まあしっかり理解出来る必殺技のが珍しいんで今更ですけど。
あとスプラ3にどハマりしてました(自首)
あれから再びバックトルネードの猛攻で点を奪われ、2対2の同点で前半が終わり、ハーフタイムとなった。
「アイツらのシュート、とんでもない力だ……!」
「名門木戸川清修のスリートップは、伊達じゃないか…」
「あとさ、あの口ぶりだとバックトルネードだけじゃないんじゃない?」
「と、言うと?」
「いや、オレ達の力はこんなもんじゃないって言ってたじゃん。それに、あのトリオのことだしさ。3人の連携シュートとか持ってるんじゃないの?」
「……………なくは無い、で済ませなさそうだ」
マックスすごいな。ビンゴだぞそれ。
アイツらはまだ、トライアングルZを隠し持っている。
点の取り合いとなると、こちらが厳しくなりそうだな…。
「………マックス、出れるな?」
「いつでも」
「では宍戸、交代だ」
「は、はい!マックスさん。後半は任せました」
「もちろん。まあ、今回は僕のシュートの番は無さそうだけどね」
「スパイラルショットはともかく、クロスドライブなら打ってみてもいいんじゃないか?」
「いやぁ、それもいいんだけど……。見に撤するって程じゃないけど、フィールドでシュートを見させてもらうよ」
「………?」
何を言っているんだ。そして何を見るんだ、お前は。
その口ぶりだと、シュートを見るって言いたいんだろうけど、オレ達のシュートなんていつも見てるんだから違う。
じゃあ木戸川清修のシュートか?トライアングルZなんて見てどうにかなる技じゃないし………。
「………おい、まさかマックス」
「いやぁ。良さそうなの見つけちゃって」
…………これは、決勝まで取っとくか。
「同点なんざ、すぐに追い抜けばいいだけっしょ!」
「まだ試合は後半戦。みたいな?」
「オレ達の本当の力、見せてやる!」
「さっきほとんど同じこと聞いたんだけど?」
フィールドに入り、ポジションに付いた途端、向こうからそんな声が聞こえてきた。
実際、トライアングルZがあるからハッタリとかじゃないんだけど。
バックトルネードはそろそろ何とかなりそうというか、何とかするんだけど、トライアングルZはな……。
「最初から攻めまくる!ガンガン行くしかない、みたいな?」
「じゃあ止めるしかないよね。クイック…」
「努!」
「ああ!」
「えっ、今ノールックでバックパスして、そんなすぐ反応できる!?」
「聞いてなかったかよ!オレ達は常に、三位一体ってな!友!!」
「追加点いただき!バックトルネード!!」
流れるようにシュートへと移られたな…。
実際、あのコンビネーションは三つ子だからこそというのは納得出来るけど、他のメンバーとのプレイが目立たない。
ただ、そこを考えるのは後でいい。今度こそ止めないとな…。
「風丸!壁山!!」
「スピニングカット!!」
「ザ・ウォール!!」
今まではブロックが間に合わなかったけど、今回は違う。
風丸と壁山が間に合い、かなり威力を削ることが出来た。
「これなら…!ゴッドハンド!!」
今度こそ、バックトルネードを止めることが出来た。
ただそれを見た三兄弟は、予想通りと言わんばかりだ。
「まあ?これぐらいはしてもらわないと歯応えがないし?みたいな」
「お次こそ、本当の力を見せてあげましょう」
「オレ達の切り札、止められるはずがない!」
「………マックスの言ったこと、間違いないようだな」
「外れて欲しくはあったけどねえ。まあ、バックトルネードは充分見れたし、切り替えてかないと」
「本当にお前何しようとしてんだ」
「別に?悪いことはしないし」
さっきからマックスが不穏なこと言ってるけど、試合に集中しよう試合に。
円堂が蹴り上げたボールは風丸に渡る。
「疾風ダッシュ!半田!!」
「させるか!西垣!黒部!」
『ああ!!』
「えっ」
風丸からボールを渡されたオレを、女川達が取り囲み、周りをグルグル回り出す。
あれ、これまさかハリケーン…。
『ハリケーンアロー!!』
「うわあ!?」
発生した竜巻に足を封じられたオレに、強烈なスライディングが三連続で叩き込まれた。
これ前から思ってたんだけど、明らかにボールじゃなくて選手自身狙われてるんだけど、ダメだろ。見ろよ審判。仕事しろ。
「いけ!勝!!」
「ナイスディフェンス。とは言っとくか」
「見せてやろうじゃん?オレ達の本当の力!」
「行くぜ!!」
勝を中心に、努と友が走り抜ける。
そこからは勝から友へダイレクトパスによって力を込められ、最後に努のボレーシュートにより、ゴールへと突き進む。
『トライアングルZ!!』
最後にふざけたポーズを取ってはいるが、威力は折り紙付きだ。
コイツはキツいな……!!
