世界に愛された元徳者と世界を憎みし原罪者 ー世界を憎みし少年とその少年より生まれし九つの罪の王と罪徒となった少女達・世界に愛された少女達と聖徒に選ばれし少女達ー 作:lOOSPH
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
それから、しばらくして
樹海の近くを通る道の方において
一同は、門の外に出ていくと
「おーい、お嬢ちゃん達!
もしかして、お嬢ちゃん達が
冒険者ギルドから話の合った
冒険者たちか?」
門番の男性に、声を掛けられていく
「そうです…
この先に用事があるので
それだったらと依頼の方を受けることに…」
「そうか…
まあ、無理はするなよ
あくまでこの依頼は調査なんだからな
危ないって思ったら、直ぐに引き上げてこい!」
「ありがとうございます」
門番の男性は、一同の事を気遣いながら見送っていく
「‥‥どうやら、依頼を受けるのは
私達だけみたいね、支部長からは
高ランクの冒険者は出払っているって聞いていたけれど…」
そういって、目的地である
ハルツィナ樹海に向かうための道を悪いていく
「‥あの‥‥少しいいでしょうか‥‥‥」
そういって、挙手するのはうさ耳を生やした女性
ラナ・ハウリア
彼女はおそるおそる、訪ねていく
「どうしたの、ラナさん?」
ラナさんに相づちを打つのは
白崎 香織
「なんで馬車が一台もないんですか!?」
ラナは叫ぶように言う
「しょうがないでしょ…
馬車ってことはつまり
馬に引かせるしかないんだし…
その馬が動けないんじゃ馬車も出せないわよ…」
「そもそも、そのせいで行き来が出来ないから
その原因をさぐって、問題を解決するのが、今回の依頼でしょ?」
そんなラナに、しょうがないといった具合にため息交じりに答えていくのは
八重樫 雫
西宮 風香
彼女達である
「そ、そう言えばそうだったっけ‥‥
でも、確かにこの道は樹海に近いですけれども
それでも、普通に歩いて結構な時間がかかりますよ‥‥
それで、どうするんですか?」
「「「「「それはもちろん、身体強化で」」」」」
五人の少女たちは何の前触れもなく当然のように答えていく
「待ってください!
私、身体強化使えないんですよ
魔力持ってないんですよ、それ遣われたら
私、置いてけぼりになってしまうんですよ!!
分かります!?」
ラナは激しく、抗議していく
それを聞いて五人はあっ、っと
今思い出したというような反応を示す
「私も連れて行ってください!
確かに姫奈さんにある程度は
鍛えてもらっていますけれども
そう言った根本的な部分は
いくら何でも無理ですからね!?」
「わかったわかった…
だからとりあえず落ち着いて、ね」
激しく詰め寄るラナに押された一同
ラナは、姫奈に抱えられる形で連れていかれた
しかし
「やっぱり雑うう!!!!」
その姿はまるで、抱え込んだ荷物の様であったという
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
そんなひと悶着がありながらも
どうにか、樹海のところにまでやってきた一同
「ここが、ハルツィナ樹海ね…」
姫奈は、そういって
目の前に広がっている森林の方に目を向けていく
その森林の奥の方には、霧がかかっており
そのせいで、森の奥の方にまで覗きこむことが出来ない
「私達の居た世界にも、樹海はあるけれど
ここは霧が深いのもあって、入ったら簡単には
出られそうにはないかもしれないね…」
「ええ…
それに、話にも聞いていたけれど
どうやら本当に、ここの霧は方向感覚を
狂わせていくっていうのは、本当みたいね…
なるべく、離れないようにしないと…」
香織と雫は、樹海の様子をみてそう呟いていく
「それじゃあ、ラナさん
案内の方を、よろしくお願いします」
「は、はい‥‥
い、一応言っておきますけれど
私に対して遅いとか、そういう文句は
言わないでくださいね、もちろん私もなるべく
早く行くつもりではありますけれども、あくまで私のペースで‥‥」
「わかったわかった!
置いていきもしないし
文句とかも言わないから…」
しつこく、確認を取っていくラナ
これまで少し、雑な扱いをされたので
ちょっと先行きの方が心配になってきたのだろう
「それにしても、そのハルツィナ大迷宮があるって言う
大樹ウーア・アルトは、一体何処にあるんだろ、樹海の奥に
あるんだとか、そういう事しか聞いていないしね…」
「まあ、どっちにしても亜人族にしか
この中は通れないんだし、場所を調べるなんて
簡単にできっこなんてないわよ、何にせよ、まずはそこに行かないと」
そんな話をしつつ、しばらく歩いて行くと
ラナは何やら、違和感のようなものを感じる
「‥おかしいですね‥‥」
「どうしたの、ラナさん?」
ラナは不意に、疑問を口にしていく
「‥もうここは、フェアベルゲンの領地内のはずで
この辺りには、亜人族の中でも戦闘に秀でている種族が
見張りとして、この辺りに潜伏しているはずです‥‥
それなのに、追放された私達や
皆さんの事を見つけて襲い掛かってくるかもと
思ったのですが、なんの音沙汰もありません‥‥
そろそろ見つかってもおかしくはないと思うのですが‥‥」
ラナは、不意に呟いていく
ここはすでにフェアベルゲンの領地内で
この辺りには戦闘種族の見張りが立っているはずなのだ
ラナ達、兎人族は弱小種族であるために
魔力がないので気配探知などのスキルはもっていないが
それでも、気配を感じとっていくほどの勘も
相手にそう簡単に見つけられることのない隠密技術
それらを駆使して、辺りを見ていくが
何と亜人どころか魔物の気配すらも感じ取れない
フェアベルゲンに近づけば近づくほど
それが大きくなるはずなのに、それすらも感じられない
「いったいどういう事なんだろう…
今日は霧が深いから、出ていないのかな?」
「そんなはずはありません‥‥
霧が濃くなっていくのは
大樹の周りだけで、このぐらいなら
私達でも、普通に生活していくには問題はありません!」
「だとすると…
フェアベルゲンで何かがあった…
そう考えていくのが、自然ね…」
姫奈が、怒りうる最悪の可能性を口にしていく
「そんな‥‥」
「とにかく、まずはフェアベルゲンに行ってみよう!
