世界に愛された元徳者と世界を憎みし原罪者 ー世界を憎みし少年とその少年より生まれし九つの罪の王と罪徒となった少女達・世界に愛された少女達と聖徒に選ばれし少女達ー 作:lOOSPH
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
私が彼と出会ったのは、オー君と出会い
ともに戦うことを決め、さらにそこにナー君
メル姉も仲間に加わったある日、私達の支部の一つ
ライセン支部が壊滅したという報告を受けた時だった
彼は生物を作り替えることが出来る神代魔法
変成魔法の使い手で、この当時の魔王とは母親が違う兄弟であり
魔人族の民族の一つ、シュネー族の長も務めていた
それから、彼の頼みを聞きつつ
さらにそこで行われた激戦の末に
彼とは紆余曲折あったものの、救出
更には仲間に加わった
芸術家の天職を持つ彼は、服などの装飾品にもこだわりがあって
その方針の違いから、よくオー君とは喧嘩をしていたんだ、でも
そんな彼にもすごいって思うところはたくさんあって、オー君だって
譲らないところは譲らなかったけれども、認めるところはしっかり認めてた
あの戦いのときに、私達の意志を構成に残すときなんて
本当に一生懸命で、そんな時の彼のあの様子は、本当に輝いて見えた
だからこそ、彼やみんなと別れていくときは本当につらかった
でも、まさか‥‥それがこんな形で再会することになるなんて
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
「嘘‥‥でしょ‥‥」
ライセン大迷宮
そこで襲撃者を迎え撃っていた時に
新たにあらわれた襲撃者、その襲撃者は
褐色肌で、青みがかった灰色の髪が片眼にかかっている
簡潔に言うと魔人族の男性だ
「新手か…!」
姫奈は、武器である剣を構えつつ
現在の状況を見ていく、はっきり言ってはよくはない
ラナさんは傷は治ったがダメージそのものは抜けきっていない
更には戦闘要員の一人の雫が、武器であるアーティファクトの剣が
さっきの戦いで折れてしまっており、闘えないどころか戦闘にすら
活躍できない状況に至ってしまっている、残っている風香と纏がいるし
重力魔法の進化に至った、星力魔法に無事に覚醒した姫奈と香織
しかし、先の戦いでどうにかきり抜けられたのは、残念ながらそれは
運がよかった
姫奈がそれをよく理解している、一撃を当てられたのも
まさに奇跡ともいえるものなのだ、その上で敵の増援が来た
もう、最悪と言う言葉しか思い浮かばない状況である
「‥‥どうする、姫奈ちゃん…」
香織が恐る恐る訪ねていく、香織も馬鹿ではない
先の戦いで決められたのが運であることも、現状での
今の状況がよろしくない状態であることも、理解している
姫奈自身、武器である剣を構えつつ目標は立てている
問題は、それをどうやって起こしていくのかという事だ
「‥‥何とか、ここから脱出する…
とてもじゃないけれど、今の状態で
そうそう何度も戦ってなんていられないわ…」
「‥‥そうだよね…
でも…」
香織も賛同する、しかし問題はどうやって
この状況を斬り抜けていくのかという事だ
雫は申し訳なさそうに表情を俯かせており
風香と纏はそれぞれの武器に手を添えつつ
状況の方を見る
「‥やれやれ、一人で何とかして見せるって
息巻いていたくせに、随分とボロボロになってんじゃねえか‥」
「‥うるさい‥‥
あなたこそ、こんなところに何しに来たの‥‥」
お互いに憎まれ口をたたき合っていく二人
運命と破壊の罪徒
リュナ・プレーヌ
その彼女と会話をしている魔人族の男
ミレディはその男性を見て、呆然と立ち尽くしている
「‥‥どうしてなの‥‥?
どうして、貴方がそこにいるの‥‥!?
答えてよシューちゃん、いいや‥‥
ヴァンドゥル・シュネー!」
ミレディが驚愕と動揺の声を上げて
魔人族の男性に向かって訪ねていく
それを聞いた六人は、目を見開いていく
ヴァンドゥル・シュネー
先ほど、ミレディの話に出てきた
ミレディとともに戦った解放者の一人
その名前を聞いて、一同はミレディと
新たなる敵の増援である魔人族の男性の方に目を向けた
「‥フン!」
すると、その男性は手に持っている独特な武器
三つの三つ又の槍の穂先、その中腹位から伸びて居る
豚の耳を思わせる二刃の大鎌、そこから柄に巻き付くように
伸びている蛇の胴体を思わせるような、ひものような形状の鎖
それらが付いた長物の武器の穂先を一同に向けていくと
その男性が乗っている甲殻類を思わせる魔物がその口から
ものすごい勢いで、何かを吐き出していく、それは何と泡である
「香織、防御を!」
「うん!」
香織は、障壁を使って泡を防ぐ
その泡は、触れると溶けると言った
そういったものは、着いていないようである
しかし、それが目くらましになってしまい
その間にリュナが、敵側の方に回収されてしまう
リュナの体に鎖が巻き付くと
そのまま、勢いよく魔人族の方に引き寄せられた
「どうだ?
気分の方は?」
「‥最悪‥‥」
男性に引き寄せられて、どうにか
あの場から脱出が出来たリュナであったが
助けられ方がお世辞にも優しいとは言えないものであることや
自分を助けてくれたのは、犬猿の仲である彼であることも手伝って
リュナの気分は、最悪であった
「まあいいや、お前はさっさと下がってろ‥
ここからは俺がやる、どうやら随分と
俺を楽しませてくれる奴がいるみたいだからな‥」
「‥舐めないで、私だってあのお方に
選ばれた罪徒、こんなところで逃げるなんて
あの人を失望させてしまうだけ、だから私もやる
やられっぱなしで終わるなんて、それこそ罪徒の名折れ‥‥」
リュナは、そういってその場に立っていく
「‥好きにしな‥
その代わり、俺の方も
好きにやらせてもらうことにするぜ!」
そういって、二人は魔物から降りていき
それと同時に、魔物が一同の方に向かって行き
その巨大な挟を、振るわんとしていく
「来るよ!」
「みんな!」
姫奈と香織が、一同に指示を出していくと
他の面々も急いで、その場から移動していく
「雫さん!
