それとまさかの1ヶ月遅れるという事態となり、本当にすみません。
スランプ6割ゲーム4割という形であります。はい。スランプだけじゃなくてゲームやってました。自首します。
あれから数日が経ち、準決勝の日を迎えた。
前の試合の時のように、オレ達は更衣室で準備を進めている。
「あの三兄弟、大人しくなったのかね」
「どうだろうな。プレイは変わらないだろうが、普段の態度がどうなるかまでは」
「いや、この前駄菓子屋のおばちゃんに聞いたんだけど、なんか菓子折り持って改めて謝りに来たみたいだぞ」
「そうなのか!?」
「しかもなんかしっかりしたやつみたいで、3人で金出し合ったらしい。当分お茶請けには困らないって言ってたな」
「しっかりケジメを付けてやがったか……」
悪いヤツじゃないってのは知ってたから驚きはしないが、謝罪を形にして来たか。
オレも働くようになってから身に染みてるんだけど、誠意を示すってのは大切なことだからな。
「みなさん。以前に映像を見たり、この前に話を聞いたりとで分かってると思いますけど、木戸川清修は前の対戦相手の千羽山とは真逆の、攻撃的なチームです」
「三兄弟がスリートップだからな。それに、かと言ってディフェンス面に欠陥あったりとかは無いんだろ?」
「はい。シュートはもちろんのこと、ドリブルにディフェンスと、強力な連携技を隠し持っています」
「点を奪うこと自体は、そこまで難しくはないはずだ。流石にキーパーは千羽山には劣る。ただ、シュートまで持っていくことは厳しくなるだろうな」
「うん。オレの記憶の話だけど、西垣は昔からディフェンスが上手かったから、そう簡単には抜かすことが出来ないと思う」
「ああ。オレからも言える。アイツのディフェンスは相当だぜ」
鬼道と一ノ瀬、土門の補足が入り、木戸川清修の戦略分析を進める。
たしかに、ブーストグライダーやハリケーンアローとか、下手したら世界でも通用するような技持ってたからな。
ただ、それらは強力な分連携技なものだから、それを上手く引き出せれば隙も生まれるし、ガス欠も早くなる。
体力だって、無尽蔵ってワケじゃないからな。
「よし、フィールドに行くか。みんな準備できたよな?」
「ん?ああ、まあ…」
「どうした半田。歯切れが悪いぞ」
「いやな、鬼道。アイツらのことだから、出た瞬間因縁付けてきたりとかしそうと思って」
「………否定は出来ないな」
「その時はその時だろ。ほら行くぞ、半田」
「………ああ」
まあ、オレの心配は杞憂だったようで、出てすぐに因縁付けられたりはしなかった。
ただその分、フィールドに出てから、木戸川清修側のベンチから視線はチラチラと感じたけどな。
これぐらいなら特に気にしないから、いいけどさ。
「さて…。今回のスタメンだが」
「……………」
1人。緊張した顔をして、響木さんを見る男がいる。
あれから猛練習を積んだみたいだけど、どうなるか…。
「フォワードは豪炎寺と染岡。ミッドフィルダーは、半田と鬼道に一ノ瀬。そして、宍戸だ」
「……………え?」
「おい、宍戸。そんな情け無い声なんか出してんじゃねえよ。呼ばれたんだから返事しろ返事」
「えっ、あ……。は、はい!!!」
「あーあ。スタメン取られちゃったや。まっ、その分暴れてきなよ」
「うんうん!点取ってくるぐらいにね!」
「マ、マックスさん……少林………!!」
………よかったな、宍戸。
オレ達が特訓をさせたとはいえ、そこからはお前自身が頑張ったから、今回の結果に繋がったんだ。
「ディフェンスはいつもの4人だ。風丸、壁山、土門、影野。キーパーは言わずもがな。さあ、行ってこい」
「ここで勝てば決勝戦だ。みんな!絶対に勝つぞ!!」
『おお!!』
その勢いのまま、オレ達はポジションに着いた。
いつものフォーメーションのオレ達に対して、木戸川清修はフォワードとミッドフィルダーが3人、ディフェンスが4人のフォーメーションだ。
攻撃的ではあるんだが、攻守に隙が少ないな…。
それに、三兄弟のシュートの威力を把握出来てないのも不安材料だな。
トライアングルZはもちろんだけど、バックトルネードもなかなかな威力だったはずだ。
今の円堂で、どれだけ歯向かえるか……。
『さあ!いよいよフットボールフロンティア全国大会準決勝!雷門中学対木戸川清修の試合が始まります!!』
「……やってみなきゃ分からない、よな」
「……ああ。データはあるが、実際にやってみなければどうにもならん。半田、お前も攻められるなら積極的に頼むぞ」
「分かってる。点の取り合いになりそうだな」
そう鬼道と話してる間に、試合開始の笛が鳴った。
この試合は木戸川清修からのキックオフで始まり、三兄弟が攻め上がってくる。
「………今日こうして、試合をすることが出来ることに対しては、感謝してる」
「でも、だからってオレ達がやることは変わらない!」
「豪炎寺に見せつけるんだ!オレ達の強さを!!」
「宍戸!一ノ瀬!止めるぞ!」
『邪魔するなああああ!!』
『うわっ!?』
そう言って、三兄弟はオレ達を突破する。
コイツら、執念からか圧がすごいな……!
