのだ。

 「目先の利益を追わないと生きていけない」状況である故に。

 

 「ありがとうございます。キッチリ、やらせて頂きますからーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わああああああああああッ!」

 

 

 

 

 

 突如、メガソーラーの設置現場で悲鳴が上がる。

 まるで「尋常ではない何か」に遭遇したかのように。

 

 「何だ、お前ら!一体何が」

 

 青年がとっさに振り向くと、そこにはーーーーーーーーー

 

 

 『グウォアーッ!』

 

 「ぎゃああああああああっ!」

 

 「真っ青」な毛と甲羅に覆われた体長6m程の巨大熊…「青熊獣アオアシラ」がトゲの付いた甲殻に覆われた腕を振り回してメガソーラーを叩き割り、体当たりでトラックをひっくり返していた。

 こいつの足元には既に、既にその犠牲者が数名おり、頭を吹き飛ばされたり体を真っ二つにされた姿に変わり果てている。

 

 「お、お前ら!逃げろっ!残ったトラックに乗って逃げるんだ!〇〇さん!早くこちらへ!」

 「はいいいいっ!」

 

 アマゾンの熱帯雨林を始めとする森林地帯には多くの生物が生息しており、特に新種の生物は開発が進んだ森林の奥地で発見される事が多い。

 その「新種の生物」であるアオアシラは(モンスターハンター)の世界でこそ普通に見られる馴染み深い生物だが、この世界では未知の脅威となりうる「MONSTER」だ。

 そんな存在に青年は一瞬圧倒されるものの、冷静さを取り戻して部下たちに退避の指示を出す。

 彼の人望があるお陰か、生き残った作業員たちは大慌てでその場から逃げ出していく。

 続いてゼネコンを頼んだ男も大慌てで彼の車に乗りこむ。

 

 『ヴーッ、ハァッ、ハァッ…ヴォ…』

 

 幸いアオアシラは人間を狙って襲っているのではなく、「追われている」パニックからその場で暴れているだけに過ぎず、すぐに落ち着いてその場を「去ろうとした」。

 

 「よし、これで…」

 

 アオアシラと同じく青年がここを離れようとしたその時。

 

 バゴォンッ!

 

 『バモォォォォォォッ!?グォア!グォア!グォアァッ!』

 

 「なっ!?」

 

 突如、切り拓かれていない森の奥から「紫色の火球」が放たれアオアシラに炸裂した。

 火球の威力たるや凄まじく、頑丈なソーラパネルを瓦割の如く叩き割る彼の腕を片方吹き飛ばしてしまっており、転倒したアオアシラは痛みと混乱でその場でもがいている。

 

 『グルルル……』

 

 ズゥン…ズゥン……

 

 (なんだ、アイツは…!?)

 

 重厚な足音を立て、森の奥からアオアシラを「追っていた」存在が悠々と現れた。

 全体的なシルエットはまるで「虎」のようで、全長20m近くの巨体は濃い紫色の甲殻に覆われ、頭には戦国武将の兜を思わせる二本角が突き出ている。

 そして何よりも特異なのは、甲殻の隙間からまるで「怨」みの感情のような禍々しい色のガスが立ち昇っている事だった。

 おそらく、これが火球の基になっているのだろう。

 

 『ゴォルゥッ!』

 

 バドォンッ!

 

 「火球を放った張本人」…「怨虎竜マガイマガド」は右腕を振り上げると、力任せにアオアシラの脇腹に叩きつけて地面に抑え込む。

 

 『ガボォッ!ヴーッ…ヴーッ…』

 

 マガイマガドの一撃はアオアシラの肋骨をへし折り、内臓に致命傷を与えた。

 しかし、アオアシラは血反吐を吐きながらも目の前にいる天敵からなんとか逃れようと手足を懸命に動かすがマガイマガドの右腕はビクともしない。

 

 『グル…』

 

 ンガム!

 ギリギリ…ゴギン!

 

 『ゥォゥ』

 

 いつまで経っても息絶えない獲物にしびれを切らしたのか、マガイマガドはアオアシラの首に噛みついてへし折った。

 その後、マガイマガドは叩き潰したアオアシラの脇腹を食いちぎるとそのままバリバリと音を立てて貪り始める。

 青い外皮の破れ目からこぼれ落ちる赤い血、引きずり出されたピンクや紅色の臓物。

 これらの鮮やかさが先程までアオアシラが生きていた事を示していた。

 

 「あ、ああああ…………ッ!」

 

 怪物の捕食シーンという凄惨な光景を見せつけられた男はすっかり震え上がっていたが、横に居た青年はただ、無表情でその光景を目に焼き付けている。

 あまりに惨い光景を見た事による恐怖で心が壊れたのか、それとも「追う者」としての真の生き様を見せつけられたことにより悟りを開いたのか。

 それは彼もわからない。

 何せ人知を超えた存在による命のやり取りなど筆舌にしがたいし、どう思って良いのか対応にも困る。

 彼がこれからもこのシノギ(違法建設)を続けていく意思が変わらない事以外は、何も分からない。




 いかがでしたでしょうか?

 まさかのモンハンネタでした!

 これは、作者がスイッチ持ってないせいでモンハンライズができない鬱憤もまんま形にしてみた感じです(笑)

 マガイマガドがアオアシラを襲うシーンに関しましては、ゲームのムービーにてアオアシラがマガイマガドに首根っこを咥えられて出てくるシーンがあったのでそれを参考にしてみました。
 えっ?ゲームを持ってないのになんでそんな事知ってるのかって?
 公式ページの画像とゲーム実況で見たんだよ!
 あースイッチほしー!ライズやりてー!

 そして風刺ネタは、サブネタの「土建屋と政治家の癒着」…は2年ほど前に話題になった「メガソーラー汚職」を参考にしており、メインの「目先の儲けを追い続けなきゃいかん程追い詰められている人間」は作者がなんとなく悟ったエセ理論的なものになります。
 自分は、先の事を考えられるのは、その先まで持ちこたえる余裕のある人間ができる事だと思うのです。
 誰だって腹減って死にそうな時に手軽に食えそうなもん見つけたらすぐ飛びつくでしょ?
 それが「毒あるかもしれん」とか「なんか怪しいかも」とかそういうの考えずに「何か食べて生き延びねば」と真っ先に考えて口に放り込んでしまうのが当たり前じゃない。
 そんな一分一秒レベルで生死がかかってる人間に「その先の事を考えなさい」だなんてあまりにも酷いじゃねーかよ。質の悪いブラックジョークかよ。
 というのが、作者が「先の事を考えなさい」という思想に違和感を覚えている理由です。
 ぶっちゃけ正しいんだけど、全員に当てはまるかって言えばそうじゃないんだよな~と思うんですね。
 それが今回のお話を執筆しようと思った動機になります。
 だからと言って今回の賄賂や違法建設といった犯罪行為が許される訳じゃないけどな!

 それでは、またいつかお会いしましょう!読んでくださってありがとうございました!
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