イナズマイレブン〜中途半端な逆行〜   作:トライデント

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前回の後書きで、この話で真・帝国学園との試合って言ったと思うんですけど、訂正します。
だってこんなの試合じゃねぇもん。


禁断の技

愛媛の埠頭に、突然現れた巨大な潜水艦。

 それこそが、真・帝国学園だと、不動は言った。

 

 

 

「ほら、なに突っ立ってるんだよ?総帥がお待ちなんだ。早く入ってもらわないと困るな」

「何故、佐久間と源田がいる…!入院してるはずの、アイツらが…!」

「悔しさをバネに、早期復帰したんだろ。泣ける話じゃねえか」

「スカウトしたのは、お前か。不動」

「へぇ。その辺りの頭は回る感じ?まっ、そうだぜ。病院のベッドで燻ってたアイツらに、ほんの少しだけ発破をかけたら、手を取ってくれたのさ。謂わばご同輩ってな」

「………なにを吹き込んだ」

「吹き込んだなんて、人聞きの悪いこと言うんじゃねえよ。ただ誘っただけだよ。"こちら側"にな」

「……………」

 

 

 

 そんな問答をした後に、不動はさっさと潜水艦へと歩いて行った。

 放っておけるワケもなく、オレたちはアイツの後に続くしかなかった。

 

 

 

「そこ真っ直ぐ行けば、グラウンドに出るぜ。悪いがオレは着替えないといけないんでな。案内は出来ねぇよ」

「………罠とかはないだろうな」

「そんなシラけることするかよ。っつーか、こんな潜水艦に下手な罠なんか仕掛けて、沈んだらどうする気だよ」

「お前の総帥が、オレたちにしでかしてくれたこと考えたら、聞きたくもなるだろ」

「ハッ!そりゃそうだな。なーに、安心しろよ。グラウンドの上には空しかねえよ」

「別に鉄骨だけを危惧してるワケじゃねえよ」

 

 

 

 そんなオレの言葉が素で刺さったのか、奥の方で不動が吹き出す音が聞こえた気がしたけど、今のオレたちにそれを気にする余裕はなかった。

 少し歩くと、開けた場所に出て、そこがグラウンドだった。

 

 

 

「潜水艦の上に、グラウンドねぇ…」

「おい、鬼道。あっちに…」

「………佐久間、源田」

 

 

 

 オレたちが出たのは、ベンチのすぐ近くで、雷門側になる所だった。

 そうなるともちろん、反対側は真・帝国のベンチで、既にメンバーがいた。

 その中には、変わり果てた姿をした2人もいて、すぐにこちらへと飛んで来た。

 そう、文字通りに、飛んで来た。

 佐久間と源田の2人と、オレと円堂と染岡、鬼道が相対する。

 

 

 

「久しぶりだな、鬼道」

「お前ら、今の動き…」

「人間離れしてる…と?まあ、それぐらいの力を手に入れたからな」

「何故お前らが、アイツに従う…!」

「総帥に従う理由?そんなもの、1つしかないだろう?」

「力だよ、鬼道。オレたちは力を求めて、あのお方の元に戻ったのさ」

「力を求めた結果なのか!?アイツのしたことを、お前たちは分かってるはずだろ!」

「………ふん。お前に、いや。お前たちには、オレたちが病院のベッドの上でどれほど悔しい思いをしたか、分からないだろう」

 

 

 

 ………やっぱり、それが理由か。

 今のアイツら、いや。ここにいる全員が、オレの方を見ていなくてよかった。

 今のオレの顔は、とても酷いものになってるだろうから。

 

 

 

「世宇子に勝つため。オレたちの仇を討つためと言っていたが、結局お前も、力が欲しかったんだろう?鬼道」

「そんなことは…!」

「ないと言うだろうが、そんな綺麗事はオレたちには届かない。お前には勝利の喜びがあっただろうが、オレたちには敗北の屈辱しかなかったんだよ…!」

「お前ら、いくらなんでも…!」

 

 

 

 そう言って円堂が鬼道を庇おうとしたが、それを鬼道が遮る。

 その後にした鬼道の行動は、頭を下げることだった。

 

 

 

「すまなかった…。お前たちの気持ちも考えずに、自分だけの考えで、行動してしまった。何度でも謝る…。だから、影山に従うのだけは、辞めてくれ…!」

 

 

 

 その鬼道の言葉に、佐久間たちはと言うと…。

 

 

 

「遅いんだよ…!!」

 

 

 

 怒りの形相をした佐久間が、頭を下げて、前が見えていない鬼道へ向けてボールを力強く蹴った。

 音に気付いた鬼道は顔を上げるが、避ける余裕はなく…。

 

 

 

「させるかよ…!」

「半田…!?」

「ぐっ…!おおおお…!!」

 

 

 

 割って入ったオレが、なんとかボールを弾くことができた。

 力を込めて蹴ったとは言え、とんでもない力だった。

 これも、あの石の力、か…。

 

 

 