「スピニングカット…!」
「ザ・ウォール!!」
何とか風丸と壁山がブロックしてくれるも、威力が削られているようには見えなかった。
「くっ…!ゴッドハンド!!」
ゴッドハンドは間に合ったものの、激突した時から既にボールの勢いに押され、体勢が崩される円堂。
何とか両手で抑えようとするも、ゴッドハンドは割れ、そのままゴールを許してしまった。
『ゴォォォオオル!!武方三兄弟の強烈な連携シュート!木戸川清修、勝ち越しだあああ!!』
「な…なんて、威力だ……」
「最後のふざけたポーズからは想像出来ねぇな…」
「ホント。僕の勘、外れて欲しかったんだけどね」
「……次は止める。絶対に……!」
「……無理するなよ。円堂」
円堂が覚悟を決めた目をしているけど、あまり無理はさせられない。
せめて、同点には並ばないとな…。
「……染岡、半田、鬼道。頼みがある」
「どうした、豪炎寺」
「軟山のキーパー技だが、どれも弾き返す技だ。そこの隙を突きたい」
「………えっ、そうなの?」
「そりゃ元いたチームなんだから、そうなんじゃねぇのか?」
「まあ、そう…だよな」
………あれ。たしかアイツの技って、カウンターストライクとタフネスブロックだよな。
カウンターストライクはそうだけど、タフネスブロックって別に弾き返す技じゃなかった気がするんだけど……。
「………お前の新必殺技、頼りにさせてもらうぞ。半田」
「……ああ。任せろ」
…まあ、こんなの今に始まったことじゃない。
オレ達のやることは、点を奪うことだからな。
『雷門ボールで試合が再開されます!雷門はこの点差を埋められるか!?』
「埋めてやるさ…!」
「へっ!その前にもう1点奪うだけっしょ!」
「クソっ…!影野!!」
開幕ボールを受け取ったオレに、三兄弟が容赦なく詰めてくる。
流石に突破出来ず、後ろの影野にボールを渡す。
「渡したところで、ディフェンスからボール奪えばいいだけですよ!」
「…………」
「立ち尽くすしか出来ませんか?もらいましたよ!」
影野からボールを奪おうとスライディングを仕掛ける努。
だが、その結果は……。
「………はい?」
「残像だよ……」
まさかの影野、戦国伊賀島の残像をモノにしていたようで、努から突破することに成功した。
いや、たしかに必殺技増えたとは聞いてたけど、それとはな…。
「鬼道……!」
「よし。行け!染岡!豪炎寺!!」
「おう!ドラゴン…!」
「トルネード!!」
鬼道に渡されたボールは、そのまま染岡に繋がり、ドラゴントルネードが木戸川ゴールへと突き進む。
「流石に反応出来る…!カウンターストライク!!」
軟山渾身のパンチングにより、ドラゴントルネードが弾き返される。
しかもそのボールは、雷門ゴールの方へと突き進む。
「このままボールを貰えば、さらに点差を広げて…!」
「させるワケないだろう。スピニングカット!!」
「なにっ!?」
だが、豪炎寺のおかげでこの事を知っていた鬼道は、スピニングカットでボールを受け止め、そのまま拾うことに成功した。
「行け!半田!!」
「よし。行くぞ!」
オレの先に氷が広がり、そこへ向けてシュートを打つ。
氷に打ち出されたボールは凄まじい回転を経て、その勢いのままゴールへと突き進む。
「フリーズショット!!」
「なっ…!?タ、タフネスブロック…!!」
カウンターストライクを出す隙は与えなかったものの、タフネスブロックが間に合ったか…。
しばらく軟山とボールがぶつかった後、ボールは上空へと弾き飛ばされる。
「おお!ナイスカット!!」
「……豪炎寺!!」
「ああ!ファイアトルネード!!」
「え、えええ!?」
ドラゴントルネードと、フリーズショットは半分オトリだ。
本命は、この弾き返された後のファイアトルネードだったんだ!
