先に自首しときます。一瞬予約投稿ミスったので仕切り直してます。
もしその時に読んでた人がいましたら、どういう状況になってるか分かりませんが、すみません。
千羽山との戦いが終わったその日の内、オレは豪炎寺に呼び出され、ある場所へと連れられている。
「どこへ連れて行くつもりだ?」
「今日も、アイツはいると思ってな」
進んでいる方を見てみれば、稲妻町のシンボルである鉄塔があった。
たしか、あそこには広場があったと聞くが、誰がいると言うんだ?
「ずああああああ!!!」
「円堂……?」
「やっぱり、ここにいたか」
階段を登り切り、広場へと辿り着く。
そこにいたのは、タイヤを背負いながら別のタイヤを受ける円堂だった。
「ふう…。ん?豪炎寺に鬼道、どうしてここに?」
「お前なら、今日もここにいると思ってな」
「いつもこんな無茶な特訓をしているのか?」
「もう慣れたけどな」
「慣れていいのか……?」
タイヤを背負いながら走るとかなり、タイヤと自分の腰を縄で括り付けて、ひたすらそれを引き摺るとかなら、聞いたことはある。
ただ、勢いをつけたタイヤに立ち向かうというのは、流石に聞いたことはない。
豪炎寺も慣れたような反応だが、身体を壊したりはしないのか……?
「タイヤはオレの原点でさ。流石に小学生の頃にはやらなかったけど、中学に入ってからはずっとやってんだ。染岡と半田の2人にも、驚かれたぜ」
「そりゃあ、驚くだろう…。しかし、そうか。これが、円堂守の原点、なのか……」
「けど驚いたよなー。まさかお前が来るなんて、夢にも思わなかったよ」
「悪かったな、驚かせて」
「けど、嬉しかったぜ。お前と一緒にサッカーが出来たら、楽しいだろうなって思ってたんだ。あの時、初めてシュートを受けた日からさ」
………オレは、あの人からサッカーを教わった日から、勝つ為だけのサッカーを続けてきた。
天才ゲームメイカーと呼ばれようと、それだけでは勝てない。
勝つ為に、味方はもちろん、相手の動きやクセなど、考え続けながらやってきた。
それは、これからも必要なことなのだろう。
「………だが、サッカーはそれだけじゃない。もっと別のサッカーがあると気付いたのは、その時からなのかもしれない」
「別の、サッカー…?」
目の前にいる円堂は、あの土壇場でゴッドハンドを開花させ、デスゾーンを防いだ。
それ以外にも、御影専農の時のイナズマ1号や、地区予選決勝のイナズマ1号落とし。どれも雷門に重要な1点をもたらした。
ここにはいないが、アイツも数々の必殺技を開花させ、勝利に導いたことが多かった。
自分の必殺技に足りないものを自分で見つけ、特訓でそれを身につけ、実践で結果をもたらしたというのは、簡単に言うものの中々出来ないものだろう。
とくに、響木監督も言っていたが、雷門メンバーの中で1位2位を争う程の執念を持っていた。
ああいう選手は、オレも好ましく思う。
「それが何なのかは、今は分からない。だが、今日お前達とのサッカーで思った。ここなら、それが見つかるかもしれないと。再び豪炎寺にボールを蹴らせた、お前なら」
「へへっ、そうか。改めてよろしくな。鬼道」
「ああ、こっちこそだ」
「だがな、鬼道。オレがまたサッカーを始めた理由は、円堂だけじゃない」
「なに……?そうなのか?」
「あの時、円堂の執念も感じた。ただもう1人いただろう?諦めてたまるかと、叫んだ男が」
「…………ああ、そうだな」
たしかに、アイツは円堂より早く、必殺技を開花させ、源田にシュートを打ち込んでいた。
相手側からだったが、アイツの気迫はオレも感じた。
諦めてたまるかと、そう叫んだアイツは、ジグザグスパークとローリングキックで攻め込んだんだ。
そう、アイツが……。
「半田さあああああああん!!さっき明日って言ったじゃないっすかあああああ!!」
「いや逃げてるのお前だからな!!でも確かにここまで来たら今日でいいな!明日なんか待ってられないってことだな!宍戸!!」
「ぎゃああああああ!!やぶへびいいいい!!」
「………………」
「………………」
「あれ、この声って宍戸と半田じゃないか?下から聞こえるから、こっち来そうだな」
………………本当に、何をやっているんだアイツは……。
「観念します!観念しますからアフロを雁字搦めにしないでください!!」
「よーし、じゃあ捕まえたし河川敷に…。あれ、円堂に豪炎寺に鬼道?なんでここに?」
「それはこっちの台詞だ…。声がここまで聞こえたぞ」
「あー、悪い。うるさかったか」
「そこまでの大きさじゃないし、オレ達以外に人はいない。そこまで気にする必要はないだろう」
階段を登り切った鉄塔下の広場の入り口で宍戸を捕まえたと思ったら、円堂達3人組がいた。
近くにタイヤあるし、円堂が1人特訓してたとこに2人が来たってところかな。
「じゃ、オレ達はこれから河川敷行くから。円堂もあんま無理すんなよー」
「待て、半田」
「ん、何だよ鬼道」
「これから宍戸を鍛えるつもりか?」
「ああ、そのつもり。次にスタメン入れるよう、バッキボキにしてやろうと思って」
「ビシバシとかじゃないんですかあ!?」
「…………ふむ」
なんか今、鬼道のゴーグルが光った。
オレが言うのもアレだけど、変なスイッチ入ってたりしてないよな?
