世界に愛された元徳者と世界を憎みし原罪者 ー世界を憎みし少年とその少年より生まれし九つの罪の王と罪徒となった少女達・世界に愛された少女達と聖徒に選ばれし少女達ー 作:lOOSPH
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
「う‥‥うううう…」
ある場所において、意識の方を
取り戻していった、一人の少女
その彼女が目を覚まして
一番の目に飛び込んできたのは
「雫ちゃん、よかった…
目が覚めたんだね」
首元まできれいに切りそろえられた艶やか黒髪に
優し気な印象を与える少し垂れ気味で大きな瞳に
スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、総計すると美少女と評される
少女は、そんな彼女の事を知っている
何故なら、幼いころからの幼馴染なのだから
「‥‥香織…?」
「そうだよ、雫ちゃん
雫ちゃんの幼馴染で親友の香織だよ
良かった、無事に目を覚ましてくれたみたいで」
香織は、安心したように言う
「‥‥私は一体…
って、香織、貴方怪我を…!
っ!?」
雫は、香織が怪我をしているのに気づく
それと同時に思い出した、香織に怪我を負わせたのは自分なのだと
それを思い出した雫は、同様にして自身の頭に手を当てていく
「そうよ‥‥私…私は‥‥…
香織に‥‥なんてことを…」
「雫ちゃん、落ち着いて!
雫ちゃんは何にも悪くない
雫ちゃんは操られていただけだよ!!」
香織が必死に、雫に言い聞かせていく
しかし
「あ‥‥ああああ…
いやああああ!!!」
香織の言葉も届かずに、雫は発狂してしまう
雫は自身の顔を掻きむしりながら叫んでいく
香織は、そんな雫を必死に抱き止める
「落ち着いて、雫ちゃん!
雫ちゃんは誰も傷付けてなんていないよ
私もこうして、生きているんだよ、誰も悪くなんてない
雫ちゃんも、だから」
「ああああ!!!」
雫に、必死に呼びかけていく香織だが
雫はそんな彼女の言葉など聞かずにただひたすらに
自分の犯した過ちに苦しめられていく、このまま離したら
雫は自分を余計に傷つけてしまうと、香織は感じ取っていた
同時に、香織はどうしたらいいのかと思いつめていく
すると、香織と雫を引き離し
その人物は雫の頬を叩く、その人物は
「しっかりしてよ!
雫ちゃんがしっかりしないと
せっかく雫ちゃんの事を助けられても…
心から、喜んで笑顔になれないじゃない!!」
「風香…
貴方、その恰好…」
西宮 風香
雫は、風香の今の姿を見て目を見開く
「雫ちゃん、確かに雫ちゃんは
香織ちゃんや私たちの事を傷つけたかもしれない…
でも、雫ちゃんは私たちの事なんて傷つけたくなかったんでしょ?」
風香がそういうと、雫は涙を流しながら頷いていく
「‥‥だったら、それでいいんだよ
雫ちゃんの意志が、そうだって言うなら
その気持ちの方を大事にして、だって私は知ってるもの…
雫はそんなことをするような子じゃないんだって、ね?」
風香がそう言って、雫の目を見て言い聞かせていく
「風香‥‥私は…」
「‥‥いいんだよ、もうこれ以上
何にも云わなくっても、いいんだよ
今はゆっくり休んでて、今は
私達に任せておけばいいんだよ
雫ちゃん、ちょっとくらい誰かに頼ったっていいんだよ…
それは決して、悪い事なんかじゃないんだからさ」
風香はそう言って、雫の頭にそっと手を置いてやる
雫はそれに安心を覚えたのか、少し落ち着いたようにその場にうずくまる
「‥‥雫さん…
相当参ってた、みたいですね…」
「‥‥無理もないよ、雫ちゃん
周りの事を気遣い過ぎて、自分の問題を
一人で抱え込んじゃう傾向があるから…
何よりも、操られていたとはいえ
私達を攻撃してきた事への意識はあったんだもん…
私だっておんなじことになったら、耐えられないよ…」
「そうだね…
でも、雫ちゃんにばっかり
かまっていてもいられないよ…
何しろ、まだここは敵の手中にあるんだからね」
風香は、そういって
自身の聖器である、盃状の武器を手に
辺りの森の方を、見回しつつ構えていく
「あ、あの…
この森から抜け出す方法ってあるのでしょうか?」
纏がおそるおそる訪ねていく
すると
「そんなの一つしかないよ…
アルテナを倒すしかない」
「でも、アルテナをどうやって見つけるんですか?
この森の中では、奴の気配がポ大きすぎて捜索もままならないのに…」
纏は問いかけていく
それに対して答えたのは
「‥‥それについてなんだけれども
もしかしたら、わかるかもしれない…
聖徒に目覚めて探知が行えるようになって
改めて、この森に風を吹かせて辺りを探ったの
その時に、大きな気配はある一点を中心に
外側に向って段々と気配が薄くなっていっているのが分かったの…
恐らくだけれど、その気配が一番強い場所に
この森を覆っている気配の大元、アルテナの本体がいる…
問題は、どうやってたどり着くかだけれど…」
「そのまま、直接行けばいいんじゃ?」
「ダメだよ、この森全体が
アルテナの一部のようなもので
木々も草花も、彼女の意志で動いてる
木が動いていく事で、迷わされたら余計に
どこにいるのかがわからなくなっちゃうよ」
纏の問いかけに、香織が答えていく
人間が一番に情報を得るのは、視覚
その視覚を惑わせていく事で森に入った獲物を迷わせる
それが、迷いの森の人の迷わせ方である
「うん…?」
風香は、不意に自身の力の変化を感じ取り
不意に自分のステータスプレートを確認していく
すると
「っ!?
