世界に愛された元徳者と世界を憎みし原罪者 ー世界を憎みし少年とその少年より生まれし九つの罪の王と罪徒となった少女達・世界に愛された少女達と聖徒に選ばれし少女達ー   作:lOOSPH

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Quaerere incipit、Find the person you are looking for、neuer Feind

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

昨日のいざこざから、しばらくして

傷のせいで思う様に動くことが出来ない雫と

そんな雫に付き添うことになった香織の二人

 

それ以外の四人は、イルワ支部長より受けた依頼

ウィル・クデタの捜索に乗り出していく事になる

 

「よっし、姫奈!

 

 準備はできたよ!!」

 

「それでは、早速向かいましょう!」

 

「待って…

 

 まだ、忘れ者があるよ?」

 

「え?

 

 忘れ者って?」

 

準備を整えて、いざ出発と行こうとするが

姫奈がそれに待ったをかけていく、ラナを筆頭に

他の二人も首をかしげて、どういうことなのかと疑問符を浮かべていった

 

その時であった

 

「待ってください!」

 

不意に、後ろの方から声がかかっていく

 

そこにいたのは…

 

「「愛ちゃん先生!?」」

 

「どうしてここに!?」

 

愛子を筆頭に、優花達女子三人と

男子たちも、息を切らして一行のもとに現れる

 

「話は聞きました、皆さんは個々に

 人探しをするためにきたんですよね

 

 それでしたら、私達も手伝います

 何かを探すのには、人数は大いに

 越したことはありませんからね」

 

「それに私達にとっても、清水を探すには

 姫奈達と行動を共にした方が都合がいいのよ」

 

「だからお願い、ひめっち‥

 

 私達も手伝わせて」

 

そう言って、頼み込んでいく

 

「南野、それにみんなも昨日は悪かった…

 

 南雲のことで、お前らに会う事が合ったら

 どうやって誤ればいいのかずっと考えてて…

 

 でも、いざって目の前にした時に

 それこそなんて言えばいいのかが分からなくなって…

 

 だから、ほんとにごめん!」

 

男子たち、玉井が前に出て必死に頭を下げていく

 

「‥‥悪いけれど、許すつもりはないわよ

 

 あんた達が向こうの世界で、してきた事

 忘れたとか、許してもらえるって思ってる?」

 

「‥‥思ってない、ただわかってほしいんだ…

 

 俺たちだって、あのオルクス大迷宮の時に

 南雲や東雲に助けてもらえなかったら、どうなってたか…

 

 それなのに俺達は、そんな南雲が教会によって

 処刑されて行くのを黙って見ているだけしかできなかった…

 

 俺たちに勇気がなかったせいで、俺たちは俺たちの命の恩人を…」

 

相川も同じようにしていく

 

「‥‥南野さん、彼等の想いは本当です

 受け入れることは出来ずとも、せめて

 ご同行を赦してもらえないでしょうか…」

 

愛子は言う

 

「‥‥いいえ、それは出来ません

 そもそも私達は私達の仕事があるんです

 

 それに余計なことに咲いていく余裕はありません」

 

「南野さん…」

 

姫奈の言葉に、愛子は少し悲し気な表情を浮かべていく

 

すると

 

「でも、先生たちにも先生たちの都合がある

 それだったら、逆に私達がどうこう言う資格はありませんよ…

 

 ですから、先生がいいというのならそれでいいですよ」

 

姫奈は、そう言って背中を向けていく

 

「ありがとうございます!」

 

愛子も、玉井たちも笑みを浮かべていく

 

「‥…ね、ねえ大丈夫なの?