「元はと言えば、オレが入ったことでこうなったんだ。宍戸を鍛えるなら、オレにもその義務はある」
「えっ、マジ?鬼道も手伝ってくれんの?」
「手伝うどころか、オレが全てやってもいい」
「いや、オレが言い出しっぺだから、オレもやるけど」
「そうか。じゃあ合同だ」
「おっけー」
「オレの意思とかは反映されないんですか!?」
「まあ、さっき観念するって言ってたからな。オレも聞こえたぞ」
「豪炎寺さん!?」
「おお、特訓か!じゃあオレも付き合うぜ!何するかは知らないけど、シュート受けるならキーパーが必要だろ?」
「キャプテン!?」
「あっ、丁度いいや。何やるか方針定まってなかったけど、シュートの千本ノックだな」
「奇遇だな半田。オレもそう思っていた」
「そう言うことなら、オレも手伝おう」
「よーし、じゃあ宍戸。ボッキボキの時間だぞー」
「ひ、ひいいいいいい!!!」
その後、河川敷へとオレ達は移動した。
ビックリしたのが、どこから嗅ぎつけたのか知らないけど、染岡も乱入して来たんだよ。
宍戸鍛えるならオレも呼べって。まあ、確かに染岡って宍戸のこと結構気にかけてるしな。
既に夕方になってたはずなのに、何故か全く夜にならなかったことを良いことに、宍戸への鬼特訓は体感時間で半日ぐらい続いた。
「時間見てみたら2時間ぐらいなのに、不思議だよな」
「なっ。夢中だと時間があっという間に過ぎるってのはよく聞くけど、逆パターンもあるんだな」
「何もしていないと時間が遅く感じると言うのは、よくあるんだがな」
「鬼道からそんなの出るとは思わなかったな」
「だがその分、オレもいい特訓が出来た。新しくドリブル技が編み出せそうだ」
「おっ、豪炎寺のドリブル技か。お前ってシュート以外にもクイックドロウでディフェンスも出来るから、ストライカーってよりオールラウンダーになりつつあるな。オレ達のポジション奪うなよ?」
「ふっ。生憎だが、オレのポジションはフォワードだ」
「ああ。オレ達のツートップだ」
宍戸がぶっ倒れてる中、オレ達はそんな会話をしている。
ただぶっ倒れるまで特訓した甲斐があって、新しく必殺技を叩き込ませることが出来た。
あとは宍戸の地盤次第だけど、昨日までの宍戸とはダンチなのは間違いない。
ミッドフィルダーは魔境になりやすいからな。オレも負けてられない。
「スピニングシュート!!」
「ゴッドハンド!!」
宍戸の猛特訓から一夜が明けて、オレ達は雷門中のグラウンドで練習をしていた。
染岡のドラゴンクラッシュを円堂が熱血パンチで弾いて、そのボールはフィールドの外へ向かったんだけど、そのボールを拾ったのは、まさかの一ノ瀬だった。
木野と土門の2人がいないとは思ってたけど、病院で会うんじゃなくてこっちに来るとはな…。
「オレの負けだよ」
「お前のシュートもすごかったぜ!」
「キミの必殺技もすごかったよ!アメリカの仲間にも見せたいよ」
「アメリカ…?お前、アメリカでサッカーしてるのか?」
「うん。この前、ジュニアチームの代表候補に選ばれたんだ」
「聞いたことがある。将来アメリカ代表入り確実だろうと噂されている、天才日本人プレイヤーがいると」
「へえー!すごいじゃないか!!」
たしかに、後に開催されるFFIではアメリカ代表に選ばれている。
仮にアメリカ代表じゃなくても、日本代表にも選ばれそうな気はするけどな。
「どうして日本に来たの?」
「会いたい友達が、ここにいるんだ」
「何してるの?みんな」
「なんか凄い集まってるけど、誰か来てるのか?」
で、その会いたい友達だろう木野と土門が帰って来た。
「あっ、秋ちゃんと土門くん」
「2人もこっち来いよ!今凄いサッカーが上手い奴が来ててさ!」
「アキ!!」
「えっ」
………おおう。大胆だな。
多分アメリカ仕込みのスキンシップなんだろうけど、こんな大勢の前で抱きつくかね。
『ええええええええ!?』
「お、お前何を!って、お前……!?」
「久しぶり、2人とも」
「一ノ瀬………くん……?」
「うん。オレだよ」
一ノ瀬一哉。
死んだと思われていた男が、帰って来たんだ。
「そう言えば、みんなに名前を言ってなかったね。一ノ瀬一哉。アキ達とは幼馴染なんだ」
「お前が一ノ瀬だったのか!木野と土門から話は聞いてたよ!生きてたんだな!オレは円堂守!よろしくな!」
「うん、よろしく!ちょっと事情があって、黙ってもらってたけど、この通り」