ラナさんの事をお願いします!!」
「‥‥わかったわ…」
雫は武器を無くしてしまったために
身体強化自体は出来るものの、闘う事は
困難になってしまっている状態である、ゆえに
纏からラナの身柄を預かると、彼女の護衛の方を引き受けていく
「はああああ!!!」
姫奈が、武器である剣を使って
襲い掛かっていく大蟹に切り込んでいく
その剣に星力魔法による重力付与による一撃で
大蟹の堅い殻は見事に真っ二つに切り裂いていく
「(重力魔法、いいえ、星力魔法のおかげで
前に比べて体が軽くなったように動けている…
それに、なんだか世界そのものが
私に力を与えている、そんな感じがする…)」
以前に比べて、身体能力があがっている
それを感じて、姫奈は敵の方に攻撃を仕掛けていく
「フン!」
リュナが、そこに手をかざして
魔法陣を展開していき、姫奈に水によって
生成された刃を放って、攻撃を仕掛けていく
姫奈はそれを、武器である剣の一閃で
見事に相殺して見せていくが、そんな彼女に向かって
リュナが両腕を翼のように変形させて
その翼の際についている刃で切り込んでいく
「っ!
堅い…!!」
姫奈はそれをうけて、先ほどの攻撃で
切り裂いたリュナの時よりもはるかに頑丈になっている
それを感じ取って、すぐさま反対側から
剣の形で生成された雷を、つきだしていく
リュナはそれを、信じられない反射神経でかわして見せ
すぐさま、もう片方の刃の方を姫奈に向かって振るっていく
「っ!」
姫奈は、それを受けてあえて吹っ飛ばされることで
どうにか距離を取っていくが、リュナはそれを予期していたのか
両腕の翼を振るって、さらに一撃を加えんとしていく
「なるほど…
ただ、姿が変わったわけじゃないみたいね…」
「‥本来だったら、見せるつもりはなかった‥‥
私達の持っている武器は、私達の力の格を封じ込めている器官‥‥
言うならば身体の一部、それを解放することで私達は
内なる真の力に至ったという事になる、それが私達と言う存在‥‥
この姿になった以上は負けるわけにはいかない‥‥
絶対にね‥‥」
そういって、お互いの刃を受け太刀する双方
だが、そこに
ぎゃうううん!!!
けたたましい鳴き声とともに
何やら犬のような狼のような魔物が襲いかかる
姫奈はもちろん、彼女と受け太刀を行っていたリュナも
お互いに距離を取ると、二人の間で鋭い歯が並んだ口を勢い良く閉じる
「‥何をするの‥‥」
リュナは怒ったように、自身の加勢に来た魔人族の男性に言う
「‥おいおい、言ったはずだぜ?
お前の好きにさせてやるから
俺も好きにさせてもらうってなあ!」
そう言うと、男性の隣にまたも犬が現れる
「そういえば、最近魔人族が魔物を使役してるって
イシュタルさんが言ってた、あの魔物がそうなのかな?」
香織がそういって、魔人族の男性が使役する魔物を見て呟く
この世界に召喚された際にイシュタルが、魔人族の勢いが増したのは
魔人族が魔物を使役し、それを差し向けていくようになったからだと
「‥‥ねえ、治癒師のお嬢さん‥‥」
「‥‥香織、でいいよミレディさん…
治癒師のお嬢さんって、言いにくいんだし
普通に名前で呼んでくれていいから、そう呼んで」
香織が改めて、自身の名前をミレディに告げる
「ありがとうね、カオリン‥‥
カオリンお願い、私にさっき
かけてくれたバフをかけてもらえないかな」
ミレディは間髪入れずに香織に頼み込む
「分かった…」
香織はミレディの真剣な様子に
何も言うことなく、四つの光の衝撃の内
一つをミレディに付与させていくのだった
すると
「はああああ!!!!」
ミレディは手を前につきだしていくと
物凄い重力波を起こして、辺りを押しつぶしていく
「うおっと!?」
それによって、魔人族の男性を抑え込んで行く
「っ!
リュカ!!」
「よそ見をするな!」
リュナはそれを見て驚くが、姫奈のせいで意識を中断させられる
「‥なるほどな‥
これが神代魔法って奴か‥
なかなか悪くはない威力だな‥」
重力に抑えられながらも、何と
跪いた体勢で重力場に耐えている
ミレディはそんな彼のもとに駈け寄っていく
「‥‥そのまま圧し潰されたくなかったら、答えて‥‥
あんたは一体何なの、アンタのその姿はどこで手に入れた‥‥
答えろ、シュ―ちゃんの偽物!」
ミレディは激高するように問いかけていく
「ミレディさん…
その人って…」
「‥‥ヴァンドゥル・シュネー‥‥
かつて、私達と一緒に
神と戦った、解放者の一人だよ‥‥」
それを聞いて風香に纏、香織、雫とラナも目を見開いていく
まさか、目の前で攻撃を仕掛けてきたこの人物が
ミレディのかつての仲間であるというその事実に驚かされる
だが同時に、ミレディの様子をみて
本人ではないのだと理解はしているのだろう
解放者たちは全員、あの時に生涯を終えた
ミレディも生き延びたというよりは自身の魂を
ゴーレムに定着させていったというのが正しい
それを誰よりも理解しているのが、ミレディである
だからこそ、目の前のかつての仲間の姿を取っている
その姿に動揺を覚え、同時にその姿で自身の前に現れた目の前の人物に
憤りを覚えている
「答えろ!
