イナズマイレブン〜中途半端な逆行〜   作:トライデント

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原作アニメの鬼道が雪辱を晴らす怒涛の連続ツインブーストFも好きなんですけど、展開ほぼ同じとは言え書く身となると、色んなの書きたくなります。
つまりそういうことです。はい。


神々の聖戦③

「つくしちゃん!よかった、無事で…!」

 

「秋ちゃん…」

 

 

先に戻って来ていた3人から事情を聞いていたが、無事に大谷は戻って来た。

………無事でよかった。本当に。

 

 

「無茶するなよ、大谷。心配したんだからな」

 

「ご、ごめん…」

 

「でも、何ともなくてよかったよ。影山とかに見つかったら、大変だからな」

 

「えっ!?あっ、そ、そうだよ…ね……。うん……」

 

「ど、どうした…?そんなに慌てて…」

 

「いや、本当になんでもないから…。大丈夫だよ」

 

「……なら、いいんだけど」

 

 

……何か隠してる気がするんだけど、それより今は試合のこと、か。

世宇子のベンチの方を見ると、アフロディたちがグラスで用意されている水を飲んでいた。

 

 

「……むっ?」

 

 

何やら、違和感を覚えているような顔をしているアフロディたち。

ただ、それ以上は気にしないようにしたのか、フィールドへと歩いて行った。

 

 

「……………」

 

「……上手くいったようだね、秋ちゃん」

 

「うん。つくしちゃんが引き付けてくれたおかげだよ」

 

「………事情は聞いた上でだけど、無茶しやがって」

 

 

このことも、先に木野たちからみんなにも知らされている。

だから、この会話も小声で行われている。

小声の染岡とか、珍しいな。

 

 

「……爺ちゃん。オレに力を、貸してくれ……」

 

 

円堂は、大介さんの形見のグローブを付けることを決意。

オレもこうして見るのは、こっちだと初めてだからずいぶん久々だな。

 

 

「それ、大介さんが使ってたグローブなんだな」

 

「……ああ。ちょっとは、気持ちにも繋がると思ってさ」

 

「………でもなんか、大介さんが使ってたにしては、綺麗だな」

 

「えっ?」

 

「いや。大介さんが使ってたってことは、10年前どころじゃないだろ?にしては、綺麗って言うか……。あっ、違うか。左手のがボロボロで、それに比べたら右手のが綺麗に見えるだけか?」

 

 

こうして改めて見てみると、そうだな。

むしろ左手のが焦げるぐらいまでボロボロなのに、右手は普通のボロボロって感じだ。

まあ、大介さんが左利きだったから。ということなんだろうけど。

 

 

「左手……」

 

 

……円堂が、両手に付けた大介さんのグローブをじっと見つめている。

何かを掴みかけてるのか、そこまではオレには分からない。

オレも、アイツらに一矢報いたいんだけど…。

 

 

「オレ達のシュートが通用しないのは、ある程度は想像してたんだがな…」

 

「アイツら、口を開けば神々言いやがって。なにが神だよ」

 

「……まあ、実際必殺技は強いしな。つなみウォールに、他にも隠してそうだし」

 

「ポセイドン…な。そんなに神って言うなら、神を越える勢いで行くしか無ぇってことか?」

 

「そりゃあ、神を越えられたなら、アイツらにも勝てるだろうけど…。神越えるって、どうするんだよ」

 

「…………宇宙?」

 

「…………宇宙、か」

 

 

………そうだよな。世宇子に勝てないようじゃ、エイリア学園に勝てるはずがない。

アイツらに…。宇宙に届く勢いで行かなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ!遂に後半戦が始まります!世宇子中の大幅リード。雷門中、この点差を覆すことは出来るか!?』

 

「ふっ…。もし出来たとしたら、それは神を越えることに等しい。出来るものなら、ね」

 

「………神だろうと、足元の石に気付かなきゃ、そのまま転ぶぞ」

 