もしかしたら、そこにまだ亜人の誰かがいるかもしれない!!」
風香がそういって、一同は向かうことにする
「わかりました!
ついてきてください!!」
ラナも、それを察して
少女達を先導するように走っていき
少女達もそれについていく
こうして、一行はフェアベルゲンに向かって行くのであった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
それから、しばらくして
一同の目の前に、巨大な木で出来た門が見えてきた
「これが、亜人の国
フェアベルゲンの入口です!」
「ここが…」
「綺麗‥‥自然とうまく調和して…
まるで、森と一緒に生きてるみたい…」
姫奈と香織が、それぞれの感想を述べていく
「‥妙です、ここまで来たのに
亜人が誰もいません、それに‥‥
あの見張り搭にだって、誰の気配もありません!」
「やっぱり、何かあったのかな!?
とにかく入らないと…」
そういって風香は中に入ることを推奨していく
だが
「‥‥でも、門が開いてないのにどうやって入るの?」
香織の言う通り、そもそも門が開かなくては
中に入ることもできない、どうすればいいのかと思い悩んでいた、その時
「「「「「「っ!?」」」」」」
何かがきしむ音が聞こえたと思うと
閉じていた門がゆっくりと開いていき
そのまま、人が通れるくらいにまで開くと
まるで、入ってきてくださいと言わんばかりに
そのまま、解放されていく
「‥ひ、開いた!?
どういう事なんですか!?
だって、ここには誰も亜人族がいないのに‥‥」
「敵の罠って可能性も否定できないわね…
でも、大樹はこの先にある
たとえ罠であろうとも、通るしかないわ…
みんな、いつでも戦えるようにしておきなさい」
姫奈がそういうと、自身と香織はそれぞれが
もともと持っている剣とアーティファクトの杖
「ねえ、姫奈…
いいの、姫奈が持っている
アーティファクトの剣をもらっちゃって…」
「私にはいざって時、聖徒の力があるし
それに、雫だってまた剣が折れて戦えないってなったら
今度こそ笑えないでしょ?」
雫が持っているのは、姫奈がもともと持っていた
アーティファクトの剣、これも結局は雫が使い慣れている
刀ではないものの、少なくとも雫がここに来る前に手にいれた剣よりは丈夫だろう
それならばと、姫奈が持っていた剣と雫が香織と買ってきた剣を交換したのだ
姫奈は聖徒の力があるので、最悪そっちで事足りるので問題はないという事だ
雫は、姫奈から譲ってもらったアーティファクトの剣を構え
風香と纏の方もアーティファクトの槍を手に、準備を整えていく
こうして、一同はフェアベルゲンに乗り込んでいった
「すっごくきれい…
自然に囲まれて、その温かみを受けて
暮らしているんでしょうね、この国の人達は…」
「‥‥確かにそうだね…
でも、いくらなんでも静かすぎる様な…」
その中は、まさに森の自然を絶やすことなく
そのありのままを受け入れて、自然の外観を壊さずにいる
向こうの世界の都会で育った五人は
その光景に、ただひたすらに感服を受けていた
しかし
「‥これは一体どういう事なんでしょう‥‥
いくら何でも静かすぎます‥‥
もしかして、フェアベルゲンには
誰もいなくなってしまっている!?」
「ちょっと待って!?
ここには色んな亜人が暮らしているんでしょ!?
それがどうして、誰もいないなんて…」
「そもそも、亜人族の数は人間族や魔人族ほどではないにしろ
国を名乗れるだけの十分な数はいるはず…
それがどうして、こんなことになって…」
姫奈は、纏がそこまで言うと
不意に腰に差している剣に手を掛ける
「‥‥姫奈ちゃん!?」
「‥‥おかしい、こんなのはいくら何でもおかしいわ…」
「そ、それはもちろん…
あ人の国だって言うんですから
その亜人が一人もいないのは、奇妙ですし…」
亜人の国なのに、亜人も何もいない
確かにそれは十分すぎるくらいに異常な光景である
だが
「いいえ、私が言っているのは…
気配が多いのに、誰もいない事よ!」
姫奈のその問いに、他の四名は目を見開いていく
「ち、ちょっと待って!?
私達も気配探知の技能は持ってるけれど
そんな気配なんて、何にも感じないわよ!?」
「私も…」
元々、気配探知を持っていないラナはともかく
その技能を持っている雫や風香もそれを感知できていない
「もしかして…
隠形の技能?」
「ううん、違うよ…
感知が出来ないのは、そのスキルを
使っているからでも、存在が小さいからでもない…
気配が大きすぎるんだよ!」
香織の言葉に、姫奈以外の一行は目を見開く
「気配が大きいって‥‥
そんなのいくら何でも‥‥」
「いいえ、ミレディさんに教えてもらった
重力探知の力で、広範囲の気配を感知することが出来てる…
私はてっきり、数が多いのだと思ってたけれど
それにしては、気配がやけに一定している感じがしてた…
なるほど、香織の言う通り、これは気配が大きいのね…」
姫奈が改めて、辺りの気配を探る
ライセン大迷宮において、得た神代魔法
星の力に干渉する魔法である、重力魔法
姫奈と香織が、ミレディから重力魔法を
手に入れたときに得たのは、重力魔法のさらに上
星力魔法
星の力を扱う魔法の重力魔法に対して
星力魔法は、星そのものを扱う魔法である
その際に得た能力の一つが、重力察知
この世界にひきつけている力である重力を使って
その磁場をたどって、対象の気配を察知するスキルである
香織は、可能な限り
辺りの重力の磁場を感知し
自分達の元にいる巨大な気配の大元を探っていく
しかし
「うん…?」
「どうしたの、香織?」
表情をしかめていく香織に
雫はどうしたのかと尋ねていく
「‥‥おかしい…
気配を広げているのに
気配の大元が分からない…」
「香織、私の力も貸すから
もっと、気配の方を広げていきましょう…」
そういって、姫奈は香織の手を握り
二人でお互いの力を補い合っていき
更に広い個所を索敵する
しばらくすると、二人は目を見開いていく
「嘘でしょ…」
「み、見つからなかったの?」
姫奈がそう呟いたのを見て、風香は恐る恐る訪ねていく
だが、返答はそんな一同の予想をはるかに超えるものであった
「大元を見つけたわ…
それは‥‥ここよ!」
「え?
