世界に愛された元徳者と世界を憎みし原罪者 ー世界を憎みし少年とその少年より生まれし九つの罪の王と罪徒となった少女達・世界に愛された少女達と聖徒に選ばれし少女達ー   作:lOOSPH

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gravitas magicae Sternenkraftmagie

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

ライセン大迷宮 最深部

 

その場所で五人の少女が

肩を上下に動かしながら息を切らしている

 

姫奈と香織の二人は

今の姿から、元の姿に戻り

その場に少し、座り込んでいく

 

「やったわね、香織…」

 

「うん」

 

姫奈にそう言われて、香織は

嬉しそうに笑みを浮かべて返事をしていく

 

そこに

 

「香織!」

 

「姫奈!」

 

四人の少女達が二人のもとに駈け寄っていく

 

「雫ちゃん、風香ちゃんに纏ちゃん…

 

 ありがとう皆…」

 

「いいえ、お礼を言うのは私達の方よ

 

 あの時、香織の放った光が

 私達三人に力を与えてくれなかったら

 

 あのゴーレムを切り裂くことはできなかった…

 

 でもね、香織、あんまり無茶なことはしないで

 本当に心配したんだから、そこは反省しなさい」

 

そういって、香織の額にデコピンを食らわせる雫

 

「いたっ!

 

 うううう、ごめん雫ちゃん…」

 

「それよりも、一番驚いたのは

 香織のあの力だよ、なんなのあれ?」

 

風香はそういって、香織の先ほどの力について訪ねていく

 

「うーん、よくわかんない…

 

 でも、なんだか自然とあの時

 あの力の使い方がある程度だけだけど

 理解できたかなって思ってね、そしたら…」

 

「そうだったんですね…」

 

纏も驚いた様子を見せていく

 

「ま、まあ‥‥

 

 とにかくこれで、試練は無事にクリアってことでいいんですよね?」

 

「そうね…

 

 ちょっといきなり全力で飛ばし過ぎて

 へとへとかも、これでもしもまたゴーレムが

 動き出しでもしたら、もうお手上げ状態よ」

 

「ちょっと姫奈ちゃん!?

 

 そういう事は冗談でも言わないでよ

 それでもしも本当に動き出しでもしたら…」

 

とんでもない発言をする姫奈に突っ込んでいく香織

 

普段と立場が逆だが、そんな風になるほどの状況に

彼女たちは追いこまれていたのだというなのである

 

そして

 

「あ…」

 

「「「「「え?」」」」」

 

ラナが急に間の抜けた声を上げたので

一同は不意に彼女の視線の方に目を向ける

 

そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャキーン!

 

 ミレディちゃーん、ふっかーつ!!

 

 決まったぜー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「……」」」」」」

 

そこには、ボロボロだが

元に戻っているミレディゴーレムの姿が

 

「「「「「「はああああああ!?」」」」」」

 

当然ながら、驚きの様子を見せていく

何故なら、あんなにも苦労して倒したゴーレムが

ボロボロではあるが、殆ど元に戻って一同の前にいたのだから

 

「あ、あわわわわ‥‥ど、どうしよう雫ちゃん!?」

 

「そ、そんな事言われても…」

 

今、闘ったらとてもかなう相手ではない

先の戦いで、みんなボロボロなのだ、それなのに

もしもここで、再び戦うなんてことになれば、それこそ

 

姫奈は、アーティファクトの剣に手を添えて、構えていく

 

一同も構えていく

 

一触即発の状況、気を抜いたらその瞬間にやられる

 

その場に全員が緊張感に包まれていく

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご~かく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

緊張の糸を切ってしまうような

そんな場違いの声が、一同の耳に響く

 

「‥‥合格だよ、試練はクリア

 

 言ったでしょ、これは試してるんだって

 君たちが私の力を受け継ぐにふさわしいのかを

 見るための物なんだって、貴方達の覚悟はしっかりと感じさせてもらったよ

 

 だから、試練はクリア、戦いはここまで、以上」

 

それを聞いて、一同はヘタリとその場に崩れ落ちてしまう

 

「あっれー?

 

 もしかして、まだやると思ってた?」

 

「だ、だってそっちがあんなにも

 本気で私達の事、攻撃してきたから」

 

雫が、恐る恐る訪ねていく

 

「当然でしょ、本気でやらなきゃ

 その人の覚悟なんてわからないよ

 

 殺しにかかっては来たけど、私は

 人を殺すのが大好きなイカレ野郎じゃないのさ」v( ̄Д ̄)v イエイ

 

いつもの口調に戻ったミレディに

怒りではなく、呆れの方がまさっていく一同

 

「まあいいや、それじゃあ

 そこの足場に乗って、その先で

 君たちに渡しておきたいことがあるんだ‥‥

 

 それと、君たちが知りたいことの答えになるかは

 分からないけれど、この世界の真実について話すよ‥‥

 

 それじゃあ、試練攻略者をごあんな~い」

 

ミレディゴーレムが指を差す方にある

足場の上に恐る恐る乗っていくと、床が動き始める

 

「わあ、すごい…

 

 何だかエレベーターみたい…」

 

「重力魔法で、床を動かしているのね…」

 

暫くして床は、ある扉の前で止まった

 

「この中に入れってことなのかしら…?」

 

「行ってみよう…」

 

そういって、扉の前に立つと

扉が開いて、一行はその中に入っていく

 

すると

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ

 

 美少女天才魔法少女のミレディちゃ~ん

 

 再び、参上」( ー`дー´)キリッ

 

「「「「「「……」」」」」」

 

何やら小柄で、フードで隠した人型の何かが

ものすっごいウザイ感じで一同の前に現れる

 

「えーっと…

 

 ミレディさん‥‥なの…?」

 

「そだよー

 

 さっきまで戦ってたのは

 ここで私が遠隔操作をしていたの~

 

 試練専用の、戦闘用ゴーレムって訳

 

 どうすごいっしょ?」

 

うざったらしく香織に絡んでいくミレディ

そんな彼女を無理矢理、引きはがしていく雫

 

「とりあえず!

 

 本当に試練はクリアってことでいいのよね

 

 それだったら、色々聞かせてもらえる?」

 

「あーっと、そうだったね‥‥

 

 それじゃあ、その話をしながら

 そこの魔法陣の上に立ってくれる?