「……まだそんなことを言うつもりかい。決して埋められない実力の差というものを、前半で学ばなかったのかな?」

 

「前半だけで、オレたちの全てを知った気でいるのか」

 

「へぇ。言うじゃないか」

 

 

言い終わると同時に、後半開始の笛が鳴る。

世宇子ボールから始まり、デメテルが攻めてくる。

 

 

「ダッシュストーム!!」

 

『ぐっ…!』

 

 

開始と同時にデメテルはダッシュストームで豪炎寺と染岡を吹き飛ばす。

2人を簡単に突破したデメテルだったが…。

 

 

「なっ……!?」

 

「…?どうした、デメテル」

 

「力が、抜けていく…?いや、これは…!」

 

「なに…?」

 

「やっと気付いたの?クイックドロウ!」

 

「くっ…!」

 

 

自分の身に起こったことを理解しだしたデメテルは、完全に足を止めていた。

その隙を付いたマックスが、クイックドロウでボールを奪う。

 

 

「ウチのマネージャー特製のスポーツドリンク、味良かったでしょ?」

 

「やはり…!すり替えたというのか!?」

 

「インチキなことしてんじゃないよ。行くよ、鬼道たち!」

 

「ああ。頼む!」

 

「スパイラルショット!!」

 

 

マックスがスパイラルショットを打った先には、鬼道とオレ、一ノ瀬がいる。

 

 

「出来るな?半田」

 

「ああ。やってやるさ」

 

「よし。行こう!」

 

 

鬼道が口笛を鳴らすと同時に、オレと一ノ瀬が走り出す。

オレも、練習はしていたからな。

 

 

「皇帝ペンギン!」

 

『2号!!』

 

 

まさか、オレがこれに混ざる日が来るとは思ってなかったけどさ。

オレと一ノ瀬が打った皇帝ペンギン2号は突き進み、先で控えていた染岡たちへ届く。

 

 

「最後のおまけだ!ドラゴン!」

 

「トルネード!!」

 

 

スパイラルショット、皇帝ペンギン2号、ドラゴントルネードを加えたシュートが、ポセイドンが護るゴールへと一直線。

 

 

「さばきのてっつい!!」

 

 

だが、そこへアレスが割り込み、さばきのてっついで威力を削られる。

アレスの他にも、アポロンも使えたはずなのに、割り込まなかったな…。

 

 

「うおおおおお!ギガントウォール!!」

 

 

その間に、ポセイドンは巨大化。

巨体から放たれる拳でボールを抑え込み、オレたちのシュートは止められた。

 

 

「これでも、ダメか…」

 

「だが、手札は切らせることは出来た」

 

「えっ。どういうことだ?」

 

「今のシュートブロック。今までだったら、アポロンたちも加わって、ディフェンスだけでほぼ完全に威力を封殺していたはずだ」

 

「ああ。アフロディも、慢心はしてても、油断はしてないもんね」

 

「だがそれをせずに、ポセイドンに必殺技まで使わせることになった」

 

「…ああ。神のアクアの供給がなくなって、スタミナも無尽蔵じゃなくなったからってことか」

 

「おそらくそういうことだ。世宇子の必殺技はどれも強力だが、その分必要な力も大きいはずだ。そこを突くことが出来れば…」

 

「……ってことは、時間とオレたちの体力次第…か」

 

「じゃあ、今みたいに連続シュートより、1発1発の威力を優先した方がいいね」

 

 

………一ノ瀬の言う通り、だな。

ギガントウォールと、つなみウォール。

どれも強力なキーパー技ではあるけれど、神のアクアを絶った今では、無限の壁よりちょっと強い技ぐらいのものになったはずだ。

そこに、さばきのてっついのブロックを加味したとしても……。

 

 

「…円堂にも、出てもらわなきゃならないかもしれないね」

 

「………ああ。だが、今は自分のことに集中してもらいたい。何かを掴みかけているはずだ」

 

「みたい……だな」

 

 