『ゴォォォオオル!!染岡と半田と豪炎寺による3人がかりの連続シュートで、雷門!追い付いたぞおおおお!!!』
「サンキュー、豪炎寺」
「こちらこそだ。よくタフネスブロックを引き出してくれた」
「まっ、本当はフリーズショットで決めたかったけどな」
「おっ。言うようになったじゃねえか半田。こりゃあ鬼道の言う通り、オレ達でなんかやるか」
「………いいな、それ。すごくいい」
オレと染岡で合体技か……。前回じゃやってなかったし、オレもやりたいな。
出来れば円堂も一緒だといいんだけど、どうだろ…。
「まっ、まずはこの試合勝たなきゃな」
「……ああ。もう1点、なんとかな」
「…………一ノ瀬、土門、円堂。話がある」
「えっ?なに、鬼道」
「ああ、多分オレも言いたかったことと重なると思うんだよな。アレのことだろ?」
「風丸も勘付いていたか。そうだ。アレは……」
フォーメーションを整える僅かな間だが、鬼道と風丸が一ノ瀬達と話をしていた。
鬼道と風丸となると、共通点としてはスピニングカット使用者ってとこだけど……。
「…………ああ。なるほど」
となると、オレのするべきことは……。
「……秋ちゃん。残り時間って…」
「……もう、残ってない」
「あとはロスタイムを残すだけってことですか…!?」
「……頼むわよ。みんな……」
残り時間はあと僅か。
延長戦に巻き込まれれば、こちらが不利になる。
何とかして、この内に決めるぞ…!
「点が並んだところで、また奪えばいいだけです」
「オレ達は絶対に負けない!」
「勝つのはオレ達、武方三兄弟のいる木戸川清修だ!!」
試合が始まった途端、ボールを中盤に預けた三兄弟が突出してきた。
アイツらを止める術はない。ボールを奪わないと…!
「光宗!」
「おう!そら!!」
「もう一回!」
『ブーストグライダー!!』
「くそっ…!」
跳山、茂木、光宗によるブーストグライダーで突破されてしまい、ボールは三兄弟に渡る。
「何度でも言う!オレ達は絶対に負けない!」
「負けたくないとでも言いましょう!」
「このシュートで、勝利はいただきだ!!」
再びフォーメーションを整えた3人が、トライアングルZをしかけてくる。
これを決められたら、一気に厳しくなってしまう。
何としても、止めるぞ……!
『トライアングルZ!!』
「壁山!!」
「分かってるッス!!」
風丸と壁山が再びブロックをしてくれて、時間を稼いでくれた。
その間に円堂がゴッドハンドを溜め、準備は整った。
「ぐっ……!ゴールを許したら、チームのみんなの想いが途切れてしまう…!だからオレは絶対に止めてみせる…!!ゴールを背負うというのは、そういうことなんだ……!!」
ゴッドハンドでボールを抑える円堂。
今回は両手でしっかりと支えてはいるが、勢いに押され、身体ごとゴールへと向かってしまっている。
「ぐ、ぐぐぐ……!!絶対に…止めないと……!!」
「円堂ォ!!」
「間に合ったな…!!」
「そ、染岡!?半田も!?」
風丸と壁山がブロックしてくれたこと。
そして、円堂がしっかりと支えてくれたことで、オレ達は間に合った。
オレと染岡の2人で、円堂の背中を支える。
「何驚いてんだ。帝国の時もやっただろうが……!!」
「全力を出して戻って来たんだ。絶対に止めるぞ……!!」
「………ああ!!」
『うおおおおおお!!』
帝国の時と違うのは、オレと染岡が最初から両手で円堂を支えていることだ。
前回で言うトリプルディフェンスになるんだろうが、染岡はこれに割ってくることは無かったはずなんだけど、そんなことはどうでもいい。
オレと染岡が全速力で戻って来て、支えているこの瞬間。
絶対に、抑え切る……!!