 

 優花達はともかく、玉井君達は…」

 

「‥‥先生が決めた事、私達がどうこう言う事じゃないわ

 

 それに何よりも、今は時間の方が惜しい

 玉井君達が本当に信頼できるに値するのかを…

 

 ここで決めてからでも遅くはないだろうしね…

 

 まあ、神殿騎士の方を連れて来られる方が嫌だしね…」

 

「それは、確かに…」

 

姫奈は、そう言ってそれぞれの荷物を抱えていく

 

「ほら、みんな…

 

 行くんだったら早くしなさいよ

 こっちはあんまり時間を掛けたくないんだからね」

 

「はい!」

 

姫奈が呼びかけると、愛子が代表して了承していくのであった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

こうして、姫奈達のチームと

愛子と愛ちゃん護衛隊の面々は

 

少し時間をおいて、出発していく

 

馬に乗って移動していくのだが

目的地に着くまでは数日はかかるので

 

所々で、休憩をはさんでいた

 

ある時の事

 

姫奈達は、ある場所で一旦は休みを取り

夜明けが明けるまで、魔物や何かが来ないか

所謂、夜営をして辺りの方の様子を見ていた

 

そんな時であった

 

「南野さん」

 

見張りについている、姫奈のもとに

となりのテントで夜営を張っていた愛子が

 

不意に、姫奈達の元を訪ねて来た

 

「‥‥今日はありがとうございました…

 

 私達の同行を赦していただいて…」

 

「‥‥何を言ってるの

 

 貴方達が勝手についてきただけ

 私は許した覚えなんて無いわよ

 

 勘違いをしないでくれる」

 

姫奈は、そう言い切っていく

 

「そうでしたね」

 

愛子は笑顔をうかべて、姫奈にそう返していく

 

「姫奈さん…

 

 よろしかったら、隣

 座らせて、貰っていいですか?」

 

愛子は不意に、そう尋ねると

姫奈は、真ん中から横の方によけ

愛子が座れるように、場所を開けていく

 

愛子は、その隣に座って

姫奈の方に顔を向けて行った

 

「‥‥南野さん…

 

 王国にいたときは、何にも出来ずに

 すみませんでした、結局私は何にも出来ずに…」

 

「‥‥先生は何にも悪くないよ…

 

 元の世界でも、このトータスでも

 先生は、最後の最後まで私達の…

 

 何より、南雲君のために奔走してくれた事

 私達も分かっています、ここに召喚された時もそうです

 

 先生は戦う事が、戦争というのがいったいどのようなものか

 当然ながら、一番に分かっていました、だからこそあの時に

 

 先生は反対していた…」

 

姫奈は言う

 

「そうですね…

 

 もしも、あの時に止められていたら

 南雲君や東雲さんのように理不尽にその命を

 奪われてしまう事になってしまう事はなかったのでしょうか?」

 

「‥‥わかりません、ただ

 あの時の私達には、闘う事以外に道はなかった…

 

 少なくとも、選択肢は他になかったでしょう

 

 そもそも、こんなところに召喚されるなんて

 そんなこと自体、誰が予想できるのかって話ですよ…」

 

愛子の言葉に、姫奈は答えていく

 

「‥‥南野さん、私はやはり

 教師として、今いる生徒の皆さんを

 

 無事に元の世界に送り届けたい、だからこそ

 清水君を見つけたいんです、南雲君や東雲さんのような…

 

 あんなにも理不尽な目に遭わされる前に…」

 

「‥‥先生、らしいね…

 

 でも、私は正直に言うと、あんな人たちが

 この先でどうなろうと、はっきり言ってどうでもいい

 

 私達はただ、元の世界に戻る手立てを見つけるだけ…

 

 その為にも七大迷宮、その残る五つの迷宮を攻略し

 神代魔法を手に入れていく、今の私はそれが全てよ…」

 

姫奈は言う

 

「‥‥南野さん…」

 

愛子はそれを聞くと、姫奈にそっと寄りかかっていく

 

「先生?」

 

「‥‥それが南野さんが決めたことなら

 私の方からは何も言いません、ですけど…

 

 南野さんも西宮さんも北浦さんも

 もちろん、八重樫さんと白崎さんも…

 

 私にとって、大事な生徒なんです…

 

 私は一緒には行けなくても、皆さんがいつでも

 戻ってこれる居場所を守ることは出来ます、だから…

 

 いつでも戻ってきてくださいね」

 

愛子は、そう告げていく

 

「‥‥先生?」

 

愛子が急に黙り込んだので、どうしたのかと

彼女の顔を覗き込んでいく、するとどうやら

 

寝落ちしてしまったようだ…

 

姫奈は、しょうがないなと言わんばかりに

愛子をそのまま、寝かせてあげる事にした

 

そこに…

 

「姫奈、そろそろ交代の時間だよー?

