イナズマイレブン〜中途半端な逆行〜   作:トライデント

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枯れ果てた心に再び火が付く展開ってのはよ、男の子の必要栄養素の1つなんだなぁ。


先に言っておきますが、諸々オリジナル設定です。


再熱する伝説

響木さんの言った日曜日になり、オレ達は河川敷グラウンドに集まっている。

 

 

「あの伝説のイナズマイレブンと試合が出来るとはな」

 

「……でも、目の前にいる人たち、稲妻町で見たことある人ばかりでやんすね」

 

「そりゃあ、雷門のOBなんだからそうだろうよ。まさか、生徒指導の菅田もそうだったとは思わなかったがよ」

 

「スポーツショップで見かける人もいますよ!」

 

「美容院の店主さんもいる……最近行ってないけど……」

 

「えっ、なんでだ?」

 

「サッカー部に入ったと知られて、丸刈りしようとしてくるんだよ……」

 

「丸坊主の影野ってなんだよ。そりゃオレ達はなかなか…」

 

「だからオレは常連なんだぜ」

 

「そういや染岡の髪ピッタリだったわ」

 

 

そんなことを言いながら、目の前にいる人たちを見据える。

後から来るらしい響木さんを除いても、商店街や雷門中で見たことある人ばかりだった。

 

 

「お嬢様。申し訳ありませんが、本日は休暇を頂きます」

 

「えっ?」

 

 

いつも雷門の側にいた執事さんも、過去のイナズマイレブンの一員だからなぁ…。

……まさかとは思うけど、いつも執事服の下、ユニフォームってワケはないよな?流石にないよな?

 

 

「バトラーさんも、イナズマイレブンだったんだ…」

 

「見たことあるどころか、ずっと近くにいましたね…」

 

「……なぁ、円堂。やっぱりおかしいと思わないか」

 

「ん?なにがだよ、半田」

 

「昨日、浮島さんが"俺達はサッカーを諦めた負け犬だ"って言ってただろ」

 

「は?なんだよ、そんなこと言ってたのかよ」

 

「……たしかに言ってた。でも響木さんは帰って来たし、会田さんもKFCを指導してるじゃないか」

 

「ああ。それに、おかしいと思わないか?本当にサッカーを、イナズマイレブンを捨てた人たちの集まりが目の前にいる人たちだとしたら、稲妻町で見たことある人ばかりだということがさ」

 

「…………えっ?どういうことだよ半田」

 

「……あー、あのさ、円堂。もしもだぞ、もしも。仮にお前が、雷門中サッカー部を辞めて、サッカーすらも辞めるってなって、雷門中サッカー部のユニフォーム…制服でもいいな。それらを町で見かけると、どう思う?」

 

「いや、オレはサッカーを辞めるつもりは全くないけど、例え話ってことだよな?うーん………サッカーを辞めるってことに、例え話でも実感は出来ないからしっかりしたことは言えないけど、仮にその状況になったとしたら…うーーん………うーーーーーーん………」

 

「………いや。やっぱりそんな深く考えないでいいよ。お前がサッカーを辞めるところなんて、想像も付かないからな。そのままでいてくれ」

 

「えっ?」

 

「あー……あれだろ?気まずいって言うか、稲妻町を離れるんじゃないかってことだろ?」

 

「…………ああ。たしかに、あの人たちを最後に、雷門中サッカー部は止まってしまったようだけどさ。部室は残ってたし、修練場も残ってたんだ。部室はともかく、修練場なんてなかなか取り壊せるものじゃない。どういう形にせよ、イナズマイレブンの伝説が残るってことは、あの人たちが一番理解してるはずなんだよ。にも関わらず、稲妻町に残り続けた」

 

「…………たしかに。言われて考えてみると、私もその立場だったら、引っ越しちゃうかも」

 

 

浮島さん。たしかに貴方は、サッカーを辞めた。

でも、捨てるまでは行ってないはずなんだよ。

今日のこの練習試合で、それを思い出して……。

 

 

「待たせたな。早速だが、試合を始めるぞ」

 

「へっ、このために休暇届を出して来たんだ。審判は俺が引き受けさせてもらう」

 

「鬼瓦さん……刑事さんがサッカーの審判してるよ……」

 

「しかもよく見たら、橋の上に理事長もいるぞ…」

 

「パ…理事長も、イナズマイレブンの大ファンだったようなのよ…」

 

 

………いや。違う。

何十年も経っても、貴方達のファンがまだいるってことは、この町にいる限り、感じてたはずなんだ。

ということは、忘れてたんじゃない。

見えてるものを、見えていないフリをし続けているだけなんだ。

そのことを、自覚してもらう…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな!今日は胸を借りるつもりで行くぞ!」

 

『おお!!』

 

 

今回は、目金と影野が控えにいる。

影野が言うには、イナズマイレブンのプレイをしっかり見るなら、フィールドよりもベンチにいた方がいいとのことだ。

たしかに、フィールドよりもベンチの方が、落ち着いてフィールドを見渡せるからな。

それを踏まえて、いつものツートップに、オレとマックスに宍戸と少林のオフェンス。ディフェンスは風丸と壁山と土門に栗松。もちろんキーパーは円堂のフォーメーションだ。

雷門OBのキックオフから、試合が始まる。

 