「………やっぱり。あの3人が揃ったら、無敵だよ」
『と、止めたあああああああ!!武方三兄弟のトライアングルZを、3人がかりのキーパー技で阻止!!木戸川清修ゴールならず!!』
「マジかよ……!?」
「オレ達の…トライアングルZが……!?」
「止められた……!?」
「クソっ…オレはこれ以上無理みてぇだ…」
「ははっ…オレもだ。みんな、後は頼んだぜ……」
「サンキュー2人とも!みんな!行くぞおお!!」
円堂が蹴り上げたボールは、マックスへと渡る。
オレと染岡、円堂以外のみんなが攻め上がる。
「やらせるか!!女川!光宗!!」
『ハリケーンアロー!!』
「うわあ!?」
ボールを持つマックスに、ハリケーンアローが襲い掛かる。
「あの2人はダウンしてる…。もう一回やれば……!」
「クイックドロウ……!!」
「えっ…!?」
「ご、豪炎寺がディフェンス技を……!?」
ボールを拾った尾形から、豪炎寺がクイックドロウで奪い返す。
豪炎寺がディフェンス技を使ったことに、三兄弟が衝撃を受けているが、豪炎寺が足を止めることはなかった。
「く、黒部!豪炎寺からボールを奪え!!」
「はああああ……!ヒートタックル!!」
「うおおおお!?」
「ドリブル技まで……!?」
豪炎寺の新技、ヒートタックルで黒部を抜き去る。
だがその間に、武方三兄弟が下がって来ていた。
「そんな技を持ってようが、3人を突破できるかよ……!」
「やらせねえぞ…!!」
たしかに、3人はヒートタックルじゃ突破出来ないだろう。
でも、豪炎寺はそんなこと想定しているはずだ。
「……円堂。行ってこい」
「えっ……?」
「豪炎寺だけじゃ流石に無理。となると、お前達しかいないだろ」
「……今だ!トライペガサス!!」
やっぱり、豪炎寺も同じことを考えていたな。
豪炎寺がバックパスをして、その先にいたのは一ノ瀬だ。
「行け!決めるんだ!!」
『……おう!!』
円堂と土門が飛び出し、一ノ瀬と並ぶ。
一ノ瀬を中心として、3人がゴールへ向けて走り出す。
「トライペガサスは決めさせない…!スピニングカット!!」
西垣が再びスピニングカットでトライペガサスを阻止しようとする。
地面から噴き出す衝撃波が、3人を阻むが……。
『スピニングカットは、衝撃波でシュートを阻止したり、相手を吹き飛ばす技だ。だが、衝撃波が噴き出す瞬間は強烈な風も生まれて吹き飛ばせるが、少しでも間が空けばその風は弱まる』
『要するに、あらかじめ置いてあるスピニングカットなら、足を止めずに突き進めば、突破出来なくもないってことだ。実際は難しいだろうけど、円堂はそういうの、得意だろ?』
『ああ。諦めずに前へ進むこと。オレが何度も目の前で、見て来たことだ』
後ろから聞こえていた鬼道や風丸の言葉を思い返す。
その言葉通り、3人はスピニングカットを突破し、一点を同時に通過する。
そこから巻き起こった青いエネルギーは、途中から赤い炎に変わり、不死鳥が生まれる。
『うおおおおおお!!』
トライペガサスと同じく、3人がボールを蹴り込む。
そのボールは、不死鳥と共にゴールへと突き進む。
『させるかああああ!!!』
三兄弟がシュートコースへと割って入り、それぞれ足で止めにかかる。
オレ達が言えたことじゃないけど、凄い執念だな…!
「こんなの、冗談じゃないっしょ…!!」
「僕たちはこのままじゃ終われない……!!」
「決めさせねえぞ……!!」
だが、悪いけどそんなんじゃこのボールは止められない。
一ノ瀬と土門、円堂の3人のシュート…ザ・フェニックスは。
『ぐぐぐ……!うおおお!?』
「う、うわあああああ!!?」
三兄弟を弾き飛ばしたボールは、そのまま軟山ごとゴールへと突き刺さった。
3人のパワーが勝ったな。
『ゴォォォオオル!!雷門中!遂に逆転!!そしてここでホイッスル!!決勝戦へと駒を進めたのは雷門中だああああ!!!』
それと同時に、試合も終わった。
なんとか勝つことが出来たな……。よかった。
「へへっ……。やったな、半田」
「ああ……。いよいよ決勝戦だ。絶対にアイツらが来るだろうな…」
「……世宇子中か。コイツらでさえだいぶ苦労したってのに、さらに上だって言うしな……。なあ、マジでオレ達でなんかやろうぜ」
「…………ああ。でも、その前に……」
「あん?」
「………燃え尽きたからぶっ倒れる」
「お、おい!!半田!!せめて家に帰ってからぶっ倒れろ!!」
「は、半田さあああん!!起きてくださいっすううう!!」
「えっ、半田くん!?大丈夫!?ねえ!!」
「…………………えっ。大谷さん……。ベンチにいたよね……?」
半田がぶっ倒れてる裏で、豪炎寺と三兄弟の溝は埋まりました。