つまり、気配の大元は
このフェアベルゲンのどこかに
居るっていう事なんでしょうか?」
ラナは、姫奈の返答を聞いて
この場所に敵がいるのだと考えた
だが、続いて香織が言う
「ううん…
フェアベルゲンじゃない、厳密には
フェアベルゲンも含む、そう言った方が正しいかも…」
「フェアベルゲンを含む…?
何言ってるの香織?
意味が分からないわよ?」
「ごめんなさい、雫…
正直に言うと、私も香織も
どうやって伝えていいのかわからない…
そんなくらいに、現在進行形で混乱しているわ…」
香織と姫奈は、そう答えていく
いいや、どう答えていいのかわからない
そんな感じだ
「‥‥もしかして、ですけど…
このハルツィナ樹海そのものが
気配の大元だって言うんじゃないですよね?」
纏が冗談半分で、そんなことを答えていく
すると
「「その通り(よ)(だよ)!!」」
姫奈と香織は答えていく
「「「「ええええ!?」」」」
それを聞いて、当然ながら吃驚した様子を見せていく
「な、何言ってるのよ二人共!
そんな事、普通に考えてあり得るわけが…」
「確かに、普通に考えればありえないわ…
普通に考えればね!」
そういって、視線を低くして
姫奈は、自身に話しかけてきた雫に向かって
剣をふるっていく
「きゃ!」
雫は慌ててかわすと、雫の居たところに
なにやら、長く鋭いものが突きだされてきた
それは何と、枝である
そのはずなのに
「っ!」
剣が瞬く間に折れてしまった
「な、なにこれ…
枝!?」
自分に襲い掛かってきた、何かの正体を見て
不意にバランスを崩して、地面に尻もちをついてしまう雫
すると、そんな雫の地面についた手に巻き付いていく
「え、何!?
きゃあ!」
そのまま、引っ張られていく雫
「雫ちゃん!」
香織は、聖痕を解放させて
光で生成した円刃を使って
それを雫を引っ張っていく、何かにはなっていく
だが、それを枝が前に出て阻んでいく
枝自体は、斬り裂けものの視界が遮られたので
次第に雫の姿が見えずに、そのまま連れさられてしまった
「雫ちゃん!」
「落ち着いて、香織!
意識を集中させて
動きの鈍い方を辿って!!」
親友の雫が連れ去られたことで、取り乱してしまうが
姫奈に言われて、どうにか落ち着かせていきつつ、雫の気配を追う
だが、反応が広範囲にありすぎて
雫を探知のみで追っていくのは困難である
「ダメ!
雫ちゃんの居場所が分からなくなった…
敵の大元の気配が、大きすぎてつかみにくいんだよ」
「くっ!
厄介なことになってきたわね…」
香織が泣きそうな表情でそう告げる
姫奈の方も、焦りの方を隠すことが出来ない様子を見せていく
「どうするの、姫奈ちゃん!
このままじゃ雫ちゃんが…」
「わかってる!
せめて、この気配の大元が何処にいるのかが分かれば…」
仲間が一人、連れ去られてしまった焦りから
次第に、その関係に段々と軋轢が生まれ始めていく
「もしかして‥‥
ウーア・アルトにいるかも‥‥」
ラナは、不意に呟いていく
「‥もしもこれが、罪徒の仕業なら
敵の狙いは七大迷宮のはず、それだったら‥‥
敵の本体は、ウーア・アルトにいるかもしれないし
もしかしたら、雫さんもそこにいるかもしれません!」
「そんなの…
もしそこに雫ちゃんがいなかったら…」
「でも、行ってみるしかない…
ラナさん、案内できる」
「はい!」
そういって、一同は駆け出していくが
その際に、多くの木の枝が、一同に向かって
まるで生き物のように勢いよく襲い掛かっていく
「香織!」
「うん…!」
香織は、円刃を展開し
迫ってくる木の枝を切り裂いていく
しかし、木の枝は瞬く間に再生していく
「そんな…」
「無理に相手をする必要はないわ!
とにかくここは、先に進んでいきましょう!!」
姫奈は、そう言うとラナを横向きに抱える
つまりは、お姫様抱っこで抱えていくのであった
「ひ、姫奈さん!?」
「こっちの方が早いわ!