 

 ってあれ、先生?」

 

見張りの交代の為に、姫奈の元を訪れた風香は

姫奈に寄りかかって眠っている愛子の姿を見る

 

「‥‥風香、悪いけれどしばらくは

 このままにしてあげてくれるかしら?

 

 今日までいろいろあって、突かれたって思うから…」

 

「‥…わかった…

 

 それじゃあ、私は起こさないように

 見張りの方をちゃんとやっておくから…」

 

風香も、静かにその様子を了承する

 

その後、愛子が目を覚まして

赤面してパニックを起こし、それを聞いた

愛ちゃん親衛隊の面々と共にひと悶着会った

 

それはまた、別の話…

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

走っては、夜営を繰り消して数カ月

 

一宏はついに、目的地に到着した

 

北の山脈地帯…

 

標高千メートルから八千メートルの山々が連なるそこは

どう言う訳か生えている植物、環境までバラバラという場所

 

秋の紅葉を思わせる景色もあれば

夏の緑に覆われた景色も見える、ほかにも

冬のように寒かったり、春のように暖かったり

 

中には、植物も生えないほどの不毛地帯まであるという

 

ちなみに山を越えたとしても、また次に山があり

俗に言う、第一、第二とそんな風に続いており、現在

人間族が達しているのは、第四山脈までで、そこ以降は未知の領域

 

この山脈、当然ながら魔物も生息しており

それは山を越えていくたびに協力になっていく

 

何より、山を登れば上るほど

体力も物資も消耗していくので

 

それ故に、今までに第四山脈の向こう

第五山脈に挑む者はおれど、そこに辿り着いた者はいない

 

いたとしても、それを伝えることが出来ずに倒れるからだ

 

そんなところに、馬を走らせて辿り着いた一行

 

「綺麗…」

 

「ホントだね…

 

 こんなにもいろんな気候や景色が

 移り変わりながら、見られるなんて…

 

 どう言う理屈なんだろ」

 

優花と妙子が、そんな景色に目移りさせていく

 

「本当に不思議だよね…

 

 いったいどうなってるんだろ」

 

「多分だけれども、これって

 七大迷宮が関係しているんじゃない?」

 

風香も、そんな景色に見とれていると

姫奈が自身の推測を口にしていった

 

「どうしてそう思うんですか?」

 

「この山脈の中で、一番に大きな山…

 

 神山、よ」

 

「神山って確か、エヒトがこの世界に

 降臨し、人々の前に姿を現したって言う、あの?」

 

ラナが、そう聞き返していく

 

「ええ、ミレディさんから聞いたはずよ

 神山には、生物の魂魄や精神に作用できる神代魔法

 

 魂魄魔法を、手に入れるための迷宮がある」

 

「なるほど…

 

 オルクス大迷宮も、ハルツィナ大迷宮も

 攻略を進めていくたびに過酷になりました

 

 その迷宮の力が、神山からあふれていると?」

 

纏は訪ねていく

 

「それについては、あくまでそうかもって話ね…

 

 さあて、それじゃあここで降りるわよ!」

 

姫奈が一向に呼び掛けていく

 

こうして無事に、目的地に到着したのであった

 

「ねえ、姫奈?

 

 姫奈たちはここに人を探しに来たんだよね?

 

 どうやって探し出すの?」

 

優花が不意に訪ねていく

 

「まずは、めぼしい所を見つけていく…

 

 その為にも、この辺りを探っていかないとね」

 

「探るって、どうやって?

