まあ、まだ試合はしませんけど。
京都からの移動ということで、愛媛に着くのに時間はあまりかからなかった。
移動中のキャラバン内で、また木暮がなにかしようとしてたけど、未然に防いでやった。
そのせいで、木暮が隙を伺ってるけど。
「隙を伺ってるのか知らないけど、悪ガキに油断はしないからな」
「悪ガキって言うなよ!!」
「やってること悪ガキだろ…」
マジでやることが悪ガキで、ゴキブリのオモチャかなんかを投げてきたりとかはザラだからな。
まあ、ほとんどがオレをターゲットにしてるから、特に周りへの被害はないんだけど。
「別にオレがしなくたって、音無が付いてるしな…」
「そうよ!木暮くんに悪さなんかさせないから!」
「2人体制なんてズルくねぇ!?」
「お前にそれを言う権利はねぇよ」
その染岡の言葉に、みんな頷く。
まあ、みんなも漫遊寺の監督に任されたという思いが強く、木暮がここにいることに、不満を言う人は誰もいない。
ただ、それはそれ、これはこれであり、コイツのイタズラのことは、漫遊寺の頃から分かっていたため、こういう時は塩対応になる。
「ホント懲りないよな、お前」
「絶対一度ギャフンと言わせてやる…!」
「なんでオレにばかり…?」
オレばかりをターゲットにするのは、これが理由らしい。
しかも、何も裏とかなさそうで、本当にオレをギャフンと言わせたいから、何度も仕掛けてくるようだった。
なに?お前、暇なの?だとしたら、その内特訓つけてやるよ。
「やっと、愛媛に着いたわね」
「響木さんは、なんて言ってたんですか?」
「更迭中だった影山が姿を消し、次に姿を見せたのが愛媛で、真・帝国学園の設立を宣言したそうです」
「となると、どこかにその学校があるはずですよね」
「なあ、鬼道。帝国のヤツらに連絡は取れないのか?もしかしたら、そっちにも何か話が行ってるかもしれないぜ」
「するだけしてみるか。佐久間と源田は入院していたから、寺門辺りに…」
と言った途端に、鬼道の電話が鳴る。
鬼道の元に電話をするような人と言ったら、やっぱり…。
「寺門?どうした、突然電話なんて」
『突然すまねぇ、鬼道。だが、緊急で…』
「別に構わない。むしろ、オレもお前に電話をかけようとしていたところだ」
『となると、そちらにも影山の話が通ってるのか』
「鬼道、オレたちに聞こえるように出来ないか?」
「スピーカー機能なら付いている。寺門、いいな?」
『雷門中のメンバーなんだろ?なら、構わないぜ』
鬼道に電話をかけたのは、帝国学園のストライカー、寺門だった。
源田や佐久間が入院中で不在となると、帝国のトップ格はアイツになるだろうからな。
『ひとまず、これだけは共有させてもらうぜ。帝国がくえんのユニフォームに似たものをきたヤツにひでんしょが…』
「ん…?すまない、寺門。電波が悪いようだ」
『とにかくひでんしょがぬすまれた。お前らにも危けんが…』
「その心配はいらねぇよ。寺門大貴クン?」
『なっ!?くそ…!きどう…!』
「おい!寺門!?」
電話の向こうから、何か物音が聞こえ、通話は切れた。
寺門以外にも、辺見とかの声も聞こえたが、今はそれより…。
「お前。今のはいったい…」
「心配すんな。別に悪いようにはしねぇよ。つーか、愛媛まで来るのが遅すぎなんだよ…」
「それを言うなら、貴方こそ遅すぎよ。わざわざ、偽のメールで誘き寄せるなんて。真・帝国学園の生徒」
「瞳子監督?今のは、どういう…」
「響木さんから送られたメールのあとに、電話を折り返したのよ。そうしたら、そんなメールを送ってないと言われたわ。貴方たちには、共有はしなかったけれど、警戒だけはしていたわ」
「まっ、送り主の名前しか、ウソはないからな。色々と調べた結果、きな臭いことに変わりないから、来たんだろ?」
