「荒谷たち、ここは任せてくれ」
吹雪たちによる特訓から数日後。
突然現れたジェミニストームが、白恋中サッカー部へ宣戦布告しようとしていたところに、オレたちが割って入った。
「まさか、こんなところにもいたとはな。奈良から北海道まで、ご苦労なことだ」
「お前たちこそ。こんな雪山の学校まで来て、暇なのか?」
「売り言葉に買い言葉、か。いいだろう。そこまでして戦いたいのであれば、挑んでくるがいい。最も、お前が味わうことになるのは、雪の混じった土の味になるだろうがな」
「言ってろ。その上から…、いや。宇宙から目線とでも言うのか?今日こそ叩き落してやるよ、ジェミニストーム」
売り言葉に買い言葉って、吹っ掛けてきたお前が言うなよ。レーゼ。
思わず宇宙から目線だなんて、意味分かんないこと言っちゃっただろ。
「雷門中のみんな、大丈夫…?」
「ああ。円堂の言った通り、オレたちに任せてくれ」
「アイツらとは因縁がある。そう何度も負けると思うな」
「地球にはこんな言葉がある。二度あることは三度ある。いい加減学習するべきだ。弱きものよ」
「地球にはこんな言葉があるよ。三度目の正直。そう何度も勝てると思わない方がいいんじゃないかな?」
「…ほう。言うじゃないか。貴様、この地で仲間になった者か」
「宇宙人相手だけど、名前を名乗ろうか。ボクの名前は吹雪士郎。ボクには雷門中ほどの因縁は無いけど、この試合は勝たせてもらうよ」
「……………ずいぶんな自信だな。驕った者は身を亡ぼす。貴様の末路、見ものだな」
「驕った者云々は、お前が言えることじゃないだろ」
そう言い放ったレーゼは背を向け、他のジェミニストームの面々もそれに続いた。
まあ、鬼道と吹雪の言う通りだ。今日こそアイツらに勝つぞ。
「みんな、今日こそ決着を付けるぞ」
「あんな学校破壊なんて、もう起こさせはしない」
「あの特訓で、かなりの力を付けたはずだからね。あんな目には遭ったりしないよ」
「やる気は十分なようで、何よりです。ポジションは、あなたたちが決めたものにしなさい。私に異論はありません。ですが、前半は先の私の指示通りに」
「分かりました。みんな!行くぞ!」
『おお!!』
オレたちが決めたポジションと言うのは、以下のもの。
FW:染岡・中谷
MF:オレ・鬼道・一之瀬・風丸
DF:吹雪・塔子・壁山・土門
栗松の代わりに吹雪が入っただけのように、レーゼたちは見えるだろう。
「さあ!これより雷門中サッカー部とエイリア学園ジェミニストームとの試合が、始まろうとしています!!」
「流石に驚きは無いわね」
「はい。白恋中との試合から、そんなに経ってないですし」
「学校も休校中だもんね」
「むしろ居ない方が驚いてたかな…」
角馬もいたか。実況頼んだぞ。
この試合は、ジェミニストームのボールから始まる。
ディアムが蹴ったボールは、隣のリームへ。
「攻めろ。1点でも5点でも奪えば、奴らは三度思い知ることだろう」
「はっ」
レーゼの指示が、リームに届く。
ドリブルで攻め、そのまま点を奪いに来るつもりなんだろう。
「させないよ…!」
「なっ…!?」
そこへ、中谷が立ちはだかる。
前の方にいたオレたちならともかく、FWの中谷が目の前に現れたことに、驚きを隠せなかったのだろう。
「パ、パンドラ…!」
「…?今の速さは、いったい…」
思わずバックパスを選んだリームを見て、レーゼは表情を歪ませる。
パスを受け取ったパンドラは、リームの本来の目的を果たそうとするのだろう。
「今のは、リームが油断しただけ…!」
「じゃあ、キミは違うとでも言うつもり?」
「くっ!?イオ…!」
「やらせるか!」
「なんだと…!?」
中谷のように、一之瀬がパンドラに立ちふさがり、パンドラを止める。
そこから、イオにボールが渡る間に、オレがカットする。
「この動き、まさか…?」
「行け!半田!」
「ああ!フリーズショット!!」
そのまま、オレはフリーズショットを発動。
点を奪えるとは、思ってはいないが…。
「貧弱なシュートだ…?」
シュートを止めたゴルレオは、違和感を覚えているようだった。
当たり前だ。オレたちがしてたのは、あのスピード特訓だけじゃないんだからな。
「…レーゼ!」
「少しは、力を付けたようだな。だが…」
「風丸!」
「ああ!」
「我々の必殺技を、破ることは不可能だ。ワープドライブ!」
『なっ…!?』
レーゼが右手から展開させた謎のゲートに、アイツはボールと一緒に入っていく。
すると、アイツの姿は無くなった。
2人の少し後ろにゲートが開き、2人を突破することになったけど、それ宇宙関係ないだろ。
「砕け散るがいい!アストロブレイク!!」
そして、奈良でも見たあのシュートを、再び使ってきた。
シュートを打つまでに少し間があっても、一度打たれてしまえば、かなりのスピードで進んでいくんだよな…!
