先に言ってしまうと、原作と流れはそこまで変わらないので、ちょくちょく省略します。
あと感想欄で冬海先生ヒロイン説が流れてて笑いました。
「……で、その豪炎寺と話はつけれなかったってことか」
「ああ…でも、アイツは絶対来る!」
あれから少し経って、前回通りマックスと影野が入部して、風丸が助っ人として入って、最後の1人に目金が滑り込んだ。
試合が決まった日の翌日に、円堂が1人で河川敷で練習してた時に、豪炎寺と会ったらしい。
なんか、微妙に変わってるな?前回の円堂の話だと、帝国との試合が決まるよりも前に会ってたはずなんだが。
「来ねぇヤツのことなんか気にしても仕方ねぇだろ。そいつがいなくたって、オレが点を奪ってやるよ!」
「まぁ、たしかに豪炎寺が気になるのは確かだけど。いない人間ばかりを頼りにするのは違うよな」
「そこは分かってるさ。マックスと影野と目金も入ってくれて、風丸が助っ人に来てくれたしな!帝国相手でも、くらいつけるはずだ!」
「うん。僕も頑張るよ。器用さが売りだから、そこそこ頼ってね」
「………頑張って、目立つ」
「おいおい、自分で言うのも情けないけど、オレは付け焼き刃だからな?全力は尽くすけどさ」
「いや、ホント助かるよ風丸。引き受けてくれて、マジで感謝してる」
「あんな円堂の姿見たら、放っておけなくてさ。サッカーは付け焼き刃だけど、走りなら任せてくれ」
助っ人に入ることが決まった時にも言ったけど、改めて風丸に感謝だな。おかげで人数がギリで足りてる。
本当は陸上部なのに、これからサッカー部に入って、日本一と世界一をもぎ取り、10年後にはプロリーグでサッカーをすることになる。
……風丸にとって、陸上に戻って続けるのか、そのままサッカーを続けるのか、どっちが風丸のためになるのかは、オレには分からない。分かるはずがないんだけど。
どっちにしろ、風丸は自分で道を選ぶんだ。今回はどうなるかは分からないけど、少なくとも、今は風丸とサッカーが出来るのも、嬉しく思う。
「ふっふーん、この僕が入ったのなら、勝ったも同然ですね!」
「………ああ、うん。お前もありがとな。うん。ありがと」
どこからその自信が出てくるのか知らないけど、コイツも入ってくれなきゃ人数が揃わなかったワケで。
まぁ、目金も目金で、やる時はやる男なんだけどな。今はこんなだけど
「………なにか、来たよ」
校門の方から、凄い音が聞こえる。車輪の音だな。
…今でも忘れない。あの帝国学園の移動車。帝国学園が帝国たることを示す重厚さ、そこから現れる最高峰のサッカープレイヤーたち。
「……………ふっ」
鬼道有人。帝国学園のキャプテンであり、最高のゲームメイカー。
その実力は、オレもよく知っている。仲間として戦った時の、あのゲームメイクは、今でもよく覚えている。
だが、今は相手として…いや、雷門を叩き潰すために、目の前に立とうとしている。
影山のサッカーを信奉している今の鬼道は、容赦なく、オレ達を叩き潰そうとするだろう。
「……負けて、たまるか」
その言葉は、少し…いや、大分震えていた。
「さぁ!雷門中サッカー部と帝国学園サッカー部の試合が!いよいよ始まります!!」
「………木野さん。彼はいったい?」
「えーと、将棋部の角馬くんで、実況がしたいみたいで…」
「……放送部じゃないんですか」
あの移動車から帝国学園のメンバーが出てきて、鬼道曰く慣らしのための練習が終わり、試合が始まる。
あの慣らしの練習って、この時点でオレたちに格の違いを見せつけるためのものだよな。
「……半田。さっきのアイツら、すごかったな」
「円堂。まぁ、たしかにすごかったけどさ。でもあれ、動きが大袈裟じゃなかったか?」
「あ?どういうことだよ、半田」
「染岡も。さっきあのキャプテンが、慣らしって言ってたけどさ。慣らしのわりには、動きが派手な気がするんだよ。多分あれって、慣らしじゃなくて、オレたちに見せつけるためなんじゃないか?」
「お、おぉ…そうか…」
……これ、前回も誰か言ってたっけ?覚えてないんだよな。
「……まぁ、だからなんだって話なんだけど。アイツらの動きは、オレたちと全然違うのは、変わらない事実で。あんなことするなら、オレたちに何をしてくるか……」
「………だからって、負けられる理由にはならないさ」
「………ああ。もちろんだ」
こんなところで、負けてたまるか。
オレは、みんなとサッカーをし続けたいんだ。
と、粋がったのはよかった。
最初は前回同様、帝国に大きな動きはなく、染岡が未完成のドラゴンクラッシュを打ったが、キーパーの源田に止められた。
「キラースライド!」
「サイクロン!」
それからは、蹂躙だった。
攻めに行った染岡やオレたちは、ディフェンス技をくらい…
「ジャッジスルー!」
止めに入ったディフェンス陣も、危険なドリブル技であるジャッジスルーは全員喰らい、ダメージが重なっていき…
「百烈ショット!」
「フリーズショット!」
数々のシュート技が円堂に襲い掛かり、それをもろに喰らってしまい…
「デスゾーン、開始。そしてやつを引きずり出せ!」
それはもはや、処刑宣告だった。
佐久間たちが回転しながら宙に浮き、ボールにエネルギーを込めて3人で放つ強力なシュート。
「デスゾーン!」
これも、円堂は止めきれず、今度は顔面に喰らってしまった。
それからも、帝国のラフプレーは続き、ボールを叩き込まれるわ、壁山に至っては直接ボールを蹴られたりされ、オレたちは続々と倒れてしまう。
こうなることは分かっていたが、対処のしようがなかった。
オレたちと帝国の力では、差がありすぎた。
「出てこいよ。出てこい。さもなければ、最後の1人を…アイツを…!」
くそっ…円堂……!