これって…」
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
そんな中で、子供たちは
なるべくはぐれることなく
ひたすらに進んでいき、その中で
ついに一行は、ある場所にたどり着いた
そこにあるのは
「こ、これって…」
巨大な大樹であった
フェアベルゲンにあったウーア・アルトと
見た目は同じながらも、その大きさはかなりのもの
子供達はもちろん、ラナの方も、目を見開いていた
「(この大樹は果てしなく続いていますね‥‥
どこにまで続いているんでしょうか?)」
ラナはそう言って、見上げていく
「こんなにでっけー木なんて、初めて見たぜ‥」
「ああ、ウーア・アルトでも
ここまでは伸びてなんていないぜ?」
ダイとリョクは、素直に驚きの様子を見せていく
「この樹だけは、他の木とは違う‥
嫌な臭いがしないし、何よりも
何だか優しい感じがするよ」
オウが、そう答えていく
「(もしかしたら、この樹に何か
仕掛けのような者が有るのかもしれませんよ‥‥
もしかしたら、何かしかけのような者があるのかもしれないですし)」
「うん、とはいっても
どこにあるんだろう‥」
オウはラナを抱えながら、辺りを見ていく
ランも、自慢の視覚で同じように
大樹の周りの方を知らべていった
ユーカも、自分も誰かの役に立ちたいと思い
一緒に大樹の周りを調べていった、するとある場所で
目を見開きながら、ゆっくりと後ろの方に下がっていく
「どうしたの?」
「あ、あああ…」
ユーカの様子がおかしいのを見て
近くにいたランが様子を見に行った
しかし、ランもまた目を見開く
そこに現れたのは
「(っ!?
あの人は‥‥)」
様子を見に来た他の面々も
そこに来て、その存在を確認する
そこにいたのは…
「‥‥やれやれ…‥
さっきから、こそこそと
這い回っているのが見えたから
もしやと思って来てみたら
まさかの屑魔物と子供達だったとはね…‥」
植物と浸食の準男爵
アルテナ・ハイピスト
今の彼彼女達にとって不倶戴天の相手である
「(アルテナちゃん‥‥)」
「どうして、ここに‥」
オウが訪ねていく
「どうして、さっきまで小娘一人と
人間の娘の相手をしていたんですけれども
どこかに行ってしまいましてね…‥
もしかしたら、この辺りにいるんじゃないかなと
この場所に立ち寄ってみたら、まさかこんなところに
たどり着いていただなんてね、はっきり言うと驚きですよ
私のなかを歩いて、ここまでやってきたなんてね」
アルテナはそう言って、手に持っている錫杖を鳴らしていく
「どうするんだよ‥」
「どうするって、そんなのどうしたら‥」
ダイとリョクは、目の前に現れた巨敵を前に尻込みしていく
「正直に言うと、貴方達のような矮小な存在に
かまってあげるつもりはないんですけれど
あんまりここに居させては、色々と面倒になるので
ここであなた達を倒させていく事に致しましょうか…‥」
そういって、錫杖を地面に突きながら
ゆっくりと子供達の方にへと近づいていくアルテナ
すると
子供達の前に立ち、彼彼女らを守らんと
アルテナの前に立ち塞がっていくのは、ラナであった
「(みんなを傷つけさせたりなんて
絶対にさせません、この子達は‥‥
私が絶対に死なせたりしません!)」
今のラナはゴブリンの姿なので
彼女の言葉はただの鳴き声にしか聞こえない
それゆえに
「‥‥何ですか、それ…‥
まさかとは思うのですが、そのゴブリン
私の前に立ち塞がろうとしているつもりではないですよね?」
アルテナにも、言葉は分からないようである
しかし
「そうだよ!
ゴブリンさんは、私達を
守るために貴方の前に立ち塞がっているんです!!」
オウ、魔物のいう事が分かる彼女のみは
ラナの意志を知っていく事ができ、それを伝えていく
「貴方、魔物の言葉がわかるのですか?
なるほど、貴方もシアちゃんと同じ
忌み子なのですね、驚きましたよ、まさか
シアさんのほかにも魔力を持った子供がいたとはね…‥
それにしても、おかしいですね…‥
魔力を持っている忌み子がなぜ、このフェアベルゲンに?
忌み子は確か、問答無用で処刑のはずなのに」
「っ!」
アルテナの言葉を聞いて、思わずたじろくオウ
しかし
「(魔力を持っているからなんだって言うんですか
周りと違うからって、その人を傷つけてもいいなんて‥‥
そんな考え、間違っています!)」
「そうだよ!
大体、そのフェアベルゲンは
貴方達が滅ぼしたんじゃない、そんなあなたが‥
そんなあなたがフェアベルゲンの事を語らないで!」
オウも言い返していくが
「あーっはっはっはっはっ!!!!!
おかしなことを言いますね!
そもそも、最初に身の程をわきまえずに
私達に噛みついてきたのは、フェアベルゲンの方ではないですか?
大人しくこちらの要求を呑んでいれば
少なくとも、命だけは拾えたかもしれないのに、まあ最も…‥
いつまでもくだらない因習にとらわれ続けて居た
フェアベルゲンは、いずれはこうなってしまう運命だったでしょうがね」
アルテナは嘲笑しながら言う
「くだらなくなんかねえ!
長老様は俺たちの事をいつでも気にかけてくれたんだ!!」
「あんたのじっちゃんだって、その長老の中でも一番偉い人だろ!
なんだってそれがわからねえんだよ!」
ダイとリョクが、アルテナに精一杯言い返していく
「わからないですし、わかりたくもないですね…‥
いつまでも古い考えしか持たない老いぼれの事など…‥
ハッキリ言って興味もわきませんね、それで結局
フェアベルゲンなんていう国と言う名の檻の中にこもって
外に出て行こうという度胸もなく、結局運命を共にした
なんとも哀れで、滑稽な末路ですよ」
アルテナは、そこまで言うと手に持っている
錫杖を地面に突きだしていくと、周りにある木々から
枝が伸びていき、それが一行の方に向かって襲い掛かっていく
「ラナお姉ちゃん!」
「っ!」
子供達は、もてる全てを使って
アルテナに勝負を仕掛けていく
「うああ!!」
「はあ!」
ダイとリョクが最初にとびかかっていくが
アルテナは、それを錫杖を使ってまとめて止めて見せていく
「やれやれ、しつけがなっていないですね!
