栞子side
ある日の休日……私は家で寝込んでいた。
「38.0度……風邪みたいね」
「すみません……姉さん……」
「あんたが私に謝るなんて珍しいわね。まぁそれほど弱ってるってことね」
「すみません…けほっけほっ」
「薬のんで大人しく寝てなさい」
姉さんは私の頭を優しく撫でながら微笑み、私の部屋から出ていく。
こんな時期に風邪を引くなんて……体調管理には気を付けていたはずなのに…もしくは気が緩んでいたからなのか……
「気が緩んでいた……そんなこともあり得ますね……」
同好会に入ってから未唯さんやかすみさんたち同級生の方と遊ぶようになって、楽しくなっていた。だからなのかもしれない
「栞子~お見舞いに来てくれたわよ」
お見舞い?もしかしたらランジュ辺りでしょうか?でもランジュだと……
「姉さん……ランジュでしたら帰らせてください」
ランジュが心配して来てくれるのは分かっているけど、こう言うときは出来れば静かにして欲しいと言うか……
「栞子ちゃん、大丈夫?」
「み、みみみ、未唯さん!?」
お見舞いに来てくれたのは未唯さんだったなんて……こんな風邪をひいているときに……
「薫子さんから連絡もらって、お見舞いに来たんだよ」
「それじゃ栞子のことお願いね」
姉さんはそう言って去っていくけど……姉さんは……
「熱あるの?」
未唯さんは未唯さんで心配そうにしてくれてるけど……
「あ、あの、風邪を移したら……」
「平気だよ。私、風邪をうつされたことないから」
「えっと、どういうことですか?」
「いいから、いいから。ゆっくり寝てて。今薫子さんに聞いておかゆ持ってくるから」
あの……それだと…お見舞いから看病になってませんか?
私は未唯さんに帰るように言おうとするが…
「未唯さん、あの……けほっけほっ」
「ほら、咳も酷いみたいだから、待っててね」
未唯さんはそう言って部屋から出ていく。本当に未唯さんは……
少ししてから未唯さんがおかゆを持ってきてくれた。
「お待たせ」
「すみません、こんなことまで」
「いいからいいから、はい、あ~ん」
「…………え?」
何で食べさせてくれることに?今のこの状態だと頭の処理が追い付かない。いや、未唯さんにあ~んしてもらうのは凄くうれしいけど……でもこれは物凄く恥ずかしい……
「あ、あの、自分で」
「そうなの?薫子さんから栞子ちゃんは風邪引いたときは食べさせて欲しいっておねだりするって」
それは多分子供の頃……今は違うし……
「遠慮しないで、はい、あ~ん」
「うぅ…あ~ん」
「美味しい?」
「はい…」
何でしょう?風邪を引いてるからあまり味がしないかと思っていたけど、未唯さんに食べさせてもらうと……美味しく感じる……
気がついたら、持ってきてくれたお粥を食べ終わっていた。
「食欲ないかと思ったら、全部食べちゃったね」
「その…未唯さんが食べさせてくれたので…」
「そっか、えへへ、そう言って貰えると嬉しいな」
何でしょう…未唯さんの笑顔を見ていると…風邪を引いていることなんて忘れてしまう……
「その、さっき未唯さんが風邪を移されたことがないって言ってましたが…」
「ん、あぁほら、ぽむお姉ちゃんとか侑お姉ちゃんの看病するときあるんだけど、うつされたりとかないんだよね」
つまりなれていると……
「そうなんですね…でも意外ですね。侑さんの時は歩夢さんが看病してくれているのかと」
「ぽむお姉ちゃんと一緒にやってるよ。お姉ちゃんと一緒に交代して看病したり、ぽむお姉ちゃんの時は侑お姉ちゃんに指示を出したりとか…気がついたらお姉ちゃんたちの世話を焼いたりとかもしてるかも」
「なんといいますか…未唯さんのそう言う世話好きなところは歩夢さん譲りだったりするんですね」
「あはは、そうかも…あ、そろそろ帰るね。長居してたら栞子ちゃんの風邪悪化しちゃうかもしれないし」
「……あの、こんなこと頼んでいいのか分かりませんが……寝るまで……手を握ってもらっていいですか?」
思わずそんな頼み事をすると、未唯さんは笑顔で……
「うん、いいよ」
次の日、熱もなくどうやら風邪も治ったみたいだった。そんなとき、ふと未唯さんのことが心配になり連絡をすると……
『どうしたの?』
「その、風邪……治ったのですが……うつったりしてませんよね?」
『うん、大丈夫だよ。栞子ちゃん、風邪治って良かったね』
「はい…」
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