どうしてその姿で、私の前に現れた!!」
ミレディはいつもの口調とは全くかけ離れた声で
目の前にいるヴァンドゥル・シュネーの姿を取った
その人物に対して、激しい怒りを見せていく
すると
「‥お前は俺を、偽りだと言ったな‥
その問いかけこそが、お前の望む答えだ‥
俺は存在その物が偽り、世界すらも俺の前には翻弄される‥」
淡々と答えていく偽シュネー
「なんだよ、それ‥‥」
怒りを抑えるように口を開くミレディ
だが、目の前の人物はそれすらも気にせずに続けていく
「世界は偽りと虚飾にまみれている‥
多くのものが、真実と言うものに蓋をし
それで周りの者達に取り繕っていく事でつながりを得ている‥
誰もが真実を畏れ、目を背ける‥
やがては、それが噓か偽りなのか、理解が出来ず
いつしか己も意図せずに、別の自分を生み出してしまっている‥
お前が見ている俺だってそうだ、俺はお前の言う
ヴァンドゥル・シュネーそのものか、あるいはその姿をした
異なる存在なのか、お前自身、頭で理解していてもそれを証明するすべはない‥
だが一つだけ教えてやる、真実と嘘のはてより出でし新たな存在‥
虚飾と見栄の王
リュカ
それが俺だ」
そういって、淡々と臆面もなく話していく
「‥‥もういい、お前の言ってることは分からない‥‥
でも一つだけ言えることがある、お前は私の仲間を
その意思を否定しているってことだけは、見てわかるよ‥‥
わけのわかんねえ御託を並べてんじゃねえよ、くそ野郎がああああ!!!!」
そういって、重力を収縮させて球状にした
所謂、重力玉を生成してそれを目の前の人物に放つ
物凄い轟音とともに、ヴァンドゥル・シュネーの居た部分が吹っ飛んだ
「ミレディさん…」
ミレディのキレっぷりに思わず引いてしまう風香
だが
「‥フン、随分と乱暴な人形だな‥
だが、まあいい、俺だってうだうだと
相手と話しをしていくのは、好きじゃねえ‥
だったら、ここからは力と力のぶつけあいをしようじゃないか」
煙の中から、現れたのは
手に持っている大鎌を手にゆっくりと立ち上がっていくヴァンドゥル・シュネー
いいや、リュカであった
「‥‥どうしよう…
さっきの闘いやミレディさんとの戦いで
結構力を消費しちゃってるのが感じられるし…
何より、姫奈ちゃんはあっちの方に行ってるし…
どうしたら…」
あまりよくない現状に、少し頭を悩ませる香織
戦力になれないラナや武器を無くしている雫
この二人は風香や纏がサポートに回っている
現状で、目の前のリュカと渡り合えるのは
自分を含めても三人だけである、そう考えていると
「カオリン…
悪いけれど、ここから本気で行かせてもらうから
ちょっと手伝って、もらえないかな?」
ミレディが不意にそう提案してきた
「ミレディさん、でも…」
「カオリン、確かに君はこの迷宮で強い力を得たし
ヒメちゃんと一緒に重力魔法を進化させた星力魔法を手にしてる‥‥
でも、だからって私は嫌なんだよ
誰かに任せっぱなしで、じっとしているのは‥‥
私はね、そういうのが性に合わないんだよ」
そういって、敵の方に目を向けるミレディ
「‥‥何より、ヴァンちゃんを‥‥
私の仲間の姿をして、ふざけた真似をする
あのお飾り野郎を、絶対に許すことはできない‥‥
だから、私が全力であいつを叩き潰してやる!」
そういって、指を差しながら言い放つ
「‥随分とおしゃべりだな、ミレディ・ライセン‥
そんなにも、この顔に思い入れがあるという訳か‥
まあどうでもいい、お前が俺にどう感じて居ようと
どのみち俺がやるべきことは、かわりはしないのだから」
そういうと、突然リュカの姿が
上から塗りつぶされていくように消えていく
「っ!
消えていく…」
「あの感じ‥‥
もしかして、空間魔法!?
まさか、ヴァンちゃんだけでなくナイ君まで‥‥
もしそうだって言うなら、アタシは遠慮はしないよ」
そういって、両手をつきだしていくミレディ
香織も、本を開いてページを剣のように顕現させる
ぐあああ!!!
そのころ、リュカと姫奈の戦いに
割り込んできた狼の魔物に翻弄される一人と一体
「‥うっとおしい!」
リュナもさすがに苛立ってきたのか
自身に噛みついてくる狼の一匹を上あごと下あご
それぞれから分けていくように、真っ二つに切り裂いた
すると、そこに
「え!?」
姫奈は、自分の目の前で起こった出来事を見て目を見開く
何故なら真っ二つになった、犬がなんとそれぞれ
復元されていくように、二匹に増えてしまうのだった
その別れた二匹が、それぞれに襲い掛かっていく
「なによこいつ…
分裂系のスキルでも持ってるの!?」
「っ!
こいつ、私に向かってくるなんて‥‥
リュカの奴、しつけがなってない‥‥」
姫奈は、剣を使って犬の猛攻を止めて
リュナの方も、足技を駆使して犬に対抗する
「ああ、もう!」
姫奈の方も、さすがにうっとおしく感じて来たのか
剣に炎を纏って、犬の身体を真っ二つに切り裂いていく
ただ斬るのではなく、斬った部分を焼いて
再生の方を防いでいこうという試みである
しかし
犬はそんなの関係ないと言わんばかりに復元されるように増えた
「リュカ‥‥!