 

 君たちに渡しておきたいものがあるんだ」

 

そういって、六人を魔法陣の上に乗せて行く

 

「それじゃあ、最初に確認だけど‥‥

 

 君たちの間では、私達はどんなふうに伝わってる?」

 

「えーっと、確か‥‥

 

 神に反旗を翻して、世界を滅ぼそうとした人達で

 結局は敗れて、それぞれの場所に逃げ込んだ、そこが

 

 大迷宮だって‥‥」

 

ラナが大まかに答えていく

 

「そっか‥‥

 

 ちっ、あのくそ野郎め

 自分が勝ったからって随分と勝手なことを‥‥」

 

「え?」

 

ミレディは、一行から

顔を少し逸らして小さな声で悪態をつく

 

「‥‥まあいいや、それだったら

 君たちに本当の事を話しても問題はないよね‥‥

 

 確かに私達は、千年以上前にエヒトに戦いを挑んだ

 でもそれはね、世界を亡ぼすだの平和を脅かすだののためじゃない‥‥

 

 私達は、この世界を救うために神に戦いを挑んだんだ‥‥」

 

それを聞いて、目を見開いていく一同

 

 

「反逆者って言うのは間違いじゃない

 でもね、私達の本来の呼び名はそれじゃない‥‥

 

 私達は解放者、この世界を神から解放する為に集まったんだ‥‥

 

 全てのきっかけは、私がある人に出会ったことが始まりだった‥‥

 

 ベルタ・リエーブル‥‥

 

 私の前に、解放者をまとめていたリーダーだったんだ‥‥」

 

「え、貴方の前に解放者のリーダーだったって?

 

 つまり、貴方は…」

 

姫奈は悟る、ミレディの言い方をそのままとらえると

 

「そう、このミレディちゃんこそが

 解放者のリーダーなのでーす、びっくりした?

 

 ねえねえ、びっくりした、したっしょー?」

 

急にうざく絡んでくるミレディ

だが、急に真剣な口調に戻っていく

 

「私のこれはね、私の覚悟の表れなんだ‥‥

 

 彼女は、本気でこの世界から人々を解放しようと

 そのために彼女は、神に仕えていた身ながら戦いに臨んだ

 

 結局死んじゃったけれど、私はそれを聞いて決めたんだ

 

 私が絶対に、この世界を神の支配から解放してやるんだって‥‥

 

 その為にも、私は私と同じく神代魔法を使える人達を集めた‥‥

 

 オスカー・オルクス‥‥

 

 

 ナイズ・グリューエン‥‥

 

 

 メイル・メルジーネ‥‥

 

 

 ラウス・バーン‥‥

 

 

 リューティリス・ハルツィナ‥‥

 

 

 ヴァンドゥル・シュネー‥‥

 

 

 その他にも、いろんな人が私たちに賛同して

 一緒に神と戦う決意をしてくれた、はずだった‥‥

 

 でも、神はそんな私達の先を読んで

 その協力者を洗脳して、解放者を内部分裂させた‥‥

 

 その結果、私達は負けた、同志は次々と倒れて

 最後に生き残ったのは、私を含めて七人だけだった‥‥

 

 私達はこの世界を救えなかった、でもいつの日か

 私達の意志を継いで、神を倒すことのできる存在が現れると‥‥

 

 私は、生き残った人たちに頼んで、このゴーレムに

 自分の魂を定着させて、そこからは長い時を過ごしてきた‥‥

 

 もう、どのくらいたったのか‥‥途中から考えるのもやめたよ‥‥」

 

ミレディは言う

 

「‥‥それで、私達に試練を…」

 

「‥‥うん、生半可な試練じゃ

 私達の二の舞だもん、もし仮に君たちが

 私達の意志を継いでくれなくれないにしても‥‥

 

 それでも、抵抗できるだけの力は必要になると思ってね‥‥

 

 君たちにあいつを倒してほしいとは言わない

 でも、だからって君たちに死んでほしいとは思わない‥‥

 

 だからね、受け取ってほしいんだ‥‥私の力を‥‥」

 

そういって、手をかざしていくと

六人の足元の魔法陣が光っていく

 

すると、全員が頭の中で何かが

インストールしていくような感覚を覚えた

 

「はい、これでオーケー」( ´∀`)bグッ!

 

「これが、神代魔法?」

 

「そうだよ、重力魔法

 

 さっきはゴーレムを伝ってだったから

 重さを変えるくらいしかできなかったけれど

 

 

 本来の力は、星のエネルギーに干渉する魔法なんだ

 重さを操るだけじゃなく地脈や、マグマなんかに干渉して

 それを使って地震や噴火なんかを意図的に起こすこともできるんだよ」

 

ドヤ顔を浮かべて居る様な感じで胸を張っていくミレディ

 

「すっごーい!

 

 本当にそんなことが…」

 

「でもごめんね、それを使うには適性がないとダメなんだ」

 

纏が目を輝かせていくが、ミレディが間髪いれずに言い放った

 

「てきせー?」

 

「そ、神代魔法にも適性があるの

 

 例えば君たちで言えば、君たち

 三人はせいぜい、体重を変えてスピードや

 攻撃力を上げて行ったりとか、出来てその位かな」

 

「え~…」

 

「そ、そうなのね…」

 

「別にどうってことはないけど

 ハッキリ言われるとそれはそれで…」

 

纏はショックを受けて、雫と風香は苦笑いを浮かべていた

 

「そしてそこの、兎ちゃんは‥‥?」

 

「そ、そもそも私は魔力を持っていないので‥‥」

 

ラナは苦笑いを浮かべていく

ミレディは、それを聞いて首をかしげていく

 

「魔力がない?

 

 そんなはずはないよ

 

 私たちのいた時代では、亜人族も魔力は持ってたよ?」

 

「え?

 

 そんな事‥‥」

 

「だって、もしそうだったらリューちゃん

 

 リューティリス・ハルツィナが魔法を使える訳ないもん

 

 神代魔法だって、魔力を使うしね」

 

「そんな‥‥」

 

ミレディの言葉を聞いて、ラナは信じられないと言った様子を見せていく

 

「‥‥まあ、それについては色々と検討して‥‥

 

 私が知りたいのは、むしろ君達の方だよ!」

 

そういって、姫奈と香織の方を指さしていく

 

「何なの君たち!?

 

 適性があるなんてレベルじゃない

 むしろ、これは一段階あがっているとか

 そう言い現わした方がいいんじゃないってレベルだよこれ!?」

 

「「ええ!?」」

 

それを聞いて、むしろ自分達の方も驚いていく姫奈と香織

 

「一体君たちなんなのさ

 

 さっきの戦いのときでも

 アザンチウム制の鎧切り裂いてたし

 

 魔法とは全くあり得ない攻撃を繰り出してたし

 

 むしろ、君たちにはあいつを倒すのを頼みたいぐらいだよ、もう!」

 

ミレディは困惑のあまり、いつもの感じになってしまう

 

すると

 

「もしかして、それって…

 

 ミレディさん、少し聞きたいことが…」

 

姫奈がミレディに話しをしていく

 

それは

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

「‥‥聖徒、エーテル?

