「僕たちは…神の力を得たはずだ…!神のアクアが無くなっても、得た力が無くなったりは……!!」
アフロディの余裕が崩れ始めて来たまま、試合は再開される。
ボールを受け取ったアテナが攻めてくるが…。
「ダッシュストーム…!!」
『ぐわあっ!!』
「オレたちの必殺技が、破られるはずがない!」
「クイックドロウ!」
「そう何度もやらせは…!」
「ブレードアタック!!」
「なにっ…!?」
「半田!!」
染岡たちを突破したアテナは、マックスのクイックドロウまでは効かなかったが、その後に続いた土門のブレードアタックによって防がれた。
アフロディだけじゃなく、他の選手の余裕も無くなってきたな。
いや、というより……。
「……今まで、その力を振り回して来て、優越感を得ていた。たしかに、強くはなったんだろうけど…」
「なにを…!」
「お前たちの事情は、よく知らない。だけど、そんな力に頼ってばっかりな今のお前たちには、負けられない…!!」
立ち塞がったアフロディを、そのまま突破する。
ああ、そうだ。この先のお前に負けるならまだしも、今のお前にだけは、絶対に負けられない…!!
「鬼道!!」
「円堂!お前も上がれ!この勢いを逃すワケには…!」
「ああ!分かった!!」
「行くぞ!円堂!鬼道!」
オレからのパスを受け取った鬼道は、円堂に声をかける。
円堂がやって来る間に、鬼道は上空へボールを蹴る。
そこへやって来た豪炎寺と、円堂も合流して、3人は飛ぶ。
『イナズマブレイク!!』
「こ、これ以上はやらせん……!!ギガントウォール!!」
現状の雷門イレブン、単体最大威力を誇るシュート、イナズマブレイクと、ポセイドンのギガントウォール。
激しいイナズマを纏ったシュートと、巨大化したポセイドンの拳が、激突する。
「ぬ、ぬおおおおお……!さ、さっきからなんなんだ!?お前たちの、この力は……!!」
「今のお前には分かるまい!神となったと驕った、お前には!!」
「オレたちの、諦めなかった想いから生まれたものだ!」
「う、うおおおおおお!?」
巨大化したポセイドンをも、打ち破った。
V2とまではいかないだろうけど、千羽山の時よりも、威力が上がったイナズマブレイク。
マジン・ザ・ハンドに集中していた円堂だけど、少しでも慣れようと、練習していたからな。
『雷門怒涛の勢いで、点差が1点まで追い付いたぞ!!このまま逆転なるか!?』
「逆転など…させるものか……!!」
余裕が崩れると言うより、焦りが見え始めたアフロディ。
パスを繰り返し攻め込まれ、ボールはアルテミスに渡る。
「いくら奪いに来ようと、突破さえしてしまえば…!ヘブンズ…」
「それをさせる前に、動きを止めればいいんだろ!?」
「なっ…!?」
そこに、土門と風丸、影野が現れ、アルテミスを囲む。
3人はアルテミスの周りを走り出し、竜巻を作り出す。
「西垣…。お前の技、使わせてもらうぞ…!!」
『ハリケーンアロー!!』
「ぐうっ!?」
木戸川清修のディフェンス技、ハリケーンアロー。
土門が主軸となって、身に付けた技だ。
「風丸、頼む!」
「ああ!」
「さばきのてっつい!」
「喰らうものか!ぶんしんフェイント!!」
「なっ…!どれが……!!」
さばきのてっついを落とそうとしたアポロンだったが、風丸のぶんしんフェイントによって、翻弄される。
みんなも、この時のために新しい必殺技を身につけていたんだ。
「半田!!」
「やらせはしない…!」
「アフロディ……!」
風丸からのパスを受け取ったオレに、アフロディが立ち塞がる。
「その程度の技より、僕たちの力が劣るだなんて…!」
「お前の力じゃないだろ…!!」
「なんだと…!?」
「今のお前の力は、神のアクアで付けた力だ!」
「力に、本物も偽物もあるとでも言うつもりか!」
「さっきも言ったけど、お前たちの事情なんてオレは知らない!だけど、お前たちだって、最初からそうだったワケじゃないだろ!!」
「何が言いたい…!!」
「お前たちだって、最初は地道に頑張って、みんなで頑張って、上を目指していたはずだ!0から必殺技は生まれない。神に関係する必殺技ばかりなのは、そういう想いがあったからなんじゃないのか!?」
「知ったようなことを……!いったいキミに、僕たちの何が分かると言うんだ!!」
そう言い合ってる間にも、オレとアフロディの攻防は続いていたが、今のアフロディの言葉が引き金となり、タックルのぶつかり合いとなった。
「……っ!知らないって言っただろ!でも、少なくともこれは言える!今オレが言ったことを、お前は否定しなかったな!だったらお前は、その時の自分に言えるのかよ!与えられた力で自分は強くなったって、胸を張って言えるのかよ!今のお前は、自分が積み上げたものじゃ、ここへは辿り着けないって言ってるようなものじゃないのか!?」
「なっ……!?」
オレの言葉に、アフロディの動きは鈍くなった。
過去のお前の事情なんて、オレは知らない。
それでも、オレは知ってるんだ。
少し先の未来のお前は、韓国の世界代表に選ばれるまでになるって。
その先でも、お前はサッカーに関われるって。
そんなお前が、神のアクアなんかに溺れるところを、2度も見たくは無いんだよ……!!