許さない‥‥!!」
自分の戦いに、魔物を割り込ませたリュカに
憤りを覚えながら、リュナは魔法陣を展開していき
そこから、鉄や鉱物で出来た杭を放ち
それを使って、犬の動きを封じ込めていく
「ふう‥‥
さて、あのくそ野郎は‥‥」
犬が動けなくなったのを見て、早速
リュカに報いを受けさせんと、姿を隠した奴を探していく
「なるほどね…
ダメージを与えるのではなく
抑え込む事が出来れば、再生も分裂もしないのね…」
それを見て、姫奈は駆け出していき
向かってくる二匹の犬を引き寄せつつ
ある場所で急に止まり
犬たちの頭上を勢いよく飛んでいくと
「大人しくしてなさい!」
そういって、斬撃を飛ばして
崖を崩して、勢い余って崖にはまった犬たちに
そのまま、上から蓋をさせられるように崩れていった
「ふう…」
「‥‥‥」
姫奈とリュナは改めて、向きあっていく
「飛んだ横やりが入ったけれど
それでもまだ続けていく気?」
「当然‥‥
リュカの奴はあとでぶっ飛ばす‥‥
でも、まずは貴方‥‥」
背中の三対の翼を掲げ
両腕に翼を広げつつ、それに付いた刃を掲げる
姫奈も、武器である剣を取りながらリュナの方に目を向ける
「「はああ!!」」
二人は、互いにぶつかり合っていく
さらに
「っ!」
ミレディは不意に、上から聞こえる声に反応し
頭上から襲い掛かっていく鳥の方に目を向ける
「はあ!」
ミレディは重力魔法で鳥を地面に叩きつけていき
香織も、ミレディのサポートの方に回っていった
「ほらほら、どうしたんだよ?
そんなこそこそ隠れてないで
姿を見せやがれ、臆病者め、ヘイチキン
それとも、カオリンの追撃が怖くて
追撃を行うことが出来ないのかなぁ~
ぷぎゃー、だっさ~
あんな虚飾だの見栄だのの王なんて掲げてて
実際は隠れて、魔物だよりに戦わせていくなんて
ああそっか、だから虚飾だの見栄だのの王なんて名乗ってんだ~
自分は虚飾を飾って、見栄張ってるだけのビビりなんで~すアピ~ル~?
プ~クスクス~、かっこ悪いの~」(・∀・)ニヤニヤ
今までにないほどのうざったらしい煽りを仕掛けていくミレディ
それを見ていた香織や、風香に纏、雫にラナもドン引きしていた
「ミレディさんのあれって、覚悟の表れって言ってたけど…
もしかして、素なのかしら…」
「雫ちゃん、それは知らない方がいいと思う…」
思わず、口に出てしまった疑問に対して
世の中には知らなくてもいいこともあるのだと諭す風香
「でも、ミレディさん…
そんなこと言って出てきてくれるなら
私達としても、苦労はしないと思うけれども…」
「いいの、むかついたから言ってやっただけだしー」ヽ(`Д´)ノプンプン
香織の言葉に、そう返していくミレディ
しかし、内心では
「(‥‥重力探知に引っかからない‥‥
という事はやっぱり、あれは空間魔法を
使って姿を別の空間に移すことで身を隠してる‥‥
こういう場合は、その空間から引き出してやればいいんだけれど‥‥
いかんせん、こっちの手にはないし‥‥)」
どうやって相手を、別の空間から引き出していくのかを考えていた
「(‥‥即興だけれども
やってみるしかない、カオリンが
目覚めた星力魔法が、私の重力魔法と
性質が似ているのなら‥‥)」
ミレディは一種の賭けに出ていく
「‥‥ねえ、カオリン‥‥
出来る事だったら、もうちょっと
落ち着いた状態でって思ってたけど‥‥
私のレッスン、受けてみる気はある?」
「え…?」
ミレディは提案をしていく
「いい、カオリン
このままだとあいつは安全なところから
自由に使い魔を呼び出し続けていってジリ珍になる‥‥
だから、私がこの闘いで私のできる限りのことを教える‥‥
カオリンの力は未知数だけど、それがきっと
この状況を覆していく一手になるかもしれない‥‥
私が持てる全部を教えるから、お願い出来る?」
ミレディが真剣な表情で呟いていく
「‥‥わかりました、それでミレディさんや
みんなのお役に立てるなら、お願いします!」
香織も了承していく
「‥‥オッケー、それじゃあまずは‥‥
あいつを、異空間の中から引きずり出す!」
そういって、辺りを見回していくミレディ
「引きずり出すって‥‥どうしたら?」
「あいつが姿を消した絡繰りは、この世界の
境界に干渉して、異空間を創りだして、そこに潜んでる‥‥
重力魔法には、辺りの重力に干渉して
相手の位置を探る、索敵魔法がある、でも
空間そのものに干渉が出来ないから、どうしても
異空間のような別の空間に潜まれると厄介なんだ‥‥
でも、君ならもしかしたら、星の力を使って
空間のわずかな歪みの方を感知して、居場所を探れるかもしれない‥‥
索敵の方は教えてもらった?」
「うん、この世界に召喚された際に
立ち寄った国で、魔法の使い方を教えてもらったから…」
香織がそう答えていくと
「‥‥オッケー、それが出来ているなら大丈夫だね‥‥
索敵を行うには、魔力を放ってそれを薄く広げていく
その広げた魔力に、重力魔法、ううん、カオリンの魔法を組み込んで
詠唱のほうは‥‥」
ミレディが、香織に簡潔にアドバイスをしていく
しかし、そんな二人のもとに一体の魔物が突っ込んでいく
リュカは何かを仕掛けてくると踏んで、先手を取らんとする
ぐおおお!!!
魔物が二人に向かって突っ込んでいく
「香織!」
「ミレディさん!」
雫と風香が叫ぶが、魔物は無情にも
二人に向かって襲い掛かっていった
二人の居た場所が激しい轟音とともに穿たれる
「香織さん…」
「ミレディさん‥‥」
纏とミレディは、表情を不安にさせていく
「(‥フン、他愛もない‥
こんな奴にハジメ様が神経質になるなんてな‥)」
その様子をみて、今度は姫奈だと
彼女とリュナの方に向かわんとしていった
そこに
「「はああ!!」」
「っ!?」
リュカの耳に聞こえたのは
先ほど、魔物に襲わせたはずの二人の声
「そこだああああ!!!!」
ミレディがそういって、重力球を放っていき
周囲の物を引き寄せながら、ある場所に放つ
「馬鹿め、異空間にいる俺には
その空間からの干渉を受けることは‥」
「縛聖刃!」
すると、香織が円陣を放ち
それがあたりにあるものを巻き込みながら
リュカが潜んでいる場所に向かって振るわれていく
「んだ、とおお!?」
それがやがて、空間に潜んでいたものを切り裂く
それは何と、巨大な蜥蜴のような
いいや、正確に言うとそれは、そう
「カメレオン…
あんな魔物もいるなんてね…」
「かめれおん‥‥?