 

 どっちも聞いたことがないな‥‥

 

 私達の居た時代でも、そんな

 天職や力を持っている人なんていなかったよ‥‥」

 

ミレディは申し訳なさそうにしながら答えていきつつ

一同を迷宮内で歩かせている、迷宮の外に通じる魔法陣に案内させているのだ

 

「そっか…」

 

「それにしても、気になるのは

 その国を亡ぼせるほどの力を持ったって言う

 

 亜人の子だよね、私達の時代にもそんな子はいなかった‥‥

 

 私達が破れてから、そんなことが起こっていたなんてね‥‥」

 

ミレディは顎に手を当てながら、考え込む

 

「だとすると、急いだほうがいいかもしれない

 

 早めにつたえておくことがある

 

 君たちが元の世界に戻るのにも必要な事だからね」

 

ミレディはそういって、一同に伝えていく

 

「神代魔法は、その全ての力を集めたとき

 その人にさらなる力を与えるとされている

 

 だから、これから残る六つの神代魔法を手に入れて!」

 

「そんなこと言われても、場所が…

 

 分かっているのは、ここをいれてオルクス大迷宮と

 ラナさんから教えてもらった ハルツィナ大迷宮位だし…」

 

「そっか、もうそんなに‥‥

 

 分かった、それじゃあ教えるね

 

 砂漠の中央にある大火山、グリューエン大火山

 

 西の海の沖合の周辺にある、メルジーネ海底遺跡

 

 教会、総本山 神山

 

 東の樹海にある大樹ウーア・アルト。ハルツィナ樹海

 

 南にあるシュネー雪原にある、氷雪洞窟

 

 そして、君たちも入ったことがある、オルクス大迷宮

 

 ここに、私の仲間たちが築いた迷宮と試練がある‥‥

 

 どれもはっきり言って簡単じゃない、でもだからって

 乗り越えられないほどのものじゃない、絶対に出来るとは言わないけど‥‥

 

 でも、君たちになら出来るって信じてるから、頑張ってね」

 

「ありがとうございます…」

 

ミレディにほかの七大迷宮の場所を聞いていく一同は

元の世界に戻るために、改めて迷宮攻略の決意を新たにしていった

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、それは面が白いことを聞いた‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

「うん?」

 

不意に聞こえた声に、姫奈と香織はあたりを見回す

それに合わせて、他の四人も辺りを見回していった

 

ミレディもそれを見て、どうしたのかと感じたそこに

 

一同に向かって、何かの群が向かってくる

それは、普通よりも大きい蝙蝠の大群であった

 

「蝙蝠!?」

 

すると、蝙蝠の口元から何やら

魔法陣のようなものが展開されていき

 

それぞれの口から、炎や水、雷などの

様々な魔法が一同の方に向かって放たれていく

 

香織は、それに対して聖痕を解放し

本を開いて構えると、四方を囲んで自身と

他の面々を、蝙蝠の放ってきた攻撃から守る

 

「ナイスよ、香織!

 

 はああああ!!!」

 

姫奈は、蝙蝠の群に対して

剣をふるうように炎を放っていく

 

それによって、蝙蝠たちは分散していく

 

「あれって、魔物?」

 

「ちょっと待って、私の迷宮には

 あんな魔物はいないはずだよ、用意した覚えもないし」

 

ミレディ自身も知らない、蝙蝠型の魔物

しかし、その蝙蝠達は一か所に群がる様に集まっていく

 

すると、そこに現れたのは一人の少女であった

 

「‥これは驚き‥‥

 

 私の張っているこの空間の中で

 魔法を行使できるなんて、そっか‥‥

 

 あなたがあの人の言っていた、例の‥‥」

 

少女は物静かな口調で口を開いていく

 

「あんた‥‥一体何者…

 

 どうやって、こんなところまで?」

 

剣を手に、少女に訪ねていく姫奈

 

「何者か、か‥‥

 

 残念だけどそんなの言われても

 私は答えてあげる気はないよ、だって‥‥

 

 私は、何物でも居たくはない‥ただ‥‥

 

 私は、この力で果たしたいことがあるだけ‥‥」

 

それに対して、少女はただ嘯いていく

 

「どうやら幸運と言うのはまとめて降ってくるものらしい‥‥

 

 このライセン大迷宮で、他の大迷宮の事を調べようと思ったら

 間抜けな人形が聞かずに全部教えてくれただけじゃなく、ここで

 

 私達に歯向かう愚か者を、まとめて始末してあげることが出来る‥‥

 

 いいことが訪れすぎて、気味が悪い位だね‥‥」

 

少女は、うっすらと笑みを浮かべて

一同の方に目を向けていくと、背中から

蝙蝠の翼を三対六枚広げていく、それを羽ばたかせていく

 

「何、あの子‥‥

 

 あの翼でまるで、この辺りの空間が

 別の何かに置き換わったような感じがする‥‥」

 

「‥‥雫ちゃん、風香ちゃん、纏ちゃん…

 

 ラナさんとミレディさんの事、お願い…」

 

ミレディがそう呟いていくと

香織がそういって、前に出ていく

 

「香織は!?」

 

「大丈夫、ここは私と姫奈ちゃんで行く…

 

 だから、心配しないで」

 

そういって、相手の方に目を向けると

少女は再び自身の体を蝙蝠に変えて分裂していき

その蝙蝠たちが、彼女の周りに、飛び交っていく

 

「私は、運命と破壊の罪徒

 

 リュナ・プレーヌ‥‥

 

 

 我らが神の命により、お前達を殺す」

 

「っ!」

 

そういうと、リュナの回りに飛んでいる蝙蝠が

一斉に一同の方に飛んでいき、その口を開いていく

 

すると、その口元から魔法陣のようなものが展開され

そこから、いくつもの針が放たれて行き、姫奈はそれを

剣でいなしつつ、欠けていくように攻撃の範囲から逃れる

 

「はああああ!!!」

 

香織が、円陣を展開していき

それをリュナの方に向かって飛ばしていく

 

リュナはそれに対して、右腕を構えると

円陣を掴むようにして、その猛攻を止める

 

円陣は、まるで金属を削るような音を立てていく

 

「おかしい‥‥

 

 私が聞いた話だと

 私達のこの力の前で戦えるのは

 そこにいる、剣士の女の子だけだって聞いた‥‥

 

 なるほど、これはあの人に報告することが増えた‥‥」

 

そういって、リュナは円陣を弾く

 

そこに姫奈が剣をふるって、仕掛けていく

 

「あんた達は一体何なの…

 

 何のためにライセン大迷宮を!」

 

「‥私達の目的は、ライセン大迷宮だけじゃない‥‥

 

