イナズマ落としの練習のお話もやろうかとも思ったっすけど、飛ばしました。
1万UA越えてましたわよ。みなさんホントありがとうございます。
一応試合BGMからサブタイ名を取ってるんですけど、もうちょいサブタイセンスどうにかならん?
大介さんの秘伝書を元に練習を始めて数日後、いよいよフットボールフロンティア地区予選が始まる。
「しかし、イナズマ落としの練習大変だったな。壁山が高いとこダメだったとは」
「苦手なものは誰にでもあるしね。半田くんはなにかないの?そういうの」
「んー…昔は中途半端とか言われるのが嫌だったけど、今はそんなだな。というか、よく考えればそこまで周りに言われてなかったんだよな」
「…えーと、自分がそう思ってたってこと?」
「そんな感じかな。まぁ今じゃ、仮に言われても、貫き通せば半端じゃなくなるとか思うようにしてるから大丈夫だぜ」
「……そっか」
大谷とそんなことを話してる所は、一回戦の対戦相手のグラウンド。
稲妻町から電車を乗り継いで行った山の方にある野生中。
サッカー部メンバーが動物みたいな風貌なのは覚えてたけど、普通の生徒もちょくちょくそれっぽい人もいたんだな。
というか、さっき雷門の乗ってたリムジンを見て、サッカー部メンバーが車を初めて見る反応してたけど。いくらこんな山の方とは言え車も見たことないって流石におかしくないか?ジープとかそういうのだったらここにもあるんじゃないのか?まぁ、リムジンを初めて見た、のかもしれないけど。
「しかし、フットボールフロンティアというより…あれだな。染岡」
「なんだよ。あれって」
「いやさ。こうやって他校に来て試合するってのも、初めてだからさ。感慨深いなぁってさ」
「………そういや、そうだな。今年になって1年や豪炎寺達が入ってくれたからだな」
「優勝するために負けられないけど、そういうのを楽しむことも大事ってことか。いいこと言うな、半田!」
「いや円堂。オレそこまで言ったつもり無いぞ」
なんか円堂って、オレの言ったことを過大にするとこあるんだよな。
悪い気はしないんだけど、流石に大袈裟だろって話で。
……まぁ、初対面で世界一目指すなんて言ったもんだから、それが原因なのかもしれないんだけど。
みんなの様子を見てみると、選手は準備体操や作戦会議、マネージャーはドリンク作りなど忙しくしている。
ふと冬海の方を見てみると、ベンチに座ってる土門のことを少しの間だけじっと見ていた。なにやってんだ?
まぁ、それよりも唯一チームの中で一人でいる壁山か。
「壁山。練習の成果は…どうした?なんか青い顔してるけど」
「は、半田さん…実は…」
……あー、壁山の弟と友達が応援に来るんだっけ。
そんで、壁山は弟に見栄を張ったと。
「豪炎寺さんの踏み台になるなんて言えるはずなくて…でも、イナズマ落としは必要で……どうすればいいんすかぁ!?」
「どうすればって…オレは壁山の弟じゃないし…」
「そ、そんなぁ……」
「……まぁ、カッコいいところを見たいってのはあるだろうけど、それよりも、うじうじしてるとこは見たくないと思うぞ。せめていつも通りの壁山でいた方がいいんじゃないか?」
「い、いつも通り…いつも通りってなんすかぁ!?」
「だからいつも通りだってば!お前緊張し過ぎて記憶飛んだか!?」
誰か医者呼べ医者!でもこのチームで医者となると……
うん。やっぱ呼ばないでいいか。前回マックスが裏で呼んでた、ファイアトルネード治療法が飛んで来るかもしれないからな。
「とにかく、お前の守りはいつも頼りになってるんだ。そこをしっかりしてくれればいいんだよ。イナズマ落としが必要になるかは、試合が進んでみないと分からないからな」
「……わ、分かったっす…」
必要にはなるだろうけど、そこを念押しして更にプレッシャーをかけるのも良くない。とりあえずはイナズマ落としよりも、普段のプレイに意識を向けてもらおう。
「おーい、半田と壁山。そろそろ始まるぞ」
「ああ、風丸!そら、いくぞ壁山」
「は、はいぃぃ!!」
……無理はないけど、まだ緊張は解けてないか。
