イナズマイレブン〜中途半端な逆行〜   作:トライデント

15 / 73
火が付くらしいです。


火が付く半田

野生との試合が終わり、次の試合に向けて河川敷で練習するオレ達。

 

 

「この前の野生戦で思ったけど、やっぱ僕たちって体力足りてなくない?野生中を比較対象にしないってのを抜きにしても、そう思うんだけど」

 

「たしかにな。二段構えを苦労して乗り越えるってのは、この先厳しいよな。このまま勝ち進めば、おそらく決勝戦は帝国だろうし。必殺技も大事だけど、地盤を固めなきゃな」

 

 

そんなことを学校から移動しながら話していたため、今日は身体作りの練習が基本となる。

前回の野生戦で、マックスと影野に風丸がそれぞれディフェンス技を習得し、護りは更に硬くなった。

とはいえ、オフェンス技がオレのジグザグスパークだけっていうのは不安要素だから、次の試合までには1つぐらいは習得したいというのは共通認識だった。

しばらくは身体作りを中心として、ちょくちょくオフェンス技の練習をと思っていたんだが……

 

 

「あそこの橋、他校の学生で埋め尽くしてるね」

 

 

大谷が言う通り、グラウンドの直ぐ近くに架かる河川敷の橋には、やたら他校の学生が多かった。

 

 

「まぁ、普通に考えたら偵察じゃないかしらね。流石にこの時期に、あれを全部ファンだと思うようなおめでたい人がここにいるとは思え…」

 

「えっ、オレたちのファンじゃないのか……!?」

 

「ここにいたね…」

 

 

なんか円堂と木野に雷門がコントしてるけど、半分スルーだスルー。

 

 

「偵察なんて来るんだな。まぁ、雷門ってしばらく無名だったんだから仕方ないのか?」

 

「帝国に1点もぎ取って、野生にも勝ってるからな。それよりも前に尾刈斗にも勝ってるし、突然現れた謎の学校ってところか?」

 

「しかも、私の調べによると尾刈斗は以前より力を付けたようですよ!なんでも打倒雷門を公言してるらしくて」

 

 

染岡の言う通りだろうし、音無の調べ上げたことも後押ししてるんだろうか。

過去のイナズマイレブンのことを知る人は少ない。ましてや雷門中の名前も知らない人がほとんどだろうしな。

もしかしたら、オレが知らないだけで前回の時も来てたのかもしれない。

 

 

「これだけ偵察が多いんじゃ、練習しづらいね…半田くん」

 

「プロチームですら、なかなか練習風景は表に出さないからな…どうしたものかな」

 

「このまま練習しないってのも時間が勿体ないし…走り込みぐらいにしとく?」

 

「んー…そうだな。円堂、大谷の言う通り、今は走り込みで済ませないか?」

 

「ああ。このまま何もしないのは良くないしな。よーしみんな!走り込みいくぞ!!」

 

『おー!!』

 

 

河川敷はこの辺りの散歩コースとしても有名で、道は長く繋がっている。3周もすれば、いい練習になるんだよな。

オレ達サッカー部以外にも、陸上部や野球部とかも、走り込みをしてるとこをよく見かけるな。

 

 

「……走り込みすら見ようとするって、あの人たち暇なのかな」

 

「えっ、ホントかよマックス」

 

「ずーっと見てくるっすよ…あの人たち」

 

「走り込みをあんな穴の開くような目で見ることってあるか?」

 

「一周回って、オレ達のファンでやんすね…」

 

「やっぱりオレ達のファンなのか!?」

 

「円堂、違う。一周回ってはそういうことじゃないんだ」

 

 

かれこれ5周ぐらい走り込みはしてたら、痺れを切らしたのか帰っていく人が多くなって来た。

偵察よりも、自分たちも練習した方がいいって思い直したのか、別の理由なのかまでは分からないけど。

 

 

「円堂。偵察が減ってきてはいるけど、今日は走り込みとかだけでよくないか?必殺技練習は様子見てやろうぜ」

 

「身体作りが中心って、さっきも言ってたもんな。じゃあこの後はストレッチとかやるか!」

 

 

そんなこんなで、今日の練習は終わった。

 

 

 

 

 

「偵察の連中、また増えてるぞ」

 

「今日も必殺技の練習、出来そうにないでやんすね」

 

「パソコンはともかく、なんかでっかいカメラ用意してるように見えるんだけど、中学でどこからそんなの用意したんだ?」

 