香織、風香、纏、しっかりついて来てよね!!」
姫奈がそういって先導すると
一同は、急いで木の猛攻から抜け出していく
「待ってて‥‥雫ちゃん…」
香織は、連れ去られて行った雫の安否を気にかけていった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
そのころ、さらわれた雫は
ある場所に、吊るし上げにされていた
「な、何よこれ…
一体何のつもりなの!?」
腕を縛られて、身動きが取れない状態になる
そんな彼女の元に現れた、一つの影
「‥‥安心してください…‥
殺しはしません、貴方には
まだまだ役に立ってもらいますから…‥
まあ、いずれは貴方にも
死んでいただくことになりますが…‥」
そこに現れたのは、耳が長く
髪がまるで外套のように長く伸びた女性
服装も、上半身はシュッとしているが
露出が少ない控えめなもので、下半身も
ひざ下まで長く伸びているスカートを着込んでいる
しかし、その服装の感じから
その女性がどういった人物なのか理解できた
「‥‥あなたはもしかして…罪徒!?」
「‥‥あら、見知っていただいて何よりですわ
いかにも私は、我らが神、偉大なる創生主の力を受けた
植林と遺物の騎士
アルテナ・ハイピスト、と申します…‥」
植林と遺物の罪徒
アルテナ・ハイピスト
少女は自身をそう名乗った
「ここに来たっていう事は…
やっぱり、七大迷宮を狙って…」
雫は、必死にもがいて抵抗する意思を示していく
「それについては、問題はありません…‥
その七大迷宮の一つである、このハルツィナ樹海は
すでに我らが王が制圧いたしました、つまりはもう‥‥
ハルツィナ大迷宮は、破壊されたのです」
「っ!?」
アルテナの言葉を聞いて、雫は目を見開ていく
大迷宮を破壊、つまりは神代魔法が得られなくなったという事
「‥‥そんな…」
雫はそれを聞いて、目を見開いていく
「残念でしたね‥‥
ついでにお伝えしておきますが
あなた方が攻略したライセン大迷宮や
最初にすでに攻略したオルクス大迷宮も攻略済み
残す、大迷宮の方もすでに我々の手の者が
動きの方を見せている状態になっています‥‥
あなた方がここまで、やってきた意味など
無いに等しいのですよ、神の使徒の皆さま?」
アルテナは、そんな雫の反応を見て
更に彼女の事を蔑むように言い放っていく
その言葉がさらに、雫の精神を追い込んでいく
「そ‥‥そんな…」
雫は、ショックを受けてその場にへたり込んでいく
「‥‥フフフフ、悲しいでしょう苦しいでしょう…‥
ご安心ください、これから貴方も、貴方の同伴者方も
すぐにその全てから解放いたしますよ、六人纏めてね」
そういって、地面の砂を掴んで
それをあたりの地面に撒いていった
すると、その地面の砂から
盛り上がっていくようにして
人型の異形が顕現していく、その手に鎌をもって
「それじゃあ、お客様をこちらの方にまで案内してください」
アルテナがそういうと、その異形たちは
そのまま一斉に、その場から走り去っていった
「‥‥香織…姫奈‥‥きちゃ、ダメ…」
精神的にもグロッキーながら
それでも友人たちの安否を願う雫
「ウフフフフ…‥」
アルテナは、そんな雫に目もくれず
ただ獲物である少女達の到着を待ちわびるように笑みを浮かべていった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
そのころ
「ラナさん!
道の方は大丈夫!?」
「はい、このまま問題なく進んでください!」
ラナの案内の元、迫りくる植物たちの猛攻を掻い潜って
雫がさらわれたであろう、敵の要るウーア・アルトを目指していく
しかし、そんな彼女らに向かって
襲い掛かってくる、一つの影が現れる
「ラナさん、ごめん!」
「え!?
きゃああ!!!!」
ラナを強引に振り回して
武器である剣を使って攻撃を止める
自身に攻撃を仕掛けてきたのは
人型の異形で、羽織っている布や持っている
武器の鎌と合わさって、まるで死神のような敵である
「なによこいつ…
こいつ、魔物?」
どうにか押し出して、距離を取っていく姫奈
しかし、そこに
「姫奈ちゃん!」
「きゃああああ!!!」
香織と風香の声が聞こえ、そっちに目を向けると
二人を囲い込むように、同じ人型の異形が現れる
「こ、こっちにも!」
纏の方も、異形たちが襲い来る
「見たことのない魔物…
という事は、ハルツィナ樹海の異変は
罪徒が引き起こしたっという訳ね…」
「‥‥そうだね…
でも、なんだか変だよこの魔物たち…
なんというか、魔物のそれとは何か違う…
何だかまるで、何かを罪徒の力で
構築させて、形を構成させているような…
まるで、粘土で出来た人形みたいな感じがする」
香織はそういって、自分達を襲撃してきた
異形の集団から感じる違和感を伝えていく
「‥‥どっちにしても、のんびりなんて
していられないわ、こうなったら手加減なしよ!
香織!」
「うん!
雫ちゃんを早く助けないといけないんだもん…
邪魔するんだったら、容赦なんてしないんだから!」
そういって、二人は右手を掲げていき
そこに輝いている、聖痕を掲げていくと
「「聖痕、開放!!」」
二人がそう叫ぶと、姫奈の姿は剣士の様な
香織の姿は、神官や御子を思わせる様な服装になる
「行くわよ!」
姫奈は武器である剣をふるい
それを使って、異形たちを切り伏せていく
すると、異形たちを斬り付けて行けば行くほど
その体から、砂が噴き出していき、それが姫奈の顔にかかる
「ぶっ!
ぶわっぺっぺっぺっぺっ!!!
何よこいつら、砂でも体に仕込んでんの!?」
砂が口の中に入り、そのせいで戦闘どころではなくなり
そのすきをついて、他の異形たちが武器である鎌をもって襲い来る
「姫奈!」
そんな姫奈への攻撃から、彼女を守り
武器であるアーティファクトの槍を使って応戦する
「しっかりしてよ、姫奈!
姫奈がしっかりしないと
それこそ、私達が危ないんだから…」
「ごめん…」
口の中が少しマシになったが、そのせいで
落ち着きを取り戻して、罰が悪そうにしていく
「まあいいや…
そんな時のために、私達だって
できるんだっていうところを見せておかないとね!」
風香はそういって、武器であるアーティファクトの槍を振るい
辺りにいる異形たちに次々と攻撃の方を仕掛けていき、槍による
攻撃が大きなリーチを齎していることもあり、次々と敵の軍団を蹴散らしていく
「やりますね!