「これで目を覚ませ!ジグザグスパーク!!」
「ぐぅっ……!!」
「お前は神なんかじゃない!オレと同じ…。力を求め続けて、目標を見失って、迷った先の闇に溺れただけの、ただの人間だ……!!」
「なに……!?」
「半田!!」
「ああ、頼んだ!!」
ジグザグスパークでアフロディを止めたオレに、後ろから声をかけられる。
一ノ瀬と土門、そして円堂の3人と、その後ろには豪炎寺も走って来ている。
「半田の言う通りだ!オレたちは、今まで頑張って来たからこそ、ここにいる!」
「オレたちは、自分を裏切るようなことをしない!どんな逆境に立っても、最後の最後まで、全力で走り続ける!!」
「最後の1秒まで、ボールを追い掛けて、全力で戦う!」
『それがオレたちの……!!』
「サッカーだ!!」
3人が呼び出したザ・フェニックスを、豪炎寺のファイアトルネードでエネルギーが叩き込まれたシュートが、ポセイドンに向かって突き進む。
「う、うおおおおおお!!」
つなみウォールも、ギガントウォールも使う余裕が無かったのか、自分の手だけで立ち向かったポセイドンだったが、すぐに吹き飛ばされた。
……逃げはしなかった、か。
『ゴォォォオオル!!雷門、ついに同点!あの大きな差を埋めて、追い付いたぞおおおお!!』
「…………………」
「アフロディ…」
今までと違い、色んな感情が混ざったような顔をしたアフロディが、ポジションへと戻って行く。
余裕が無くなったのは分かったけど、あの感じだと……。
「まさか、あの差を埋めて来るなんて……」
「オレたちの力は、神の力は……」
……それより、他のメンバーがだいぶ来てるみたいだな。
ポジションには戻っているが、その表情は死んだも同然だった。
だが、そんな状態でも、試合再開の笛は鳴らされる。
「………まだだ」
「えっ……?」
「まだ試合は終わっていない…。同点に追い付かれたなら、もう1点取るだけだ……!!」
「ヘブンズタイムなら、もう対策してるぞ!!」
ドリブルで攻め込んで来たアフロディを、再び土門たちが囲む。
いつでもハリケーンアローを使えるが……。
「ならば、それよりも前に…!」
「なっ……!?」
3人が走り出す前に、アフロディはボールを蹴り上げ、それを追う。
また打って来るか……!
「今度は、壁山くんしか障害はない!これを止められるものか!ゴッドノウズ!!」
「少しでも…!ザ・ウォール!!」
最後のディフェンスの壁山が、少しでもゴッドノウズの威力を封じてくれた。
その間に、オレと染岡が…!
「今度こそ、止めてみせる…!ゴッドハンド!!」
『うおおおおおお!!』
なんとか、円堂を支えるまでは間に合った。
だが、それでもゴッドノウズの力は絶大だ……!!
「ぐ、ぐぐぐ……!!」
「くそ…!これを止めれなきゃ……!!」
何とか、抵抗してはいるが……。
『うわああああ!!』
止めることは叶わず、ゴッドハンドは砕け、オレたちは吹き飛ばされる。
くそ…!ここまで来たってのに……!!
「ファイアトルネード……!!」
「なにっ……!?」
「ご、豪炎寺!?」
そこへ豪炎寺がやって来て、ファイアトルネードでゴッドノウズを防いでいた。
お前も、ここまで下がってきてくれたのか……!
