あと前回に半田の新技予告しましたけど、ぶっちゃけ大した技じゃないです。いやホントに。
漫遊寺との練習試合が決まり、その準備を進めている。
退院した少林と宍戸、影野を出したいということになった。それはオレも同感だ。
となると、残りの中盤は鬼道と一之瀬を出したいし、オレがベンチにいた方がいいかな…。
「いや、今回はオレがベンチにいくよ。半田が出て」
「えっ、一之瀬?」
「あの人たちのスタンスを否定するつもりはないけど、西垣たちも同じ気持ちで、ジェミニストームと戦った。その気持ちは、漫遊寺の人たちも分かるはずなんだ」
「……まあ、オレもそこを突くつもりはないけど」
「オレたちは邪心なんか持ってないって、あの人たちに見せ付けましょうよ!」
「そうですよ!退院して、長野で鍛えたオレたちのサッカー、ぶつけます!」
「………久しぶりの試合。楽しみ」
なんか、一之瀬が譲ったことについて、誰も文句やら意見やらは無いみたいで、オレが出ることが確定した。
ここまで言われたら、出ないとは言わないけどさ…。
「……さっきのことは、オレたち全員が少なからず抱いた気持ちも同じだ」
「鬼道の言う通りだ。ホントだったら、矛先だっただろうオレが歯向かわなきゃいけなかったんだけどよ…。お前に言わせちまって、すまなかったな」
「あの時止めたのは、半田が暴走しそうだったからだしな!OBの人たちや、他の学校のみんなが立ち向かったことを、邪心の一言で済ませたくないってのは、ズバーっと伝わったし、オレも思ったことだ!」
「染岡と円堂にフォローされた…」
『どういう意味だ、それ?』
「冗談冗談。でも、そう言ってくれてよかったよ。オレ1人が熱くなったと思ってたからさ…」
「なワケあるか」
こんなことを言われたら、出ないワケにはいかないな。
ベンチへ行った一之瀬を見届けて、オレたちはフィールドへと出る。
染岡と中谷のツートップに、中盤は宍戸、鬼道、オレ、少林。
ディフェンスは風丸と壁山、影野。そして吹雪だ。
「失礼します。半田さん…でしたか。少し、よろしいでしょうか」
「ん…?どうした、垣田」
「先ほどの無礼を、詫びさせてもらいたい」
「無礼って…。試合の前に、キーパーのアンタが、ここまでわざわざ?」
「そこまでのつもりは無かったと言えば、逃げになりますが…。あまりにも、私が未熟だったこと、痛感致しました。自分のためならず、護りたいと思う物のために闘った人たちに、邪心などあろうはずは無かった。そんなこと、少し考えれば分かったはずなのに…」
「……分かれば、いいって。オレもなんか、やり過ぎた気もするし」
「まだ謝罪したいことはありますが、それは手合わせが終わってから。フットボールフロンティア全国大会優勝校の胸、お借りさせていただきます」
「こっちも、この試合で学ばさせてもらうさ」
試合が始まる直前、オレの方までわざわざ来てくれた垣田。
まあ、悪いヤツじゃないってのは知ってたから、そこまで重く受け止めては無いのは本当なんだけどな。
分かろうとしてくれてるなら、オレはそれでいい。
「話は済んだか?」
「ああ。試合前だし、これぐらいでな」
「そうか。なら、全力でぶつけるだけだ」
……ところで、ここに来てから一度も木暮の姿を見てないんだけど、どこにいるんだ?
