イナズマイレブン〜中途半端な逆行〜   作:トライデント

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鬼道だけちゃっかり手洗ってたとこ、好き。

あとタイトルが思い浮かばなかったのでストレートに行きました。
ど真ん中ストレートです。


アフロディ

「鬼道と一ノ瀬!もう一回頼む!!」

 

「もう一回だね。分かった!」

 

「ツインブーストの練習になるからいいが、あまり無理はするな。これで5回目だぞ」

 

「…さらっと言ってるけど、よく鬼道さんと一ノ瀬さんもあんなに打てるよね」

 

「オレも使えるようになったから分かりますけど、3回連続打ったぐらいで疲れるんだけどなあ…」

 

「次からオレが変わる。染岡は別件中だから、ファイアトルネードになるがな」

 

「なあ、半田。円堂から預かって、大介さんのページ見せてもらってるけどよ」

 

「……ああ」

 

「……アイツいないで見て、分かるワケないよな」

 

「言うな染岡。オレから言い出して、ページもらってから気付いたけど、何も言わないでくれ」

 

 

円堂がマジン・ザ・ハンドの特訓をしてる中、オレと染岡は大介さんのノートの別ページを見ていた。

文字は分からなくても、絵を見ればもしかしたらと思ったんだが、そう甘くなかった。

そもそも、この流れは1年の頃もやってたな。

学習しろよ、オレ。

 

 

「せいぜい、ゴッドハンドみたいのが後ろに見えるのは分かるんだけどよ…。なんでシュート技にゴッドハンドが写ってんだ?」

 

「ゴッドハンドが関係してるってことなのかもしれないけど…。じゃあ、あのドゴンやバビューンはどこ行ったって話だしな…」

 

「………頭痛くなってきやがったな」

 

 

ダメだ。こればっかりは、考えても仕方ないのかもしれない。

放置はしないけど、気を取られ過ぎちゃったら元も子もないしな。

 

 

「みんなー!そろそろ休憩よ!」

 

「いっぱいおにぎり作りましたから、食べてくださーい!!」

 

「おっ、だってよ半田」

 

「行くか。円堂!お前もこっち来いよ!」

 

「っと、ああ!すぐ行く!!」

 

 

マネージャーたちの方を向くと、たしかにたくさんのおにぎりが並んでいた。

そういえば、大谷たちが部室の方にでっかい炊飯器持ってくのをさっき見たっけ。

 

 

「……あー、染岡。行く前に手洗いに行こうぜ」

 

「おっと、そうだな。どうせマネージャーに言われるだろうし、先行っとくか」

 

 

さーて、水道のとこ行くか。

蛇口捻ってー………。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「どうした、2人とも」

 

「いや、別に…」

 

「…お前、ちゃっかりしてるよな」

 

「何の話だ。それに、オレだけじゃないぞ」

 

「えっ」

 

 

後ろを振り向けば、豪炎寺がこっちに来るのが見えた。

それで、その後ろの方では雷門に怒られているみんなの姿が。

 

 

「あー…」

 

「水の出しっぱなしは良くないぞ。では、先に戻ってる」

 

「お、おう…」

 

 

その後、鬼道のあとを追い、オレと染岡と豪炎寺はベンチの方に戻った。

その時円堂たちと入れ違いになったけど、鬼道のインパクトが大きかったのか、何も言われることは無かった。

分かる。鬼道のインパクト、デカかったもんな。

その後、みんなが揃って洗った両手を見せて、いざ実食タイム。

 

 

『いただきまーす!!』

 

「おにぎりと大谷さんの作った漬物もありますから、食べてくださいね!」

 

「おっ、じゃあオレもーらい」

 

「う、うん。この前作ったのより多く作ったんだけど、味はちゃんと付いてると思うから…」

 

「ん。やっぱ美味いなこれ。優しい味がして。おにぎりと合うなぁ」

 

「あっ…それ…」

 

