もちろん作者は外れました。
試合が始まって数十分が経った。
今の状況は……。
「ゴッドノウズ!!」
「ゴッド……ハンド…………!!!」
白い羽根を背中に宿し、そこから発生されたエネルギーをボールに注ぎ込んだシュート、ゴッドノウズ。
現時点のアフロディ最大の必殺技が打たれ、円堂がゴッドハンドを発動、激突する。
「ぐっ……くそ……!」
「止め……ないと………!」
後ろには、オレと染岡が円堂を支えている。
帝国戦や木戸川戦でやった、ゴッドハンドにトリプルディフェンスを足したもので抵抗するも……。
「3人集まろうが、無駄さ」
『うわあああああ!!!』
ゴッドノウズを止めることは出来ず、得点を許してしまった。
『ゴォォォオオル!!世宇子中、これで4点目!!恐るべし力だ!!』
いま角馬の父さんが言ったように、今ので4点目。
1点目は、今と同じようにゴッドノウズ。
2点目は、デメテルの打ったリフレクトバスター。
3点目は、ボールを奪ってすぐに打たれた、ヘラのディバインアロー。
どれもこれも、今までの比較にならない程の威力を持っていたが、やはりゴッドノウズは違った。
直近の木戸川清州の武方三兄弟のシュート、トライアングルZの比ではなかった。
「くそ…!オレと半田が来ても、ダメかよ……!!」
「……ディバインアローまでなら、これで行けるとは思うけど、ゴッドノウズを抜きにしても、リフレクトバスターまであるか……」
「…………だけど、これ以上の失点はさせない…!絶対に止めてみせる……!!」
円堂がそう言い、気合を入れ直している。
現在のスコアは0-4。
今オレが言った通り、ヘラのディバインアローならオレたちのゴッドハンドとトリプルディフェンス…。長いからゴッドハンドディフェンスとかでもさせてもらうけど、それでいけるとは思う。
だが、それを止めても、デメテルのリフレクトバスターを止められないし、何よりアフロディのゴッドノウズを止められなきゃ、失点は免れない。
………失点を防いでも、得点を奪わなければ、勝てないんだけどな。
『ここで世宇子中、水分補給だ!4点を奪って尚、その余裕を崩さないぞ!!』
……あの水分補給、神のアクアをどうにか出来れば何とかなるかもしれないけど、それを当てにしたプレイは、出来ない。
それだと、あの帝国戦の時と同じになってしまう。
豪炎寺が来るから大丈夫だと思っていたオレと、変わらない。
せめて、足掻いてはみせるさ。
『世宇子中の水分補給が終わり、試合が再開されます!雷門中、これからどう立ち回るか!?』
「…………あの水分補給」
「…?大谷さん、どうしたの?」
「いや…。遠くでも、最初から見てたんだけど、黒服が持ってきてたし、何より水筒とかじゃなくて、変なグラスで飲んでたから……」
「………たしかに。意味深に思えるわね」
「あっ。あの黒服、中に戻って行きますよ」
『………………』
そんな会話が行われてるとは知らずに、オレたちは試合を再開させる。
豪炎寺からボールを受け取り、マックスや鬼道と共に上がっていくが…。
「前半も終わることだ。ディフェンスまでは行かせてあげるさ。突破出来たならば、シュートを打ってみるといい。キミ達の最大のシュートなら、行けるかもしれないよ?」
「………知ってて言ってんだろ。この状況で、円堂まで上げさせられるかよ」
「おや。流石にその手には乗らなかったか。ならば、キミ達だけで行くつもりかい?結果は変わらないはずだけどね」
「…………調子に乗りやがって。染岡!!」
動きを見せないアフロディを突破したオレは、染岡にパスを回す。
「せめて、シュートぐらいは…!」
「ポセイドンまで行かせん!メガクエイク!!」
「うおおおお!?」