 

 この中に探知能力を持っている人なんて…」

 

妙子が恐る恐る、訪ねていく

 

「それについては、大丈夫よ

 

 風香、早速だけれどお願いできる?」

 

「任せて」

 

風香は、そう言って

意識を集中するようにして

 

そっと目の方を閉じていく

 

すると…

 

「あれ?

 

 今なんか、風が吹いたような…」

 

「そう?」

 

一部の者が、空気の動きを感知する

 

「これは一体?」

 

「これは、重力魔法の応用だよ

 厳密には星力魔法って言った方がいいかな…

 

 早い話が星の力に干渉して、この世界を

 覆っている空気から、辺りの様子を感知しているの」

 

愛子の質問に、そう答えていく姫奈

 

暫くすると…

 

「うん!?」

 

風香は、不意に何かを感じ取った

 

「どうかしました?」

 

「‥‥ここからまっすぐに行った山の山頂付近

 なんだか妙に、山の形が歪になってる、これは…

 

 戦いの後かもしれない」

 

風香は、自身の居るところから

まっすぐにある山の山頂付近が歪になっているのを感じた

 

「どうするの?」

 

「勿論行く、もしかしたら

 そこに生存者がいるかもしれない…

 

 とにかく行ってみましょう」

 

そう言って、目標を決めて

そこまで歩いていくことを決めた姫和

 

そして…

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

山頂付近にやって来た一行

 

「なにこれ…」

 

そこに映った光景に絶句する姫奈

 

「なにこれ…

 

 何だかここで、大きな何かが

 暴れたような、そんな痕跡が残ってる…」

 

「魔物の仕業でしょうか?」

 

風香と纏も、そんな光景に驚きを隠せない

 

そこに…

 

「ぜえ…ぜえ…

 

 み、南野、それに西宮に北浦も…

 

 早すぎるって…」

 

愛子と愛ちゃん護衛隊が、息を切らして辿り着いた

 

「え、なんでみんな息を切らして…」

 

「当たり前でしょ、私達のステータスが異常なの」

 

風香は驚くが、そんな彼女に姫奈が指摘する

 

当然である、三人のステータスはこれまでの道中

様々な戦いを乗り超えてきたのだ、それに比例して

ステータスもしっかり成長しているのだ、優花たちも

この世界の人達に比べても、歯牙にもかけないほどに

ステータスは優れてはいるが、三人には及ばないのである

 

「ご、ごめん‥

 

 私達はここで休憩するね‥」

 

奈々がそう言って、その場に座り込んでいった

 

すると…

 

「うん?

 

 きゃあ、なにこれ!?」

 

奈々は不意に座った地面にを見て驚きの声を上げた

 

何故なら、そこに会ったのは…

 

「これって、足跡?」

 

「多分そうだと思う、この感じだと

 二足歩行でそれなりに大きな魔物みたいね…」

 

「ということは、この戦闘もこの足跡の魔物によるもの?」

 

優花はそう推測していく、しかし

 

「‥‥いいえ、足跡の感じから

 大きさは大体、二~三メートルってところだけど?

 

 それが、こんなにも大きな跡を残せる?」

 

姫奈は、そう言って

大きくえぐれた近衛の方をみやる

 

「もしかして、固有魔法持ちの魔物か?」

 

「固有魔法…

 

 魔物のみが持つとされている

 その魔物固有の魔法ね、確かに

 その可能性もあるかもしれないわね…

 

 ここから慎重に、捜索をしていきましょ」

 

姫奈が、そう言って再び

辺りの散策の方を開始していく

 

暫く、進んでいくものの

行きついた場所は大きな滝

 

その滝によって、流れている川があるのみである

 

「ねえねえ、ちょっと水浴びしない?」

 

「なに言ってんの、魔物がいるかもしれないのよ

 

 何よりも、男子だっているんだし!」

 

奈々が不意に、そう懇願すると

優花はそんな彼女に言いつけていく

 

だが

 

「御願い、私この数日

 お風呂にもろくに入れてないの

 

 せめて、足の部分だけでもお願い!」

 

「どうする?」

 

「そうですね、ここにくるまで

 皆さん、疲れているみたいですし…

 

