試合が終わり、オレたちは奈良公園を後にした。
その前に、オレたちに仲間が増えたことを説明しないとな。
「しかし、本当に着いてきてよかったのか?総理の娘が全国行脚って、そう簡単には無理だろ」
「私自身は普通の女の子だから、気にすることないって言ったじゃん。それに、パパを探さなきゃいけないんだから」
「……さっきも言ったけど、止めはしないけどさ」
「と言うより、こっちも本当に良かったの?って聴きたいんだけど。雷門中サッカー部だって知ってたのに、宇宙人の手先扱いしたこと」
「さっき円堂が言ってただろ。オレたちも同じ気持ちだよ」
この通り、塔子が仲間になった。
着いてきてくれるというのは、正直助かる。
ポジションで言ったらミッドフィルダーなんだけど、あのザ・タワーは強力なディフェンス技だった。
人数を削がれたオレたちにとって、渡りに船みたいなものだ。
………と言うか、それより…。
「…………で、そこの3人はいつまで端っこにいるんだよ。もっとこっち来ていいって言ってるだろ」
「え、えーっと……」
「そ、そのー……」
「……………お、おう」
「だから、さっきからなんだよ。その反応」
「…………………」
『監督!なんでオレたちが出てはいけないんですか!?』
『今は有利っすけど、やっぱ8人はキツいっすよ!』
『オレたち出せば11人だろ!早く出してくれ!!』
『………まーだ抗議してんのか、お前ら』
『だって!納得出来ないっす!』
『……あのな。染岡、風丸、壁山』
『ああ!?なんだよ、半…田……』
『まだそれ続けるなら、オレ本気で怒るからな^^』
『えっ、は、半田……?』
『マジだからな。本気で怒るからな^^』
『………えっ、えっと……』
『^^』
『…………お、おう……』
「い、いや、なんでもねぇぜ。半田」
「そ、そうっす!ちゃんと治療してもらったから、大丈夫っすよ!」
「だ、だから、しばらくはちょっとここいるよ。いや、いさせてくれ、頼む」
「答えになってないと思うんだけど」
「あ、あはは……」
まあ、本人たちが言う通り、あれからちゃんと治療してもらってたから、もう大丈夫ってのは本当だ。
全く。状況的に無理したくなる気持ちは分かるけど、こんなところでまた退場者とか出たら目も当てられないんだからな。
説教はしないで済んだけど。
「よーし、目的地に着いたぞ!」
「………ここが奈良シカTV局」
「ここにアイツらがいるってことだよな」
オレたちが試合を終えた後、突然奈良公園のビジョンにレーゼたちが映し出された。
スミスさんによると、あの映像は日本全国に向けて発信されていたらしく、ここがあの映像の発信源らしい。
そんな偶然があるのかと、一瞬思ったけど……。
「………………」
「………豪炎寺。大丈夫か?顔色が優れないけど」
「……体調が悪いワケじゃない。気にしないでくれ」
「……そうか」
………そういうこと、なんだろう。
豪炎寺。オレから何か言うことは出来ないけど……。
とにかく、オレたちは進まなきゃいけない。
これから、何が起きようと。
「SPフィクサーズだ!ここを通して!」
「え、SPフィクサーズと言うと…。財前総理の……?」
「さっきの映像は、ここから発信されたってのは掴んでる!ハッキングされたってのも察してるから、すぐに通して!」
「わ、分かりました…!ですが、そちらは…」
「協力者たち!さっさと開けて!」
「は、はい!」
塔子やSPフィクサーズと同行してたから、すぐに入ることが出来た。
たしか、前回の時はこんなスムーズには行かなかったとか言ってたよな。
だから奈良県最強って言われてる選手をスカウトしたとか……。
「どこかのスタジオを占拠してたんだとしたら、すぐに話が広がるはずだ」
「それに、さっきの映像、後ろにフェンスが見えたよね」
「と、なると……」
鬼道と一之瀬が言ったことを基に、アイツらがいる場所を特定する。