「必殺技だけがオレ達のサッカーじゃないさ。どっちにしろ地盤を固めなきゃいけなかったんだし、丁度いいよ」

 

 

偵察がこんな多いんじゃ、まともな練習は出来やしないしな。

というか、マジであのカメラとかどこで調達したんだよ。中学に写真部なんてそうそうないだろ。

 

 

「やれやれ…ん?」

 

「どうした、土門」

 

「や、なんかこっちに来るような…」

 

 

土門と一緒に土手の方を見ていると、本当になんか来たぞ。

 

 

「おい!なんか来たぞ!」

 

「なんだあれ、トラックか?」

 

「荷台が空いて…なんか、色々機材とか積んでますけど」

 

「偵察にしては、ずいぶん派手だな…」

 

「上にレーダーとか積んでるし、戦争でもするつもり?」

 

 

荷台にいる2人、顔も見えたな。あれは、たしか…

 

 

「次の対戦相手、御影専農のメンバーですね!色々と調べてたんで、分かりました!」

 

「音無さん、データベースも作ってくれたみたいだよ。それによると、あの2人はエースストライカーの下鶴改に、キャプテンのゴールキーパー、杉森威…だね」

 

「徹底的に観察するつもりみたいだね…」

 

 

マネージャー3人が、あのトラックについて説明してくれた。

なんとなく顔は覚えてたけど、やっぱり御影専農か。

データを徹底的に分析して、それを元に管理されたサッカーサイボーグ…やりづらいな。

 

 

「そういや、3人だけか。雷門はどうしたんだ?」

 

「理事長の仕事を手伝うんだって。なんでも、古い校舎の設計図の整理とか」

 

「すごいことしてんな」

 

「とにかく、御影専農のことは気にしないでいこう。シュート練習、いくぞ」

 

 

豪炎寺の声と同時に、オレ達はシュート練習に入った。

他の偵察はそこまで気にならないけど、あそこまで大々的にやってくると嫌でも気になるな。

 

 

「………………」

 

 

えっ、今目が合ったぞ。怖っ。

しかもなんかこっちに来るんだけど。いや待て、練習中に入ってくるのは流石にダメだろ。

 

 

「円堂!ちょっと練習ストップだ!アイツらがこっちに入ってきた!」

 

「えっ、本当だ…みんな!ストップ!」

 

「おいお前ら!いくら偵察だからって、限度があるだろうが!」

 

「御影専農のキャプテン、だな。練習中に入るのはやめてくれ」

 

 

オレや円堂、染岡と豪炎寺が、杉森たちを止めに入る。

 

 

「なぜ必殺技の練習を隠す?」

 

「今更隠しても無駄だ。我々は既に、君たちのデータを解析した」

 

「評価はD+…と言ったところだが、我々には100%勝てない」

 

 

淡々と言いやがるなコイツら…しかもD+って、最低ってワケでもないのかよ。

 

 

「何を言ってるんだ。勝負はやってみなくちゃ分からないだろ?」

 

「勝負?違うな。これは害虫駆除だ」

 

「はぁ!?」

 

「なにが害虫だ!」

 

「ムカつくっす!」

 

「最低…!」

 

「しかも駆除ってなによ駆除って!」

 

 

下鶴の言葉に怒りの反応を示すオレ達。

いくらなんでも流石に許せないよな。

 

 

「やめろみんな!お前ら、オレ達を害虫って言ったこと、取り消せ…!」

 

「事実を言ったまでのことだが」

 

「理解できないとは思わなかったが」

 

「もう絶対に許せねぇ…!オレ達の必殺技を見せてやる!今すぐ決闘だ!」

 

 

円堂、怒りの決闘宣告…っておい!

 

 

「おい円堂!決闘は流石にマズいだろ!」

 

「……決闘とは、どういう意味だ」

 

「お互いにシュートを1本止められるかで決着を着ける、いいな!」

 

「………あ、ああ…その決闘か……」

 

「半田。流石に円堂がストレートな決闘を申し込むワケないだろ。いくらサッカー馬鹿でもそこら辺は分かるはずだ」

 

「そ、そうだよな…風丸……」

 

「まぁ、最近授業で決闘罪って習ったから、焦るのは分かるけどさ」

 

「……我々は、その必要を認めない」

 

「そっちはそうでも、こっちは納得できない!害虫なんて言われてな!」

 

「何故そうなるのか、理解に苦しむ」

 