「半田!大丈夫か!?」

「ああ…。大丈夫だ」

「何故お前が…!これは、オレと2人の問題で…」

「そんなワケあるか…!これは、鬼道だけの問題じゃない。お前ら、勝利が全てだと言うつもりか」

「そうだ。敗北の屈辱は、勝利でしか拭えない」

「お前たちには分からないはずだ。世宇子を倒し、日本一の座に就いたお前たちには」

「ふざけるな!オレたちに、勝利しかなかったなんて、お前たちが一番違うと分かってるはずだろ…!あの時、雷門中グラウンドで、オレたちを打ちのめしたお前たちが言うことか!!」

「………」

「お前たちにボロ負けして、諦めずにいたから、お前たちにリベンジを果たした…。その後、お前たちは言ったじゃないか!必ずリベンジを果たすと…!あれは嘘だったのか!?敗北をただ受け止めるだけじゃなく、それをバネにして強くなろうとしたから、オレたちに向けて再戦を誓ったんだろ…!」

「お前は何も分かっていない…!その上で、世宇子に惨敗したんだぞ…?そんなオレたちが、何をリベンジすると言うんだ!」

「世宇子にもリベンジを果たせばいいだろ…!お前たちも、最初はそのつもりだったから、病院のベッドで、治療に励んでいたんじゃないのか!」

「知ったようなことを言うな…!」

「なっ…」

 

 

 

 そう言われてオレはようやく、2人に向けて、言ってはいけないことを言ったんだと、分かった。

 知ったようなこと…ではないのだが、今のオレの言葉は、色んな意味で、アイツらには届かない。

 

 

 

「そこまで言うなら、鬼道だけじゃなく、お前にも見せてやる。半田。オレたちが手にした、新しい力を」

「それを見れば、お前も何も言えなくなるはずだ」

「………」

「半田…」

 

 

 

 今のオレには、アイツらに何も言えなかった。

 アイツらの手にした力と言うのは、恐らく、禁断の技だ。

 

 

 

「………すまなかった。鬼道。アイツらの心に、土足で入り込んでしまった」

「お前が謝ることはない…。それに、こちらもすまなかった。アイツらに謝ることを優先したとは言え、雷門に入ったことを、オレの独断だと言ってしまった」

「分かってる。千羽山戦の前に、お前は言ってた。帝国のみんなと話し合って…ってな」

「よく覚えていたな」

「今のアイツらは、自分を見失ってるんだ。力を求めたのは事実だったとしても、色んなものを無理やり取り払って、力だけを手にした結果、その力と、それから湧き上がる感情しか、残ってないんだと思う」

「となると、この試合で目を覚ますしかないってことか…」

「円堂。この試合は…」

「ああ、分かってる。今までは、サッカーを楽しむことが第一で、勝敗はその結果でしかないと思ってた。でも、今回だけは、アイツらの目を覚ますためには、勝つしかない」

 

 

 

 そうしてオレたちは、すぐに準備に取り掛かった。

 その間に、瞳子監督がみんなに話を通していた。

 

 

 

「真・帝国学園との試合よ。エイリア学園と無関係ではないと、先ほど不動くんが溢していたわ。どこまで信じていいかは分からないけど、かと言って、無視するワケにもいきません」

「アイツらの目を覚ますには、この試合しかないからな…!」

「土門も、元々帝国のメンバーだったもんね。オレだって、あの2人に間違った方へと進んでほしくないよ」

 

 

 

 土門や一之瀬に限らず、他のみんなもやる気は充分だった。

 ただ、この試合の後に、たしか…。

 

 

 

「………」

「ん?どうしたんだよ半田。オレの顔なんか見やがって」

「………いや。無理はするなよ、染岡」

「何言ってんだ。あんな啖呵切ったお前に言われたくはねぇな。お前だって、あの時鬼道を庇ったような、変な無茶するんじゃねえぞ」

「まあ…そっか」

 

 

 

 それから少しして、試合が始まった。

 そこでオレたちが見たのは…。

 

 

 

「止めろ!佐久間ァ!!」

「皇帝ペンギン…!」

「それは…!禁断の技だ!!」

1号ォォオオオ!!!

 

 

 

 佐久間の右脚に刺さった赤いペンギンに込められた力が、ボールと共に突き進む強烈なシュート、皇帝ペンギン1号。

 そして、それの他に…。

 

 

 

ビーストファングゥ!!

「なっ…!?」

 

 

 

 自身の身体に、獰猛な豹の力を無理やり宿して、全身で押さえ込むキーパー技、ビーストファング。

 どちらも、自分の身を蝕む、禁断の技だった。




皇帝ペンギン1号は分かるんですけど、ビーストファングがどう禁断なのかぱっと見では分からなかったんで、"無理やり"と言う部分で解釈しました。一応ハイビーストファングは適応させるような描写あったんで、それも加味しました。
だってビーストファング、皇帝ペンギン1号と違って、ゲームではとくに言及ないんですもの。
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