あれって蜥蜴じゃないの?」
香織の言葉に、本気で疑問符を浮かべていくミレディ
「それにしても、カオリン
本当に教えたことを吸収するの早いね‥‥
正直に言うと、ちょっと賭けだったこともあったのに‥‥」
「えへへへへ、私も強くなりたいって気持ちは…
誰にも負けていないつもりですから…」
香織はそういって、照れくさそうに言う
「まあいいや、何にしたって
あのくそ野郎を、あの空間から引きずりだしてやったんだ‥‥
さあて、どんな間抜けな顔を見せてくれるのか、拝ませてもr‥‥
っ!?」
ミレディは、煙の中から出てきた者を見て
目を見開く、いいや、正確にはその者ではなく
その者達であった
「え!?
どういう事…!?
あれも魔物、じゃないよね…
だってあれ…」
香織も動揺していた、何故なら
ヴァンドゥル・シュネーの姿を取ったリュカ
そのリュカの両隣に、二人の人物があらわれた
二人はそれぞれ向かって左の方は禿げ頭の男性
右の方は、寡黙で落ち着いている雰囲気の男性である
二人共、顔を上げて一同の方に目を向けていく
「っ!?
どういう事‥‥!?」
その二人の男性の顔を見て
最初にヴァンドゥル・シュネーの姿を
見たとき以上の反応を見せていく事になる
そう、その二人の男性は
「え…!?
もしかして、あの二人も…」
「うん‥‥
ナイズ・グリューエンにラウス・バーン
ヴァンちゃんこと
ヴァンドゥル・シュネーと同じ
私の、かつての仲間だよ
どういう事だよ‥‥
ヴァンちゃんだけじゃないのか‥‥
ナっ君やラー君の姿まで!」
徐々に表情を怒りに変えていくミレディ
「フン。俺としては俺だけで十分だったんだがな
まさか、僕やアタシまで、出張ってくることになるとは‥」
ヴァンドゥルの姿のリュカが、首を横に振りながら言う
「そんな事言わんといてや、俺
僕らはいつだってひとりなんやから
何かあった時はお互い様なんやで?」
「そうよ、俺‥
アタシも僕も、俺のことが気になったから
こうして出てきてあげたんだから、文句ばっかり言ってると禿げるわよ」
そういって、他の二人が話しかけるように言う
「ふざけやがって‥‥
何なんだよお前、お前は一体何なんだよ!」
ミレディは激高するように言い放つと
「なんなんかって、僕は‥」
「なんなのかだと、俺は‥」
「なんなのかって、アタシは‥」
「「「虚飾と見栄の王
リュカ!!!」」」
三人は声を重ねていくように応えていく
「さっきも言った‥‥
答えになってないんだよおおおぉ!!!!」
そういって、三人に重力球を放っていくと
そこに、寡黙な男性の姿のリュカが前に立つと
自身の前に手をかざしていき、重力球を消失させていく
「理解なんてできへんやろうな‥
それが自然や、理解しようとしても
余計に答えから遠ざかって行ってしまう‥
それが、偽りっちゅーもんやからのう‥
そして人間は‥」
リュカのもとに向かって行くミレディ
その手には、重力球が生成されている
直接ぶつけていくつもりだ
「‥絶対に偽りと言うもんを、理解しようとせえへん‥」
しかし、そのミレディの後ろから
禿げ頭の男性のリュカが、仕掛けんとしていく
そこに
「はああああ!!!」
纏の棒による一撃が、振るわれて行き
それによって禿げ頭の男性は勢いよく吹っ飛んでいく
「纏ちゃん!」
「ごめんなさい、余計なことをして…
でも、どうやらそうとも言っていられない状況みたいでね…」
そういって、相手の方を見ていく
「それにしても、さっきのあの
ミレディさんの魔法を無力化した、あれ…
いったいどういう仕掛けが…」
「‥‥あれは、空間に穴をあけて
そこに重力魔法を使って、引き込んだんだ‥‥」
「なるほど…
言ってみれば、ブラックホール…
どうやら、向こうは全部の神代魔法が使えるみたいだね…」
風香も三人のリュカの方に目を向ける
「(だとするとまずい…
この場には、神代魔法の使い手は
ミレディさんをいれて、五人はいるけれど…
使えるのは重力魔法だけ、対して
奴らが全ての神代魔法、挙句にはそれを組み合わせてきてる…
雫ちゃんとラナさんを庇いながら、あんなのを三人も
相手になんて、とてもじゃないけれど、出来るはずない…
だったらここは…)」
風香は、大きく声を上げて行く
「姫奈、ここは引くよ!
とてもじゃないけれども
こいつらを全員相手になんてしてられない!!
こいつらには、絶対に勝てない!!!」
風香は呼びかけるように言う
「‥フフ、随分とはっきり言うのね‥」
それに対して、禿げ頭の男性のリュカが笑みを浮かべながら言う
「‥‥っ!」
姫奈も、それに同意したのか
急いで、一同のもとに向かって行く
「逃がさない‥‥!」
そんな彼女の、後を追うように
リュナが、姫奈に向かって行く
姫奈は、追ってくるリュナに向かって
剣の形に生成した雷を、リュナに向かって突きだす
「っ!」
どうにかかわすリュナ
そこに、風香が風魔法を使って
更には磁場を組み込んで、辺りに嵐を引き起こし
それを使って、辺りの視界を一気に封じ込めていく
「っ!