 取りあえずは、ここで休憩をしていきましょうか」

 

奈々の要望に、優花は愛子に訪ねていく

愛子は少しの間だけならと、許可する

 

奈々は、靴と靴舌を脱いで

足を川の水につからせていき

 

それをバシャバシャと鳴らしていく

 

妙子も、水に足を付けているが

こちらはそれだけ、水の冷たい感触を楽しんでいるようであった

 

「な、なあ…

 

 俺達、何とかここまで来ただけなのに

 なんで園部に睨まれてんだ、って言うか…

 

 菅原と宮崎は、何やって…」

 

「いいじゃねえか、俺らも休もうぜ

 触らぬ神には、何とやらってやつだ…」

 

男子たちは、近付いてきただけで

女子たちに睨まれてしまうのであった

 

「みんな、楽しそうだね」

 

「‥‥それにしても、姫奈さんや風香さんはともかく

 聖徒に覚醒していない私も、園部さん達のように体力が

 消耗してる様子がありませんね、これは一体何が起こって…」

 

纏は、自身の体の様子に驚きを覚えていた

 

それに対して…

 

「それはきっと、昇華魔法による影響じゃないかしら?」

 

姫奈が、そう答えて行った

 

「そういえば、私も昇華魔法は習得知っていたんでしたっけ…」

 

「‥‥ええ、だから体力が消耗していくたびに

 その部分が強化されて行ったんじゃないかしら

 

 昇華魔法はどうやら、自動的に発動していくみたいだし…」

 

「それで、纏ちゃんもあそこまで

 動けるようになったんだね、すごいね昇華魔法って」

 

そんな話をしながら、愛子たちの回復の方を待っていきながら

その周辺の捜索を少しだけ行っていく事にする姫奈達三人であった

 

すると…

 

「うん?」

 

風香が不意に、何かに気付く

 

「どうかしたの?」

 

「‥‥どうやら、あの滝

 滝の向こうに洞窟があるみたいね…

 

 風が抜けていく音がしてる」

 

「つまり、この先の洞窟に…」

 

纏の言葉に、風香はこくりと頷く

 

「南野さん!」

 

休憩を終えた、愛子たちが姫奈達に駈け寄っていく

 

「何か見つけたの…?」

 

「‥‥どうやら、この滝つぼ

 奥に抜け穴があるみたいなの…

 

 すぐにでも、調べに行くわ」

 

「調べに行くって…

 

 あの滝をくぐるの?

 

 濡れるのを嫌なのを引いても

 あんなにも勢いよく流れてたら

 

 流石に通り抜けていくのは‥」

 

優花の問いに、姫奈がそう答えていく

すると奈々が、苦言の方を言い出していく

 

確かに那奈が指摘した様に、滝つぼの奥に行くには

滝を抜けないと行けなくなる、滝の勢いを見ていっても

流されていってしまう可能性は想像に難くはないだろう

 

だが

 

「それについては、だいじょーぶ

 

 姫奈、頼める?」

 

「‥‥この状態でやるのは初めてだけど…

 

 やれるだけやってみるわ」

 

そう言って、剣を取り出していくと

それを静かにかまえて、目を閉じて

そのまま意識を集中させていった、そして

 

「はああああ!!!」

 

姫奈が剣を振り上げると、滝の水は

一気に二つに分かれて、道が切り開かれた

 

『『『「ええええ!?」』』』

 

この光景に、愛子たちは驚きのあまりに

辺りに響いてしまうほどの大声を上げていく

 

「やっぱり抜け穴があるみたいね…

 

 でも、奥は思っていたよりも続いてるみたい

 

 風香、洞窟の中を調べられる?」

 

姫奈は、そう言って

風香に洞窟の奥を探知するように指示する

 

風香はそれを了承すると、風香は洞窟の方に行き

中に入ると早速、中の方に探知を駆けて行くのだった

 

「‥‥奥は広いけれども、中自体は複雑じゃないね…

 

 奥の方まで、一直線で迷うことはないと思う」

 

「オーケー

 