「そこで見ていろ豪炎寺!これがオレ達の、ファイアトルネードに対抗する為に作り上げた、必殺技だ!!」
そう言って、長男の勝がボールと共に飛び上がる。
その動きは、豪炎寺のファイアトルネードと酷似していた。
「あれはファイアトルネード!?」
「いや違う!回転が逆で、炎も青い!!」
「喰らえ!バックトルネード!!」
青い炎を纏ったボールがゴールに向かって突き進む。
「くっ…!爆裂パンチ!!」
ゴッドハンドを出す余裕がなく、爆裂パンチで応戦する円堂。
だが、何度パンチを打ち込んでも、威力が削られるようには見えなかった。
「ぐっ……うう……!うわあ!?」
「よっしゃああああ!!」
『ゴォォォオオル!!木戸川清修の武方勝!試合開始早々に1点を叩き込んだぁ!!』
あっという間に先制点を取られてしまった。
バックトルネードの威力でこれなら、トライアングルZなんていったいどうなるんだ……?
「すまない、円堂。カバーに入れなかった」
「キャプテン……」
「お前達が悪いなんて言うかよ。別にわざとこっちにシュート打ってオウンゴール狙ったとかじゃないだろ?止められなかったオレの責任だ!」
「…………」
円堂がそう言うってのは、分かってる。
だけど、バックトルネードはまだしも、トライアングルZを止められるかという疑念は残ったままだ。
両手のゴッドハンドでも、止められるかどうか……。
「……まずは1点取って、並ぶ。そこからだ」
「どうする、豪炎寺。お前が一番警戒されるだろうし、どう攻める」
「点を取るのは、フォワードだけじゃない。新しく身に付けたシュートが、たくさんあるだろう」
「……そうだな」
オレもそうだが、宍戸も特訓の末に身に付けたんだ。
通用するかまでは分からないけど、攻めるしかない。
そう考えてるうちに、試合は再開される。
豪炎寺が後ろに蹴ったボールは、鬼道へと渡る。
「ミッドフィルダーも上がれ!点を取り返す!!」
「フォワード、とくに豪炎寺は警戒しろ!!一応ミッドフィルダーもな!!」
鬼道の支持が飛び交う中、三兄弟の勝の声も上がる。
やっぱり、豪炎寺が特に警戒されてるみたいだ。
「と、なると……。土門!!」
「おっ?声が掛かるってことは……。よし。円堂!行こうぜ!!」
「ああ!」
「土門と雷門のキャプテンが前線に…?いったい何を……」
オレが土門に声を掛けると、意図を察した土門と円堂が前線に飛び出す。
それを見た西垣が怪しんでいるが、何をするかまでは分かっていないようだ。
「半田!」
「させるか!!」
「通させてもらう!ムーンサルト!!」
「なにっ!?それはオレ達の…!?」
鬼道からボールを渡されたオレは、ムーンサルトで木戸川のディフェンス、女川を突破する。
そういえば、これは元々お前達の試合映像を見て身に付けたんだったな。
そういう意味じゃ、お前達に感謝しないといけないか。
「決めろ!一ノ瀬!!」
「うん!行こう!土門!円堂!!」
『ああ!!』
「あの2人に加えて、一ノ瀬まで!?ま、まさか……!?」
西垣が察した様だが、もう遅い。
ボールを受け取った一ノ瀬を中心に、土門と円堂の3人がクロスし、その跡のトライアングルからエネルギーが巻き起こる。
そのエネルギーは青いペガサスとなり、3人はそれに向かって飛び上がる。
『トライペガサス!!』
3人が踏み付けたボールはペガサスと共にゴールへと突き進む。
あまりのスピードに相手のキーパー、軟山は反応できず、ゴールを許してしまった。
『ゴォォォオオル!!一ノ瀬と土門、そして円堂の3人の強烈な連携シュートがゴールへと突き刺さり、雷門!すぐさま同点へと追い付いた!!』
「決まったな!2人とも!!」
「ああ!」
「早いうちに同点に追いつけたのはデカいな」
「このままもう1点と行きたいね」
オレは3人に声をかけながら、陣地へと戻る。
後ろを向くと、西垣が一ノ瀬たち3人の方へ目線を向けながら、武方三兄弟と話していた。
…………やっぱり、気になるよな。
「同点になったなら、もう1点奪うまでっしょ!」
「まだまだ試合は始まったばかり。みたいな?」
「オレ達の力は、こんなものじゃない!」
試合再開と共に、三兄弟が攻め上がる。
パス回しで中盤までは突破してきたが、そこに土門が立ちはだかる。
「簡単に突破させるかよ!ブレードアタック!!」
『うおっ!?』
土門がOBから受け継いだディフェンス技、ブレードアタックで三兄弟の進撃を防ぐ。
「円堂!もう1点行くぞ!!」
「ああ!!」
それを好機と見た土門は、再びトライペガサスを狙って円堂と共に攻め上がる。
そこに一ノ瀬が合流し、トライペガサスの準備は整った。
「カウンターを狙うのはいいが、オレの目の前で、それを何度もやらせてたまるか!!スピニングカット!!」
『うわっ!?』
それを防ごうと、西垣が渾身のスピニングカットで3人を吹き飛ばす。
鬼道や風丸も使ってる技だけど、西垣のスピニングカットの方が衝撃波も大きいか……?