‥あっ!」
嵐がやんで、しばらくしたそこに
姫奈たちの姿はなく、リュナは辺りを見回す
「逃げた‥‥!」
リュナは悔し気に呟いていく
「‥あーらら、僕らにかなわないと踏んで
逃げるって言うんは、賢明な判断やけども‥
あいにくと、ハジメ様の脅威になりうる輩を‥
逃がすわけには,いかんのや‥アタシ」
「分かっているわ‥
どこに逃げようとも、逃がしはしない」
そういって、不敵な笑みを浮かべる禿げ頭のリュカ
すると
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
そのころ
「はあ‥‥はあ…
ようし、皆いるわね…
大丈夫?」
風香がそういって、一同の安否を確認していく
「うん、何とかね‥‥
それにしても、あいつ‥‥」
「ミレディさん、気持ちは分かるけれど
今はそれよりも考えないといけない事が…」
香織がミレディを落ち付かせていく
「虚飾と見栄の王
リュカ…
奴らは自分達の事をそう呼んでいた…
つまり、リュカっていうのは、個人の名前じゃなく
あの三人の総称ってことになる、でも問題はそこじゃない…
問題は、奴らが神代魔法を使っていたということ…」
「確かに…
そもそも、神代魔法って
そんな簡単に習得が出来るの?
多くの冒険者たちが行きかうオルクス大迷宮はともかく
魔力が分散されて魔法が碌に使えなくなる、ライセン大迷宮や
亜人の国にあるって言う大樹にある、ハルツィナ大迷宮は簡単にはいけないし
何よりも、残る四つはミレディさんに教えてもらうまで
どこにあるのかもわからないほどに、伝承は廃れて行っていたのに…」
風香の言葉に、姫奈も疑問を口にしていく
「それに、一番の疑問は…
どうして、ミレディさんの仲間の姿を
奴は取っているのかと言うことね、可能性だけど…
神代魔法を使うためって言うのが、有力な説だけど…」
「‥でも、私達の国でも
リューティリス様は森人族であると
伝えられていますが、それがどのような人なのか‥‥
それに、表向きでは反逆者として知れ渡っている
ミレディさん達の事を、教会が遺しているとも思えませんし‥‥」
やはり、殆どが憶測や可能性の段階ばかりで
本質的なものには至っていない、謎は深まるばかりである
「‥‥まあ、とはいっても全員が
そうだって決まったわけじゃないよね‥‥
いくら何でも、そこまでは‥‥」
ありえないとミレディが言いきろうとしたその時
「‥ありえない、それが一番あり得ない‥
だからこそ、人は無意識に偽りから
真実を求めていくのさ、お嬢ちゃん達‥」
「「「「「「っ!?」」」」」」
一堂はそれに反応して、立ちあがっていく
そして
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
一同は、迷宮の壁から飛び出して
ある部屋の方にまで、飛び出していく
「はあ‥‥はあ…
みんな、大丈夫!?」
姫奈が一同に呼び掛けていくと
「ええ、何とかね…」
「私も大丈夫です」
雫に抱えられて何とか無事に脱出、出来たラナ
「雫ちゃん、よかった…」
「纏!」
そこには、他にも立っている人影が
「ミレディさん、大丈夫ですか!?」
纏がミレディに呼び掛けていく
ミレディの方も何とか無事のようである、しかし
「‥‥嘘でしょ‥‥
今のって‥‥あんなの‥‥」
今までにないほどのショックを受けているミレディ
そんな彼女のショックなど、歯牙にもかけることなく
一同の前に、複数人の影が歩み寄ってきていく、それは
「‥本当に驚きだねぇ‥
まさか、君たちごときに
私の顔を全部使うことになるなんて‥
まあ、これもただの気まぐれだから
君たちの力を評価してのものじゃないけれどね‥」
そんな声とともに、現れたのは六人の人物
「あっ‥‥!?」
それを見た、ミレディはそこに集まった面々を見て
自身が人間だったころに、共に戦った仲間の顔を思い浮かべる
共に誓いを立て、ともに戦い敗れ、共に逃げていった仲間たち
祖の面々が今、ミレディの目の前に集まっていた
向かって左から
ヴァンドゥル・シュネー
メイル・メルジーネ
オスカー・オルクス
リューティリス・ハルツィナ
ラウス・バーン
ナイズ・グリューエン
嘗ての仲間が、敵となって
自分達の前に現れたのであった
「嘘でしょ…
まだ、三人もいたなんて…」
「虚飾と見栄の王
リュカ
あなた達は一体何者なの!?」
姫奈と香織がそう問いかけていくと
さらに奥の方から、一人の人物が現れる
それは…
「貴方達、そう呼ばれるのは認識違いじゃのう‥
虚飾と見栄の王
リュカ
それは、わしを含めた、ここにいる全員を示しておる
しかし、わし等は集団でなければ家族でもありはせぬ‥
儂らは、ここにいる七人を含めた全員で、一つ、言うならば‥
個人なのじゃよ‥」
そう言いながら、姿を現したのは小柄で金髪の美少女である
「七人もいるの!?」
「ちょっと待って…
大迷宮を残した解放者は七人って言ってた…
他の六人がミレディさんのかつての仲間として…
一人、多いんじゃ…」
風香が、そういって疑問を口にしていく
「‥‥ううん、あの七人であってる‥‥」
「え?」
ミレディが静かにそう呟いていくと
彼女はゆっくりと、奥から出てきた小柄な少女を指さす
「‥‥あれ‥‥私‥‥‥‥
ミレディ・ライセンだよ‥‥」
「「「「「っ!?」」」」」
ミレディの言葉を聞いて、思わず少女の方に目を向けていく
「‥いかにも、解放者のリーダーにして
重力魔法の使い手、ミレディ。ライセンよ‥
儂のこの顔は、おぬしをもとに編み出したものじゃ‥」
「ええ!?