 それじゃあ、中には

 私達、三人で入っていくわ

 

 みんなは、外にいてそのまま様子を見ててくれる?」

 

「そんな、大丈夫なんですか!?」

 

愛子が、姫奈の提案に少し心配そうに声をかけて行った

 

「大丈夫よ、何があっても

 私達なら問題ないし、それに

 

 二手に分かれて居れば、最低でも

 全滅野方は避けられるだろうしね…」

 

「優花さん達は、外で何があったら

 声を上げて伝えてくださいね、それでは…

 

そう言って、三人は奥の方にへと進んでいく

 

「みんな…」

 

そんな三人の背中を、複雑そうに見つめていく優花

 

そして…

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

 

洞窟の中に入り込んでいく姫奈達三人

 

「‥…ね、ねえ…

 

 本当に先生たちをあのままにしておいてよかったの?」

 

「よかろうとなかろうと、複雑でもない洞窟の散策に

 人数を割いていくのは、正直に言って無駄が多いだけよ

 

 それに、何かがあった時にまともに対応できるのは

 ここにいる私達だけ、それだったら私達が率先していくだけよ…

 

 それに、先生たちは先生たちの都合もある

 私はあくまで、そっちに合わせてあげるだけよ」

 

「それはまあ、そうですけれど…」

 

姫奈の言い方に、どこか引っかかりを覚えながらも

とにかく、洞窟の奥に歩みを進めていく三人、しばらくして

 

「もうそろそろ、最深部だよ…」

 

洞窟の奥にようやくたどり着く三人

 

「見たところ、何にもなさそうだけれど…」

 

「っ!

 

 見てください、あれ!!」

 

纏がある場所を指さしていく

 

そこにあったのは…

 

「これって…

 

 野営用の道具!?」

 

誰かが使っていた、夜営用道具一式が

そこにあった、しかも一角には焚火の後もある

 

「ここにいた人達は、どうしたんでしょうか?」

 

「焚火の後を見て、煙がまだ上がってる

 多分これは、最近まで使っていたって事ね…」

 

「という事は、ここにいた人達は…

 

 まだ近くにいると?」

 

姫奈は、焚火の燃え跡の様子から

焚火を付けて、時間がたっていないと推測する

 

早速、テントや周囲の様子を見回っていく

 

「すいませーん‥‥誰かいませんかー?」

 

風香が、テントの中を覗き込んで

静香に声をかけていく、そこには

一人用の寝袋などが、そのままにしてあった

 

「誰もいないみたいだよ…」

 

「そうね…

 

 でも、テントや周囲の様子を見て

 何かに襲われたとか、そう言った様子はない…

 

 となってくると、こことは別の場所にいると考えた方がいいかもね」

 

「こことは別って、この洞窟は

 奥行きはそれほどにありますけれど

 

 道自体は複雑どころか一本道です

 他に隠れられるような場所なんてないよ

 

 それなのに、どこに…」

 

纏が不意に考え込んでいった

 

その時であった

 

ガラッ

 

「「「っ!?」」」

 

石が崩れるような、そんな音が響く

 

それからしばらくすると…

 

「うああぁ!!!」

 

誰かが、突然襲ってきた

 

「うわあ!?

 

 な、なに!?」

 

風香は、襲いかかってきた何かに

驚きつつも、その攻撃をどうにかかわしていく

 

「何者!?」

 

纏は武器を手に取って、向かってくる

謎の相手に立ちふさがっていく、さらに

 

「ああぁ!!!」

 

その相手は、再び姫奈達にとびかかっていく

 

しかし

 

「さっきは不意を突かれたから、驚いたけれど

 

 動き自体は洗礼されてるけれど

 攻撃は単調で、おまけに動きも悪い!

 

 それだったら!!」

 

飛び掛かって来た、その相手が

剣を振りかざしてきたのを、姫奈は

その手を抑えていきつつ、どうにか動きを封じる

 

「お見事!」

 

「さあて、神妙にしなさい!」

 

そう言って、駆け寄っていく一同

 

「くそぉ、離せ!