 それらを含めた七大迷宮、その全ての鎮圧‥‥

 

 それが我らが神の意志!」

 

そういって、蹴りを繰り出して姫奈を地面にふっ飛ばしていく

 

「姫奈ちゃん!」

 

香織が心配そうに声をかけていくが

姫奈自身はボロボロながらもなんとか持ち直している

 

「大丈夫よ、香織

 

 それよりも蝙蝠に気を付けて!」

 

姫奈がそういって、辺りに飛んでいる

蝙蝠たちに警戒するように言っていく

 

すると、蝙蝠たちは香織の死角から

魔法陣を展開していき、そこから炎を放つ

 

香織は、円陣を使ってそれをふさぎ

他の円陣で、蝙蝠に攻撃を仕掛けていくが

蝙蝠は素早く攻撃が、なかなか当たらない

 

「へえ、防御は優秀だと見た‥‥」

 

「はあ!」

 

姫奈がリュナに剣をふるい

リュナは、それを翼を使って受ける

 

「貴方達の力が、どれほどの物かは知らないけれど

 それでも、我らが神に選ばれた私達の敵じゃない!」

 

そういって、腕を振るい姫奈を退かせていく

すると、リュナは自身の両手から魔法陣を展開していく

 

「はああー!!!」

 

そこから、炎が放たれ

姫奈はそれを、ぎりぎりでかわす

 

「魔法…!?

 

 でも、このライセン大迷宮では

 魔力が分解されて、魔法を放つことは出来ないはず…」

 

「そんなの聞いてどうするの‥‥?

 

 どうせ、答えたりなんてしないのに‥‥」

 

リュナはつまらなそうに言うと

今度は地面を踏みつけていき、そこから

土が勢いよく突き出していき、姫奈の動きを止める

 

「この!」

 

姫奈は、剣をふるって突き出した土を切り落とし

姫奈は、身体強化を使ってさらに仕掛けていった

 

「(魔法使い型は、身体能力自体は高くない…

 

  それだったら、ここは距離を詰めて接近戦に持ち込む!)」

 

姫奈はそういって、リュナの懐に飛び込まんとしていく

 

「‥残念」

 

リュナは、そういうと

姫奈に向かって蹴りを放つ

 

姫奈は、それをどうにか止めると

今度は反対側の足を繰り出していき

 

一度目はかわすが、二度目は

フェイントもあり喰らってしまう

 

「確かに私は、間接型だけど

 腕の方もそれなりに覚えはある!」

 

そういって、腕から魔法陣を展開すると

そこから、金属の針を広範囲に放っていく

 

「っ!

 

 隙が無い…」

 

姫奈は、針を弾きつつ

再び、攻撃範囲から脱出していく

 

姫奈はその際に、ある時に気づく

 

それは

 

「香織!

 

 風香たちを!!」

 

姫奈は香織に呼び掛けていくと

香織は驚きながら、辺りを見回す

 

そこにいたのは何匹もの蝙蝠で

しかも、全員が魔法陣を展開していった

 

香織は、それを見て円陣を展開して

それで自信を含めて、四方を囲んでいく

 

一斉に攻撃を放たれるが、香織は

防御壁をわずかに傾けて、それで攻撃を防ぐのではなく逸らす

 

「はああああ!!!」

 

自分達の四方を囲んでいた円陣を飛ばして

それを使って蝙蝠たちに攻撃を仕掛けていく

 

蝙蝠たちはかわしていくが

そのおかげで、蝙蝠たちを分散させる事が出来た

 

「こうも、数が多いとやりにくいな…」

 

香織はそういって辺りを見まわしていく

 

すると、雫と風香が香織の隣に立つ

 

「香織、私達もやる…」

 

「雫ちゃん!?」

 

「ごめんね、香織ちゃん…

 

 でも、ああいう奴はむしろ

 私達の方がいいかもしれないよ」

 

「風香ちゃん!!?」

 

そういって、武器を取っていく

 

「そんな、でも二人は…」

 

「分かってる、私達が出たところで

 姫奈や香織の足手まといにしかならないって…

 

 でも、だからって二人にばっかり戦わせていくなんて…

 

 出来ない!」

 

「私だって、皆が頑張ってるのに

 自分だけなにも出来ないなんて…

 

 見ていられないよ!」

 

そういって二人は、身構えていく

 

「皆さん‥‥」

 

ラナは、そんな一同の背中を見ている

 

すると、そんな彼女の肩に

優しく手を置いていく者が

 

「大丈夫…

 

 ラナさん、ここは任せましょう…」

 

纏もどこか、やりきれない表情を浮かべるが

ここで全員がいったら、ラナが無防備になってしまう

 

それを避けるために、ラナの護衛に回っていく

 

「分かった、でもその前に…」

 

香織は、飛ばした四つの円陣の内、二つ

それぞれを雫と風香の体の方に纏わせていく

 

「これって、さっきの…」

 

「これで少なくとも戦えるはずだよ…

 

 回復もしてくれるし、ただ永続は出来ないから

 くれぐれも無茶の方はしないでね、それじゃあ…」

 

「ええ、ありがと香織…」

 

二人は、構えていく

 

さらに

 

「待って、ここは

 このミレディちゃんにも

 

 一枚かませて頂戴」

 

ミレディの方も名乗りを上げて行く

 

「ミレディさん!」

 

「私だって、人の迷宮に土足で踏み荒らされて

 黙ってみているほど、私は寛容じゃないよ

 

 確かに人間だった時に比べると

 私は弱くはなってる、けれどもね!」

 

すると、部屋の中から大量の騎士型のゴーレムたちが現れ

 

リュナと姫奈の戦闘の方に介入していく

 

「ん‥‥」

 

リュナは目障りそうにゴーレムたちを見回す

 

「さあ行け、ゴーレムちゃん達!」

 

そういって、ゴーレムの大群を向かわせていくミレディ

 

しかし

 

「グリップ・アンド‥‥」

 

リュナが、静かに手をかざしていった

 

その時

 

「ブレイクダウン!」

 

そこから、何かを握りつぶすと

ゴーレムの大群が瞬く間に破壊されて行った

 

「ええええ!?」

 

自身の自慢のゴーレムたちが

余りにもあっさり全滅したことに

流石のミレディも驚きを禁じ得ない

 

「‥私は運命と破壊を司る罪徒‥‥

 

 運命は常に私のために動き

 私自身の手でその運命を破壊することもできる‥‥

 

 こうやってね‥‥!」

 

そういって、再び手をかざしていくリュナ

 

「させない!」

 

そこに姫奈が剣をふるい

リュナの動作を中断させる

 

「ちっ‥‥」

 

リュナも防禦姿勢が間に合わず

剣術による一撃を、そのまま受けてしまう

 