突然染岡の前に立ちはだかったディオが高く飛び上がり、地面に亀裂が走り、地割れが起こる。
その地割れは染岡の足元まで届き、地面が隆起し、染岡は吹き飛ばされる。
「染岡!大丈夫か!?」
「な、なんとかな…。帝国の大野のアレを見てなきゃ、ヤバかったかもしれねえ…」
吹き飛ばされた染岡は、なんとか受け身を取っていた。
今のメガクエイクは、大野が使っていたアースクエイクの強化版と言っていいディフェンス技だ。
あの挙動で、相手が世宇子となると、警戒はしてたか……。
「ディオ」
「………ふん」
「は?」
アフロディに声をかけられたディオが、オレにボールを渡して来た。
「………どういうつもりだ」
「ポセイドンは突破出来なくても、ディフェンスなら突破出来るかもしれないだろう?ディオ以外のディフェンスが立ちはだかるさ」
「いい加減にしろよ…!お前……!」
「その反抗的な目は、同じ立場になってからにしてもらいたいものだね。まあ、反抗という意味なら、今の立場のほうが正しいのかな?」
「………くそっ!」
ジグザグスパークで突破は出来ない、と考えたまでは良かった。
だったらせめて、鬼道や一ノ瀬達と一緒に攻めた方が良かったんだろう。
でも、完全に熱くなったオレは、単独で、ムーンサルトで突破しようとしていた。
「さばきのてっつい!!」
「くっそ……!!」
そりゃあ、こうなる。
オレが着地しようとしたところに、アポロンがさばきのてっついを落とし、吹き飛ばされる。
「………僕に哀れみを向ける前に、今の自分の力を自覚したらどうだい」
「なんの……ことだよ……!!」
「…………無自覚だった、ということか。それはそれで、罪深いことだけどね」
アフロディが何を言ってるのか、理解出来ない。
いや、オレとアフロディでは力の差があり過ぎるというのは、分かるけど、哀れみとか、何の話だよ……。
「では、もう1点もらうとしよう。埋められない差を広げれば、流石のキミたちも諦めるだろうしね」
「やらせるか…!!」
「攻めさせはしないよ…!!」
「ヘブンズタイム」
『なっ…!?ぐわあああ!!』
こちらの陣地へ攻めようとするアフロディからボールを奪おうと、鬼道と一ノ瀬が立ちはだかるも、一瞬にしてアフロディが背後に立ち、2人が吹き飛ばされる。
ヘブンズタイム。主にアフロディが使う、世宇子のドリブル技だ。
「デメテル。キミがシュートを打つんだ」
「任せろ」
「キラースライド!!」
「コイルターン!!」
「クイックドロウ!!」
「無駄だ!ダッシュストーム!!」
『うわあああああ!!!』
土門と影野、マックスがデメテルの巻き起こした風によって吹き飛ばされる。
ダッシュストーム。これも世宇子のドリブル技で、猛烈な風と共に突き進まれ、防ぎ切ることは出来なかった。
「これで最後だ。リフレクト…」
「クイック…ドロウ……!!」
「おっと。ヘラ!」
ここで、忍び寄っていた豪炎寺がクイックドロウでデメテルに突っ込む。
ボールは奪えなかったが、リフレクトバスターを打たせず、ヘラにボールが渡った。
「……ふむ。では、ディバインアロー!!」
「やらせないっす…!ザ・ウォール!!」
「ああ…!スピニングカット!!」
何かを感じたヘラだったが、さっきと同じく、ディバインアローを放つ。
シュートコースの先に、残ったディフェンスの壁山と風丸がいる。
なんとか、ザ・ウォールとスピニングカットで威力を削ってくれた。
「5点目は…、絶対にやらせない……!ゴッドハンド…!!」
「間に合ったか…!」
「絶対に止めるぞ……!!」
そこへ、オレと染岡が間に合う。
ザ・ウォールとスピニングカット、仮称ゴッドハンドディフェンスならば、ディバインアローぐらいなら……!!