それでしたら、私も負けてはいられませんね!!」
そういって、ぶんぶんとアーティファクトの槍を振るっていく纏
彼女の天職は棒術師であるため
その使い方は、槍の使い方とは全く異なる
風香が、あくまで槍の穂を使って
攻撃を仕掛けていたのに対して、こちらは
槍全体を使って、相手に攻撃を仕掛けている
纏の強烈な一撃を受けて
異形たちが次々と薙ぎ払われて行き
それによって、大群が次々と一層されていく
罪徒との闘いでは、殆ど役に立てない分
こう言ったところで役に立ちたいという
そんな思いが感じられる
「すごい、風香ちゃん、纏ちゃん
ようし、私も」
そういって、光で生成した四つの円刃を
飛ばして、それを使って攻撃を仕掛けていく
遠距離でなおかつ、多くの敵を倒せるので
香織の能力は、なかなかに重宝されている
「やるね、さっすが香織!」
「えへへへへ、ありがとう
とはいってみたけれど、キリがないね…」
風香に評価されて、照れくさそうにしていく香織
しかし、敵の人数は多く、数は減っているが
それでも一向に全滅していく様子が見られない
「それにしても…
この魔物は一体
どうしてこんなところに…」
「‥‥もしかしたら、私達を誘導しているんじゃない?」
姫奈は、そう判断していく
「どういうこと?」
「こいつらの強さは個別では大したことはないけれども
その分、数で押していくという戦法を取っている、けれど…
どうにも決め手に欠ける様な戦い方をしてる
もしかしたら、私達をここで倒そうとはしていないのかもしれない…
恐らく、私達を確実に倒すためにどこかに誘い出そうとしている…
そんな感じがするわ…」
「つまりはそこに、こいつらの親玉がいるってことだね…
どうしよう?」
風香が訪ねていく、すると
「もちろん行くよ!
そこに、雫ちゃんがいるなら
罠であっても、絶対に行く…
私は決めたんだもん、大切な人を
これ以上失わせたりなんてしないんだって!!」
香織が、臆することなく答えていく
「‥‥そうね…
それにこの先に、ウーア・アルトがある…
そこに敵がいるっていうのなら、望むところだ!」
姫奈も決意を新たにしていく
「だったら行きましょう…
この先に!」
そういって、それぞれが武器をもって
姫奈は、ラナを抱えて先導していく
「皆さん、気を付けてください‥‥
この先に何か、嫌な感じがします‥‥」
「でしょうね…
でも、ここまで来て
いまさら逃げるなんてしないわよ!」
姫奈がそういって、他の三人もうなずき
そのまま急いで、敵の群の先にまでかけていった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
一方そのころ
アルテナは、一本の木の幹に手を当てながら
静かに意識の方を集中させていた、それからしばらくして
「‥‥フフフフ、どうやら
彼女達はこっちの方に向かってきている様子…‥
さあて、それでは最後の準備に取り掛かるとしましょう…‥」
そういって、その場に残った異形たちに
簡単なアイコンタクトを取ると、異形たちはそれを察したのか
その場にいた異形は、吊るされている雫を囲むようにして辺りを見回す
「ダメ‥‥来ちゃダメ…みんな‥‥…」
苦しそうな表情で全員が来ないことを祈る雫
しかし、そんな祈りもむなしく
向こうから誰かが走っていく音がだんだんと聞こえていく
その音の主は
「見えました!
あれが、ウーア・アルトです!!」
雫の耳に届いたのは、ラナがそう呼び掛けていく声であった
「っ!
雫ちゃん!!」
そういって、香織が雫の名前を呼ぶ
そこには手を縛られて
吊るし上げにされている雫の姿があった
「雫ちゃんを放せ!」
そういって、自身で生成した
四つの光の円刃を飛ばしていき
吊るされている雫の紐を切り
同時に雫を囲んでいる異形たちもなぎ倒していく
なぎ倒された、異形たちはそのまま
砂になって、辺りに散らばっていき
雫は、落ちていったところを
姫奈が無事にキャッチしていく
「雫!」
「雫ちゃん、大丈夫!?」
急いで、彼女に駈け寄っていく一同
雫は、打ちのめされたようにぐったりとしている
「香織!」
「わかってる!」
香織は雫に、急いで治癒を施していく
「みんな…」
「雫ちゃん!
大丈夫!?
しっかりして!!」
弱々しく口を開いていく雫に
必死に呼びかけていく香織
だが
「ダメ‥‥逃げて…
これは‥‥罠…」
雫は何とかして、言葉をひりだしていくが
時はすでに遅く、何と辺りから木の枝がゆっくりと迫り
更には、地面に生えてる草花すらも
まるで動物のように少女達に襲いかからんとしていく
「‥‥なるほどね…
私達はまんまとおびき出されたってわけね…」
姫奈は立ちあがって、剣を構えていく
「そんな…」
「‥‥香織、雫の治療はもう終わった?」
姫奈は訪ねていく
「‥‥と言うよりも、雫ちゃん
怪我もしていないし、状態異常にもなってない…
これって一体何がどうなって…」
香織は、雫が弱っている理由を模索していた
そこに
ー当然ですよ、彼女はあくまで
あなた方をここに連れてくるための餌なんです…‥
抵抗されても困るので、少しだけ手を加えさせてもらいました…‥
肉体的な負傷よりもさらに深刻なる、精神的な負傷をね…‥ー
女性の声が聞こえていき、一同はあたりを見回す
「誰!?」
風香は、問いかけていく
ーそれにしても、我らが神は本当にお見事…‥
まさか、貴方方がここにいらっしゃることまで
予見するとは、さすがは我らが偉大なる創生主…‥
そして、私は我らが神の命により
我ら罪徒に抗う力を持つ、愚か者たちに
身の程を教えて差し上げなくてはなりません…‥ー
「罪徒…!?
