イナズマイレブン〜中途半端な逆行〜   作:トライデント

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奮起するそうです。


奮起する目金

後半が始まり、しばらくは攻防が続き…はしなかった。

秋葉名戸の選手達が露骨にラインを下げていたからだ。

 

 

「あー…やっぱり、あのフォーメーションってこういうことだったのね」

 

「マックスも考えてたか。まぁ、やってることの本質は、管理されてた頃の御影専農みたいなものだよなぁ…」

 

 

フォワード5枚のフォーメーションの理由は、前半で点を奪い、後半はほぼ全員が守備に周り、その点差を守り切るってことだったんだろう。

オレ達の目の前に広がる光景は、露骨な時間稼ぎとまではいかなくとも、前試合の前半終盤の御影専農と同じようなものだった。

 

 

「僕たちが前後半ぶっ通しで全力出せるワケないだろ!!」

 

「何故ならスタミナが保たないからなのだ!!」

 

「何も言ってねぇし聞いてもねぇよ!!」

 

「威張ってんじゃねぇぞ!!」

 

 

オレと染岡がそんな声を上げながらボールを奪わんと攻めに行く。

スルーすればいいだけの話なんだが、やっぱ調子崩されるなぁ…!

 

 

「クイックドロウ!」

 

「なー!?おのれ悪の手先、おしゃれ帽子め!」

 

「誰が悪の手先だよ。半田!」

 

「あ、ああ!おしゃれぼう…マックス!」

 

「いま何言いかけた?」

 

 

ダメだ。次に戦う帝国や、恐らく本戦決勝で戦う世宇子中よりも、相手のペースに呑まれちゃいけない相手だ。別の意味で危険すぎる。

一度呑まれたら、とことん持ってかれるぞ…!

 

 

「2番線、電車が参ります」

 

「今度はこっちで…!ムーンサルト!」

 

 

上空から守備を抜き去り、この状況なら、アレで行くか…!

 

 

「3度目の正直ってやつだ!ローリングキック!!」

 

 

今までのローリングキックより、威力はかなり上がっている。

これなら、相手の動きもいくらかは変わるはずだ!

 

 

「ああああ!ギリギリ間に合った!五里霧中!」

 

「えっ、お前らいつの間に…!?」

 

 

本当にギリギリでシュートが届く前に間に合ってしまい、上空にいる間に煙を起こされ、オレが着地する頃には、ボールはゴールの後ろまで行ってしまった。

 

 

「尾刈斗じゃないんだから、不思議な力でも働いてるワケは…ん?」

 

 

なんだ?五里霧中を使ったディフェンス陣が疲れてるのはともかくとしと、ずいぶんとキーパーの息が上がってるように見えるな…

 

 

「……それに、ゴールの場所もおかしいような」

 

 

正面から見てるワケじゃないから何とも言えないけど、ゴールエリアの真ん中辺りにゴールがあるはずなのに、少し右に寄ってる気もする。

キーパーも息が上がっている。

強力なシュートが来たら煙を起こしてゴールを隠す。

ボールは毎回ゴールの後ろに行く。

そして、前回の記憶では、キーパーが毎回ポストに突っ込んでいて……

 

 

「………えっ、まさかそういうこと…?」

 

 

いや、たしかにそうなんだとしたら、合理的ではあるんだろうけど、実際どうなんだっけ?ちゃんとルール決まってたはずなんだけど。

まぁ、必殺技の1つって考えたらいいのか。そうだな。問題は無いのか。

 

 

「でも、流石に飛ばしすぎたか…」

 

 

これで3回目のローリングキックで、まだムーンサルトを混ぜたローリングに身体が慣れていない状況だ。

今すぐ次のシュートまでは、ちょっと無理だな…

 

 

「……選手交代です。半田真一から、目金欠流へ」

 

「えっ?」

 

 

珍しく、試合中に冬海の声が聞こえた。

しかもそれは、交代の合図と来た。

それを聞いたオレは、ベンチの方へと走る。

 

 

「あちらのゴールキックから始まるなら、このタイミングの交代は問題ありませんね?」

 

「ま、まぁ…そうだけど。にしても、よく分かったな。絶好のタイミングの交代だぜ」

 

「マネージャー4人の後押しもありましたし、何より目金くんのやる気がすごいのでね」

 

「はい!あんな戦い方、見過ごすワケにはいきません!」

 

「…なら、目金も気付いてるってことでいいか?」

 

「もちろんです!マルっとお見通しです!」

 

「分かった。1点もぎ取って来てくれ!」

 

 

目金はオレのポジションへと向かった。

その時の走り方もなんか、ズンズンって効果音付きそうな感じの走り方してたから、本当にやる気爆発してるんだろうな。

 

 

「んじゃ、この間にちょっとだけ休んで、いつでも出れるようにしとかないとな」

 

「はい、半田くん。お水」

 

「おっ、ありがとな大た…に……?」

 

 

大谷が水を差し出してくれて、それを受け取る。

お礼を言おうと大谷の顔を見たところ、なんか、後半始まる前と比べて、明らかに何かが増えてる。

 

 

「………ネコの耳なんて付いてたっけ?」

 

「秋ちゃんたちも、イヌとかウサギの耳とか付けてるよ。またあっちのマネージャーがこっちに来て、流れで」

 

「自由過ぎない?あと大谷も、慣れたの?」

 

「うん。慣れちゃった」

 

「慣れちゃったか…」

 

 

そんな話をしている内にも、試合は進んでいる。

 

 

「スパイラルショット!!」

 

 

サラッとマックスが新必殺技を繰り出してた。

たしかアイツ、ドリブル技を覚えたいとか言ってた気するんだけど、それどう見てもシュート技だよな?ドリブル技じゃないよな?