まあ、この位だったら、本気で相手をする必要も…‥
ありませんがね!」
そういって、子供達をふっ飛ばしていく
「いったた‥」
リョクは、体の痛みに耐えながら
よろよろと立ちあがって行くのだが
「‥‥そういえば、貴方は虎人族ですね?」
そんな彼の前に、アルテナが現れる
「っ!」
「私ははっきり言って、貴方達の事が嫌いです…‥
傲慢で威張り腐ってて、ちょっとうでっぷしが
強いからって、自分達は偉いんだって周りを見下して…‥
私の友達も、弱いという理由でフェアベルゲンから追いだした…‥
まあ最も私から言わせれば、そんな奴らの意見に同意した
お爺様たちやほかの種族たちも、同罪なのですけれどもね!」
そういって、錫杖の柄尻をリョクに突き立てんとしていく
「リョク!」
ダイは叫ぶ、しかしそれよりも早く
リョクの左胸に向かって、錫杖がつきだされんとしていく
だが、そこに…
「おお!?」
リョクの前に、緑色の光で生成された盾が生成され
それによって、アルテナの錫杖による一撃が阻まれる
「‥え?」
そこに駆けつけたのは
「みんな、大丈夫!?」
「よかった、間に合った!」
香織と風香、纏の三人であった
「香織お姉ちゃん!」
「フー姉ちゃん!」
「(纏さんも、よかった
皆さん無事だったんですね!)」
無事に合流できたことに、安どの様子を浮かべていく
「‥‥貴方達…‥」
「纏ちゃん!
みんなの事、お願い!!」
「わかりました!」
風香に言われて、纏は子供達のもとに向かっていく
「香織ちゃん、雫ちゃんと一緒に
子供達のところに連れて行って!」
「わかった!」
香織は、抱えている雫を連れて
急いで子供達の方にへと向かって行く
「アルテナ・ハイピスト!
私が相手だ!!」
そういって、持ち手から光の剣が輝き
それを手に、アルテナに斬りかかっていく
アルテナはそれを、武器である錫杖で立ち向かっていく
「‥‥人間風情が、罪徒に覚醒したこの私に
たてつく愚かさ、一生かけて悔いていきなさい!」
そういって、彼女に向かって
枝をのばして攻撃の方を仕掛けていく
「何が罪徒よ
どんなに強いのか知らないけれど
自分より弱い奴を痛めつけて愉悦に浸ってる卑怯者じゃない!」
「卑怯者?
そんなの、貴方達が弱いのがいけないんでしょうが!」
そういって、アルテナの攻撃が
風香に炸裂して、大きくふっ飛ばされて行く
「はあ!」
その際、持ち手を構えて
それを銃のようにして、光を放っていく
すると、アルテナは錫杖を地面に突きさし
その際に生じた風を使って攻撃をいなしていく
「フン、こんなもので私を
本気で倒すつもりだって言うんなら…‥
とんだこけおどしですね、こんなくだらない
茶番に付き合うくらいなら、さっさと片を付けさせてもらいますよ!」
そういって、地面に突いた錫杖を
両腕で掴みかかっていくように構えていく
「生い茂ろ…‥
ギャント!」
アルテナがそう叫ぶと、錫杖の先についていた
五対十個のうち、三対三つの鉄輪が、そこから離れていき
それが、彼女の背中に翼の様に常備されて行く
しかも彼女の四肢が、樹木に覆われていき、それが
両手足に常備された巨大な爪となり、彼女の服装は
中華風の服で、前が開いてコート状の形になっていき
見た目とは裏腹に、動きやすそうな容姿になる
「っ!?
姿が変わった…」
「私達、罪徒の武器は
この世界にはびこる人間達の邪なる力
ラルヴァエネルギーを蓄積させていくための核…‥
それを、武器の形にして顕現させた物、この姿は言うならば…‥
私達、罪徒の真の力の解放を意味する!
