アニメ版とゲーム版で若干差はあれど、こんな感じでキャラバン移動してんすよね。桃鉄か?
京都→愛媛の後に東京→大阪ってなんだよって思いますよね。原因染岡さんの入院なんすけど。
「ひとまず、東京へ戻ります。通信が出来るとは言え、直接話した方が早い状況です」
「……はい」
北海道でジェミニストームを撃破したオレたちに重くのし掛かるのは、エイリア学園のファーストランクチーム、イプシロンの存在。
あらかじめ知っていたとは言え、あれだけ苦労したジェミニストームのさらに上の実力者たちのチームの存在は、オレにも響く。
そして、この中の選手でオレだけ、それよりもさらに上のチームの存在も知っている。
「……半田くん?」
知っているだけで、対策なんかあるワケじゃないってのに。
「……アキちゃん。水筒ある?」
「えっ?ここにあるけど…」
「貸して」
……そんな事実だけ知っていたところで、何が出来るって言うんだ…。
「えいっ」
「……なにふんふかおおふぁにふぁん」
隣にいる大谷に、いつの間にか持ってた空っぽの水筒で両頬を挟まれた。
この前は雪玉投げられたし、オレを玩具と思ってないか…?
「声掛けても返事してくれない半田くんにはこうしてやります」
「わるふぁった。わるふぁったふぁら、ふぉれやめふぇくふぇ」
「なにやってんだお前ら」
珍妙なものを見る目をしてる染岡の介入により、大谷は水筒を木野に返して謎の時間は終わった。
オレまでそんな目で見ないでくれよ…。
「大方お前のせいで始まったんだろ」
「否定出来ないけど…」
「じゃあいいだろ。ったく、そんなモン見せられたら、さっきのインパクトが薄れるだろうが。いい迷惑だぜ」
「どういうこと…?」
「それに、オレだけじゃないと思うけどな」
そうして周りを見ると、オレンジバンダナと水色髪、そしてドレッドヘアーが後ろの席から見え、染岡の目から感じた雰囲気と同じのを感じ、コイツと同じような目をしてるんだろうなと察する。
コイツらオレを何だと思ってんだ。
「……あれ。携帯が鳴ってる。はい、もしもし」
その間に、木野の携帯に着信が入った。
「……えっ。本当ですか!?」
「どうしたんですか?木野先輩」
「古株さん!東京に行く時、先に稲妻総合病院へ向かってもらえますか!?」
「おお?別に構わんが、何かあったのか?」
「影野くんたち、退院ですって!」
「ほ、本当か!?」
それは、影野たちの退院報告だった。
検査入院とは聞いてたけど、前回よりもずっと早い退院だ。
「よーし!そうとなりゃ早速向かわなきゃな!構わないか?監督さん」
「ええ。合流するなら、早いうちの方が望ましいですし、お願いします」
「……あっ、監督。オレから提案があるんですけど、いいですか?」
「なんですか?半田くん」
「影野たちが復帰してからなんですけど…」
病院へと向かう前に、瞳子監督に1つ提案をしてみる。
結果は、監督としても望ましいことだったらしく、すぐにOKをもらえた。
とにかく、今は東京に戻るのを待つしかないけど。
「宍戸佐吉!」
「少林寺歩!」
「………影野仁」
『ただいま戻りました!!』
「……………………ったよ」
「1人周回遅れがいるぞ」
それから数時間後、東京に戻って来たオレたちは、早速影野たちを出迎えた。
3人とも元気そうだな。よかった。
「話は聞いてますよ。雷門を壊した奴らよりも、上のチームがいるんですよね?」
「だ、大丈夫ですかね…?オレもやる気はありますけど…」
「……………たしかに。また怪我をするようじゃ、困る」
「あっ、その心配は無いぞ。3人とも」
『えっ?』
オレが少しの不安を感じてた3人に向けてそう言う。
その途端、若干身構えてるように思えたけど、全スルーしてやる。
「なっ、吹雪」