「……まあ、どんな事情か話せるなら、木野と土門には話すんだろうけど。オレは半田真一、よろしくな」
「よろしく、半田!そうだね。会いに来ただけじゃなくて、2人に話すつもりで来たんだ」
「じゃあ、話してこいよ。それが済んだら、一緒に練習しようぜ」
「うん!やろう!………あの、それよりさ」
「ん?どうしたよ」
「………いや、さっきから気になってたんだけど…。そこで倒れてる彼、大丈夫?」
「ああ、宍戸のこと?いや、昨日バッキボキの鬼特訓したから、今日は休めって言ったんだけどさ。なんか休んだらまた追いかけられそうとかワケ分かんないこと言うから、止めなかったんだよ。そんなことしないって言ったんだけどな」
「…………そうなんだね!」
「おい一ノ瀬。諦めるな」
それから一ノ瀬は2人と話した後、オレ達の練習に混ざった。
円堂と仲良くなった記念って言って必殺技の練習までして、しかも身につけてたな。
木野が自分も混ざるって言い出した時は心配だったけど、なんとか成功して良かった。
まあ、後輩たちが盾になってたり、オレ達もしっかり何かあった時の為に用意してたけどさ。
「あの飛行機かなあ」
「うん、多分ね」
「嵐のようなやつだったな」
「でも、楽しそうにしてて、よかったね」
「一ノ瀬!また一緒にサッカーやろうぜ!!」
「うん!やろう!!」
「えっ?」
アメリカに帰るって言って、雷門中を去っていた一ノ瀬だったけど、何故か背後から声が聞こえて振り返ると、当の本人がそこにいた。
「あんなに胸がワクワクしたのは初めてだったんだ。帰るに帰れなくて、もう少しここにいたいんだ」
そう言って、一ノ瀬は帰りのチケットを破り捨てた。
アメリカに帰らず、日本に残るという表明だ。
「1つのことに熱く燃えるみんなと、円堂達とサッカーがしたいんだ!」
「雷門に来てくれるのか!?」
「うん!よろしく頼むよ!」
「こちらこそ、よろしく!!」
円堂と一ノ瀬が握手しているところに、みんなが手を重ねる。
アメリカに帰るって聞いた時は驚いたけど、今回も一ノ瀬は、雷門中サッカー部の一員になったんだ。
ただ、気になることが1つだけある。
「トライペガサス……か」
「ん?どうしたの、半田」
「ああ、いや。後から思い返しても、凄いシュートだったなって思ってさ」
「そりゃあ、オレ達が編み出した連携シュートだからな。そんじょそこらのシュートとは、比べ物にならねえって」
「………ああ。本当に、凄かったよ」
なんで、ザ・フェニックスじゃないんだろうな。
たしかにトライペガサスは、後に木戸川清州の西垣が使ってたから、同じ幼馴染の一ノ瀬が使うのは不思議じゃない。
でも前回で一ノ瀬達が使ってたのは、ザ・フェニックスの方だった。
前回との微妙な差は、今に始まった事じゃないんだけど、妙に気になるな……。
「………………」
「………ん、なんだ?大谷。オレの顔ジッと見て」
「あっ…ううん。何でもないよ」
「そう?」
「………うん」
まあ、それよりは準決勝の方だな。
丁度いま、音無から試合結果の報告が伝えられて、オレ達の対戦相手が決まった。
前に豪炎寺が所属していた強豪校、木戸川清修。
これに勝てなきゃ、世宇子と戦うことすら出来ない。
絶対に勝って、日本一をつかみ取ろう。
また、半田くんは難しい顔をしていた。
私がジッと見ている事に気付くと、いつもの半田くんに戻った。
今に始まった事じゃないけど、1人だけ悩みを抱えていて、それを隠してるようにしか思えなくて…。
「…………こういう時、どうすればいいんだろう」
あまり踏み込むのは良くないって思ったりもするけど、1人で抱えたままってのも、良くないと思う。
半田くんから話してくれるのが一番いいんだけど、そうなると、多分私じゃなくて、円堂くんや染岡くんへ行くと思う。
…………それが一番良いってのは、分かってる。長い付き合いだし、男の子同士だもん。
でも、分かってても……思っちゃうんだ。
円堂くん達だけじゃなくて、私も頼って欲しいって、そう思っちゃう。
これって、ワガママなのかな……?
ふと思ったんすけど、一ノ瀬と土門とついでに西垣って苗字呼びなんすよね。
あっちだと名前呼びが基本だと思ったんすけど、仲悪いワケでもないのに、なんならめちゃくちゃ仲良いのに、なんか中途半端に日本人の血でも残ったんすかね。
日本人でも仲良ければ名前呼びするけど、よくよく考えてみればイナイレで名前呼びの男子って守呼びしたヒロトだけだったっす。
はい、中身の無い後書きでした。