しかし

 

渾身の一撃で、振るった一撃も

リュナの外皮を斬るまでには至らない

 

「なんなのよ、その身体‥‥

 

 鉄でも仕込んでいるの!?」

 

「私達の身体を構成する細胞には

 細胞壁とよばれている天然の装甲がある‥‥

 

 

 このおかげで、私達の身体を斬ることは不可能‥‥

 

 少なくとも、貴方達の持ってるその鈍ではね‥‥!」

 

そういって、手刀による突きを食らわせる

その突きも天然の装甲で強力になっているので

下手をしたら、肉体を貫かれてしまうほどのもの

 

「っ!」

 

 

姫奈はそれを剣を使って

どうにか凌ぐものの、距離の方を取っていく

 

「姫奈!」

 

雫は、先ほどミレディより譲渡された

重力魔法を駆使して、蝙蝠の群の猛攻を

掻い潜っていき、姫奈のもとに向かって行く

 

しかし、リュナの方は彼女の方に

目を向けることなく、彼女の攻撃をひらりとかわす

 

「雫、あんた…」

 

「ごめんなさい、でも…

 

 どうやらそうは言ってられないみたいよ…」

 

雫はそういって、辺りを見回す

するとそこには、大量の蝙蝠の群が集まっていた

 

「いつの間に…」

 

「姫奈、この蝙蝠たちは私と風香が

 どうにかするわ、だからあいつはお願い…

 

 出来る事なら一緒に戦いたいけれど、わかる…

 

 私なんかじゃ、相手にならないんだって…

 

 だから、お願い!」

 

雫は言う

 

「全く、あんたも香織も

 無茶をするところは似た者同士ね…

 

 でもありがとうね、それじゃあ

 あのうざったい蝙蝠たちの駆除はお願い!」

 

「ええ、任せて!」

 

そういって、雫は自身の身体強化に

重力魔法を組み込んで、蝙蝠達の方に行く

 

「なるほどね‥‥

 

 悪くはない判断‥‥

 

 でも、貴方では私は倒せない‥‥!」

 

「でしょうね…

 

 でも、今の私は一人じゃない!

 

 香織!!」

 

「うん!」

 

香織は、円陣を飛ばし

それを姫奈の体に纏わせていく

 

「なるほど‥‥

 

 俗に言うバフ‥‥

 

 でも、私はまだすべての力を

 出し切っているわけじゃない‥‥!」

 

リュナはそういうと、服の袖から

それぞれ長さと形の違う二本の槍を取り出し

 

それを手にもって構えていく

 

「武器…!

 

 まだそんなのを隠し持っていたの!?」

 

「武器位持っていることは予想できるはず‥‥

 

 まあ無理もない‥だって私が得意なのは‥‥

 

 魔法だから‥‥!」

 

リュナがそういうと、姫奈の方に向かって

何匹かの蝙蝠が、あぶれていてそれが魔法陣を展開する

 

「っ!」

 

姫奈はそれに気づき、すぐさま

剣を素早く振るい、蝙蝠の群を払っていく

 

しかし、リュナは特に動じることはなく

武器である槍を振るい、そこから風を使った

鋭い突きを勢いよく、飛ばしていった

 

姫奈は、それを見て横に転がる様にかわし

すぐさま、リュナの方に向かって攻撃を仕掛ける

 

「おっと!」

 

リュナは、そんな姫奈に目を向けていくと

彼女の周りに、六つの魔法陣が展開されていき

 

そこから、風、火、水、土の力と

さらにそこに氷と雷を加えていった六属性の魔法陣

 

「これって…!?」

 

「行け!」

 

リュナがそういって槍を突き出すと

それぞれの魔法陣から、それぞれの属性で

生成した龍のような形をした攻撃が放たれる

 

それら一つ一つが、生き物のように動き

それらが一気に、姫奈の方に向かって放たれていく

 

「っ!」

 

姫奈は剣をふるって、攻撃を相殺しようとするが

逆に強力すぎて、姫奈は攻撃を受けてふっ飛ばされていく

 

「っ!

 

 香織の能力で、自動回復のバフを

 つけてもらっていなかったら、危なかった…」

 

姫奈は、よろよろと立ち上がっていくが

目の前の相手を見て、察してしまう、彼女は

 

リュナは、まだ挑んでいい相手ではないと

 

「ん‥‥

 

 随分とタフ‥‥

 

 それにしても、わからない‥‥

 

 これほどまでに力の差を見せられて

 自分でも叶わないんだって、理解しているのに‥‥

 

 どうして、なおも挑んでいくのか‥‥?」

 

リュナは、自身の周りに属性で生成した

六体の龍を、自身が使役するように纏わせていく

 

「そうね…

 

 確かに勝てないんだって

 頭の中ではわかってる、でもね…

 

 勝てないなら勝てないで、戦いかたはある!」

 

そういって、武器である剣を構えていく

 

「へえ‥‥

 

 どうやら、ただ四肢を

 ふっ飛ばすだけじゃダメみたいね‥‥

 

 あなたを丸ごと、吹き飛ばす!」

 

そういって、両手に魔法陣を展開していき

そこから炎を放って、攻撃の方を仕掛けていく

 

姫奈は剣を手に取っていくと

もう片方の手を前につきだしていくと

 

そこから、剣の形に生成した雷を手に

再び、リュナに向かって駆けだしていく

 

「フン!」

 

リュナは、再び魔法陣を展開し

火球を放って、攻撃を仕掛けていく

 

放たれていく火球を、剣を使って相殺し

そのさいに、剣状の雷を持った左手を突き出すと

 

彼女の方に向かって、剣の切っ先のように

電撃が勢いよく突き出されて行った、だが

 

「ん‥‥!」

 

リュナはそれに対して、同じ雷を

放ってぶつけていく事で、相殺する

 

姫奈は、剣に炎を纏わせていき

リュナに向かって、斬りかかっていくが

それを、武器である槍を使って見事にとめられる

 

しかし、姫奈がそこにすかさず左手を突き出し

それを、リュナの左胸につきだし、電気を流す

 

「っ!