いったいどうやって‥‥」
ラナは目を見開きながら、目の前の七人を見渡す
「‥お前さん達も覚えておるじゃろう
そこのお嬢さんが王国で倒した楠目の事を‥
あの娘を使って、儂等はその間に
オルクス大迷宮に入らせてもらった‥
攻略自体は容易かったし、ここにきている
リュナと言う新たなる同志も見つけることが出来た‥
その最深部にあった、オスカー・オルクスの隠れ家にて
儂等は、この世界の真実と神代魔法についての事を知れた‥
まあ、神代魔法は手に入れられんかったがの‥
そして、そこでお前さん達反逆者、いいや
解放者の事を知る事が出来た、それで儂は考えたのじゃ‥
その解放者を、儂の顔にすれば間接的に神代魔法を得られるとな‥
そして見事、その目論見は当たった‥」
「まさか、その為にみんなの姿を‥‥
まさかとは思うけれども、あの力を
手に入れた、なんて言わないよね‥‥」
ミレディは恐る恐る訪ねていく
すると
「うん?
何をじゃ?」
ミレディのリュカは疑問符を浮かべていく
「そっか‥‥
それだったら、安心だね‥‥」
ミレディは、そういって再び腕を前につきだしていく
「儂等と張り合う気か‥?」
「そうだね、あんた達が少なくとも
私達の思いを引き継いでくれるような
そんな奴じゃないのは、ここまでの戦いを見て感じた‥‥
それだったら、私だって容赦をする気はないよ!」
そういって、七人のリュカとにらみ合っていくミレディ
「ミレディさん!」
「来ちゃダメ!
こいつらは、アタシが引き受ける‥‥
みんなは、ここから脱出して!!」
「でも、いくら何でも一人じゃ…」
ミレディはそういって、殿を務めんとしていく
「ミレディさんはもう、過去の遺物‥‥
果てしない年月を、ただ待つだけだった‥‥
そんな時に来てくれたのが君たちだった
君たちには未来がある、闘うための力だってある
だから君たちは、ここで死んだりしちゃダメなんだよ!
未来を生きる若者、その希望を守って戦う‥‥
それが私、ミレディ・ライセン、いいや‥‥
私達、解放者の決意だ!」
ミレディは向かうように勧めていく
「ミレディさん…」
香織は、ミレディの決意を感じていたが
それでも、彼女の事を放っておくことが出来ない
そんな様子を見せていく
しかし、そんな彼女の肩に優しく手を置いていくものが
「‥‥行きましょう…」
姫奈であった
「‥‥姫奈ちゃん…」
「‥‥ミレディさんの意志は固い…
彼女の決意を無下にすることは
逆に、彼女の覚悟を無駄にすることになる…
だから、行きましょう…
生きて私達が、ミレディさんの思いを繋げていくの!」
姫奈は言う
「‥‥ミレディさん!
出口の方は?」
「あそこ!
あそこの奥に魔法陣があるから
そこで私の渡した攻略の証を掲げれば
この大迷宮から脱出できるよ」
そういって、奥の方に開いている通路の方を指さしていくミレディ
「ありがとう、ミレディさん…
雫、ラナさんをお願い
風香と纏は二人の護衛を…
香織、敵の攻撃が来たら
みんなを守って、私もサポートするわ」
姫奈が指示を出し、香織はやや踏ん切りがつかない様子で
しばらく黙り込んでいたものの、直ぐに顔を上げて決意を固めていく
「うん、任せて!」
香織のその様子をみて、ミレディは安どの様子を見せていく
香織はこの世界にとっても、強大なまでの力に目覚めた
しかし、彼女の根底のやさしさが最悪、彼女自身の枷に
なるのではと、でも彼女はそれでも行くことを決めた
心では納得はしていないだろう、それでも
皆がそうしようと氏ていることを瞬時に理解した
これは立派に成長しているともいえるだろう
ミレディはもしも、香織がぐずることがあったら
その頬を這ってでも、恨み言を言ってでも行かせようとした
しかし、それもいらなかった
「(‥‥オー君、なっちゃん、メル姉
ヴァンちゃん、リューちゃんに、ラーちゃん‥‥
私達の意志は、しっかりと受け継がれて行ったよ‥‥)」
そういって、敵の方に目を向けるミレディ
「ほう、自らが残って‥
友のために命を懸けるというのか‥
なんとも殊勝じゃが、同時に無意味じゃ‥
そんな事を、儂等が許すとでも?」
「‥‥はーっはっはっはっはっ!!!!
随分と言ってくれるじゃないか、でもね
私は今はこんなちんちくりんでも、解放者の一人
ミレディ・ライセン!
君らのような若造とは、年季が違うんだよ!」
そういって、ミレディは指を鳴らすと
その周りから、またしてもゴーレムの大群が
「‥まだ、こんなにも仕込んでいたのか‥」
「切り札は、最後まで取っておくものなんだよ
ねーねー、どんな気持ち!?
ここまで追い詰めたつもりなのに、またもこうして
不意を突かれちゃって、ねーねーどんな気持ち?
どんな気持ちーなーのー?」( ・´ー・`)
ここぞとばかりに煽っていくミレディ
一同は急いで通路の方に向かおうとしていった
その時
「ねーねーどんな気持t‥‥っ!?」
「「「「「っ!?」」」」」
突然、真っ黒な何かが放たれ
それがゴーレムの大群を、辺りの壁を
更には、一同が向かおうとした通路の入口さえも
全て蒸発させて、跡形もなく消し去っていってしまった
一方で、それを見たリュカは
「おやおや‥
どうやら来てしまったみたいだね‥
ある意味で、私たち以上に厄介な相手が‥」
そういって、ある場所に目を向けていくと
「‥‥っ!」
「‥‥え!?」
「‥‥あ!?」
ミレディ、それに姫奈と香織は
その場に現れた人物を見て驚愕する
そこにいたのは
全身を赤と紫を基調とした
防護服のような鎧を見に纏い
その龍の口に当たる部分から
真っ黒で、黄色い目を怪しく輝かせている
謎の存在が、一同の前に現れる
「新手…!?」
「な、何この威圧感…
う、動けない…」
「ひぃ!」
その異形の存在から放たれる、そのすさまじいまでの怒気
それに充てられて、その場にいるものが動けなくなってしまう
ミレディもゴーレムながらも、それをひしひしと感じていた
「‥やれやれ‥
まさか、アンタまで来ることになってしまうとは‥」
「…あなたが、いつまでも遊んでいるからでしょ
こんな奴らも、この大迷宮もさっさとすべて
蒸発差させて、全てを終らせてしまえばいいのよ」
そういって、その人物は右腕を掲げると
そこに真っ黒い炎を生み出していく
「ち、ちょっと!?