「ペガサスの羽が折れたな…」
「に、西垣……」
それと同時にボールはフィールドの外へ出た為、試合はスローイングまで中断。
………これは、トライペガサスは使えなさそうだな。
「……宍戸。特訓の成果、見せる時だぜ」
「は、はい!!」
その間にオレは宍戸に声をかける。
作戦とまではいかないが、目にものは見せたいよな。
「ムーンサルト!」
「その弱点は、オレも分かってるぜ!サイクロン!!」
「うわあ!?」
試合が再開され、ムーンサルトで染岡を突破した茂木の着地点にサイクロンを設置し、ボールを奪い返す。
「来い宍戸!」
「………はい!!」
宍戸も覚悟を決めたようだ。
さっきと違い、確固とした返事で答え、オレと一緒に突き進む。
「無理にボールを奪い返そうとしなくていい!軟山はシュートを止めることに集中しろ!!」
「他のディフェンスと距離離れてるからだろうけど、甘く見られたもんだな!!」
オレは隣にいる宍戸にボールを渡し、準備を整える。
指示としては正しいんだろう。無理にディフェンスに入ることによって、シュートコースを防げたらいいが、それを突破されたら、反応が難しくなるだろうからな。
でも、それはシュートを見たことのない選手に向けてやるのは、悪手とも言える。
この隙、突かせてもらうぞ!!
「行くぞ!宍戸!!」
「はい!!」
宍戸がボールを打ち上げると同時に、オレがそのボールへ追い付き、ヘディングで打ち落とす。
そこにはそのまま進んでいた宍戸がいて、ボールをダイレクトで打ち込む。
オレが打ち落としたのと、ダイレクトで打ち込んだエネルギーが合わさり、強力なシュートとなってゴールへと突き進む。
『ツインブースト!!』
「そ、それは帝国の……!?」
鬼道から伝授され、見事に宍戸がモノにした必殺技。ツインブースト。
鬼道のものと比べて、威力は劣りはする。
だが帝国の、ましてや鬼道が使っていた必殺技を、オレ達が使ってくるとは思わなかったのだろう。
怯んだ軟山に、必殺技を繰り出す暇を与えず、追加点をもぎ取った。
『ゴォォォオオル!!なんてことだ!帝国学園のツインブーストを、雷門の宍戸と半田が使用!!これにはキーパー軟山!反応が遅れたああああ!!』
「………やった……んですか……?」
「ああ。表示板見てみろ。2対1だぜ」
「や…や………やったああああああ!!」
試合に勝ったかのように喜ぶ宍戸だけど、無理はないな。
あの厳しい特訓を乗り越えて、この大舞台で得点をもぎ取ったんだからな。
「それにしても、まさか宍戸たちにツインブーストを教え込むとはな。今でもびっくりだ」
「………半田の執念に負けただけだ。実際に、突然湧いたオレが宍戸のスタメンを奪ったのだから、これぐらいはしないと申し訳ない。それに、オレはツインブーストを身に付けさせただけで、実際に得点を奪ったのは宍戸たちだ」
「まっ、そりゃそうだな。しっかし、いい顔してやがるぜ宍戸のヤツ。オレも負けちゃいられねえ」
「ふっ…。ならば、お前も次までに新しい必殺技でも覚えたらどうだ。豪炎寺との連携があるのなら、他のメンバーともいけるだろう」
「他の…か。アリっちゃアリだが、まずはこの試合に勝たなきゃだな」
実際、向こうに鬼道がいるとは言え、前回の試合でスタメン落ちした選手始動で帝国の必殺技使ってきたらビビり倒すと思います。思いなさい。