と言う事は、ハルツィナ樹海で起こった異変も
あなたが引き起こしたと追う事ですね!」
纏は問いかけていく
しかし、ラナ一人だけはどこか反応がおかしい
「ラナさん…?
どうかしたの…?」
「‥私、この声の主、知ってる‥‥
この声‥もしかして、アルテナちゃん!?」
ラナは声の主の名前を述べていく
「あるてな…?
知り合いなんですか?」
「私達がフェアベルゲンにいたころ
シアちゃんが魔物に襲われてた森人族の女の子を
治療のために、うちの村に連れて来た事があるんです‥‥
その子が、アルテナちゃんです‥‥
私も、アルテナちゃんの様子を見に
数えられる程度ですが、話しをしたことがあります‥‥
でもどういう事ですか‥アルテナちゃんが罪徒だなんて‥‥」
ラナは信じられないといった感じで話していく
ー‥‥ほう、貴方はもしや兎人族の方ですか?
確か、貴方達はライセン大峡谷で全滅したと
聞いていましたが、まさか生き残りがいたとは‥‥
下等生物は、生命力だけは強いと言う訳ですかー
「ふざけないで!
いくらラナさんが亜人族の中でも
非力とされている兎人族だったとしても…
あんた達にそんな言い方をされる筋合いなんてない!」
声の言い方に猛反発する風香
しかし
ーフフフフ、おかしなことを言いますね…‥
私はもう、亜人族などではありません
我々はもう、人間族でも魔人族ですらもない…‥
新たなる種族なのですよ?
亜人族だけではない、この世界全ての存在が
等しく、無力で何の意味もなく這い回るだけの下等生物なのですよー
そんな風香の言葉を嘲るように言い放っていく
「御託は良い!
隠れていないで姿を見せなさい!!」
ー隠れる?
一体何処に隠れているというのですか?ー
声はまるで、おかしなことを言わないでと言わんばかりに一同に返していく
ー隠れる必要なんて在りませんよ‥‥
何故ならあなた方は、とっくに私の中に居るのですからー
「何を言って…」
「‥‥まさか、このハルツィナ樹海全体が…
敵の本体!?」
姫奈は、本来ならありえないような返答を告げていく
「そ、そんな事…」
「‥‥ううん、それだったら
この気配の大きさにも説明がつくよ…
私達は、この森に入った時点で…
敵の手のひらの上だったってことだよ!」
面々は、動揺する中で香織のみが
姫奈の言葉に納得していく、敵の大元
それは、この樹海そのものなのだと
ーその通りです
私は、我らが神によって創生されたもの
植林と遺物の罪徒
アルテナ・ハイピスト…‥
これから、貴方方が戦うのは
このハルツィナ樹海と言う名の樹海そのもの…‥
それがどれだけ、無謀なものなのかを
しっかりとその身に焼き付けて、絶望して死に行きなさい!」
そういって、木々の枝が一斉に一同に襲い掛かっていく
「風香、雫とラナさんをお願い!」
「うん!」
風香は雫とラナを抱えて、敵の猛攻から
逃れんとしていくのだが、それでも敵の猛攻は続いていく
「この!」
風香は、武器である槍を振るって
迫ってくる枝に攻撃を仕掛けていく
しかし、枝は固く穂先が通らない
「きゃ!」
逆に押し切られ、そのすきをついて
木の枝が勢いよく、風香に向かって勢いよく突き出されていく
それを、光で生成された円陣が
阻んだことで風香はどうにか危機を脱する
「風香ちゃん!」
「ありがとう、香織ちゃん…
でも、このままだとジリ珍だよ…
だって、この森が敵だって言うんだったら
実質私達って、敵の中に居るようなもんだし…
これじゃあ、さっきの奴ら以上にキリがないよ…」
風香は、そういって自分達に迫ってくる
無数の木の枝を見て、息を切らしていく
この森に存在するすべての木々が
敵そのもの、まさに大群に囲まれている
そんな状況なのである、この状況ではまともに戦っても
こちらが消耗していくだけ
「だったら色々と試してみるしかないわ…
先ずは、シンプルに燃やす!」
そういって、剣に炎を纏わせていき
それを使って、木々を次々と焼き切っていく
それによって、木は見事に切り裂かれた上に
切り口が焼けてしまっているので、再生能力のある
魔物でも、これでは人たまりもないだろう、ただし
これが、ただの魔物であったらの話だ
「っ!?」
燃えた木は、その炎の中から
新たな幹を生やしていき、それが再び
一同の方に、向かって枝の方を振るっていく
「っ!
燃やしてもダメってわけね…
最初に出会った奴もそうだけれど
罪徒って言うのは、本当にでたらめな奴ばっかり…」
姫奈はそういって、迫ってくる枝を
炎を纏った、枝に向かって振るっていき
向かって来た枝の全てを焼き切っていった
しかし、焼き切れた部分から
またしても枝が生えていく、それどころか
さらに増えて、手が付けっれなくなっていってしまう
「まずい…
このままだと、本当に嬲り殺しにされる…
かといって、私と香織の二人で
森全体に重力魔法をかけるのもリスクがある…
それに、それで森全体をどうにかできても
再生しないって言う保証だって出来ないし…
一体どうしたら…」
姫奈は、周りを見回していく
姫奈は、不意にあるものに目を向ける
それを見てハッ、っと目を見開いていく
「‥‥香織、風香!
ちょっと、協力してくれる!
もしかしたら、突破口が見つかったかもしない!!」
「え!?