「ザ・タワー!!」
「ザ・ウォール!!」
塔子と壁山がブロックしてくれるも、すぐにそれぞれ崩れてしまう。
ワープドライブからそこまで時間が経ってなかったこともあって、マジン・ザ・ハンドは間に合わないか…。
「ゴッドハンド…!!」
円堂はゴッドハンドで抵抗するも、勢いを殺しきることができず、得点を許してしまう。
「ゴォォォォル!!先制点は、エイリア学園ジェミニストームだあああ!!」
「やっぱり、すげえパワーだ…!」
「大丈夫か?円堂」
「ああ。前ほどじゃない。これ以上の点は、許しはしないさ!」
そう言った円堂が、見栄を張ってるワケではないというのは、オレにも分かる。
今と同じ状況で、以前ならゴッドハンドすら間に合ってなかったはずだ。
「…染岡。吹雪。どうだ?」
「前半は厳しいが、後半は行けるはずだぜ」
「うん。こっちも同じ。監督の指示通りでよさそうだよ」
「………分かった。みんな!このままいくぞ!」
『ああ!』
「何を考えているか知らないが、ここから何が出来る?絶望を抱いてないのは結構だが、それは空元気にしか見えないな」
レーゼがこっちを見てそう言うが、アイツはまだ気付いていない。
いや。認めたくないんだろう。
さっきのお前のつぶやき、聞こえてるんだからな。
「ここで前半戦が終了!スコアは0:1!まだ試合の行方は分からないぞ!!」
「………どういうことだ?あれから、1点も奪えなかっただと…?」
前半が終わったが、レーゼの言う通り、あれから失点することはなかった。
こちらも得点を奪えなかったから、膠着状態が続いたとも言えるんだけどさ。
「監督。後半からは…」
「ええ。吹雪くん。いいわね?」
「分かってるよ。あとは…」
吹雪は、マフラーに手を当てる。
それがトリガーなんだろう。吹雪の雰囲気が変わった。
「オレに任せな」
「じゃあ、試合前に話した通りでいいよな?吹雪と中谷とオレでポジションを変える」
「ああ。トライアングルの形になるな」
「交換ってワケじゃないしな…」
図にすると、中谷→風丸→吹雪→中谷って、それぞれがいたポジションになるんだけど。
まあ、染岡と吹雪でツートップになるって分かれば、それでいい。
だけど、アイツらからしたら、オレたちがこうして抵抗出来てることすら、予想外だったんだろう。
「グラビテイション!!」
「ぐっ…!」
後半開始直後、ボールを持った中谷が、パンドラのディフェンス技でボールを奪われる。
そして、そのまま進もうとするが…。
「ドンピシャだぜ!」
「なっ…!?」
近くにオレたちがいないのを確認したんだろうが、そこを染岡が詰め、ボールを奪う。
アイツ、めっちゃいい顔してるな…。
「くっ…!ガニメデ!イオ!」
すぐさまレーゼが指示を出し、染岡からボールを奪おうとするが…。
「へっ…!」
2人の猛攻を、軽くいなす染岡。
それから蹴られたボールは、オレへと渡る。
「バカな…!グリンゴ!カロン!」
「遅いな!ジグザグスパーク!!」
『がああっ!?』
「頼んだ!風丸!!」
「させは…!」
グリンゴたちを突破したオレは、風丸にパスを出す。
それを阻止しようとするレーゼだったが…。
「なにっ…!?」
「スピードは、お前たちだけのモノじゃない…!」
「まさか、貴様たちは…!?」
「行け!鬼道!!」
続いて、風丸は鬼道に向けて大きいパスを出す。
ボールの着地点に向けて走る、リームとディアム。
『なっ…!?』
「ふっ…」
「バカな…!我々のスピードについてくると言うのか!?」
「二度あることは三度ある、じゃなかったのか?吹雪!」
「させるかああああ!!」
鬼道は、レーゼを挑発しながら、吹雪の方へとパスを出す。
そこへ向かって、レーゼが全力で走る。
「オオオオオォォ!!」
あと少しでボールに届きそうなところで、レーゼは手を伸ばす。
…いや、それハンドになるけど。
「なっ…あっ…」
レーゼのハンドは、未然に防がれた。
必死の表情をしたレーゼとは対照的に、涼しい顔をした吹雪が、ボールを受け取ったからだ。
「どうした。その程度か?」
「あ、ありえん…!」
吹雪の挑発に、今度は返せなかったレーゼ。
間違いない。あの特訓で、ジェミニストームに食らいつけるぐらいには、オレたちは力を付けたんだ。
「…へへっ!よし!行くぞォ!反撃だ!!」
『おお!!』
今度こそ、勝たせてもらうぞ。ジェミニストーム…!!
リュuレーゼさん、必死になりすぎてサッカーのルール忘れかけるの巻
ゲームの話ですけど、あの映像の流れから、勝てると思うじゃないですか?
実は直前に加入する吹雪が、そんなに強くないんです。
どういうことかと言うと、吹雪の本領が発揮できるの、後半戦なんですよね。
その間は染岡で点を奪えはするんですけど、ジェミニのシュートを円堂さん止められないんです。
なんで染岡と後半のエターナルブリザードじゃ補えないぐらいに点を奪われてると、そのまま負けます。
ソースは友人(2敗)