 

 この‥‥!!」

 

リュナは、さすがにこれは効いたのか

姫奈に向かって蹴りを放って、姫奈を飛ばす

 

姫奈は剣を使って攻撃自体は防ぐが

さすがに衝撃は防ぎきれず、後ろに下げられる

 

「ん‥‥

 

 今のは聞いた、でも‥‥

 

 それでも、強くはない‥‥」

 

リュナはそういって、人差し指を上に立てると

それを姫奈に向かわせていくように、振るっていく

 

すると、リュナの周りを囲っている

六体の龍の内、雷の龍が向かって行く

 

「やばっ!」

 

 

流石の姫奈も、まずいと考えて

すぐさま、この場からの離脱を考える

 

しかし、雷はさすがに早く

姫奈は攻撃の直撃はかわせたものの

辺りに放出された雷はうけてしまい

 

姫奈の体にしびれが走っていく

 

「ま、まずい…

 

 身体がしびれて動けない…」

 

雷属性は耐性を持っている姫奈だが

リュナの放った、龍のような雷の一撃は

さすがに、かわしきることはできなかった様である

 

「‥これが、最高の電撃‥‥

 

 でも、最強じゃない‥‥

 

 まあ、それを見せる機会は

 もうないと思うけれどもね‥‥!」

 

そういって、右手を掲げて

その手の人差し指をのばしていく

 

すると、残った龍たちが襲い掛からんとしていく

 

「姫奈!」

 

蝙蝠の討伐に回っていた雫だが

姫奈がまずい状況になっているので

急いでそっちの方に回ろうとしていく

 

だが

 

「無駄‥‥!」

 

リュナがそういって、指を雫に向けると

彼女に向かって龍のように生成された風が向かう

 

それによって、雫は大きく吹っ飛ばされていく

 

しかし、地面に落ちる直前に

ふわりと浮くような動作を見せ

 

それで、地面に着地していく

 

「ん‥‥?

 

 おかしい‥今のだったら‥‥

 

 確実に直地なんてできなかったのに‥‥

 

 なるほどね、それが神代魔法‥‥」

 

「ええ、とはいっても

 土壇場で斬りだしたから

 

 ちょっと、粗削りだけどね…」

 

雫は息を切らしながら、リュナに向きあう

 

「なるほどね‥‥

 

 でも、貴方がここにいるってことは

 もう一つ、気を付けないといけないことがある‥‥

 

 それは‥‥」

 

雫の周りには、リュナの分身である蝙蝠が飛び交い

彼女に攻撃を仕掛けんと、ほぼ全部が前に出ている

 

「まだこんなにいたの…

 

 ここに来るまでに随分と斬ってきたのに…」

 

「その蝙蝠たちは、私の分身‥‥

 

 私の力を利用して生みだしているから

 実質、不死身と言ってもいい、そういう訳だから‥‥」

 

蝙蝠の群れたちは、一斉に魔法陣を展開していく

雫は、それならばと重力魔法の力で重さを軽減し

スピードの方を上げて行く、しかしそれをもってしても

リュナの魔法の構築速度の方が早く、駆け出す前に魔法が放たれていく

 

「雫ちゃん!」

 

そこに、香織が駆けつけて

香織が結界を展開して、魔法を防ぐ

 

「香織!」

 

「雫ちゃん、守りは私が引き受けるから

 雫ちゃんは早く、あいつの方を!」

 

香織に勧められて、雫は頷き

リュナの方に、かけ出していく

 

「ん‥‥」

 

リュナは、それを見て

雫の攻撃にたいして腕を突き出していく

 

雫はそれに対して、武器である

アーティファクトのショーテール型の剣をふるう

 

さらにそこに、重力魔法による負荷も加えていき

いつもの剣撃よりも、威力の方は増していた、しかし

 

「え…?」

 

本来ならば、そう簡単に折れるはずのない

アーティファクトが、きれいな音を立てて

 

ぽきんと折れてしまう

 

さしものアーティファクトでも

リュナの外皮を覆う、天然の鎧を斬ることはできなかった

 

「力任せで、どうにかできるって

 思っている人ほど、思い上がりやすい‥‥

 

 これもまた、人としてのうぬぼれ‥‥」

 

雫に向かって、短い方の槍を勢いよく

突き出ていき、雫の肉体を差し貫かんとする

 

「っ!」

 

その槍の切っ先をどうにか止めたのは、姫奈であった

 

「姫奈…」

 

「香織のおかげでしびれがやっと収まったわ…

 

 しばらく動かないでいたから、疲れも取れたわ…

 

 でも、ごめん、雫の剣が…」

 

姫奈が雫の前に立って

リュナの攻撃を見事に受ける

 

しかし、これで雫の剣がなくなってしまった

 

「思ってたよりも早い‥‥

 

 でも、それでも状況は変わらない‥‥」

 

リュナはそういって、右腕を振るっていく

 

すると、彼女の分身の蝙蝠たちが

奥の方で控えていた、ラナの方に向かって行く

 

「おらああああ!!!!」

 

しかし、その蝙蝠の群れは突然

勢いよく地面の方に叩きつけられていった

 

「ミレディちゃんの事、忘れないでよね

 

 確かに人間だったことに比べると

 力は弱くなっているけれども、それでも

 重さを変えていくことぐらいはできるんだから!」

 

ミレディがそういって、前に出ていく

 

「本当にしぶとい‥‥

 

 まるで、害虫‥‥」

 

「失礼だね、君!

 

 こんないたいけな美少女を

 害虫呼ばわりなんて、失礼にも程があるよ!!」

 

自身を害虫に例えるリュナに不満を口にしていくミレディ

 

「それにしても‥‥

 

 どうしてここで魔法が使えるの‥‥?

 

 確か、この空間の中では魔法は

 一切封じられて使えなくなるはずだけど‥‥」

 

リュナは不意に疑問を浮かべていき

ミレディの体の方に目を向けていく

 

すると、ミレディの体には何か

光るものが纏われているのが見えた

 

「‥‥なるほどね‥‥

 

 あの兎を守っていたのは

 あなただったわけね、ミレディ‥‥

 

 まさか、人形にもバフを掛けられるとはね‥‥

 

 でも、貴方の体はもう、魔力を回復させられる

 人間の体ではなくなっている、つまり貴方が力を使えば使うほど‥‥」

 

「確かに私はもう、人間だったころとは違って

 魔法はもう、ほとんど使えなくなってる、でも‥‥

 

 あいにくだけれど、私は切り札じゃない!」

 

ミレディは笑みを浮かべるような口ぶりで言う

 

「剣士のお嬢ちゃんと治癒師のお嬢ちゃん!

 

 君たちは、まだ戦うことが出来るはずだよ!!

 

 君たちはこの迷宮で、新しく魔法を会得したはず‥‥

 

 それを使って、あいつと戦って!!!」

 

「え、でも…」

 

「姫奈ちゃんはともかく

 私は近接戦闘の方には…」

 

ミレディは呼びかけていくが

姫奈と香織は、少し戸惑いを見せていく

 

「よく聞いて!