ザ・フェニックスや、イナズマブレイクの出番もあるはずだけど、それよりもキーパーのことへ意識を向けてもらうってことだな。

さっき、後半が始まる前に何か引っ掛かってたようだし、そこから繋がれば……。

 

 

「作戦会議は終わりかい?それを通せるとは限らないけどね。アテナ」

 

「行かせてもらう。ダッシュ…」

 

「行くぞ、一ノ瀬!」

 

「ああ!」

 

『スピニングカット!!』

 

「なに!?」

 

 

ダッシュストームを使われる前に、鬼道と一ノ瀬、2人がかりのスピニングカットでアテナからボールを奪う。

 

 

「鬼道!」

 

「突破はさせん!メガクエイク!!」

 

「ぐっ……!」

 

 

一ノ瀬からボールを受け取った鬼道に、ディオが立ち塞がる。

染岡の時のように、メガクエイクで鬼道を吹き飛ばすが…。

 

 

「まだ…だ……!豪炎寺!!」

 

「なにっ!?」

 

 

アースクエイクは、その場の衝撃で相手を転ばせる技だったため、発動して、相手をダウンさせてしまえば、すぐにボールを奪うことが出来た。

一方メガクエイクは、地割れを引き起こし、相手を吹き飛ばす技。

一見こちらのが強力に見える。実際、ほとんどの場合はこちらのが強力という認識でいいはずだ。

だがメガクエイクの場合、ボールごと相手を吹き飛ばすため、すぐにボールを奪うことは出来ない。

それに、メガクエイクを喰らっただけでは、ボールを奪われた内には入らない。

それが鬼道の狙いだった。鬼道は浮かされたボールを、ヘディングで弾く。

そのコースの先にいたのは……。

 

 

「ファイアトルネード!!」

 

 

既に炎を左足に纏った豪炎寺だった。

ファイアトルネードが突き進むも、方向はゴールではなく、ほとんど真下だった。

 

 

「ツイン…ブースト!!」

 

 

そこへ、体制を立て直した鬼道が追い付く。

ツインブーストの中継役を、ファイアトルネードに変えた技。

ツインブーストF……だっけな。

 

 

「くっ…!つなみウォール!!」

 

 

この展開は、予想していなかったのだろう。

ディフェンスは誰も反応出来ず、ポセイドンが単体でシュートを防ごうとする。

だが、その炎の勢いが止まることはなかった。

 

 

「な、なんだ……!?この力は…!う、うおおおおお!!」

 

「………なんだと?」

 

『ゴ、ゴォォォオオル!!雷門、ついに1点を獲得!!』

 

 

波の壁を突破し、それでも尚抑えつけようとしたポセイドンを吹き飛ばしたボールは、そのままゴールへ。

その声がした方向を向いてみると、ほんの少し、目を見開いたアフロディが見えた。

 

 

「助かった、豪炎寺」

 

「ふっ…。鬼道も、よくあそこから持ち込んでくれたものだ」

 

「この1点はデカい。この勢い、乗ってこうぜ」

 

「……ああ」

 

 

世宇子ボールで、試合は再開される。

後半開始時の光景と変わらないが、世宇子イレブンの顔に、動揺の色が見え始めた。

 

 

「……デメテル。そこからでもいい。シュートを打つんだ」

 

「あ、ああ…!リフレクトバスター!!」

 

 

アフロディの指示に従ったデメテルが、オレたちの陣地とはいえ、ほぼ中央の位置からリフレクトバスターを打ってくる。

どういう意図かは知らないけど、これなら…。

 

 

「半田!染岡!2人が戻る必要はない!」

 

「ああ!この状況なら、流石に…!」

 

 

だろう、な。

ポジションからそこまで動いてない状況なら、シュートブロックもしやすいし、なにより…。

 

 

『スピニングカット!!』

 

「ザ・ウォール!!」

 

「円堂!今度はオレたちが…!」

 

「………オレも、円堂を支える……!」

 

「サンキュー!土門、影野!ゴッドハンド!!」

 

