ブリテンのヤベーヤツ   作:テムテムLvMAX

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マーリン介入します


スラスラ生活

 辺りはすっかり闇に染まり月明かりと奴等の篝火だけが光源だ。とりま夜のハワイは蒸し暑い。

 

 

「それ暑くないかランスロット? 甲冑脱げば?」

 

「戦を前に何を……」

 

「アッゥーい! よっこらせい」

 

「ほらアーサーだって脱いでるし」

 

「お、お前ッ……騎士とは何なのだ……私の憧れは一体……」

 

「正確にはアーサーは騎士じゃ無いから気にするだけ無駄なんだけどね?」

 

 

 おはようからお葬式までお付き合いします。で、お馴染みのアーサーでござんす。ランスロットさんは自分の思い描く騎士とここにいる騎士とのズレに苦しんでますね。放っておきましょう、今はあの要塞に夜襲を掛け敵の大将を抹殺しないといけないのだ。

 

 

「あの壁を登り拠点ごと爆破してまいればよいか?」

 

「アーサー、昼間の話を聞いてなかったか?」

 

「いや聞いてたよ、でも首切るよりボン! って殺った方が速くない?」

 

「確実かつ迅速に、それでいて面倒が少ないのなら爆破でもいいですが?」

 

「すいませんちょっと調子に乗っていましただからベティさん槍をしまって下さい」

 

 

 ベティさんに制裁を食らったので真面目にします、要塞にこそこそと忍び込んで最上階へ向かい大将の部屋へ行くとそこではなんと……パンツ一丁の男達が激しく殴りあっていた。俺は正気を失った、いやいや幻覚だろうかと二度見て二度も正気を失った。ガウェイン以外は皆そうだった、特にアルトリアには刺激が強く俺の方を見て顔を真っ赤にしていた。可愛い。

 話が逸れたがつまりはガチムチパンツレスリングだった、もれなく赤い刺繍が入っていたのでピクトのヤバいいやつらだろうな。

 

 ここにカチコミ掛けるの嫌なんだけど……

 

 

「これ帰ってもいいのでは?」

 

「待てアーサー、逃げると男が(すた)るぞ? ……いや俺は廃る方がいい、アーサー廃ってくれ。そしていっそ女性として生きてみては? 俺は全力で応援するし支援する!」

 

「……ガウェインやばくない?」

 

「つーかランスロット的には関わりたくない的な~」

 

「ヤバイですねっ☆ミ」

 

 

 何だ今の?! 

 

 

「なんだ今の!?」

 

 

 あっ、ピクトに気付かれた。

 

 

 

 ☆★☆★☆★

 

 

 

 私だ、アルトリアだ。この度は部下の不甲斐なさに憤りを感じている、それも私の怒りが有頂天になるほどにな。有頂天とはなんだ? アーサーの言い回しを真似してみたがよくわからないな。

 ともかく先のバカ騒ぎでピクトに見つかり大将と四人の護衛と真っ向勝負せねばなるまい。口伝や書物からピクトの知識を得た私達だが本物はそれを軽く上回る迫力だ。

 弾ける筋肉飛び散る汗が妙に清々しいが、その体から溢れる熱気にも似たオーラが伝わってくる。

 

 

「ムハッ! ブリテン人か」

 

「ここまで忍び込んできたか」

 

「あえてスカスカの警備して正解だったな」

 

「今宵は楽しめそうだ」

 

 

 四人の護衛は恐らく四天王と言うべき立ち位置、ピクトの選りすぐりの戦士とあらば相当な苦戦を強いられるか。

 

 

「誰ぞ来るかと思っていたが女子供をつれた騎士か! 舐められているのか……それともその程度の戦力しか残されていないのか。この族長ゾルの前に来れたことは誉めてやる」

 

「いやはやどこ見てもマッチョだね、やっぴーアルトリアちゃん! 助けに来たよ?」

 

 

 族長ゾルと名乗った大男は一際オーラが大きい、怒気が本気のお父様に似ているな。

 この事態を何処から見ていたのか不意にマーリンが私の横に現れた、雰囲気や話し方、花の香りが場違い感を与えているがマーリンの手助けはありがたい。勝率がグッと引き上がった。

 

 

「マーリン、早速で悪いが力を貸し「ダメなんだなそれが」何?」

 

「アルトリアちゃんにはアーサー君より頑張ってもらうよ、その為に力を貸す。でもアーサー君テメーはダメだ」

 

「ここでそんなこと言われてもなぁ……」

 

 

 私の頼みはマーリンのおかしな理論で却下されてしまった、何故と聞いても答えないだろうな。そう言うヤツだと知っている。

 

 

「僕ね、物語に加筆して修正するよりそうなるように最初から誘導したいタイプなんだよね。でも今回から加筆修正します! アーサー君はボッシュートです」

 

「……あっぁぁぁぁ~~~

 

「アーサーっ!?」

 

「アーサー君っ! マーリン殿これはどういう事ですか! このような暴挙ユーサー王はお認めになられませんよ!」

 

「ざーんねんアルトリアちゃんやアーサー君は僕に任されているんだな~」

 

「マーリン! アーサーを何処へやった!?」

 

「おほほ、上かな」

 

「上? 上だと? イカれているのかこの魔術師! 姫よ抜剣の許可を! ヤツは斬ります! 私がっ!」

 

「落ち着きたまえよ、アーサー君は月にいるよ」

 

 

 月……月っ?! 

 

 

「転送の魔術でうんと遠くへ飛ばそうと思うなら月がギリギリ射程圏かな」

 

「ゾル様! やっていいですかい!」

 

「やれ、これ以上待つ理由がない!」

 

「ごちゃごちゃとうるさいよ、ピクトのクセに。ボクが話してるでしょ?」

 

 

 マーリンは不愉快な表情を誇張してゾルに向かい合う、筋肉の塊とマーリンのような痩せた男では天地がひっくり返っても勝てない差があると私は感じた。マーリンはブリテンの中で最高の魔術師だが近接戦闘が得意だとは聞いたことがない。

 

 

「ブーメランも良いとこだな、変な魔術師っ!」

 

「『動くな』その力は誰が与えたのかな?」

 

 

 何かの魔術でマーリンはピクトの一人を金縛りにした、冷徹に言い放った言葉に背筋が冷える感覚がした……あのマーリンからそんな気配を感じるとは思ってもみなかった。

 

 マーリンの目的がさっぱり分からないがアーサーは月にいる、一先ず無事と信じ目の前の事に私は当たろう。

 

 

 

 

 

 

 

 




マーリンは多分こんな事言う(言わない)
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