「ふざけるな…!こんなの、こんなのサッカーじゃねぇ……!!」
「風丸……!?」
「もう…もう…いやだああああ!!」
「目金くん!?」
風丸が円堂に向かって撃たれたシュートに割って入り、なんとか止めるも、完全に倒れてしまう。
それを見た目金は、ユニフォームを捨てて逃げ出した。
「ぐっ……風丸……!」
……対処のしようがなかったと言ったが、正確には違う。
オレは、こうなることを知っていた。にも関わらず、何をしてくるか分からないぐらいのことしか言えなかった。
オレが帝国の試合を知っていたことを隠したかった?
違う。帝国学園の試合を知っていたところで、怪しまれることはない。無敗であることを知ってるのだから、試合内容を知っていても、おかしくない。
なら何故言えなかったのか。それは、それを言うと、他のみんなが帝国と戦うのを嫌がると思ったから。
豪炎寺が来るまでの辛抱、そう思っていた。
「ふざ……けるな………!」
なにが嫌がると思ったから、だ。みんなとサッカーをしたいと言っておきながら、立ち上がってくれたみんなを信じ切れていなかった。
それに、自分でいない人間を頼りにしてもと言っておきながら、心の中では頼りにしていた。
「オレは…オレは……!」
前回と変わらないどころか、それよりもダメじゃないか。
自分で言っておきながら、それに裏切っていた。
「みんなで…サッカーをするって……決めたんだよ……!!」
こんなところで、終わってたまるか……!
「ほぅ、まだ立ち上がる気力があったか」
「お前1人で立ち上がって、なにが…」
たしかに、オレ1人が立ち上がっても、試合に影響はないだろう。
だが、それでも……
「負けて…たまるかあああああああ!!!!」
ボールと共にジグザグに移動して、青白いオーラを纏う。
これが、オレの……!
「ジグザグスパァァァァクッ!!!!」
「なにっ!?」
前回、オレが練習の時に形だけ身につけ、FFIではリトルギガントの選手が使ってたドリブル技。ジグザグスパーク。
それを絞り出し、帝国のディフェンスを突破し、そのままボールと共に飛び上がる。
「ロォォォォリング!キックッ!!!!」
ローリングキックを源田にむけて放つ。
「…ふん」
だが、それも止められてしまう。
それはそうだった。未完成のドラゴンクラッシュに劣るのだから、止められるのは当たり前だ。
「くっそ……!!!」
だけど、分かってはいても、悔しいことに変わりはない。
「……威勢はよかった。あのドリブル技もなかなかだった。だが、そんなシュートではオレを破ることは不可能だ」
「届かなかった………か………」
二度の必殺技で気力を使い果たし、オレは気を失ってしまった。
「半田!!」
半田が怒涛の勢いで帝国に攻めに行ったが、そのシュートは届かなかった。
「……無駄なことを」
「………いま、なんて言った」
「なに?」
「なんて言った!!」
半田がやったことを、無駄とは言わせない。
諦めずに立ち向かって、シュートを打った半田を、馬鹿にさせない。
この試合に出てくれた他のみんなもだ。雷門のみんな、みんなのためにも、負けられない。
「……どっちにしろ、もう終わりだ。この有様で、何が出来る」
「まだ…終わってねぇぞ!!!!」
終わりになんて、させるか!!
「円堂くん……」
「……………そこのキミ、ユニフォームならありますから、行ってきていいですよ」
「えっ…?」
「…………………」
「おい!なんだあれ!」
「あんなやつ、サッカー部にいたか?」
「……来てくれたんだな。豪炎寺…!」
「……大丈夫か?」
「ああ、オレは大丈夫だけど,みんなが…」
「……そうか。とくに、あの半田ってヤツは、気力を使い果たしたようだな」
「……アイツは、オレと同じ……もしかしたら、オレよりもサッカー部を無くしたくないって気持ちがデカくて、サッカーへの気持ちも、熱くて、デカいんだ」
「………………」
「アイツのさっきの頑張ってるとこ見たら、オレも負けてられない」
「………オレもだ」
「…………終わった、のか?」
オレが目を覚ました時には、試合が終わって、帝国が帰った後だった。
スコアボードを見る限り、1点入ってて、豪炎寺がいるとなると、前回と同じって感じか。
…………ん?豪炎寺が、いる?
「………お前は?」
「…オレは豪炎寺修也。これから、よろしく頼む」
…………あれ、豪炎寺が入るのって、このタイミングだったか……?
豪炎寺 が 仲間になった !