「助けてくれ半田!コイツら話通じない!」

 

「そこでオレに投げるのおかしいだろ!!」

 

「諦めろ半田。この流れ1年の頃からそうだっただろ」

 

「円堂も染岡も話投げるんだから残るのオレになるってだけだろそれ!!」

 

「……………」

 

「……そんなこと言われても納得できないから、実際に見せてみろってことだよ」

 

「……理解した」

 

「疲れるな…お前ら……」

 

 

まずは円堂と下鶴の対決が始まる。

 

 

「円堂!負けるんじゃねぇぞ!」

 

「何をしてくるか分からないからな!油断するなよ!」

 

「ああ!任せろ!」

 

 

木野の鳴らした笛と同時に、下鶴が駆け上がる。

しばらくドリブルをしていると、ボールを打ち上げ、回転しながらその後を追い、炎を纏って……は?

 

 

「ウソだろ!?」

 

「あれって、まさか…!?」

 

 

豪炎寺の必殺技…!

 

 

「ファイアトルネード!!」

 

「ファイアトルネード…!?くそっ…熱血パンチ!!」

 

 

突然のファイアトルネードに意識を奪われ、ゴッドハンドを出す暇も無かった。

熱血パンチで応戦するも、止めることは出来なかった。

 

 

「アイツ…ファイアトルネードが使えるのか…」

 

「僕たちのことを分析したと言ってましたが、まさか必殺技までコピーしているとは…」

 

「……オレが打つ。あんなもの見せられて、黙っていることは出来ない」

 

「半分ケンカ売られたようなものだからな。頼んだ」

 

 

豪炎寺と杉森の対決だ。

木野の鳴らした笛と同時に攻め上がり、ファイアトルネードを打つ。

 

 

「ファイアトルネード!!」

 

「データ通りだ。シュートポケット!」

 

 

杉森が展開させたバリアのようなものがファイアトルネードを防ぎ切ってしまい、ボールは杉森の手に収まった。

 

 

「これで立証された。キミたちでは、我々に勝つことなど出来やしない」

 

「……この決闘と、試合が全く同じだとでも言うのか」

 

「試合であれば、ドラゴントルネードを使えるから、シュートポケットを破れるとでも?」

 

「…………」

 

「円堂の言ってた通り、やってみなくちゃ分からないだろ」

 

「今の結果を見てもか?」

 

「ああ。オレ達は何度でも言うぞ。やってみなくちゃ分からない」

 

「…………鬼道の言う通りか」

 

「……は?」

 

「雷門はバカで、そのキャプテンの円堂守は大バカ。そしてキミ、半田真一は中バカだと」

 

「…………………………は?」

 

「立証が済んだ以上、我々の目的は完遂された。引き上げるぞ」

 

 

御影専農の2人はグラウンドを後にした。いや、それよりも……

 

 

「……中バカってなんだ中バカって!?」

 

「は、半田くん!落ち着いて!!」

 

「円堂が大バカってのはサッカー馬鹿って言いたいんだなってなるけど!オレが中バカってなんだぁ!?中途半端って言いたいのか!?」

 

「なんでオレだと納得するのは一旦置いといて、落ち着け半田!そこまでは言ってないだろ!」

 

「もうオレ達がバカって言われたことが飛んじゃうから!」

 

「鬼道の野郎!!絶対決勝まで行って問い詰めてやるから覚悟しとけよこの野郎!!!」

 

「落ち着いてええええ!!!」

 

「………何をしてるのかしら、一体」

 

 

遅れてやってきた雷門が、イナビカリ修練場のことを教えてくれた。

たしかにこのぐらいにイナビカリ修練場使い出したけど、中こんなだったけとか、ミニゲームとか試合とかしてなかったけとか思ってたけど、一度付いた火でそれどころじゃなかった。

 

 

「鬼道の前に杉森撃ち抜いてやるからな!!」

 

「お前ミッドフィルダーだろ!」

 

「鬼道もキーパーじゃないですよ!」

 

「……大丈夫かなぁ。半田くん」

 

 

その後、マネージャーが修練場の扉を開けた時、ボロボロになったオレ達を発見した。

 

 

「さ、流石に…もう…ダメ……」

 

「う、撃ち抜く前に、オレ達が死ぬ…」

 

「きゅ、救急箱持ってくるね!」

 

 

ようやく、オレの火は鎮火したらしい。




(多分)鎮火しました。
ゲームの修練場のファイターってどういう扱いなんすかね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。