「うん。キミたちの心配も分かる。話を聞いた時は、ボクも同じことを感じたからね。だから、半田くんは既に策を講じてたよ」
「……………」
「……ねえ、宍戸。千羽山のときの宍戸の気持ち、ちょっと分かったかも」
「い、いや…。これは、多分…あの時よりは……」
「よーしみんな。早速だけど、長野行くぞー」
「長野……?」
「マックスくん。起きてます?」
「あれ、珍しいね冬海先生。どうしたの?」
「突然現れた半田くんに、言付けを頼まれまして。ジェミニストームが倒されたのは、知ってますね?」
「知ってるよ。それと、イプシロンの存在も」
「それですね。イプシロンに勝つまでは、貴方のいる病室には来ないそうですよ。バックトルネードとまでは行かずとも、スパイラルショットを喰らいそうとか、よく分からないことを言ってましたが」
「……まあ、やる気は伝わるからいいんだけどさ。そう言えば、影野たち退院だっけ?」
「ええ。それと、この写真も託されましたね」
「ん、写真?どれどれー…………」
「これからの影野くんたちと、退院したキミの姿らしいですよ」
「なんで円堂たち雪玉に潰されそうになってるの?」
オレたちは、長野のスキー場にいる。
そこでやっているのは、もちろん…。
「スキー場の許可は取れました。存分にやりなさい」
「取れちゃったんですか…?」
「雷門イレブンの名前と、エイリア学園対策の特訓という話をすれば一瞬だったわね」
「よーし吹雪!頼んだ!」
「あの待ってください先輩。こんなことに一体何の意味があるって言うんですか?」
「おい宍戸。実際オレたちはこれでジェミニストームに勝てるぐらいの力付けたんだぜ?そこに関しては保証するぞ」
「…………困った。ちょっと言い返せない」
「か、影野先輩!正論に負けないで…」
「行くよー」
「やったれー!!」
『いやだああああああああ!!』
「…………でもこれ、やってるとすごい目立つ…!」
「1人だけ別のモチベーション見つけたヤツいるぞ」
北海道でやったあの特訓を、復帰した3人に長野で叩き込んでるところだ。
染岡が言った通り、この特訓の効果はオレたちで実証済みってのもあり、瞳子監督がOKを出してくれたのは予想出来た。
でもスキー場の管理人が二つ返事でOK出してくれたのは、ちょっと予想外だったんだけどな。シーズンオフってのもあったのかな?
「3人だけじゃなくて、オレも追加でやろうかな。吹雪ー!オレにも頼んだ!」
「うん。すぐに作れるから、みんなも風になろうよ」
「なら、オレもやろうかな。イプシロン相手にするなら、ちょっとでも力を付けとかないと」
「おーいみんな!風丸も風になるらしいぜ!」
「お前覚えとけよ」
悲鳴を上げる宍戸や少林と並走して、オレと風丸も特訓を始めるけど、これどっちかと言うとオレのことを風丸が追いかけてないか?
悲鳴が聞こえない影野だけど、アイツはアイツで適応し出したみたいで、特訓を始める前とは動きが変わり始めたように思える。
やっぱりこの特訓って大事なんだなって、風丸に雪を被せられながら思い始める。甘んじて受け入れるのもこれぐらいだぞお前。
「みんな。次の目的地が決まったわ」
「えっ、いつの間に?」
「響木さんから連絡があったのよ。イプシロンの襲撃先は、京都の漫遊寺中だそうよ」
「ま、漫遊寺中ですか!?」
「うおっ。少林が屍から復活したぞ」
「見た目も相まって、キョンシーみたいだったのに」
「漫遊寺中か…。そこが狙われるということは、奴らは全国の学校の実力をある程度把握してるのか…?」
そうして、オレたちは漫遊寺中へと向かうことになった。
ということは、イプシロンと戦うことになる…か。
「……イプシロン、か」
早期退院と風になったことで、現状微強化されてますわよ。