 

 魔法は、使い手次第でどんな形にもなれる

 だからこそ、魔法に適性のない人にも魔力がある

 

 ようは、自分の戦い方に、いかに自分らしさを組み合わせるか‥‥

 

 君たちはまだ、自分に合った魔法の在り方を見つけてない‥‥

 

 その答えはすでに、君たちは見つけているはずだよ!」

 

ミレディはそういって、重力を使って

蝙蝠の群れたちを次々と落としきっていく

 

「本当に目障り‥‥

 

 それだったら、ここで貴方を

 ズタズタに引き裂いてあげる!」

 

そういって、リュナは武器である槍を手に持ち

何と、ミレディの張っている重力の領域の中をかけていく

 

ミレディは、まずいと感じ

急いで、距離の方を取ろうとしたものの

 

それよりも先に、リュナがミレディを捕らえ

彼女に向かって、槍を突き出さんとためのモーションを取る

 

だが、そのリュナの体に抱き着いて

彼女の攻撃の意識を逸らしていくものが

 

それは

 

「っ!

 

 ラナさん!!」

 

それは、今いる中で何の力も持っていないラナであった

 

「んん!」

 

必死に動きをとめようとするラナ

 

しかし

 

「邪魔‥‥」

 

リュナの力には及ばず、そのまま

蹴飛ばされてしまう、それでもまた抑えていく

 

「ラナさん、無茶です!

 

 離れてください!!」

 

香織が危険だと呼び掛けていく

 

しかし

 

「確かに、私は兎人です‥‥

 

 生まれながらに魔力もないし

 何よりも、同じ亜人の中でも非力です‥‥

 

 そのせいで私は、自分の仲間を、家族を

 あの時に見捨ててしまいました、本当にどうしようもないです‥‥

 

 でも、だからこそ私は絶対に後悔をしたく無い!

 

 またあの時、守ることが出来なかったって自分を責めるのは‥‥

 

 もう嫌なんだよ!!」

 

ラナは思いを吐露していく

 

しかし

 

「知らない‥‥」

 

リュナはそんな、ラナを容赦なく殴りつけていく

その勢いのいい一撃によって、ラナの顔は変形してしまう

 

「ごぶっ!」

 

「その度胸だけは褒めてあげる‥‥

 

 でも‥邪魔をするのなら

 たとえ誰であったとしても‥‥

 

 容赦なんてしない‥‥!」

 

そういって、右手に魔法陣を展開していき

そこから放たれる攻撃を、ラナに向かって放たんとする

 

「兎ちゃん!」

 

ミレディが、重力魔法で

リュナに迎撃を行おうとする

 

しかし

 

「煩わしい!」

 

そういって、もう片方の手から

水によって生成された、刃を放つ

 

「っ!

 

 重力魔法でも、威力が殺しきれない‥‥」

 

ミレディは、それを見て死を覚悟するが

その間に一人の人物が割って入っていき

 

水の刃を相殺した

 

「ちぃ‥‥」

 

それを見て、苦そうな表情を見せていく

 

「ヒメちゃん‥‥」

 

「ミレディさん…

 

 あなたに言われて、自分にあった

 魔法の使い方を、少し考えてみました…

 

 私はそもそも魔法職ではありません…

 

 だから、属性なんて剣に付与するくらいしか

 出来ないって思ってました、でも考えてみたら…

 

 それも、魔法なんですよね」

 

姫奈はそう言って、自分の剣を再び構えていく

 

「まだやるつもり‥‥?」

 

リュナは、うんざりした様子で

武器である槍を構えた様子で、身構えていく

 

「うう‥‥」

 

「ラナさん!」

 

顔がひどくはれ上がってしまったラナに

香織は駆け寄っていき、彼女に円陣を当てていく

 

すると、ラナの顔がだんだんと元の整った顔立ちに戻っていった

 

「あれ、顔の痛みがもとに‥‥」

 

「ラナさん‥‥

 

 あなたの勇気、私

 本当にすごいって思ったよ‥‥

 

 ラナさんが頑張ったんだから、私も

 最後の最後まで、頑張る、だから今度は‥‥

 

 今度こそは、絶対に負けないから!」

 

香織はそういって、リュナの方に目を向ける

 

「香織さん、姫奈さん!」

 

「纏ちゃん、それにみんな

 ラナさんの事、お願い…

 

 ここは私と姫奈ちゃんに任せて!」

 

そういって、香織と姫奈は前に出る

 

「気を付けてね、香織…」

 

「ここは任せて!」

 

雫と風香がそれぞれ、激励を送る

 

「まだ挑むつもり‥‥?

 

 貴方達も分かっているはず‥‥

 

 どんなに戦ったところで

 私に一撃を与えることは出来ない‥‥」

 

「そうね…

 

 私達それぞれの力だけじゃ

 あなたには勝てない、それは

 直接戦って、しっかりと理解してる…

 

 でも、今の私達には

 貴方と戦えるだけの力がある!」

 

そういって、剣を構えていく

 

「ミレディさんの言う通りだった…

 

 私達は貴方と言う敵の前に

 私たち自身の在り方を忘れてた…

 

 でも、今の私達には自分の在り方

 それによって得ることが出来るだけの力がある…

 

 だって私達には、強い味方が付いているから!」

 

香織も本を開いて、相手の方を見据える

 

「強い味方‥‥?

 

 意味が解らない‥‥

 

 そんな奇跡を起こす事のできる何かがいったいどこに‥‥」

 

リュナは、理解に苦しむと言ったように呟いていくと

 

「いるのよ…

 

 ここにね!」

 

姫奈がそう叫んだ、その時

地面がまるで地割れのっ様に光だし

その光が、辺りを照らしきっていく

 

「っ!?

 

 こ、これは‥‥!?」

 

突然の現象に、リュナはもちろん

雫や風香、纏、ラナも目を見開く

 

しかし、ただ一人

 

「そう‥‥

 

 これこそが、重力魔法の神髄‥‥」

 

ミレディは、笑みを浮かべていた

 

「重力魔法の特性は、星の力に干渉する魔法…

 

 つまり、星の力を借りることが出来る魔法…」

 

「私達とともに戦ってくれる強い味方…

 

 それは…」

 

「「この星、そのものなんだよ!!」」

 

二人の声が大きく響き、リュナの翼によって

変質していた空間が、さらに上乗せされるように変わっていく

 

「そ、そんな‥‥

 

 私の世界を、塗り替えるなんて‥‥!」

 

リュナは、自身の張った空間に干渉されたことに気づき

すぐさま、両手に魔法陣を展開させていき、二人に攻撃を仕掛ける

 

「やあ!」

 

香織はそれを、光の盾て防いでいき

そのさいに姫奈は、武器である剣を手に

リュナに向かって斬りかかっていく

 

リュナは、激しく舌打ちをしながら

武器である槍を振るっての近接に切り替えていき

 

激しく火花を散らしていく

 

「依然と動きが違う‥‥

 

 一体どうしてここまでの力を‥‥」

 

「教えてあげるわ!