開始前の挨拶が済んで、それぞれポジションに就く。
審判のコイントスの結果、前半は雷門ボールとなる。
豪炎寺と染岡のツートップ。
オレとマックス、宍戸と少林の中盤4枚。
風丸と影野と栗松、そして壁山の守備4枚。
キーパーの円堂。
目金と土門はベンチスタート。
これまでと変わらないポジションではあるけど、地区予選とはいえフットボールフロンティア。油断はしない。
「相手の出方までは分からないけど、まずは普段通りに行くぞ!」
『おお!!』
円堂の号令と共に、開始の笛が鳴る。
染岡が豪炎寺にボールを渡し、豪炎寺はオレの方へとボールを蹴る。
ボールを受けたオレは相手陣へと攻め入るが……
「動きが早いな…」
野生あふれるサッカーとは聞いていたけど、すばやさも中々だな。
とくにあのチーターみたいなのと、ワシみたいなプレイヤー。どうしたものかな…
「でも、攻めるしかないよな。マックス!行くぞ!」
「了解…っと!」
マックスと2人で一緒にラインを上げていく。他の中盤の少林と宍戸もオレたち程じゃないにしろ、上がっている。
ボールを奪いに来た相手ミッドフィルダーをマックスとのワンツーで突破して、残るはディフェンス陣だけとたる。
「豪炎寺、頼む!」
オレはボールを高く打ち上げ、豪炎寺もそれを追うように飛び上がるが…
「コケー!!」
「なにっ!?」
豪炎寺がボールにたどり着くよりも先に、相手のキャプテンがボールを奪ってしまう。
試合中にこんなこと考えるのもアレだけど、キャプテンがニワトリなんだな。ライオンとかチーターとかじゃなくてニワトリなんだ。
「コンドルダイブ!」
野生中のカウンターが始まり、上空で蹴ったボールはワシのようなプレイヤーが追いかけ、上空で必殺シュートを繰り出す。
「させるか……!?」
円堂はシュートを止めようとボールに視線をやるが、その先にはゴリラのようなプレイヤーがいた。
「ターザンキック!」
どこから生えてるのかは分からないが、蔦に捕まりながら両足でボールの軌道を変えてきた。
「させる……かぁ!熱血パンチ!!」
ゴッドハンドとは違い、力の溜めの動作をあまり必要としない熱血パンチで、相手の連携シュートを防ぎ切った。
「円堂!豪炎寺が無理なら、オレが行くぜ!」
「あぁ!頼む、染岡!」
円堂が弾いたボールを染岡が受け取り、攻め込む。
「スーパーアルマジロ!」
「うおっと…!?」
ライオンのようなプレイヤーが猛スピードで転がりながら突っ込んでくる。
ただ、染岡がいた位置がこちら側、つまり野生のディフェンス陣の方を向いていたため、接近するアルマジロに気づくことが出来たから、前回みたく吹っ飛ばされることはなかったが…
「クイックドロウ!」
「くそっ…!」
カメレオンのようなプレイヤーが瞬間的に近づき、染岡からボールを奪う。
一の矢の次に二の矢って感じか…ちゃんと連携を取ってくるな。
「ライオンを突破できても、まだまだ攻撃は続くんだよ」
「後ろ向いてて、いいの?」
「えっ?」
油断していたのか、ボールを奪った染岡の方を向きながらドリブルしていたカメレオン。
その隙をついて、さっきまでオレの近くにいたマックスが一瞬にして距離を詰め、ボールを奪っていた。
「あれって、今アイツがやってた技じゃねぇか!?」
「僕たちってディフェンス技が足りないから、イメージだけは出来てたんだ。ちょうどそのイメージにピッタリな技を目の前でやってくれたからね。使わない手はないでしょ」
「今の一瞬で、僕のクイックドロウを真似たっていうのか!?」
「僕って、器用だからね」
はー、さすがマックス。前回とはいえ、ほぼ素人から代表候補に選ばれただけはあるよな。
それに負けたオレって……いや、考えないでおこう。
「オレも負けてられないな」
ただ、染岡のドラゴンクラッシュを撃つ暇もなければ、ロングパスからのファイアトルネードもニワトリに封じられる。
0vs0で拮抗したまま、前半戦が終了した。
無印では風丸や豪炎寺も自力習得したクイックドロウさん。
風丸は分かるけど、豪炎寺お前どうした感はすごかったです。