つまり、この私の今の姿こそが私が求めたる力を纏った
真なる姿そのものなのよ、それに変わったのは姿だけじゃありません…‥
感じませんか‥‥目の前にいる私の存在の大きさを…‥」
アルテナは意味深に呟いていく
すると…
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
巨大な木の中を辺りを飛び回る
蛍たちをたどって進んでいく二人の少女
姫奈とアルサジ…
二人が付いたその場所には
一つの巨大な木がそびえていた
「‥‥木の中に、気が生えているなんて…」
姫奈は、目の前に訪れたその木を見て、率直な感想を述べていく
そこに
ーよくぞ来てくれました、試練の挑戦者よ
本当ならばそう言うつもりなのでしょうが
貴方達がここに来たのは、さまざまな要因が重なった結果…‥
貴方達を子のような場所に送ってしまった事を詫びなければなりませんね…‥ー
声が聞こえると、木の幹から段々と
何かが盛り上がっていき、それがだんだんと
形になっていく、それは何と一人の森人族の女性であった
「あなたは‥‥」
ー私は、リューティリス・ハルツィナ…‥
フェアベルゲンを収めし嘗ての女王なりー
目の前の森人族の女性
リューティリス・ハルツィナ
彼女は、そういって二人のもとに姿を現した
「リューティリス・ハルツィナ…
ミレディさんが言っていた、解放者の一人ね」
ーミレディの事、解放者の事を知っているのね…‥
ここに来たという事は、迷宮はある程度は攻略したという事ね?ー
リューティリスは訪ねていくが
「‥‥ごめんなさい、攻略したのは
ライセン大迷宮の一つだけよ、ここには
そもそも、トラブルがあって落ちてしまっただけだし…」
ーわかっているわ、貴方達のみに起こった事
フェアベルゲンを襲ったあの悲劇の事、私は
ウーア・アルトを通じて、知っていたから…‥
ただ、知りたかったの、この世界にはびこるさらなる悪
その悪に挑む宿命を与えられた、貴方達の力がどれほどなのか…‥
そっか…‥‥ライセン大迷宮を攻略したのね…‥」
「ええ、残念ながら一つだけだけれども…」
姫奈は申し訳なさそうにしていく
ーいいえ、さっきも言ったけれども
さっきの質問は、ただの確認のためよ
それに貴方はすでに力の一つを手に入れている
それだけでも、私が希望を持つのに十分よ、だから
あなたに話しておきたいの、どうして
このフェアベルゲンが作られたのか、その上で
あなたに私の神代魔法を託すー
リューティリスの言葉を聞いて、姫奈は真剣な表情を浮かべていく
ー私達、亜人族は物心ついたときから
人間族から疎まれ、魔人族から蔑まれ
二つの種族からそれぞれ奴隷のように扱われてきた
私は、そんな彼らの運命を憂い
亜人族が平穏に暮らしていく事ができる安息の地を築いた
それが発展したのが、フェアベルゲンであった
しかし、ただありふれた場所では、直ぐにでも
人間族や魔人族の襲撃を受けてしまうことになる
そこで、先人が目を付けたのが、この
霧が漂っているこの樹海であった、この樹海に
漂っている霧は、魔力を阻害していく作用があり
それによって、魔力による探知を受けることがない
ここならば亜人族が平穏に暮らせると思い、建国したのが
フェアベルゲンの前身にあたる国だった…‥
やがてこの霧を発生させているのが、この樹海で
そびえている、大樹であった、だからこそ先人は
私達を守る存在として、その木にウーア・アルトと名付けた
だが、ウーア・アルトの霧は一定期間内において
その霧の力が弱くなってしまい、その隙をついて
当時の教会が、襲撃を仕掛けてきた、そんな時に
訪れたのが、ミレディちゃん率いる解放者だったの
私は最初は、彼女達の事は疑っていたけれど
ある時に教会から私たちの事を守るために戦った
私もそんなみんなの思いを感じ、力を貸した
やがて私達はすべての元凶である神に戦いを挑まんとしたけれど
結局、守るべき皆に裏切られてしまい、結果、私たちは戦うことなく
負けた…‥ー
「‥‥やがて、解放者たちはのちの時代において
神に挑まんとするもの達を導き、その力を託すために…
それぞれの地に、試練の場である七大迷宮を設立した
ここ自体は、ミレディさんからも聞いているわ…
でも、貴方は私達に一体何を伝えようとしているの?」
姫奈は本題を訊ねていく
ー私が伝えたいこと、それは
エヒトの真の目的と、それにおいて
何をなそうとしているのか…‥
同時に、私たちはそれによって
自分達がどうしてこの世界に生まれたのか…‥
あなたにそれを伝えて、それをなんとしても止めてほしい
そうしなければ、エヒトの京楽に弄ばれ、無駄に流れていく
血が増えていくかもしれない、勿論、強制はしないけれど、ただ…‥
聞いてほしいの…‥‥どうして私達が生みだされたのか…‥ー
「わかりました…」
「うん!」
姫奈もアルサジも決意を決め
リューティリスはそれを見て話していく
亜人族は何のために生まれたのか
それをもってする神の狙いとは何か…
それを伝えて行った
それを聞いた姫奈もアルサジも、目を見開く
特にアルサジは自分達が生まれた理由を知って
身体を振るわせていった
「そんな‥‥
そんなの嘘です、私は‥‥
私達がそんな‥‥」
ーごめんなさい…‥‥でも、どうしても話しておきたかったの…‥
エヒトがもしも再び、この世界に降り立った時
奴がそれこそ、この世界に何をもたらすか、今の私には
どうすることもできない、それがどれほどにもどかしいか…‥
だからこそ、知ってほしかったの
もうこれ以上、奴にこの世界を好きにさせたくないから…‥ー
リューティリスは、申し訳なさそうに告げていく
「姫奈さん‥‥」
アルサジは、姫奈に問うが
「‥‥残念だけれど、私にはどうにもできないわ…
あなたは、どんな形であれ確かに
この世界で生きている、それはあなた自身が理解している
その上で、貴方自身がどうしたいのかを、決めなさい」
姫奈は言う
その言葉は厳しいが、アルサジを突き放しているわけではない
アルサジ自身の手で答えを出してほしい、その上でこれからどうするのか
姫奈は、それを問いかけているのだ
「‥‥姫奈さん、私は生きていてもいいんでしょうか?」
「‥‥そんなのは、聞くまでもないでしょ…
誰かの生き死にを決める権利なんて、誰にもない
それこそ、あんた達を生み出した神様であってもね」
姫奈は言う
「‥‥生きたい、私は生きたいです
ここで出会ったみんなと一緒に
力を合わせて、生きていきたいです!」
アルサジは、涙を浮かべていきながら応える
アルサジは自分達の出生を知ってショックを受けたものの
それでも自分は母から生まれ、父や兄弟たちとともに過ごしていった
家族と過ごしていった、この時間は間違いなく
自分が生きて行った証であると、アルサジは感じたから
「ええ‥‥あなたの思い…
しっかりと聞き届けたわよ」
姫奈は笑みを浮かべていく
すると
ーそこのお嬢さん、貴方の名前は?ー
「え?