 

 

 それはね、あんたが弱いって蔑んだ

 ラナさんの勇気よ、ラナさんのその勇気が…

 

 私達に答えを導かせてくれたのよ!

 

 勇気って言うのは、どんなに弱くても

 何かのために自分を信じて、立ち向かう事

 

 私は、それを貴方と戦いで、無意識に忘れていた…

 

 でも、ラナさんの勇気がそれを思い出させてくれたのよ!」

 

そういって、激しくぶつかり合っていく双方

 

「はああああ!!!」

 

姫奈は、強力な一撃をリュナに向かって振るう

リュナの体には、天然の装甲が見に纏われている

 

本来の姫奈の攻撃では、傷をつける事は出来ない

 

しかし

 

「ああー!!!」

 

リュナの体から、赤色と緑色が

入り混じった色の血が勢いよく吹きだしていく

 

 

「そ‥そんな‥‥

 

 私の体を切り裂いた‥‥!?」

 

自身の体を切り裂いたことに、目を見開くリュナ

リュナがもともと持っていた再生能力のおかげで傷は癒えていく

 

「言ったでしょ!

 

 私達には、強い味方が付いているって」

 

そういって、再び剣を構えていく

すると、その剣には光が帯びているのが分かる

 

その光は、現在、地面を輝かせている光と同じ

 

「まさか‥‥

 

 

 神代魔法を使って!?」

 

「いいや、彼女達の使っているそれは

 私の授けた重力魔法とは、次元が違う!

 

 重力魔法はあくまで、星の力に干渉して

 その力を行使していくものだけど、その子達のそれは‥‥

 

 星の力、そのものを使ってる、言うならそれは‥‥

 

 星力魔法だ!」

 

ミレディがそう応えていく

 

「星‥力‥‥魔法‥‥‥!?

 

 そんなもの‥そんな力なんて‥‥

 

 私が破壊してあげる!」

 

そういって、手を突き出していくリュナ

 

「グリップ・アンド‥‥」

 

「させないよ!」

 

そこに飛んできた、香織が

リュナの掲げた手を切り落としていく

 

「え‥‥!?」

 

またも自分の腕が切り裂かれたことに

驚きの声を上げて行く、リュナ、さらに

 

「私は分かってなかった…

 

 ラナさんの覚悟を、その勇ましさを…

 

 私はずっと、自分は誰かを傷つける事しか

 出来ないんだって、ずっと自分の事を責めてた…

 

 そのせいで、皆のことは自分が守ってあげないと

 気が付いたら、そんな事ばっかり考えていた、けど…

 

 それは私の思い上がりだったんだって、ラナさんの

 あの時の立派な行動が、私に教えてくれたんだ、だから…

 

 私は誰かを守るんじゃなく、一緒に戦うんだって!」

 

そう告げたのは、香織であった

すると、香織の本が光り、あるページが開く

 

すると、そのページが浮かび上がると

それが一振りの細い剣のような形状に変わっていく

 

さらに、その剣も光を帯びていく

 

「分かってる、一緒に行こう…!」

 

そういって、剣状の本のページをもって

リュナの方に、素早く向かって行く

 

「そんなので‥‥

 

 私を斬れるか‥‥!」

 

リュナは、魔法を放って

香織の猛攻を止めんとしていく

 

しかし、香織への攻撃はすべて

光の盾がすべて防ぎきっていく

 

しかも、光の盾から鎖のようなものが離れて

それを、リュナの体に巻き付いていった

 

だが、リュナはそれを自身の腕力のみで引きちぎる

 

「生意気‥‥

 

 そんなので‥私をおお!?」

 

しかし、その隙に香織がリュナの懐に入り

 

彼女に向かって横なぎの攻撃を斬りだしていった

 

「はああああ!!!」

 

「っ‥‥!」

 

香織の一撃によって、リュナは

首元から勢いよく血を噴き出していく

 

だが

 

「このぉ‥‥!」

 

リュナは、最後の力を振り絞り

香織の背後から、手刀を斬りだしていくが

 

それを、香織は盾で防ぐ

香織はすぐさま振り返っていき

 

それと同時に、姫奈も剣を構えて向かう

 

「「やああ!!」」

 

二人の同時攻撃によって

リュナは、肩から下にかけてを

勢いよく切り裂かれて行った

 

「ぐう‥‥」

 

さすがの再生能力も、ダメージが大きすぎるいせいで

修復に時間がかかり、そのままその場に倒れこむように座り込んだ

 

「殺さないの‥‥?」

 

リュナは、それでも闘志を失うことなく

二人の方を、睨むように見つめていく

 

「私は、もともと殺し合いをさせられるために

 この世界に来た、でも私達は戦いとは無縁の中で生きてきた…

 

 はたから見ると甘いって言われるかもしれない…

 

 でも、私達はただ殺すだけで全部を解決させたくない、それだけよ…」

 

姫奈はそう答えていく

 

「‥へえ、この世界とは別の世界から‥‥

 

 と言う事は、貴方達なのね

 仲間を裏切り、平気で死に追いやった愚者は‥‥

 

 戦いを知らないっていってるくせに、内面は残酷ね‥‥」

 

「っ!

 

 どういう事!?

 

 私達の事を知ってるの!?」

 

香織はそれに驚き改めて問いかけるが

リュナは、不意に表情を強張らせていく

 

「‥ちっ‥‥もう来た‥‥‥」

 

リュナが静かにそう呟くと、迷宮の壁をぶち破って

巨大な何かが現れる、それはまるで巨大な蟹や海老のような怪物だ

 

一同は、あわててそっちの方に意識を向ける

 

巨大な甲殻類の化け物がけたたましい声を上げる

 

その甲らの上に載っていたのは

 

「‥随分とポロボロじゃねえか、リュナ

 

 私に任せてって啖呵切っておいて、何だそのざまは‥

 

 まあいい、ここからは俺が引き継がせてもらうぜ‥

 

 虚栄と虚飾の王

 

 リュカ

 

 

 つまり、この俺がな」

 

その肩に、三つ又の穂先、二刃の大鎌

一本の鎖を付けた、独特な武器を手に持った

 

褐色肌の男性がいた

 

「っ!?

 

 嘘‥‥でしょ‥‥!?」

 

その男性を見て、目を見開くミレディ

 

そんな中で、新たなる戦いが引き起こされんとしていくのであった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

多くのモチーフに使われる七つの大罪、皆さんが一番強いと思うのは?

  • 原罪(スルー推奨)
  • 傲慢
  • 虚飾
  • 嫉妬
  • 憤怒
  • 怠惰
  • 憂鬱
  • 暴食
  • 色欲
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