本当に!?」
姫奈が、香織のもとに行って耳打ちをしていく
「本当に、それだけで行けるの?」
「もしも私の予想が正しいなら…
これで敵の攻撃は、かなり分散される…
その間に、私が敵のいる場所に攻撃を仕掛ける!」
「‥‥わかった、姫奈ちゃんを信じるよ!」
三人は身構えていくと
そこにはすでに、かなりの数の枝や草花が
一同に襲いかからんと、迫ってきていた
「それじゃあ…
行くよ!」
香織が、光で生成した円刃を飛ばし
それを使って、辺りの枝を次々と切り落としていく
「‥‥衝嵐!」
風香が、槍を上に向かって振り上げていく事で
香織の攻撃によって切り落とされた、枝が待っていき
それが、時間さで次々と振り注いで行く
「ちょっと!
これ、私達も危ないんじゃ…」
「それについては、問題ないよ!」
香織が円陣を、頭上にかかげ
それを使って振ってくる枝を防いでいく
「香織、しばらくは守りの方は任せるわよ!」
「うん!」
面々の守りの方を、香織に任せて
自身は相手の出方の方を見ていく
「大丈夫でしょうか‥‥」
「大丈夫だよ!
私達だって強くなってるし
同じように姫奈ちゃんだって強くなってる…
それに、姫奈ちゃんが任せてっていったんだもん…
だったら、私たちはそれを信じるだけだよ」
香織がそういって、姫奈の方を見る
「でも、無茶ですよ!
あの木々の猛攻を一人で挑むなんて…」
「待って!」
風香は、不意に違和感を覚えていく
「‥‥木々の動きが、おかしくなってる…
さっきまで、私達の事を正確に狙って来たのに…」
纏がその違和感の正体に気づく
「やっぱりそうね…
こいつら一見すると
森そのもののように襲ってるけれど
実際はこの森を操っている本体が潜んでる…
場所は恐らく、香織の攻撃よりも
私達の攻撃の方に反応していたことも会って
本体の居場所は恐らく地面の下、潜んでいるのは…」
姫奈は剣に、重力魔法、その磁場を纏い
大きく振りかざしていき、その場所に向かって
「ここだああああ!!!」
剣を勢いよく振るうと、地面を大きく崩す
重力魔法はもともと、星の力に干渉する魔法
ましてや、姫奈のそれは星力魔法に新化しており
剣の一振りによって、地割れを起こすなど訳もないのである
すると
「わあ!
すっごい威力!!」
「これが重力魔法の本来の力だよ…
さあて‥‥どうなったんだろう…」
一同が、地割れによって引き起こされた
砂煙の方に目を向けていく、するとその中から
何やら、強大な気配を感じ取っていき、更に警戒を強めていく
「‥‥待っていましたよ、聖徒の皆さん…‥
我らが神に立ち塞がる矮小なる下等生物の民さん…‥
よもや、ここにまでたどり着かれてしまうとは
正直に言うと驚いていますよ、ではその功績をたたえ…‥
改めて、名乗らせていただきまぢょう…‥
私はアルテナ、アルテナ・ハイピスト…‥
偉大なる創生主によって、新たに創生された…‥
植林と遺物の準男爵…‥」
そこに現れたのは、頭にねじれた形の髪飾りを付け
その頭部から伸びる髪は、まるで背中に羽織った外套のように長く
服装も上はシュンとした感じの長袖で
下半身もひざ下まで伸びたロングスカートである
「あれが、本体か…」
「アルテナちゃん‥‥
やっぱり、貴方だったのね!」
ラナが率先して、目の前に現れた女性に呼び掛ける
「‥‥お久し振り、とだけ言っておきましょう
兎人族のお嬢さん‥‥
貴方のことは、ライセン大迷宮を攻略した皆さんから
聞いております、神代魔法と言うものを集めていらっしゃるとか…‥
貴方方が、ライセン大迷宮にて、重力魔法を
手にしたことも同じく聞き及んで要りますよ…‥
それでお次は、このハルツィナ樹海にやってきた…‥
大方そういったところでしょう?」
ゆっくりと迫りながら問いかけて行くアルテナ
「アルテナちゃん…‥
貴方、一体何を…‥」
「何を、ですか…‥
それは、フェアベルゲンの惨状を見て
大体気が付いているのではないですか?
我々はもうすでに、ハルツィナ樹海を
攻略したのですよ、樹海の破壊と言う形をもってね」
アルテナがそういうと、一同の周りを囲っている
木々や草花たちが、再びじりじりと一同の方に迫っていく
「そんな‥どうして‥‥
あなたのことは、心優しく聡明な女性だって
同じ森人族やほかの種族からも絶賛されていたのに‥‥」
「そんなくだらないレッテルなんて
何の価値もありませんよ、私は決めたんです…‥
私はもう周りに求められる私であり続けるのではなく
私が望む、私自身であり続けていくのだとね、あのお方は
私にそれを成し得られる力をお与えになってくださいました…‥
ですから私は、この力を私が思うように使っていくのですよ!」
そういって、手に持っている錫杖をついていくと
周りにいる木々が、一斉に一同に向かって突き出されていく
「ラナさん!」
ラナをどうにか庇い
襲いかかる木々の枝による攻撃に
どうにかしていなしていった
「香織!
道を開いて!!
いつを叩けばきっと
この森も収まるはず!!!」
「わかった!
みんなのことは任せて!!」
香織が、前の方に向かって
光で生成した円刃を使って木々を切り落としていく
その後を追うように、姫奈は向かって行く
「フン!」
アルテナは、自身の右手を
木のように変質させていき
それを使って、円刃による攻撃を止める
そんな彼女に向かって、上から勢いよくとびかかっていく姫奈
アルテナはそれを、武器である槍を使って止め
姫奈は、左手に雷を纏わせていき、それを突き出していく
アルテナは、それを受けるものの
特に動じていく事はなく、何なく受け止めていく
「なるほど…‥
雷をお使いになるのですね…‥
しかし、私の体は絶縁体
そう簡単には聞きませんよ!」
そういって、錫杖を振るい
姫奈は、剣を手に挑んでいく
「っ!