南野 姫奈よ」
姫奈は答えていく
ー姫奈さん、貴方がアルサジさんの事を
大切に思い、そのつながりを大切にしている…‥
それがしっかりと感じ取れて行ったわー
「‥‥そんなことないわよ、ただ…
私はもう、目の前で何にもできずに
守れるものを守れなかったって後悔したくないだけ…
ただ、それだけよ…」
姫奈は消極的に答えていく
ーそっか、でもその思いが
あなたの力になっているのね…‥
合格よ、貴方には力を受け継ぐ資格がある
私の目の前にある、サークルの前に立って…‥ー
リューティリスは、姫奈に
自身の前に立つように促していく
すると、姫奈の足元に広がっている溝に
光の魔力が水を注いでいくようにして流れていき
それが、姫奈の足元を明るく照らす
姫奈は不意に、自身の頭に何かが刻み込まれて行く感覚を覚える
「‥‥昇華魔法…
あらゆる力を、一段階
昇華していく魔法、これがこの迷宮の…」
ーさて、これで神代魔法の譲渡は終わったわ…‥
最期に、私の役目を果たすことが出来て良かった…‥ー
「‥‥最期?」
リューティリスの言い放った、最期と言う言葉に反応するアルサジ
ー…‥‥フェアベルゲンが災害に見舞われ
ウーア・アルトが崩壊してしまった事によって
このウーア・アルトに眠らせていた、私の意識は
段々と薄れていっていたの、貴方達がここにたどり着いて
貴方達が私の力を持つにふさわしいんだっていう事をしれて…‥
私はもう、思い残す事はないわ…‥
私がここで死んだとしても、それを気にやまないで
私の意志は、しっかりと貴方達に託したわ、後はお願いね…‥ー
「‥‥まったく、勝手なんだから…
分かったわ、この世界の事はもちろん
私は私が守りたいものをしっかりと守っていくわ」
姫奈がそう答えていく
ーアルサジさん…‥
ごめんなさい、貴方を傷つけてしまって…‥ー
「リューティリス様‥‥」
リューティリスは、アルサジに謝罪する
ーフェアベルゲンがなくなってしまい
亜人族の安住の地は完全に途絶えてしまった…‥
でも忘れないで、私はここで消えるけれども
私は貴方の、いいえ貴方達みんなの幸せを心から願ってる
身体に気を付けてね…‥ー
「‥‥ありがとう‥‥」
アルサジは、涙を浮かべて言う
「リューティリスさん…‥
私をもう一度、迷宮に送って!
そこには、私の守りたいものが
残っているの、だから戻らないといけないの…
お願い!」
姫奈は最後に願う
「私もお願いします!
私も、皆の事を守ってあげたいんです!!
私も‥‥みんなのところに」
アルサジも祈願する
ーわかった…‥
それじゃあ、最後に一つだけ…‥
外に出るときは、木漏れ日をたどって行って?ー
リューティリスは、そう呟いていく
「それってどういう‥‥?」
アルサジはそこまで言って
姫奈とともに、転移魔法陣で飛ばされて行った
ー…‥‥みんな…‥
私ももう限界…‥
しっかり後を託せた…‥
できる限りのことは矢った…‥
後悔は…‥‥していないよ…‥ー
そういって、段々と意識が途切れ途切れになっていき
最期は、ボロボロと崩れ落ちていくようにして迎えて行った
ハルツィナ大迷宮の主、リューティリス・ハルツィナ
彼女は二度目の死を迎えるのであった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
大樹の前において、二人の少女が倒れこんでおり
その前では、木を鳴らすような音を響かせながら
一体の異形がゆっくりと歩み寄っていく
「‥‥な、何なのこいつの動き…
感覚がいいとか、勘が鋭いとか
そういった類の者とは全然違う…
この人の対応の仕方は、まるで…」
「‥‥あなたの全部が見えているようだ、と思いましたね?」
植物と浸食の準男爵
アルテナ・ハイピスト
彼女にそう言われると
風香は自分の考えを理解されてしまった
そう言わんばかりに目を見開いて驚愕する
「そう、私たち罪徒は自分の力を介抱することで
その存在そのものを大きくせていく、それによって
大きなものが小さいものを見て、どこからどのように
仕掛けていくのかを、見て、聞いて、感じていく事ができる
この存在力の大きさこそが、私達罪徒の真骨頂とも呼べるものなのですよ」
そういって、風香の方に向って歩み寄っていく
地面にうつ伏している彼女の腰の部分を思いっきり踏みつけていく
「がああああ!!!」
木々によって生成された爪で覆われている、その足
それで踏みつけたときの感覚は体を貫かれて行くようなもの
その激痛に耐えかねていき、風香は声を上げて行く
「風‥‥香…ちゃん‥‥…」
香織は、手を突き出して
風香に治癒を掛けんとしていく
しかし
その腕を、枝による一撃を受けて
地面に張り付けられてしまった
「ああああ…!」
香織は余りの激痛に大きな声を上げて行く
「香織…」
雫は、そんな様子をみて
体をふるわせていく、目の前で友人たちが
危ない目に遭っている、助けないといけない
でも、自分が行ってもどうにもならないのではないか
そんな彼女の中にある弱気な気持ちが、彼女の身体を振るわせていく
すると、そんな雫を優しく抱きしめてやるものが
「‥お姉ちゃんも怖いんだよね‥
分かるよ、だってそれはここにいる
みんなおんなじ、私だってそうだよ‥
怖いならここで見ていればいい、でも‥
お姉ちゃんはそれが嫌なんだよね」
「‥‥オウちゃん…」
オウは雫に優しく語り掛けていくと
「アルテナ・ハイピスト!」
オウは、アルテナに向かって声を上げて行く
「私は、貴方なんかこわくない!
確かに貴方は、とっても強い
でも、私達のお父さんたちは
そんな貴方達にも臆することなく
私を守ってくれたんだ、私は
そんなみんなの事を、立派だって思ってる!!