 

「………何十年ぶりだと思ってるんだ。そんなすぐに、まともな試合が出来るはずが…」

 

「そら行くぞ!坊主共!!オレ達のサッカー、しっかりと目に焼き付けろ!!」

 

「……えっ?」

 

 

その掛け声と同時に、備流田さんと民山さんが攻め上がってくる。

 

 

「ここは抜かせませんよ!」

 

「勢いはいいが、まだまだだな!ヒートタックル!!」

 

「うわっ!?」

 

 

ボールを奪おうと立ちはだかった少林を、備流田さんはドリブル技のヒートタックルで抜かす。

炎の勢いが弱かった気はしたが、オレ達を抜かす分には足りるってワケか…。

 

 

「まずは俺から行くぞ!」

 

「そんな位置から…なっ!?」

 

 

そのまま備流田さんはボールと共に上空へ。

何かシュートを打とうとしているのは分かったが、まだディフェンスも抜かしてない位置から打ってくるとは…。

しかも、あの動きは…!

 

 

「元雷門中ストライカーのシュート、受けてみな!ファイアトルネード!!」

 

「ファイアトルネード…!?」

 

 

豪炎寺の代名詞と言えるファイアトルネードを、備流田さんは使って来た。

ヒートタックル同様、炎の勢いが豪炎寺のものより弱いようだが、御影の下鶴のコピーされたものよりは上に見える。

 

 

「ザ・ウォー…うわぁ!?」

 

「くっ…!スピニングカット!」

 

 

壁山がザ・ウォールを使おうも間に合わなかったが、風丸のスピニングカットは間に合った。ただそれも、容易く突破されてしまう。

 

 

「ゴッドハンド!!」

 

 

だが、その僅かな時間でゴッドハンドの溜めが間に合い、なんとかファイアトルネードを止めることが出来た。

 

 

「話には聞いちゃいたが、本当にゴッドハンドとはな…!」

 

 

止められたことより、円堂がゴッドハンドを使っていることを嬉しく思ってるような顔をしている備流田さん。

当たり前なんだろうけど、あの人にとっても大介さんは忘れられない存在なんだろうな。

 

 

「ビルダー…?」

 

「…………」

 

 

備流田さんの一連の動きに、動揺している浮島さん。

全盛期よりは劣っているんだろうけど、一応現役のオレ達を突破して、シュートまで持っていったんだ。

元イナズマイレブンの名は伊達じゃない。

 

 

「いけ!半田!!」

 

「それは、貴方も同じなはずだ!ジグザグスパーク!!」

 

「ぐっ…!?その技は…!」

 

 

円堂からボールを受け取ったオレは、ジグザグスパークで浮島さんを突破する。

 

 

「どうした浮島!お前ならその技を止めることが出来たはずだ!」

 

「……言ったはずだ。俺はもう、サッカーを捨てて……」

 

「そんなはずはあるか!本当に捨てているなら、今日!この場所に!そのユニフォームを着て、フィールドに立っているはずがない!!」

 

「……ッ!」

 

「ビルダーだけじゃない!他のみんなも、まだ燃え尽きてはおらん!もちろん、俺もだ!!」

 

「ローリングキック!!」

 

 

浮島さんを突破したオレは、そのままローリングキックへ移る。

ようやく、ムーンサルトとローリングキックの合わせ技が効率よく行えるようになり、威力も上がったんだ。

ただ、響木さんが使ってくるのは…。

 

 

「よく見ておけ、円堂!雷門中サッカー部!そして浮島!!これが元祖の、ゴッドハンドだ!!」

 

 

響木さんのゴッドハンドは、オレのローリングキックを容易に止めてみせた。

円堂も後ろで言っているが、やっぱり元祖はすごいな…!

 

 

「浮島!何故お前が今日ここにいるのか、本当は分かっているんだろう!お前も稲妻町に居続けたのなら、この1年以上見ていたはずだ!目の前の子供達の姿を!!」

 

「……ッ!」

 

「彼らは俺達に憧れて、帝国学園を打ち倒し、ここにいる!それまでの姿を、お前は!俺達は!この稲妻町で見続けて来た!今日までに逃げようと思えば逃げれたものを、お前はそうせずに、フィールドに立っている!その理由、答えを見せてみろ!浮島ァ!!」

 

 

響木さんは浮島さんにボールを渡す。

立ち尽くしている浮島さんに、オレは立ちはだかる。

 

 

「動かないのなら、そのボールはもらいますよ!サイクロ…」

 

「………その技は、キミだけのものじゃない。そして、これもだ!ジグザグスパーク!!」

 

「ぐっ…!?」

 

 

立ち尽くしていた浮島さんは、オレがサイクロンを使う前に、ジグザグスパークで突破する。

そう。オレが使っているジグザグスパークやサイクロンは、貴方も使っていた技なんだ。

だからさっき、オレがジグザグスパークを使った時、驚いた顔をしたんだ。

 

 

「そうだ!俺達が使っていた技は、子供達にも受け継がれている!ならばその先達として、プライドを見せずにはいられないだろう!何故なら、俺達は…!」

 

「………ああ……!伝説の、イナズマイレブンだ……!!」

 

 

その長い髪に隠されて、瞳は見えないが、見えずとも感じる。

再びイナズマが走った浮島さんの瞳には、炎が宿ったんだ…!!