「………やはり。そこまでやれば、オレのシュートぐらいは止めてくるか」
『止めたぞ雷門中!!5点目の失点は回避!!そしてここで前半が終了!!0対4のスコアで、後半へ移ります!!』
「まあ、それぐらいはしてもらわなきゃね。後半も、精々足掻くといいさ」
「ぐっ……」
「さっきから、ムカつくことばっか言いやがって…!くそっ…!!」
「………爺ちゃん…」
ディバインアローが止められるのは、あちらの想定内だったようで、態度が崩れることはなかった。
神のアクアだとか、そんなの関係無しに、コイツらの驕った態度。
やっぱり、あの時のオレを見ているようで……。
「……どうしたよ、半田」
「あっ…。いや、とくに何かあるワケじゃなくてさ。あいつらに一泡吹かせるには、どうすりゃいいかなって」
「……あれ、かもな」
「あれ、かあ……」
あのシュート技のこと、だよな。
どうやって打つか分かんないけど、染岡の言う通り、あれが使えればいいんだろうけど……。
「……あれ、響木さん。マネージャーが誰もいませんけど、どうしたんですか?」
「…………むっ。確かにいないな。試合に集中してて、気付かなかったか……?」
「えっ、じゃあ誘拐されてたりとかじゃないっすよね……!?」
「いや壁山。流石にそんなことになってたら、オレ達も気付くでやんすよ」
風丸の言う通り、ベンチを見てみてもマネージャーが1人もいなかった。
このタイミングでいないってことは、そういう事なんだろうけど……。
「………大丈夫、だよな」
「やっぱり……。あれはただの水分補給じゃなかったのね」
「これ…、言ってしまえばドーピングですよね…」
「そこまでして……。でも、どうすれば……」
「あのお水をどうにか出来ればいいんだけど…」
黒服の後を追って忍び込んだ私たちは、あのお水…、神のアクアって言うみたいだけど、それが世宇子中の桁外れな力の源と知った。
そんなものを使って、半田くんたちを……。
いや。今までの学校の想いを踏み躙ったなんて、絶対に許せない。
でも、あのお水を隠したとしても、すぐにバレるだろうし、別の新しい神のアクアを用意されるだろうし、どうすれば……。
「……あれ?つくしちゃん、水筒持ったままで来ちゃったの?」
「えっ…?あ、あれ…?なんで私……」
「ああ…。ちょうど、選手の分を用意してたところだものね。無意識でいられるかどうかは、疑問だけど」
「うう……」
………あれ?ということは、この水筒には……。
『………あっ!』
「………ん?今、声が聞こえなかったか?」
しまった…!秘策を思い付いたけど、4人同時に声を出しちゃったから、黒服に気付かれちゃった………!!
「……みんな、お願い…!」
「大谷先輩……!?」
「どうするつもりなの…!?」
「4人でここにいたら、絶対にバレちゃうから…!私が走れば、音が鳴る…。その間に、3人はそこの部屋に入って…!」
「つくしちゃん……!」
秋ちゃんに水筒を託して、私は走り出す。
3人が部屋に入ったのと同時に、曲がり角の奥の方から黒服の声と走る音も聞こえてくる。
大丈夫。ここは入り組んでるし、同じように部屋もあったから、隠れることも……!
「あっ……」
ウソ……。ここで、この人に会っちゃうなんて……。
「…………ふん」
「……えっ?」
その人に押され、私は部屋へと入れられた。
「そ、総帥……!?」
「なんだ。騒々しい」
「いえ、あの……。走る音が聞こえたので、侵入者を追っていまして……」
「そうか。ならば、ここを右に行ったはずだ。この先は角があっても、行き止まりだ。必ず確保するのだ」
『は、はい!!』
………な、なんで……?
「左に行けば、フィールドに戻れる」
「……………」
「それと、この事は誰にも話さない事だ。話した場合、分かるな?」
なんで……。影山が、私を助けてくれたの……?
曲がり角であのグラサンに出会す恐怖。