そんなみんなの事を嘲ていく貴方なんかに
私は、私は絶対に負けない、負けてたまるもんか」
オウは叫ぶ
「(皆さん‥‥)」
「そうだ、お前のような箱入り娘が
ちょっと力をもらったからって調子に乗んな!」
「ああ、お前なんかよりも俺の親父たちの方がよっぽど強いぜ!」
「罪徒とかなんとかって言われたって、怖くなんてない」
「うん、私たちは絶対に負けたりなんてするもんか!」
それに続いて、子供達が声を上げて行く
「‥‥矮小な奴らが何を吠えているのか?
せっかくの慈悲で見逃してあげようと
思っていたのに、そんなにも死にたいというのなら…‥
お望みどおりにして差し上げましょう!」
そういって、爪を構えて
子供達の方に向かって駆けだしていくアルテナ
その爪が、オウの身体に触れんとしたその時
「ぬ!?」
「‥‥よく言ったわよ、みんな
貴方達の強さ、私しっかりと聞いたわよ!」
「姫奈…」
その一撃を止めたのは
姫奈、彼女の剣であった
「アルサジ、皆を安全なところに!」
「わかった!」
アルサジが子供達とラナ、雫を連れて
急いで姫奈とアルテナの元から離れていく
「フン、怖気ついて逃げ出したものかと思いましたよ
ですが、貴方が来たところでどうにもなりませんよ!」
そういって、爪を広げるように構えていき
姫奈に向かって素早く斬りかかっていった
「最初に言っておくけれど…
今の私は、あんたが思っている以上に強いわよ!」
そういって右手に剣を、左手に雷を纏わせ
それを使って、アルテナの攻撃に対処していく
姫奈は次々と振るわれて行くアルテナの一撃を
どうにかして、いなしつつ攻撃を加えんとしていく
だが
「はああああ!!!」
姫奈が、左手を突き出して剣の切っ先のように
その電撃を一点に集中させてはなっていったのだが
「フン!」
アルテナの両手の爪は樹木によって
生成されている非電導体、ゆえに電撃を無効化する
「それだったら、これで!」
姫奈は、炎を纏った剣で
アルテナに斬りかかっていく
しかし
「こんなものですか?
大口をたたいていた割には
拍子抜けとしか、言いようがありませんね」
アルテナはそれを、自身の天然の鎧
細胞壁によって覆われて自身の身一つで止めて見せた
「っ!」
姫奈は表情を強張らせていく
「それでは、今度はこちらから
行かせてもらいましょう、か!」
アルテナの背中の、円形を模した翼から
いくつもの木の枝や根っこをのばしていく
それを、まるで雨のようにして
辺りの方に向かって突き出していく
「姫奈!」
風香は、思わず声を上げて行く
姫奈は、その攻撃にたいして
重力の力、磁気を纏わせた剣を振るい
その全てを薙ぎ払わんとしていくのであった
しかし、攻撃の手数が多く、それによって
姫奈に攻撃の応酬が一気に突き立てられていった
「姫奈お姉ちゃん!」
「姫奈…」
それを見て、子供達は悲痛な声を上げていった
しかし攻撃はすべて、姫奈の身体全てに突き立てられていく
誰がどう見ても助からない、その攻撃に
全員が絶句した様子を見せて行った、その一方で
「所詮はここまで…‥
私たちの前に立ち塞がるから
こうなってしまうのですよ、まったく…‥」
アルテナは、冷淡にそう云い放っていく
「姫奈…っ!
私‥‥私は…」
雫は、その場に打ちのめされるが
その際に自分の手元にあった剣を手に取る
それは、姫奈が自身に与えてくれた剣であった
雫は、それを手に取っていき
姫奈が自身に剣を授けたときの
姫奈の思い、それをしっかりと感じ取っていく
「‥‥そうだ、姫奈は私に前を向くように言ってくれたんだ…
それなのに、こんなところで倒れてなんて‥‥いられない!」
雫は、そういって剣を構えて
そのまま、アルテナに向かって行く
「お、おい!?」
「無茶だ、勝てるわけねえだろ!」
ダイとリョクが雫を制止するが
「ぎゃああああ!!!!」
ゴブリン姿のラナやオウ
アルサジやラン達も、それぞれ
木の棒をもって、アルテナに向かって行く
「うああ!!
こうなったら、やけくそだ!」
「くらえ、このくそ野郎!」
雫の一撃がアルテナに振るわれるが
アルテナは、それに対して爪を振るい
彼女を思いっきりふっ飛ばしていき、更には
それによってラナや子供達もまたふっ飛ばされて行き
そのまま、地面に叩きつけられていく
「全く、子供だと思って加減をしていましたが
どうやら、もう勘弁してあげる必要はなさそうですね」
アルテナがそういうと、背中の翼から
再びいくつもの枝を伸ばしていった
だが、それでも
「負けない‥‥!