「えっ、どうした。なにかあった?」

 

「う、ううん。なんでも…」

 

「そっか。このおにぎりも美味いよ。4人の内誰が握ったか分かんないけど」

 

「…………」

 

 

みんなも美味そうに食べてるな。

となりの染岡に、前の円堂も…。

 

 

「ははは。ヘンテコな形だなあ」

 

 

………よし。

オレと染岡はアイコンタクトを交わす。

 

 

「大谷。こっち行こう」

 

「えっ?」

 

 

オレと染岡、大谷はその場から退避した。

達者でな円堂。

その後オレたち3人は、そのおにぎりを一気に食べ、しょっぱさに涙し、詰まって苦しみ、雷門に背中を叩かれる円堂を遠目に見るのだった。

 

 

「…強く生きろよ、円堂」

 

「アイツが結婚したとしたら、尻に敷かれるんだろうな…」

 

「あ、あはは……」

 

「…そういやアイツ、マジン・ザ・ハンドの特訓って言ってたけど、胸鍛えるって言って修練場でノック受けてたんだよな」

 

「えっ、本当?」

 

「ああ。たしかに胸の部分にマーク点けてあったけど、肺とか心臓の可能性あるんじゃないか?って言ったら飛び出して行ってさ。そのせいでオレもノック受けるとこだったけど」

 

「ああ。その後ならオレも見たぜ。水張った洗面器に顔突っ込んでたな」

 

「オレも影野から聞いた。アイツも呼吸のことじゃない?って言ったみたいでさ」

 

「心臓、肺、呼吸…」

 

「……けどよ。言ったお前に言うのもなんだが…」

 

「…分かってる。影野も言ってたけど、違う気がするんだよな」

 

「完全に迷走してるってことか…」

 

 

どうしたものかな…。

マジン・ザ・ハンドは必要になるんだろうけど、囚われすぎてる気もする。

円堂自身のことは、オレにも分からないから、信じるしかないんだけどな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日。今日もオレ達はグラウンドで練習だ。

 

 

「ドラゴン!」

「トルネード!!」

 

『ツインブースト!!』

 

 

…さすがにやりすぎじゃないか?

円堂が2つのシュートを同時に打ってきてくれって言うから、4人もそうしてるけど…。

 

 

「一応、救急箱はここにあるから…」

 

「まあ、そうなったらオレもすぐに駆け寄るけどさ…」

 

 

ドラゴントルネードと、ツインブーストが円堂に迫る。

 

 

「なっ……!?」

 

「ウソ…」

 

「あれは…」

 

 

そこに割り込み、グローブも無しに素手で止めた者がいた。

 

 

「すげえ!ドラゴントルネードと、ツインブーストを止めるなんて!お前すごいキーパーだな!」

 

「いや。私はキーパーではない。我がチームのキーパーならばこの程度のシュート、指1本で止めてみせるさ」

 

「そのチームというのは世宇子中のことだろう。世宇子のキャプテン、アフロディ!!」

 

『えええ!?』

 

 

アフロディ…か。

前回だと、神のアクアに依存したままだったはずだけど…。

 

 

「改めて自己紹介させてもらうよ。円堂守くん。私は世宇子中のアフロディだ。キミのことは、影山総帥から聞いている」

 

「やはり、影山は世宇子に…」

 

「てめえ…。宣戦布告に来たってのかよ!」

 

「宣戦布告?ふっ…」

 

「な、なにがおかしい!?」

 

「宣戦布告と言うのは、戦うためにするためにある。私はキミ達と戦うつもりなんてないのでね」

 

「じゃあ、何しに来たんだよ!」

 

「警告さ。キミ達は、戦わない方がいい」

 

「なんでだよ!?」

 

「負けるからさ」

 

『なっ!?』

 

 

……今回も、そうらしいな。

 

 

「神と人間が戦うなど、勝敗は見えているだろう?」

 

「自分が神だとでも言うつもりかよ…!」

 