たしかに、アイツらの後ろにはフェンスが見えていた。
となると、ほぼ屋上ってことになるな。
「すみません!荷物用のエレベーターって、屋上に繋がってますか!?」
「えっ?は、はい……。繋がってますよ。あちらの奥、角を曲がった先にありますが……」
「どうも…!よし、みんな!こっち行くぞ!」
「なんでだよ半田。エレベーターならそこに……」
「オレたちの人数考えろ!普通のエレベーターなんて使ってたら、何往復すればいい!」
「そ、そうか……」
「大谷たちはそれに乗ってくれ!瞳子監督、4人を頼みます!」
「……ええ」
「先に着いても、少し待っててくださいよ!」
そう言い残して、オレたちは荷物用エレベーターの方へと走る。
案内表示を見れば、受付の人に聞いた通り、この角の先に……。
「うわっ……!」
「あっ、す、すみません!急いでて……」
「き、気を付けてくれよ……」
「ああ…。本当にすみ……」
曲がり角の先で人にぶつかってしまい、もう一度謝ろうとして、改めて目の前の人の顔を見る。
あれ、前回の時に見たような顔が目の前にいるんだけど。
「………あの、さ。キミの名前って、中谷だったりしない?」
「えっ…?そ、そうだよ……。この辺りじゃ見ないジャージなのに、ボクのこと知ってるんだね…」
「中谷……?奈良で中谷となると、中谷真之か……?」
「き、鬼道有人……!?って、キミたち、よく見たら雷門イレブン!?ど、どうしてこんなところに……」
「鬼道。中谷って?」
「奈良県最強と呼ばれるサッカープレイヤー、中谷真之。所属校も所属チームも不明だが、その噂が一人歩きしている。実力は本物なのは、オレも知っているがな」
「そ、そうなのか!?奈良県最強って、お前すごいな!」
「に、日本一になったチームのキャプテンに褒められた…。へへ…」
「しかし、半田はよく知っていたな」
「あ、あー……。前にニュース番組で、見たことあってさ」
「ふむ。たしかに、何度かテレビに出ていたな。今回も、その関係だろうが……」
「………………」
よし、決めた。
「……頼む!オレたちと一緒に着いてきてくれないか!?」
「え、ええ!?なに、急に!?」
「お前の力が必要なんだ!頼む!」
「おい、半田。そんなこと急に言われても困るだけ…」
「ボ、ボクの力が必要…?よ、よし!このボクに任せとけ!」
「マジかよこいつ」
よし。また1人仲間を増やすことが出来た。
鬼道も言った通り、実力は本物なのは、前回の時にオレも聞いた。
頼りにさせてもらうぞ、中谷。
「よろしくな、中谷!オレ円堂守!」
「し、知ってるよ……」
「自己紹介はあとだ、円堂。はやくエレベーターに乗るぞ」
「……………………」
………豪炎寺、オレは見逃さなかったぞ。
お前、いま中谷が仲間になったのを見て、ちょっと安心しただろ。
たしかに、オレはほぼ無理やり中谷を仲間にしたけど、決して代わりを求めてってワケじゃないんだからな。
これが全部終わったら、お前にも説教だぞ、豪炎寺。
「見つけたぞ、エイリア学園!」
「ほう。まさかそこまでとは思わなかったぞ。以前の大敗を経ても尚のこのこ来る愚か者の集まりとはな」
「何とでも言え!財前総理を返してもらうぞ…!」
「ああ!絶対にお前たちを倒して、パパを取り返す!」
「は、話の流れは聞かせてもらった…!ボクも、本気でやらせてもらう…!」
「…………総理の娘と、奈良県最強プレイヤー、か。いいだろう。己の無力さを思い知るがいい」
二度目のジェミニストームとの戦いが、始まろうとしていた。
新たな仲間が塔子だけとは一言も言っとらんぜよ。
急に言われてもすぐに仲間になったのはゲーム準拠。
^^のとき、染岡たちにはなんか半田の背後からオーラが見えたらしいです。
なお、その時のことについて、未来の染岡たちは
「錦の化身みたいな影が一瞬見えた」
と語るとか語らないとか。
別にこれは伏線でも何でもないです(作者感