フィールドにも、ベンチにもいないんだけど…。
「さあ!これより、雷門中学と漫遊寺中学の試合が、始まろうとしています!」
「北海道から京都まで、お疲れ様……って、北海道から京都まで…?」
「……もう、後ろの自転車には触れない方がよさそうだね」
「うん…」
「よーし!みんな、行くぞ!」
『おお!』
考えても仕方ないか。流石にいないことは無いだろ。
キックオフは、オレたちボールからで、ボールを受け取ったのは少林。
「復帰戦なんですから、気合いは充分です!負けませんよ!」
「抜かせはせん!」
「負けないと言ったはずです!これがオレの、新必殺技!」
立ちはだかった市川の前で、少林はボールの上に乗り、両足で回転をかける。
ここまでは、今までの竜巻旋風と同じだったが、ボールが纏っている風の色が違い、紫色をしていた。
「竜巻毒霧!!」
「うおおおお!?」
「やるじゃないか!少林!」
「へへっ、長野でしごかれましたからね!」
市川を突破した少林は、逆サイドにいた宍戸へとボールを渡した。
既にゴール付近まで攻めていて、絶好のシュートチャンスだな。
「染岡さん!試合初のシュート、もらいますよ!」
「おう!かましてやれ!」
「グレネードショット!!」
宍戸が放ったのは、今までも使ってたグレネードショット。
ただ、今までのよりも、ボールの周りの光の勢いが増してるように見える。
竜が出なくて、光がちょっと弱くなったドラゴンクラッシュと言えたようなシュートから、竜がいないドラゴンクラッシュと言えるぐらいには、力が増したようだな。
「火炎放射!!」
垣田の必殺技に止められはしたけど、すぐに止められることはなく、拮抗してた時間はあった。
間違いなく、宍戸のレベルも上がってるのは感じたぞ。
「す、すごい必殺技…。まるでビックリ人間…」
「吹いた炎でシュート止めてくるなんてな。でも、宍戸のシュートもいいとこ行ってたじゃないか。以前とは桁違いだぞ」
「オレだってしごかれましたからね。入院してるマックスさんにも背中押されましたし、弱虫のままではいられないですよ!」
「……そうか」
……マックスのことは、そうだな。オレも背中を押されたんだ。
退院したら、アイツもみっちりしごいてやらないと。
「ゾクッ」
「おや、どうしました?」
「なんだか、急に寒気が…」
ボールは双子の兄、阿太郎へと渡る。
「烈風ダッシュ!!」
「ぐわっ!?」
「オレの疾風ダッシュと似た技か…!」
「このままいかせてもらう!」
熱気を纏ったドリブルでオレたちを抜かした阿太郎は、ボールを打ち上げ、それを追いかける。
右足に炎を宿し、シュートを打ち込むと同時に、赤い竜が現れる。
「ドラゴンキャノン!!」
竜と共にシュートは突き進み、円堂の元へと届こうとする。
……というか、まるで1人ドラゴントルネードみたいなシュートだな。
「止めてみせる!ゴッドハンド!!」
それを、円堂はゴッドハンドでがっちりと受け止める。
ただ、かなりの威力だったのか、けっこう後退りはしたな。
「へへっ…!なかなかのシュートだな!今度はこっちだ!」
「ならば、兄者の代わりに…!」
「くそっ…!」
円堂の投げたボールを受け取ろうとした中谷だったが、兄のリベンジを果たそうとする弟の吽助にカットされる。
すごい気迫だな…。頑張って戻るか…?
「…………足元、気を付けた方がいいよ」
「なにっ!?ぐわっ!」
「影縫い…!これが、オレの特訓の成果だよ………!」
影野が新たに身に付けた、戦国伊賀島の必殺技の影縫いで、吽助の進撃を止めた。
なんだかアイツ、伊賀島の必殺技ばかり身に付けるな。
まあ、よっぽど相性がいいってことだろうけど。
「半田…!」
「おう!オレも、負けてられないな…」
「まだだ!突破はさせない…!」
「おっと。そら…!」
「なっ…。どこへ向けて…」
ボールを受け取ったオレに立ちはだかった影田の反応は正しかった。
オレはドリブルするでも、誰かにパスをするでもなく、誰もいないところへ向けてボールを蹴ったからだ。
「それで驚くなら、まだ修行が足りてないんじゃないか?」
「なにっ…!?」
そのボールへ目をやった影田を追い越したと同時に、着地したボールは猛烈なスピンがかかり、オレの元へと戻る。
虚を衝くことに成功したオレは、完全に影田を抜き去った。
「すごいボールコントロールですよ、半田さん!」
「あれも新必殺技かしらね。少林くんのように、名前は付けてないようだけど」
「何と言うか、半田くんらしい必殺技だね」
「うーむ………むむむむむ………」
「あれ、おかしいですね。いつもならスッと命名するはずなんですけど」
「良い感じの名前が出て来ないんですよ!あれを必殺技と言っていいのかも分かりませんし、今までの人生で一番悩んでます!」
「そんなに!?」
「まあ、今までの目金くんの傾向で考えると、あまり派手な名前は思い浮かばなそうよね…」
「ひとりワンツー」
「えっ?」
「あの必殺技の名前。ひとりワンツーだよ」
『しっくり来る!』
「お、大谷さんに負けた…!?このボクが…!?」
「何を競ってるでヤンスか…」
「アハハ…。でも、いいと思うな。ひとりワンツー」
3人だけじゃなくて、オレたちも長野で特訓おかわりしたからな。
大した違いは無いかもしれないけど、力は付けたんだ。
この試合でも、力を付けさせてもらうぞ。
「……うっしっし…。あれが雷門か…」
アレスの天秤で灰崎がノンテロップで使ってたのが話題になってた気がしますけど、無印でもノンテロップで使われてて、技じゃなくて技術として使ってたような描写でした。
でも全く異論は無いというか、どっちでもいいのが自分の意見ですね。
"ひ と り ワ ン ツ ー"って必殺ロゴが出ても爆笑するだけですし、あの技術っぽい扱いでも「でしょうね」の一言ですし。
まあこの技、地味に伏線な気がしなくもないんですけどね。