ウマ娘は勝利を望む   作:なち11

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閑話では本編でうまく関わらせることができなかったウマ娘との話を書きたい。
今回はサイレンススズカ。
しかし正直パーマーやヘリオスよりも先にスズカと絡むとは思わなんだ。



閑話 サイレンススズカ 1

 

 

「はあ・・・今日はトレーナーさんがいないから自主トレだし」

 

いまいち気が乗らない足取りで練習場に来たイノセントピース。

そんな彼女の視線の先を一人のウマ娘が駆け抜けた。

それはイノセントピースの目から見ても生命力に溢れた凄まじい、そしてとても綺麗な走りだった。

 

「い、今の走りすげえし! ビビッときたし! これは突撃して話聞いてみるしかないっしょ!」

 

一気にやる気になったイノセントピース通りすぎたウマ娘を追いかけ始めた。

 

「はっ、はっ、はっ、・・・ふぅ」

 

走っていたウマ娘──サイレンススズカは足を止め、物憂げな様子で息を吐いた。

と、そこにイノセントピースが追い付いてきた。

 

「いえーい! お姉さん今ヒマ!? 名前なに? どこ住み?」

 

「えっ? えっと、サイレンススズカ・・・寮は栗東寮だけど・・・」

 

「お答えありがとだし! アタシはイノセントピース。 ススズさん、アタシと併走してほしいし!」

 

「うそでしょ・・・? 初対面の子に今までされたことない略称で呼ばれた・・・」

 

「え? ダメな感じだし?」

 

「あ、違うの。併走はいいんだけどあんまりにも呼ばれ慣れない呼ばれ方だったから・・・スズカじゃダメかしら?」

 

「もちろんイイし。 それじゃスズカさん、併走よろしくだし!」

 

あれよあれよという間にイノセントピースとサイレンススズカは併走することになったのだ。

 

 

 

そして併走を終えたのだが・・・。

 

「スズカさん、もしかして調子悪かったりするし!? もしかして無理してアタシに付き合ったくれてたし!? もしや疲れてた!?」

 

イノセントピースはサイレンススズカの肩を掴んで詰問していた。それほどまでにサイレンススズカの走りは精彩を欠いたものであった。

 

「え、あ、あの、大丈夫だから・・・。 気分が悪いわけじゃないから・・・」

 

「ならどうしたんだし。 今の走り、さっきのビビッとくる走りとは全然違ったし」

 

「見てたの・・・? 違うの、あの走り方はトレーナーさんに控えるよう言われてたのについ・・・」

 

「え? どういうことだし?」

 

「それは・・・その、私のトレーナーさんが先行策をとった方がいいからって、その練習中で・・・」

 

「先行? ・・・でもスズカさん先行向いてるようには見えないし」

 

「それは、まだ慣れてないのもあるかもしれないから・・・それに大逃げは足を痛めやすい、この走り方なら怪我もしにくいだろうからって・・・」

 

サイレンススズカのトレーナーの指示は彼女を想ってのことなのは確かだった。それでサイレンススズカが苦しんでしまっているのはトレーナーにとって予想外なのだろう。

 

「怪我・・・怪我の心配となるとアタシもとやかくは言えないし。 でもそれでストレス溜めてちゃ駄目だし」

 

「でも・・・」

 

サイレンススズカも不満はあれどそれをうまく外に出せていないようだった。トレーナーに対して遠慮している部分もあるのかもしれない。

イノセントピースとしてもサイレンススズカと彼女のトレーナーの問題に口を出すことは憚られ、それでもなにか力になれないか必死で考え・・・・・・考えることを放棄した。

 

「じゃあとりあえず走るし」

 

「・・・えっ?」

 

「悩んだときは走るに限るっしょ。 スズカさんも一回考えてること全部横に置いて好きなように走るといいし」

 

「好きなように・・・私の、好きなように・・・」

 

そうして始めた二回目の併走。

前回とは違いサイレンススズカは一気に前に出た。

同じ逃げをしているはずのイノセントピースをどんどん突き放していく。

 

「おわー! スズカさんはえー! さっきのなんだったのってぐらいはえーし!」

 

イノセントピースも必死に走るが届かない。追い付けない。

結局イノセントピースにできたのはサイレンススズカに食らいついていくことだけで彼女を追い越すことはできなかった。

 

「スズカさん今のだし! 今のがビビッときたすごい走りだし!」

 

「ええ、とっても気持ち良かった・・・。 私が求めてたのはやっぱり・・・」

 

サイレンススズカが少し悩む素振りを見せ、少しして上目遣い気味にイノセントピースを見た。

 

「ねえピース。 私、一度トレーナーさんとちゃんと話してみる・・・それで、ピース・・・できれば一緒に・・・」

 

「うん、付いてくし! というかスズカさんを焚き付けちゃったのはアタシだからもし怒られたらいっしょに謝るし!」

 

「ありがとう、ピース」

 

二人はサイレンススズカのトレーナー元へと向かうのだった。

 

 

 

 

後日、イノセントピースとサイレンススズカは一緒にトレーニングをしていた。

 

「いやー、結局あの日の夜アタシのトレーナーさんにめっちゃ怒られたし。 相談もなしに勝手なことしちゃ駄目だーって」

 

「そうなの? ごめんね、いろいろ付き合わせちゃったから・・・」

 

「謝るのはこっちだし。 だってスズカさんアタシのせいでトレーナーさんのと契約解除することになっちゃったし」

 

あの後サイレンススズカとそのトレーナーは話し合った末契約を解除した。

幸いなことにそれは円満なものであったのだがそれでもイノセントピースは責任を感じていた。

 

「ううん、デビューが遅れるのは少し残念だけど・・・それでもあのままだったら私にとっても、トレーナーさんにとっても良くないことになったかもしれないから・・・」

 

「そうはいっても・・・」

 

「それならまたこうやって一緒に走ってくれないかしら。 自主トレだけっていうのも味気ないじゃない」

 

「それくらいお安いご用だし! スズカさんと走るのは楽しいし!」

 

「よかった・・・。 これからよろしくね」

 

こうしてイノセントピースとサイレンススズカはたびたび一緒にトレーニングするようになったのだった。

なお、ほかのウマ娘たちの間で「あそこのトレーニングは次元が違う」「いくら併走だからってペースが速すぎる」と話題となったとかならないとか。




ウマ娘は魅力的な娘が多くて困る
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