私たちのお父さんやお母さんたちの思い
それを、私達が踏みにじったリなんてさせないよ!!」
アルサジは立ちあがっていくが
そんな彼女に、アルテナは爪を向けていく
だが、そこに
「おっと!」
アルテナに向かって、何かが振るわれ
彼女はそれを爪を使って払っていった
その攻撃をふるったのは
「‥‥どこに目を向けているのよ…
私はまだ、倒れてなんていないわよ!」
ボロボロながらも、剣を構えて立ちあがっていく姫奈の姿であった
「姫奈…」
雫は、そんな姫奈に申し訳なさそうにしていく
「‥‥雫、あんたの頑張りは認めるけれど
だからって、無茶をしたりしたらダメよ…
あんたは体を休めてなさい、ここは私はやる!」
そういって、姫奈は再び
武器である剣を構えて、アルテナに挑む
「私に傷をつけられなかったくせに…‥
かっこつけるんじゃない!」
アルテナはそう言って、武器である爪を振るい
そのまま姫奈の首を跳ね飛ばさんと振るって行った
「‥‥言ったでしょ…
今までの私とは、違うんだって」
「っ!?」
姫奈がそう呟くと、彼女の突き出した右手に
剣を構えて、そのまま剣を振るっていくと何と
アルテナの爪を右手ごと切り裂いていき
「え!?」
「はああああ!!!」
そこから、姫奈はアルテナの身体に
剣を突き立ててそこから、彼女の肉体を
裂いていき、それによって辺りに赤と緑が
入り混じった鮮血があたりに飛び散っていき
アルテナはそのまま、一刀の一振りで見事に伏せられた
「‥‥これが、昇華魔法の力…
一段階あげるって言っていたけれど
これはそれだけのレベルじゃないわ…
もしかして、昇華魔法も…」
姫奈はそう言って、自身の力を感じながら呟いていく
そこに
「姫奈お姉ちゃん!」
皆が、姫奈のもとに駈け寄っていく
「すごい、姫奈お姉ちゃん!」
「ええ、何とかこれで…」
「まあ、少しはやるみたいだな」
「ちょっとは見なおしてやるよ」
ダイとリョクは相変わらずの憎まれ口であるが
その表情には嬉しさと安心感がにじみ出ていた
「‥ね、ねえ‥
なんだか、おかしくない?」
しかし、オウが不意に異変を感じ取っていく
自分たちの周りにある森の木々が、何やらおかしいのだ
「っ!
あ、あれ!!」
すると、倒れたアルテナから
何やら目のようなものが生えていき
そこから、聞こえてきたのは
「腐乱の森よ、生い茂れ
遍く命を侵略せしめるがいい…‥
ゴレリニャ!」
そういって、木々の中からあらわれたのは
両腕が二手に分かれた四本に背中に一本の合計
五つの腕が伸び、その頭部は獅子を思わせる仮面
それを思わせる外皮に覆われ、そこから三本の角と
二つの牙、それがまるで海星のように星形に生えている
それ以外は、上記の特徴と身体が大きくなったこと以外は
先ほどのアルテナの服装と一緒で、外皮から覗く瞳が睨みつけていく
「よもや、人間達に
この姿を見せることになるなんてね…‥
本当に屈辱的です、そして同時に
貴方達の命運もまた、ここまでです!」
アルテナの声が響いていく
「あれって、一体…」
姫奈は目を見開いていく
「先ほど、申し上げたはずです…‥
私達、罪徒は真の力を解放する時
その存在は大きなものに成り代わっていくと…‥
そして、私のこの姿は言うならば
私の思い描く世界の悪意のイメージそのもの…‥
この姿を見せることはすなわち
世界そのものに干渉することを意味するのです…‥
さあ、その命を差し出しなさい!」
もはやアルテナの面影を完全に無くした
現在のアルテナは、四本の腕を大きく掲げていく
その手についているのは、先の姿の背中にも付いていた
円型の巨大な翼、それが爪の付いた腕とどうかした形になっている
背中の完全な円型の翼を合わせると、五対十枚の翼があるようだ
その翼を広げていくと同時に世界が大きく変質していく
「まずい…
香織!」
「うん!」
姫奈の指示を聞いて、香織はすかさず
子供達の方に自身の障壁を飛ばしていく
「おや?
どうやらまだ動けたようですね…‥
しかし、その程度の抵抗では
世界と同等の存在となった今の私に
どうにかしていく事など、出来ないわ!」
そういって、アルテナが腕を広げていくと
周りにあった森の木々が一斉にそれぞれに攻撃を仕掛けていく
香織はすかさずみんなのもとに行き
本の中から取り出した剣を使って、つきだされていく
その木々から雫とラナ、子供達を守っていく
「姫奈!」
「風香、あんたもう怪我のほうは?」
風香が姫奈に合流していく
姫奈は風香の怪我がもう治っていることに驚く
「私のこの武器は、どうやら
自分に当てていく事で回復させていく事ができるみたい
ただ、香織ちゃんの治癒に比べると、劣るけれどもね」
「そっか…
でも助かるわ、正直に言うと
あれを私達一人で相手にするのは…
きつすぎるのよね」
そういって、アルテナの方に目を向けていく
「二人になったところで、どうと言うことはありませんね…‥
貴方達が何人集まったところで、世界に比べれば
貴方達など、矮小な存在でしかないのですからね!」
そういって、四本の腕を振るい
そこから風による斬撃を放っていく
二人は、それを交わして二手に分かれていく
「はあ!」
風香は、アルテナに向かって
銃弾のように光を放っていくが
それを急に生えてきた木々が防いでいく
しかも、その木はさらに風香に向かって枝を伸ばす
姫奈はその際に、剣を振るって
アルテナの反対側から切りかかっていく
だが、それを四つの中のうちの一本が止め
そこにもう一本の腕が伸びて爪による突きを繰り出す
「きゃ!」
「ああ!」
姫奈も風香も、同時に攻撃を受け吹っ飛ばされてしまう
「正直に言うと、驚いていますよ…‥
人間のくせに、私のこの力を
引き出させていくとはね、しかし
この力は私たちの偉大なる創生主が
賜った力、その真髄、ゆえにこの姿になって
敗北をするなど、あってはならないのです!」
アルテナはそう言って、さらに辺りに激しい攻撃を放っていく
「「「「「「「「きゃああああああああ!!!!!!!!」」」」」」」」
その余波によって香織とラナ、子供達はふっ飛ばされて行く
「う、ううう…」
強大な力の前に、心を折られて行くユーカ
そんな彼の元に、光が舞い降りていく
「これって…蛍…?」
すると、ユーカの周りに蛍が集まると
彼の事を導いていくようにして離れていく
「(あ、ユーカ君!?)」
ユーカが離れていくのを見たラナは
急いで彼の後を追っていく、やがて二人が見つけたのは
「これって…」
光にあふれた水のような液体
「(綺麗‥‥)」
ラナは不意に、その水に触れると
その身体が光に包みこまれて行く
すると、ラナの姿は何と
「え?
