「………」
イナズマキャラバンの中で寝泊まりさせてもらってるボクは、ふと目が覚めてしまって、外へと出た。
白恋中…と言うより、北ヶ峰の近くは、季節問わずに雪が積もってて、夜となると更に寒くなるんだ。
ボクとかは普段から動いてるから、そこまで寒さは感じないんだけど、東京や奈良から来た雷門中の人たちには、あまり経験したことのない寒さだと思うんだけど……。
「やるな、半田!残り2人まで追い詰めるとは…」
「うん…!みんなのためにも、負けてられないね!」
「あとは鬼道と一之瀬だけだからな。2人とも、あの仲間にしてやる」
………なんだか、楽しそうに雪合戦してる。
それはとても良いことだと思うんだ。うん。それ自体は、仲が良いんだなって思うぐらいだから。
でも、あの…半田くん?が言ったことなんだけど、あの仲間ってのは……。
「うー…。オレ自身のスピードはあっても、雪のスピードでは負けちゃったか」
「しかも、アイツ一度フルボッコにされてたもんな?起き上がったと思ったらこのザマって。鬼道と一之瀬には、仇を取って欲しいもんだ」
「そ、それより……。円堂や染岡は、大丈夫なの……?」
「あー……。まあ、大丈夫だろ。オレたちも人のこと言えないと思うし」
「これ終わったら、全員でもう一回風呂だな」
雪だるまが、並んでる。
頭と腕だけ出されて、それ以外が大きな雪玉で埋められてる、人間雪だるまが、並んでる。
その雪だるまが、たしか…。風丸くん、土門くん、中谷くんだったよね?その3人で…。
残ってるのは、鬼道くんと一之瀬くんだけ。
じゃあ、中谷くんが言った、円堂くんと染岡くんの行方は…。
「……………」
「……………」
………えっと。これ、なんて言うんだっけ。犬がm…。
「こらぁ!みんな何してるの!明日も早いんだから、早く寝る!」
「やっべ!オカンに見つかった!逃げるぞ!」
「誰がオカンよ!」
と思ってたら、マネージャーの木野さんがやって来て、3人は逃げて行った。
誰がオカンよって言ったけど、それを言う人って大体オカンな人だと思うんだよね。
「おーい、アキ。追いかけるのはいいから、オレたち助けてくれよ。とくに円堂と染岡。そこにいる吹雪も、悪いけど助けてくれ」
「もー。また半田くんに仕掛けたんでしょ?ゴメンね吹雪くん。手伝ってくれる?」
「えっ……。あっ、うん……」
「じゃあ先に土門くんたち解放して、あの埋められてる2人を助けるのに合流しよっか」
「………えっと。木野さん」
「なに?」
「あの…。見ての通り、円堂くんと染岡くん、頭から雪に埋められてるんだけど、驚かない…?」
「うーん…。そりゃあ、初めて見た時は驚いたよ?」
「………初めて?」
「うん。これ初めてじゃないもん」
雷門中どうなってるの…?
「グラウンドを借りれなくて、雪の積もった部室前で練習してたんだけどさ。どういう流れかまでは覚えてないんだけど、雪を抱えた円堂くんと染岡くんが、そのままその雪を半田くんに掛けたんだよね」
「2人はなにしてるの…?」
「ああ、オレも見た。半田のヤツ、そのまま雪に倒れてたよな」
「そう言えば後から風丸くんも来たっけ。それでその後、起き上がった半田くんに捕まった2人が、こんな感じで報復を受けてたんだよね」
「半田くんはなにしてるの…?」
「まあ、仕掛けたコイツらが悪いからな…っと!」
「いやぁ、ひっさびさの体験したぜ。サンキュー!」
「おーいお前ら。大浴場開いてるの確認したから、みんなで行こうぜ」
「それにしてもすごいね、白恋中。校舎の中に温泉あるなんて」
「北海道の山奥にあるからな。そこまでの驚きは無いが」
そうしてたら、逃げたと思った3人が戻って来た。
………埋めた本人が、身体を気にしてるってことなの…?
「おっ、まだ開いてたか。んじゃあ雪まみれのみんなで行こうぜ」
「な、奈良に住んでるボクには、染みる寒さだよ…」
「吹雪も行くか?」
「ボクは大丈夫……。このままキャラバンに戻るよ」
「そっか。じゃあおやすみ、吹雪」
「………うん。おやすみ」
「湯冷めには気をつけるのよー」
………色々すごいね。雷門中。
「みんな、大丈夫?」
「ああ。誰1人体調崩してないぜ」
「あんなことがあったのに…?」
「オレがみんなを再起不能にさせると思うか?」
「ああ。コイツがそんなことにさせるとは思わんな」
「雪に埋めたのに…?」
翌朝、みんな元気で昨日と同じく、ジャージを着て集まった。
吹雪がすごい微妙な顔でオレを見てるけど、お前ってそんな顔出来たんだな。新しい発見ってヤツだな。
というワケで、みんな集まったらやることは1つ。特訓と行きたいけど……。
「ねえ、雷門中のみんな」
「ん?えーっと、荒谷だっけ?どうしたんだよ」
「遠目だったけど、昨夜雪合戦してたでしょ」
「見てたのか。やってたぞ」
「雪合戦…?」
「雪合戦で、いいのか…?」
「アレって雪合戦じゃなくない…?」
「やってたぞ。雪合戦。そうだよな?」
『ああ』
「脅してたワケじゃないのに、意見が変わった……」
「じゃあさ!白恋と雷門で分かれて雪合戦しようよ!特訓する前に、身体を温めるのも兼ねてさ!」
「おっ、いいなそれ!」
「昨日は事前にサッカーをしていたが、今は起きてからそこまで経ってない状態だ。身体を温めるのは、必要なことだな」
「じゃあ、私たちは何してようか?休憩のお水とかはもう用意してるし…」
「あっ!じゃあみんなでかまくら作りません!?東京じゃ絶対出来ないですし!」
「たしかに。東京じゃこんなに積もったりはしないものね…」
「ふふーん!こんな時のために、かまくらの作り方を調べておきましたからね!ボクに任せてください!」
「じゃあ、しばらくかまくら作ってよっか」
マネージャーたちが離れたのを確認したオレたちは、一度雷門と白恋で離れ合い、少し経ってから古株さんが開始の笛を鳴らして、雪合戦が始まった。
「おっと…!さすがは北海道。良い球投げるな!」
「東京の人には、負けられない」
「ちょっと!鬼道くん今の当たったでしょ!?」
「フッ…。マントはセーフだ!」
「そんなのあり!?」
「実際、身体には当たってないしな…」
「じゃあ、アフロはセーフにはなるッスかね!?」
「なるワケないでやんしょ」
「実際に身体に当たってるからな…」
「マントはセーフなのに、アフロがアウトはおかしくないッスか!?」
「マントが鬼道から直接生えてたら、その理論は認めてたよ」
身体は温まってるけど、代わりにIQが下がってる気がする。
それからもしばらく「マントはセーフだ!」とか「ゴーグルはセーフだ!」とか聞こえて来たな。
マントはともかく、ゴーグルってどうなの…?
「白恋中サッカー部。我らと戦え。さもなくば、貴様らの学校を破壊する」
そしてついに、その日はやって来た。
Q.コイツらなにやってんだ?
A.中学生なんだから青春したっていいだろ。
当作は飴と鞭をしっかりしてます故。