 

 

「ビルダー!!久しぶりに、アレをやるぞ!!」

 

「へっ、ようやくやる気になったか!!急に走り出して、乱れんじゃねぇぞ浮島!!」

 

「そんな無様な姿、子供達に見せられるか!!」

 

 

浮島さんと備流田さんが向かい合い、ボールを打ち上げる。

それを追い、2人は飛び上がる。

 

 

『炎の風見鶏!!』

 

 

備流田さんと浮島さんの同時シュートは、ボールに炎の翼が宿り、ゴールへと突き進む。

そのシュートの勢いは、風丸や壁山のブロックを許さない。

 

 

「ゴッドハンド!!ぐ、ぐうううう……うわあ!?」

 

 

円堂のゴッドハンドを打ち破り、ゴールへと突き刺さる。

全盛期とはいかず、しかもブランクもあったはずなのに、帝国の皇帝ペンギン2号と同等、あるいはそれ以上の威力を持った炎の風見鶏。

これが全盛期だったとしたら…いや、全盛期でなくとも、これ程のシュートを打てるなんて…!

 

 

「どうだ浮島!久しぶりの俺達のコンビネーションは!」

 

「………本当に、ダメだ。年甲斐もなく、胸の熱さが止まらんよ…!」

 

「ガハハ!そうかよ!!まだまだ若いもんには負けねぇな!!」

 

 

完全に、過去の情熱を取り戻した浮島さん。

それに触発されて、他のOBも顔付きが変わった。

姿は今のままでも、闘志と情熱は、全盛期のものとなったようだ。

 

 

「……へっ。最初、あんなこと言ってたと聞いた時はガッカリしたが、なんだよ。とんでもねぇのが出てきたじゃねぇか…!」

 

「いまの炎の風見鶏…オレ達も使うことが出来るなら、全国大会でも戦っていけるだろうが……」

 

「そんなことよりも目の前、だろ?豪炎寺」

 

「…………フッ。オレも、影響されたようだ。熱さが込み上げてくる…!」

 

「僕も。ガラじゃないんだけどね」

 

「やっぱり、元祖イナズマイレブンはすごい…!爺ちゃんの言った通りだ!!みんな!まだまだ試合は始まったばかりだ!!この試合、最後まで全力で楽しむぞ!!」

 

『おお!!』

 

「子供達だけに楽しまれるワケにはいかんな!久しぶりの俺達のサッカーなんだ!分かってるだろ、お前ら!!」

 

『応ッ!!』

 

 

円堂の言う通り、この試合は始まったばかり。

最後の最後まで、存分に楽しむぞ…!!

 

 

「……円堂くんだけじゃない。OBの皆さんも。全員この試合を、心から楽しんでる」

 

「いい笑顔でいっぱいです!これは元新聞部の腕が鳴りますよ!」

 

「あら、新旧イナズマイレブンの記事かしら。まだ新にはなれてないって、彼らは言うでしょうけど。その記事を書くことについては、私も勧めるわ」

 

「………みんな、ズルい。オレも、あの人たちとサッカーしたい」

 

「あれ、ベンチからOBのサッカーを見るって言ってたんじゃ…?」

 

「………ベンチで、サッカーは、出来ない…!!」

 

「ぼ、僕に掴み掛からないでくださいよぉ!?後半に交代すればいいじゃないですか!お、大谷さん!助けてください!!」

 

「私に言われても……がんばって」

 

「後半…後半まで……じっくり見る………!」

 

「わ、分かりました!分かりましたから!離してくださいよぉ!!」

 

「……いいなぁ。これが、楽しむサッカー…か」




OBとの試合についてはここまでですね。
いや、本当はもっと書けるんですけど、めちゃくちゃ長くなりそうなんでカットです。カット。スピニングカット。
後書きではあるんですけど、この先OBがめちゃくちゃハッスルするので、はじめての帝国戦みたいな必殺技の応酬となってます。アンタ達歳考えろ歳。
その辺りは、次の話でも触れますが、試合はここで終わりです。
いや、本当はもっと書きたいんですけど、泣く泣くカットです。カット。ボルケイノカット。


一応ですが、浮島以外最初からやる気あったのは、1年の頃から河川敷で練習し続けたのを会田から発信されて見続けてたからというオリジナル展開です。
もちろん浮島も見てたけど、見てないフリしてました。
それと半田や響木の「稲妻町に残り続けた〜」ら辺は作者の独自解釈です。
割りと合ってるとは思うんですけど、独自解釈です。
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