ええ!?
も、元に戻った!?」
元の兎人族の姿に戻る
「あ…」
すると、ユーカはラナに告げる
「蛍たちが言ってる…
ラナさんに、皆に
力を貸してあげるって
一緒に、闘いたいって言ってる」
ユーカは、そう伝えると
「‥うん、一緒に戦いましょ!
私たちとみんなで力を、合わせて!!」
ラナのその言葉を受けて、ユーカも決意を秘めて頷く
そのころ
「ぐう…
昇華魔法で強化しても、歯が立たないなんて…」
「これが‥‥罪徒の真の力、その真髄!」
姫奈たちは苦戦を強いられていた
「言ったはずです、貴方達のような
矮小な力では、私たちには勝てないのだと!」
アルテナは、そういって
両腕を広げて、空間を変異させていく
そこに
「姫奈さん、風香さん、みんな!」
ラナとユーカが、駆けつけていく
「ラナさん!」
「って、ええ!?
いつの間に、元の姿に!?」
「この光の、このウーア・アルトに眠る
多くの亜人族たちの想いのおかげです
皆さん、バラバラに戦っても
あの化け物を倒す事は出来ません‥‥
私達、そしてこの蛍たちの力を合わせましょう!
ここに居る、全員の絆の力を!!」
ラナは言う、それを聞いて思い出した
このハルツィナ大迷宮で求められいるものは
人と人、人ならずる者が手を取り合っていく事
絆なのだと
「絆…
そうだ、私たちは
一人で戦って来たんじゃないんだ…
全員で力を合わせて、ここまで来たんだ!」
「ええ、一人では怖気づいてしまう時でも
仲間が手を引いて、自分を導いてくれる」
「一つの力が弱いなら、皆の力を合わせればいい
それなら、どんなに強大な相手にだってたち迎える!」
「それが私達の‥絆の力だ!!!!」
すると、五人の少女達と
ラナに六人の子供達を光が包んでいく
すると、ラナの右手にも聖痕が浮かび上がっていく
「これは‥‥!?」
それを見て、ラナはすぐさま意を決して
他の一行のもとにへと向かって叫ぶように言う
「皆さん!
行きましょう!!
私たち四人、そしてここにいるみんなの力で!!」
「ええ!」
姫奈は剣を掲げ、香織は円陣を姫奈に纏わせ
風香は、持ち手を銃のように構えていき、その手に
「風香さん、私達も力を貸します!」
「うん、ありがとうラナさん…
蛍さん達も!」
風香とラナ、姫奈と香織に
四人に蛍たちの光が包み込んでいく
残る二人の少女と六人の子供達は祈る
この闘いとの勝利と、それを通じて蛍が
四人の聖徒たちに、力をが与えられていく
「な、何と…‥!?
奴らの力が、上がっている
それにあの光は、まさか…‥」
アルテナはそれを見て、自身の五つの腕から
木々をのばして、それを使って一行を仕留めんとする
「そんなもので、この私を倒せるものかああああ!!!!!」
アルテナも必死に抗う
「いっけええええ!!!」
「はああああ!!!」
風香の砲撃が放たれていき
それが、アルテナの攻撃をすべて払い
さらにそこに、姫奈の必殺の一撃が放たれる
「うああああ!!!!!」
アルテナが攻撃に呑まれて行く
「ああああ!!!!!
こ、この私が‥‥こんな塵共に…‥
だが、私は死なない…‥
死ぬものかああああ!!!!!」
アルテナはそう叫ぶと同時に
そのまま、剣から放たれた攻撃に呑まれ
やがて辺りを包み込むような
大爆発が、辺りに風と光と煙をまき散らす
それからしばらくして、風と光と煙が収まり
一同は恐る恐る腕をどかして、目をゆっくりあけていく
「す、すごい…」
「こんなにもすごい威力が…」
纏と雫は、不意に呟いていき
「あれ?
そういえば、姫奈お姉ちゃんたちは?」
アルサジが不意に呟いていき
一同ははっとして、辺りの方を見まわしていく
「まさか、さっきの爆発に巻き込まれて‥」
「っ!
おい、見ろよ!!」
ダイが最悪の予想を口にするが
その後すぐに、リョクがそういって指を指す
一同も、そっちに目を向けていくと
そこから現れたのは、四つの人影であった
やがて姿を現したその正体は…
「みんな‥大丈夫?」
「なんとか無事に戻ってきたわよ」
姫奈と香織、風香とラナ
それぞれがそれぞれの肩を貸しながら
一同のもとに戻ってきたのであった
「姫奈お姉ちゃん!」
「「香織姉ちゃん!!」」
「フーお姉ちゃん!」
「ラナお姉ちゃん!」
子供たちそれぞれが、名前を呼んだ
少女のもとに駈け寄って無事を確かめにいく
「よかった…
無事に戻って来たんですね…」
「姫奈‥‥香織…
良かった‥‥これで全部…
終わったのね‥‥っ!」
雫が、痛そうに体を抑えていく
ユーカがそれに気づいて、駆け寄っていく
「お姉ちゃん、どうしたの?
どこか痛むの?」
「大丈夫よ、この位は…
先ずはどうにかして、ここを出ないと…」
雫はそう言って、この場から
でる方法を模索していく、すると
「大丈夫だよ…
母さんたちが、僕たちに
ここから出る道を教えてくれたから…
ありがとう…さようなら…」
ユーカはそう言うと、最後に力を託した蛍
フェアベルゲンに宿る亜人族たちの想いによって
今回の勝利を得ることが出来たと感じ
最後に感謝と別れの言葉を口にしていくのであった
… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥
‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥
多くのモチーフに使われる七つの大罪、皆さんが一番強いと思うのは?
-
原罪(スルー推奨)
-
傲慢
-
虚飾
-
嫉妬
-
憤怒
-
怠惰
-
憂鬱
-
暴食
-
色欲