「さあ。どうだろうね」

 

「試合は、やってみなきゃ分からないぞ」

 

「そうかな。リンゴは木から落ちるだろう?世の中には、逆らえない事実というのがあるんだ。それは、そこにいる鬼道有人くんが一番よく知っているよ」

 

「くっ…!」

 

「抑えろ、鬼道」

 

「半田…」

 

「だから練習もやめたまえ。神と人間の間にある溝は、練習なんかじゃ埋まらない。無駄なことさ」

 

「うるさい!練習が無駄だなんて、言わせない!練習はおにぎりだ!オレたちの血となり、肉となるんだ!!」

 

「……ふふふ。上手いこと言うね、キミ。練習はおにぎり、か。ふふふ…」

 

「笑うとこじゃないぞ…!」

 

 

円堂があんなに怒ってるの、今回だと初めて見たな…。

……と言うより、こうやって見てると……。

 

 

「しょうがないな。ならば、証明させてあげようじゃないか」

 

 

そう言って、アフロディは反対のゴールの方へとボールを蹴る。

それと同時に、姿が消えた。

 

 

「えっ…?」

 

「ボールの方だ…!」

 

「い、いつの間に!?」

 

 

大谷の言う通り、いつの間にだ。

まるで瞬間移動したかのようなスピードでボールに追いついたアフロディは、軽くボールを蹴る。

だが、そのボールは勢いを段々と勢いを強めていく。

 

 

「ぐ、ぐぐぐぐ…!うわあああ!!」

 

 

それはまるで、必殺技かと思うぐらいにまで強くなったシュートが、円堂と激突する。

ゴッドハンドどころか、熱血パンチすら使っていない円堂に、止め切ることは出来なかった。

 

 

「円堂!!」

 

「キャプテン!!」

 

「円堂くん!!」

 

 

ゴールネットまで吹き飛ばされた円堂に、オレを含めたみんなが近づく。

ボールは、ゴール裏にまで飛んで行った。

鬼道が介抱する中、円堂が目を覚ます。

 

 

「どけよ…!」

 

「おい!円堂!!」

 

「来いよ…!もう1発…!!今の…本気じゃないだろ…!!本気でドーンと来いよ…ッ!!」

 

 

完全に、アフロディのことしか見えていない。

足が震えて、立つこともままならないってのに…!

 

 

「円堂…!!」

 

「離せよ、半田…!!」

 

「アハハハハ…!面白い!神のシュートをカットしたのは、キミが初めてだ…!決勝戦が少し、楽しみになってきた…!!」

 

 

そう言って、アフロディは姿を消した。

それから少し経ち、円堂は地面に座り込んだ。

 

 

「…大丈夫かよ、円堂」

 

「…ごめん、半田」

 

「謝ることないって。オレがお前の立場だったとして、噛みつくこと出来る気しないしな」

 

「とんでもないヤツだったな…」

 

「世宇子にはアイツのような選手ばかりなんだ」

 

「決勝戦、とんでもないことになりそうだな」

 

「円堂。肩貸すぞ」

 

「悪い、半田」

 

 

………ただ、アフロディのやつ…。

 

 

「………アイツ、神って言い切りやがったな」

 

「えっ…?」

 

「……いや、なんでもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「円堂守…。総帥から聞いた以上の人間だ。決勝戦、楽しみだよ」

 

 

……ただ、彼もそうだが。1人だけ、気になる男がいた。

最後に、彼を支えていた男。

他の選手…。鬼道くんを含めて、僕を驚愕の目で見ていたというのに…。

 

 

「…………いや。まさかな」

 

 

まさか、神である私に向けて、哀れみの目を向けるなど、あるはずがない。




ぶっちゃけ半田にとって、黒歴史を見せられてるようなものです。


そんで先に予告しますが、次話を挟んで世宇子戦になるワケですが、帝国戦と同じく何話かに分けて連続投稿しますので、お楽しみに。
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