 

鬼道、一ノ瀬、風丸のスピニングカット。

壁山のザ・ウォール。

ここまで削れば、経験がなかった土門と影野でも、トリプルディフェンスが機能する。

今回のリフレクトバスターは、あっさりと止めることが出来た。

 

 

「今度はこっちの番だ!豪炎寺!!」

 

「………っ!」

 

 

円堂が蹴ったボールは、豪炎寺へと渡る。

だが、ボールを受け取ったが、すぐに足を止めることになった。

 

 

「シュートを止められても、キミを封じればいい。フォワードの動きを止めるのは、初歩的な戦術だろう?」

 

「くっ……」

 

 

豪炎寺の周りを、アルテミスにヘパイス、アポロンなど、複数の守備が囲っていた。

その少し後ろでは、アレスも備えている。

囲った守備と、さばきのてっついが控えている状況。

豪炎寺のドリブル技、ヒートタックルでは突破出来ない。

と、思っているんだろうな。だったら……!!

 

 

「豪炎寺!!」

 

「半田……!?」

 

 

オレが豪炎寺に声をかけた時、オレはサイクロンを右足に宿し、すぐにでも使える準備を整えていた。

流石の豪炎寺も、これには動揺していたが……。

 

 

「オレとお前で、まとめて吹き飛ばせば…!」

 

「……っ!そうか!頼む、半田!!」

 

「ああ!サイクロン!!」

 

 

オレの意図を、豪炎寺は察してくれたようだ。

返事を聞いたオレは、すぐにサイクロンを豪炎寺に向かって設置した。

 

 

「なんのつもりだい?ヤケにでも…」

 

「やれ!豪炎寺!!」

 

「ああ!はあああああ……!」

 

『うわあああああ!!』

 

「な、なんだって…!?」

 

 

突然のオレの行動に、嘲笑うかのような表情をしていたアフロディは、すぐにその表情を変えることになった。

オレが設置したサイクロンの中で、豪炎寺はいつものように、ファイアトルネードの準備をした。

この時、飛び上がる時前から少しだけ、既に左足に炎を宿す。

そしてサイクロンで吹き飛ばせると同時に、飛び上がる。

すると、普段のサイクロンとは色がガラッと変わると同時に、その勢いは強くなる。

サイクロンとファイアトルネードの合体、炎の竜巻で守備を吹き飛ばす技が生まれたというワケだ。

 

 

「くっ…!だが、ファイアトルネードだけでは、ポセイドンは…」

 

「なんで豪炎寺だけになるの?」

 

「なに……!?」

 

 

炎を左足に纏って飛び上がる豪炎寺の所へ、ファイアトルネードとは逆に回転しながら青い炎を宿したマックスが合流する。

アイツ、本当にあれをモノにしてたなんてな……。

 

 

「マックス…。お前……!」

 

「豪炎寺は普段通りやってくれればいいよ。僕が勝手に合わせるから」

 

「……分かった。行くぞ!マックス!!」

 

「オッケー…!!」

 

 

豪炎寺のファイアトルネードと、マックスのバックトルネード。

2つのトルネードが同時に叩き込まれたシュート。

ダブルトルネードが、ゴールへと突き進んだ。

 

 

「くっ……!つなみウォール……!!」

 

 

同じファイアトルネードの派生技に、2度も破られるワケにはいかないという意地があったのか、ポセイドンは再びつなみウォールを発動。

波の壁が、炎を消そうとする光景も、2度目だ。

 

 

「……そういうプライドって、神ってより人間のモノなんじゃない?」

 

「ぐ、ぐおおおおお!!!」

 

 

そして、それが破られるのも、2度目だ。

 

 

『ゴォォォオオオオル!!雷門、怒涛の攻撃で2点目だ!!点差を2までに縮めたぞおおお!!』

 

「……なんだ、これは。何が起こっている……!!」

 

 

……アフロディの余裕も、崩れ始めたな。




やりたかったことその①
ダブルトルネード
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