ここでいきなりそれを!?」
「ちょっと待て!
俺たちまで殺す気か!!」
七人のリュカが、それを見て
急いで、その場から引き揚げていく
「まずい‥‥」
ミレディは、急いで最善の手を撃たんとしていく
しかし、通路は先ほどの攻撃で防がれて魔法陣への道は断たれた
ゴーレムがなくなった今、通路を開くこともままならない
すると
「みんな、そこに立って!」
「え?」
ミレディが姫奈たちに指示を出す
姫奈たちは、戸惑いながらも言われた場所に行く
「本当はトラップで洗い流す奴だけど
それを栄養すれば、後は水を流して、って出ない!?」
仕掛けを作動させるも、なぜが水が出ずに不発に終わってしまう
「逃がさない!」
そういって、右腕を振り上げていく相手
「みんな、ごめん!
はああああ!!!!」
ミレディは最後の力を振り絞って
重力魔法で、一同を開いた穴に落としていく
「ミレディさん!?」
香織の声とともに、全員が通路にふっ飛ばされていった
「はあああ!!!」
それと同時に、炎が大迷宮を包み込んでいった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
ある川
そこから、顔を出していく五人の少女
「ここは…
どこかの川?」
姫奈が、上がれるところに行って
急いで、四人の内、風香を引き上げる
香織も無事に上がり、ラナを抱えた雫は
纏の支えと、香織と雫が引き上げていったおかげで
どうにか無事に上がれた
「なるほどね…
どうやら、これは
迷宮の罠で川に流して行くって言う奴だったのね…」
「ミレディさんは、それを使って…
って、ミレディさんは!?」
「っ!
みんな、川から離れて!!」
香織がそういって、一同を川から離していくと
川の水が、何と勢いよく蒸発していき、それによって
引き起こされた熱風が、一同のもとに向かってくるが
それを、香織がとっさに障壁を張って一同を守り
急いで物陰にへと、移動していくのであった
「なんですかあれ‥‥
熱風を浴びた、植物が干上がって枯れてしまってる…
とんでもない熱量ですよ」
纏が、余りの光景に言葉を失っていた
そして気づく
「ミレディさんは…?」
「余熱でここまでだもの…
もろに受けたりしたら、もう…」
香織は不意に訪ねるが、姫奈は確信をもって呟く
自分達を救うために命を掛けた解放者最後の生き残りは
とてもではないが、無事であるとは思えない、それを理解した
してしまった、香織は涙を浮かべて、大きな声を上げていった
「ミレディさああああん!!!」
香織の悲しみの声は、辺りに響いていった
そして
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
「…」
ライセン大迷宮も大峡谷も
己が炎の力で、全て蒸発させてしまった
その存在は、現在、黒目に赤髪
橙色のローブを羽織った姿になっている
そして、彼女はかぶっていたフードを外し
その特徴的な顔が、はっきりと分かるようになった
その彼女の足元には、ミレディが
厳密にミレディであったものが置かれていた
もはや原型はなく、顔の右半分がそこに残されている
「…解放者、ミレディ・ライセン…
まさか、最後の悪あがきで
こんなことをするだなんてね…
まあいい、これでライセン大迷宮は
無事に落ちた、オルクス大迷宮もハルツィナ大迷宮も
すでに簡略は進んだ、これで残るは四つだが、果たして…
どこにあるものか…」
そう呟く、少女のもとに一人の人物が
「ナギサ‥あなたは本当にめちゃくちゃ‥‥
一気に終わらせたら、必要な情報がとれないじゃない‥‥」
運命と破壊の罪徒
リュナ・プレーヌ
彼女は不満そうに抗議の言葉を述べていく
「…よく言うわよ…
その手の情報はとっくにつかんで
ハジメのもとに届けて行ったくせに…」
「‥それは結果‥‥
全く、あなた一人に任せていたら
どうなっていた事か、たまったものじゃない‥‥」
リュナは結果論であると切り捨てる
「…でも、貴方達が無駄に時間をかけてくれたせいで
私達の脅威に足りうる、姫奈たちを逃がしてしまった…
この結果もまた、事実よ…」
しかし、彼女にそう言われて
リュナは悔し気に顔を逸らしていく
「分かっている‥‥
次は絶対に容赦しない‥‥」
「…油断大敵、それをしっかり心得ていくのね…」
そういって、その場を去っていくリュナ
そのさいに少女は、残された残骸を一瞥して呟く
「…この世界を神から解放する、か…
安心しなさい、あんたの望みはしっかりと叶えてあげる…
もっともその先に待っているのは、苦しみと絶望のみがはびこる…
暗黒の時代、その始まりだけれどね…」
そう吐き捨てて、去っていくナギサ
そのさいに、残骸に残っていた意識の中で
ミレディは、誰に聞かせるわけでもなく呟く
「‥‥私は世界も、皆も何も救えず
ただただ、託すことのできる人を待つしかできなかった‥‥
でも、そんな日々にようやく光がともったよ‥‥
みんな‥‥お待たせ‥‥
これでやっと‥‥みんなのところに逝ける‥‥」
ミレディは、そう呟いて機能を停止した
この世界を滅ぼさんとした反逆者
その真の姿は、世界のために奔走した解放者
その最後の一人にして、真実をするもの
ミレディ・ライセン
彼女は、全てを託しその
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
多くのモチーフに使われる七つの大罪、皆さんが一番強いと思うのは?
-
原罪(スルー推奨)
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傲慢
-
虚飾
-
嫉妬
-
憤怒
-
怠惰
-
憂鬱
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暴食
-
色欲