強い…」
姫奈は、剣を傾けて
相手の攻撃を流して行き
アルテナに回し蹴りを食らわせる
しかし、彼女の身体も細胞壁によって
覆われている、天然の鎧のせいでダメージが入らない
「そんなもので、私は止められませんよ!」
姫奈に向かって、錫杖を突き立てんとしていく
それを、剣で止めつつその反動を使って距離を取っていく
「フフフフ…‥」
すると、彼女の周りにあった木々が
一斉に枝を突き出していき、姫奈に仕掛けていく
姫奈は、それを剣に炎を纏わせて
次々と焼き払っていき、攻撃を凌いでいく
「はああああ!!!」
姫奈は星力魔法の力で重力を操作し
それによって、身体能力を上げて行き
それで、アルテナに一気に斬りかかっていく
「なるほど…‥
戯れだったとはいえ
リュナさんやリュカさんと
渡り合うことが出来ただけのことはありますね…‥
そこまでして、神代魔法を得たいのですか?
ここの神代魔法は、もうとっくに得られなくなったというのに!」
「‥‥らしいわね…
それがショックなのは
悔しいけれども認めるわ…
でもね、だからってそれで
立ち止まってなんて、いられないのよ!」
そういって、蹴りを放っていく姫奈
その蹴りはアルテナの胴体に見事に炸裂する
本来ならば、天然の鎧によって
ダメージは入ることはないのだが
「本当にどうして、人間と言うのは
無駄だって思う事を、やろうとするのか…‥
何度も言いましたが、そんな攻撃など‥‥うん!?」
しかし、蹴ったそこからものすごい電流が
アルテナの体内に流し込まれていき、アルテナに電撃が喰らわされる
「確かに電流だったら効かないかもね…
でも、雷そのものだったらどうかしら!」
姫奈は不適に笑みを浮かべながら言う
しかし
「フン!」
「がはっ!」
姫奈の腹部に、蹴りが入っていく
その勢いは非常にすさまじく、彼女はそのまま
後ろの木の方に、一気に突き飛ばされて行った
「なるほど、考えましたね…‥
直接電撃をぶつけて行くなんてね…‥
しかし、私も曲がりなりにも罪徒
その程度の一撃など、入りはしないのです!」
表面に焦げ目がついているだけで
目立った外傷が見られないアルテナは
自身の武器である錫杖を地面に突き、鳴らす
「姫奈ちゃん、大丈夫?」
香織は、姫奈に呼び掛けるが
そんな彼女達に向かって、木々の枝が迫っていく
「本当に分かりませんね…‥
助けに行きたいなら助けに行けばいいではないですか?
そんな塵なんて、さっさと捨てて自分が本当に
並び立つにふさわしい方に素直に向かえばいいでしょう?」
そんな香織に向かって、アルテナは冷たく言い放つ
役に立たない奴はさっさと切ってしまえばいい
アルテナはそう言い放っていく、しかし
「‥‥そんなの出来ない…
できる訳ない、私がそれを選んだら
私は本当の意味で、前に進む事が出来なくなる…
私は守るために戦うって決めたの
みんなの事を、自分の事だって…
それが、今の私が求めている強さなんだ」
香織は言い放っていく
「‥‥わかりませんね…‥
そもそも、矮小な存在なんて
その気がなくとも勝手につぶれてくれる…‥
そんなものを守るなど、はっきり言って不可能としか言いようがありませんね…‥」
そういって、右手をかざしその手を枝の様に変質させていく
「‥‥いったたたた…
痛いけれどダメージは思ったほどない
星力魔法の力で、衝撃をやわらげられた…
うん?」
姫奈はゆっくりと起きあがっていくと
ぶつかった木の中から何か穴のようなものが開いていた
「‥‥なにこれ?」
それを見て、穴をのぞき込む姫奈
すると
「フフフフ…‥
そんなこけおどしが
いつまで持ちますかね…‥」
「ぐう…」
香織は、円刃を使って
アルテナの肥大化した腕を必死に抑えている
そこに
「みんな!」
姫奈が、武器である剣をふるい
アルテナに向かって飛び出す
「無駄ですよ、この森にいる限り
私の認識範囲は全方向が死角ですからね!」
しかし、アルテナは姫奈の方に目を向けることはなく
そのまま彼女に向かって、木々で攻撃を仕掛けていった
しかし、姫奈はさすがに何度も仕掛けられて来たためか
枝による無尽蔵な攻撃のほぼすべてを交わすか焼き斬るかして
攻撃を凌いでいた
「はああああ!!!」
姫奈が、アルテナに向かって蹴りを繰りだす
不意を突かれたアルテナは、そのまま吹っ飛ばされる
「みんな、大丈夫!?」
「なんとか…」
どうにか、一同の元に駆けつけられた一同
「どうする、周りの樹海の植物たちも攻撃してくるし
あの罪徒にも、攻撃がちっとも通らないし、このままだと…」
「‥‥あの木の陰に隠れるわよ!
あの木は、さっきぶつかった衝撃で
穴が出来てる、そこに身を隠せばある程度の攻撃はしのげる」
そういって、移動をしていく一同
「‥あれ。この樹は‥‥?」
ラナはその樹に覚えがあった
なぜなら、その樹は
「そんな浅知恵で本気でどうにかできると
思っているのですか、なめるなよ下等生物が!」
そういって、錫杖を振るって
一同の方に向かって行くアルテナ
それを見て、一同は無意識に身を引いた
すると
「え?
きゃああ!?」
「え!?」
「「「きゃあああ!!!」」」
五人全員が、奥にいつの間にか
開いていた穴の中に落ちて行ってしまうのだった
そして
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
多くのモチーフに使われる七つの大罪、皆さんが一番強いと思うのは?
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原罪(スルー推奨)
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傲慢
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虚飾
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嫉妬
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憤怒
-
怠惰
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憂鬱
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暴食
-
色欲