「………で、目的はなにかしら?」
「オレ、不動明王って言うんだけどな。お前たちを、真・帝国学園に招待してやろうってこと。とくに、そこの鬼道有人クンをな?」
そこにいたのは、不動明王。
オレが直接知ってるのは、イナズマジャパンとしての、不動の顔。
だが、今のコイツは…。
「スペシャルゲストがいるんでな?かつての帝国学園のお仲間が、アンタを待ってるぜ」
「なに…!?そんなはずがあるか…!影山と決別した、アイツらが…!」
「そうだ!あの時、影山のいるとこまで、一緒に乗り込んだんだ!そんなアイツらが、また影山に従うなんか…!」
「そう思うのは勝手だがな。いいから、着いてこいよ。ああ、先に言っとくぜ?さっき電話で話してた、寺門とかは違うからな」
「なんで、そんなヒントみたいなのを…?」
「ヒントですらねぇだろ。悪いようにはしねぇってのも、そういう意味じゃなくて、シンプルな話だ。ただ、来なかったら、もしかしたらアイツらも、真・帝国学園の一員になってるかもしれないがな」
「脅すつもりかよ…!」
「新入部員ぐらい、募集はするだろ?まっ、いまのメンツでも、十分ではあるけどな」
そして、不動の案内で、真・帝国学園へと向かうことになる。
コイツ、普通にキャラバンに乗るんだな…。
「いいのかよ、鬼道?こんなヤツの隣で」
「何かしそうになったら、止めるのはオレの役目だ」
「おいおい、オレをなんだと思ってんだよ。あっ、そこ右」
「おいおい…!もっと早く言ってくれ!」
「へっ、悪い悪い…」
「………なあ、お前」
「なんだよ。あーと…?お前は確か、ハンパ…」
「半田だよ」
「おっと。悪い悪い。名前覚えるの、苦手でな」
「ちょっと、貴方…!」
「大丈夫だ、大谷。ありがとな」
まあ、コイツがこうやっておちょくりに来るタイプなのは知ってたから、荒ぶることはないけど。
今は、それより…。
「お前、影山に従ってるんだよな」
「あん?まあ、そうなるかな。真・帝国学園の総帥様とあれば、そりゃ従うだろ」
「なんでお前は、アイツに従おうと…」
「は?そんなこと聞いて、お前はどうしようっての?じゃあ聞くけど、お前はなんで、そこの女監督に従ってるワケ?お前が聞いてること、それと同じだぜ?」
「………そうかよ」
「チッ。なんなんだよ、お前。ああ、そこの門から入ってくれよ」
「だから…!もっと早くにだな…!」
「今のは変なこと聞いてきた、コイツが悪いだろ」
不動の案内でやって来たのは、港というか、埠頭。
そこはもちろん、海しか見えなくて、とても学校があるようには見えない。
「おい!こんなとこに、真・帝国学園なんかあるかよ!」
「騙したでやんすね!」
「短気なヤツらばっかだな。真・帝国学園なら、あそこだよ」
不動が海へと指を差した瞬間に、巨大な水柱が上がる。
その正体は、巨大な黒鉄の…。
「せ、潜水艦…!?」
「あの距離なら、ここまで波は届かなそうだな。運が良かったな」
垂直になっていた潜水艦は、徐々に倒れ、着水する。
まあ、元から水には着いてたから、着水もなにもないんだが、不動の言う通り、ここまで波は届かなかった。
「これこそ、私が新たに築き上げた帝国。その名は、真・帝国学園」
「あれは…!」
「雷門イレブン。次に敗北を味わうのは、お前たちだ」
甲板らしきところにいるのは、もちろん影山。
そして、その後ろには、2人の姿。
「お前のいた帝国学園から、4つぐらい頂戴させてもらったぜ?まあ、他にも参考にさせてもらったがな」
「まさか…。お前らが…!」
「って、今はスペシャルゲストに夢中か。へっ!ドッキリ大成功…ってか?」
そこにいたのは、佐久間と、源田の2人。
2人とも、既視感のあるぐらいに、変わり果てた姿をしていた。
何がとは言ってないですけど、不動さん4つぐらい頂戴したらしいです。