「はああああああ…!」
何とかゴッドノウズの威力を抑え切り、蹴り上げる。
ボールはゴールの後ろへ行ったが、豪炎寺の決死の護りで、ここはどうにかなったな……。
「あ、ありがとな…。豪炎寺……」
「あ、ああ…。ぐっ……!」
「豪炎寺!?お前、今ので足を……」
「大したことにはなってない…。だが、オレはここまでみたいだな…」
一応、豪炎寺の足を見てみたが、たしかに大きな怪我にはなっていなかった。
でもどちらにせよ、今まで豪炎寺はたくさんのシュートに参加し続け、今ので体力を使い果たしたようだった。
「交代…だな。染岡のワントップになるけど、さっきみたいに、ザ・フェニックスにオレが混ざれば……」
「……いや。円堂も次の攻撃を防ぐ頃には、そこまでの余裕は無くなるだろう」
「……まあ、否定は出来ないけど…。でも、それ以外に……」
「……半田」
「な、なんだよ」
「お前がフォワードに立て」
「……………」
オレが、フォワード……か。
「……分かった。絶対に、決勝点を取ってくる」
「………任せたぞ」
「豪炎寺さん。あとはオレも‥!」
「ああ…。少林も、頼んだぞ」
豪炎寺に代わって、少林が入る。
少林のポジションはオレのところになり、オレは豪炎寺がいたところ、フォワードになった。
皇帝ペンギン2号が止められてるなら、オレたちのシュートに賭けるしかないってのは、薄々感じていたことだった。
それよりも前に、このコーナーキックを乗り越えなきゃな…。
「アフロディ…!」
「この距離で、防ぎ切ることなど出来るものか……!!ゴッドノウズ!!」
ヘラが蹴ったボールはアフロディへと渡り、すぐさまゴッドノウズへと移った。
アフロディの言った通り、ゴールに近いこの位置では、壁山のザ・ウォールは使えない。
防げなかったとなると、壁山が吹き飛ばされ、円堂もそれに巻き込まれる形になるからだ。
「それでも…!!」
「オレたちなら、行けるから…!!」
「ああ…!少しでも削るぞ!!」
『スピニングカット!!』
鬼道たちが、スピニングカットを張ってくれた。
3人はすぐに正面から離れ、巻き込まれないようにしてくれた。
あとは、オレたちだな。
「……なあ、染岡」
「……分かるぜ、半田」
「えっ…?どうしたんだよ、2人とも」
「大介さんのページに書かれてたゴッドハンドトリプル。あれ、本当はゴッドハンドを使えなくてもいけるってことだと思うんだ」
「今までは、オレたちが後からお前を支えてたけど、今は違うだろ」
「あっ…!そうか!今の状況なら、最初から……!じゃあ、頼んだぞ!半田!染岡!!」
「ああ……!行くぞ!!」
「おお!!」
スピニングカットの壁を突破して、ゴッドノウズが突き進んでくる。
だけど、今までのオレたちとは違う。
オレと染岡の手にも、円堂に反応するように、黄色いオーラが宿っている。
3人がゴッドハンドを使う必殺技じゃなくて、3人が共にゴッドハンドを作る必殺技…。
それが、この技の正体だったんだ……!!
「ゴッドハンド!!」
『トリプル!!』
円堂がゴッドハンドを掲げた後に、オレと染岡も腕を掲げる。
すると、ゴッドハンドがさらに巨大なものとなる。
『うおおおおおおお!!』
「3人で……神の手を作り上げるだと……!?」
……今度は、止め切ったぞ。アフロディ。
『と、とととと、止めたああああああ!!あの猛威を振るったゴッドノウズを、円堂と染岡、半田のゴッドハンドトリプルで、防ぎ切ったぞおおおおお!!』
「すごいですよ!ゴッドノウズを止めるだなんて!!」
「ふふっ。あの3人なら、どんなことだって出来ちゃうよ。ね?つくしちゃん」
「………うん!」
たしかに、オレたちは止め切ることができた。
あとはオレたちが、得点を奪うことが出来れば、勝てる。
「…………………」
………オレにも分かるぞ、アフロディ。
その、時計を睨み付けるその目。
お前はまだ、諦めちゃいないんだな。
逃げませんでした(作者感
やりたかったこと②と③
イナズマブレイクでポセイドンを吹っ飛ばす。
この3人のゴッドハンドトリプル。