 

 

「未確認のシュートだ!ならやっちゃうぞ!五里霧中!!」

 

 

それを見て、もう何度目かの五里霧中を繰り出す。

 

 

「いい加減にその種、暴かせてもらいますよ!」

 

「お、おい!目金!?」

 

 

煙の中へ、目金が突撃していった。

 

 

「ちょ、ちょっとなにするんだよ!?」

 

「こちらのセリフですよ!よくもほぼ反則みたいなことしてくれましたね!」

 

 

煙が無くなると、そこには目金がディフェンス陣の邪魔をしていた。

いや、正確にはゴールを元の位置に戻そうとするのを邪魔していた、だな。

 

 

「どうりで、毎回打ったボールがゴールの後ろにあると思ったよ…」

 

「こんな選手に直接的な妨害してもいいと思っているのかね!?」

 

「ならゴールをずらしてもいいとでも思ってるんですか!?」

 

 

やっぱダメだよな。必殺技と言われたらそれまでだけど、やっぱダメだよなそりゃあ。

その流れのまま、あちらのゴールキックから再開される。

 

 

「僕たちはどんなことをしてでも、勝たなきゃいけないんだよ!」

 

「だからって手段を選ばなさすぎです!そんなことをして、自分が愛する作品達への冒涜へとなりかねませんよ!?」

 

「う、ううう……」

 

「……隙だらけだね。コイルターン!」

 

 

目金の言葉で、あちらの動きが鈍った。

その隙をついて、影野がボールを奪う。

 

 

「染岡くん!ドラゴンクラッシュを!」

 

「もちろん打つが、あれがなくてもまた同じことにならねぇか?」

 

「大丈夫です!僕に考えがあります!」

 

 

影野が染岡にパスを出し、目金も共に攻め上がる。

考えがあるって言うけど、どうするつもりなんだ?

 

 

「や、やらせてたまるか!五里霧中!」

 

「そんな卑怯な戦い方をして、これからも勝ち続けられるとでも思ってるんですか!?」

 

「これが、オタクの戦い方だ!」

 

「自分の好きなものに誇りを持ち、真っ直ぐにいられるのが真のオタクなはずです!今の僕の言葉に反論出来てない時点で、自分でも認めてるようなものじゃないんですか!?」

 

 

あっ、今のトドメになったな。

完全にディフェンス陣が崩れ落ちて、残るはキーパーだけになった。

 

 

「今です!染岡くん!」

 

「やってやらぁ!ドラゴンクラッシュ!!」

 

「こ、こうなったら僕だけでも!ゴールずらし!」

 

 

ゴールに体当たりして、ゴールごとずらしやがった…

まあ、どんな強力なシュートでも、ゴールに入らなきゃ意味ないからな…

あれ、世界大会の時に円堂が似たようなコンセプトの技使ってなかったか?これとは全然違うだろうけど。

さて、目金の考えって……

 

 

「ふっ!!!」

 

 

マジかよ。自分の顔面でシュートコース変えたぞ

たしかに、ゴールをずらされたんなら、シュートコースを調整すればいいってのは合理的なんだろうけど、メガネ大丈夫か?割れてない?

 

 

「こ、これぞ…メガネクラッ…シュ……」

 

 

言ってる場合か。気絶しちゃったし。

仕方ない。後はオレに任せて、お前は寝てな。

 

 

「冬海。もうオレは大丈夫だぞ。目金を拾いに行かなきゃいけないしな」

 

「……では、再び交代ということで」

 

 

秋葉名戸の方を見ると、目金のことを尊敬の眼差しで見てるような、そんな気がした。

オタクとか、そういうことはオレにはよく分かんないけど、自分の好きなことを貫き通すってのは、どれにおいても大事なことなんだろうな。

 

 

「………その姿勢は、オレも見習わないといけないな」

 

 

目金をおんぶしながら、そう呟いた。

 

 

 

 

 

結果を言うと、染岡のドラゴンクラッシュがド根性キャッチを吹っ飛ばし、勝利をもぎ取った。

目を覚ました目金は、秋葉名戸の面々に対して、しっかり勝ち続けることを約束したようだ。

 

 

「次は帝国か。リベンジと行こうぜ、円堂」

 

「ああ!地区予選を勝ち抜いて、全国に行かなきゃな!」

 

 

 

 

 

 

 

「………で、あなたはこれからどうするつもりですか?」

 

「……正直、もうこんなことはやってられませんよ。あっちでのサッカーより、雷門でのサッカーの方が、オレも楽しいし、何よりこれ以上アイツらを裏切れません」

 

「……そうですか。では、そのようになさい。私の方から、総帥や鬼道くんに伝えておきますよ」

 

「………お願い、します。オレからも、自分の口からアイツらに説明します」

 

「まあ、彼らなら許してくれるはずですよ。それは私が一番よく知ってますからねぇ…」

 

「……?」

 

「さっ、そろそろ戻った方がいいですよ。私も後から行きますので」

 

「あっ、はい。では…」

 

「………………」

 

 

土門くんが去ってから少しして、携帯電話にメールが届く。

 

 

「………やれやれ。潮時、ですかね」




ゲームだとスパイラルショットを覚えるのに、何故かアニメだとクロスドライブを使ってたマックスさん。
まあそんなこと言ったら、クイックドロウを使ったの代表選抜戦なんですけどね。
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