 

 こんなところにまで追ってきやがって

 私は、私はお前たちの事を絶対に許さないぞ!!」

 

相手は、怒りに身を任せて

訴えていくように言い放っていく

 

「うん?

 

 追ってきた?」

 

姫奈は、不意にその人物の呼びかけに疑問符を浮かべていく

 

「何言ってるのか知らないけれど

 

 アタシたちの事を襲おうとしたんだから

 そんな無事で済ませてあげるとは思わないでよね!」

 

「五月蠅い!

 

 殺すなら殺せ、それでも

 それでも私はお前たちの事を…」

 

相手が、そこまで言った

 

その時

 

パァン!

 

「「「っ!?」」」

 

洞窟に響き渡る音に驚いて

その場にいる全員が身じろいた

 

「落ち着いて、私達と彼では

 双方に思い違いがあるみたいね…」

 

「思い違い?」

 

姫奈は、抑えている人物の顔を見る

髪が伸びて、ボロボロになっており

誰なのかが分からない状態になっている

 

「‥‥ねえ貴方、ウィル・クデタって人知ってる?」

 

姫奈は、不意にそう尋ねていくと

 

「ウィル・クデタは私だ!

 

 クデタ伯爵家の三男のウィルだ!!

 

 どうして、僕の名前を知っている!!!」

 

その抑えている人物が、そう答えていく

 

「ウィル・クデタって!?

 

 私達が捜している、目的の人だよね」

 

「この世界には、写真が無いから

 顔は分からないけれども、こんな風なの?」

 

余りの容姿に、目的の人物なのかと驚きを隠せない状態である

 

「話しを聴いて!

 私達はフリューレン支部の支部長のイルワさんから

 

 貴方の事を連れて帰ってきてほしいって、依頼を受けてきたのよ」

 

姫奈が言う

 

「え、イルワさんが!?」

 

その人物は、イルワの名前を聴いて驚いた様子を見せていく

 

それを見て、彼はウィルであると確信する

 

「そうだよ、つまり私達は

 貴女の事を助けにきたんです!

 

 ですから、落ち着いてください!!」

 

風香が、ウィルを何とか宥めて行こうとするが

ウィルはイルワの名前を聴いて、少し落ち着きを取り戻したようである

 

「…すみませんでした、私の事を

 助けに来てくださったというのに

 あのようなことをしてしまって、ありがとう…

 

 このご恩は決して忘れません、本当に感謝します」

 

そう言って、三人にお礼の言葉を継げていくウィル

 

「‥‥それにしても、どうしてこんなところに…

 

 何かあったんですか?」

 

纏が、ウィルに何があったのかを聞いていくと

ウィルは突然に何かを思い出したように表情をこわばらせていく

 

「そ、そうだ!?

 

 奴は…奴はいないのか!?」

 

ウィルは訪ねていく

 

「奴…?」

 

「奴は、あの黒い化け物はいなかったか!?」

 

「黒い化け物…?

 

 それって、二~三メートル級の魔物の事?」

 

姫奈は不意に、足跡の主であろう魔物の存在を匂わせていく

 

しかし、次に言い放ったウィルの言葉に三人は目を開いていく

 

「違う、魔物じゃない…

 

 私達の仲間を襲ったのは…

 

 人間だ!」

 

「「「っ!?」」」

 

それを聞いて、目を見開いていく一行

 

ひとまずは、この道中は何にも問題はないと伝え

外にいる仲間たちと合流するために、洞窟の外に出る事を進め

 

ウィルも、自分を守ってくれるならと了承し

ひとまずは、洞窟の外に入る愛子達との合流を優先するのであった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

洞窟の外で、三人は無事に愛子たちと合流し

その際に、ウィルの事を紹介していく事になったが

 

当然ながら、そのウィルの見た目を見て

当然一同は黄色い声の方をあげることになった

 

そこで、愛子からの提案で

髪を切って、顔を洗う事にした

 

この世界には、鋏が元々あってそれを

愛子も持っているので、それでウィルの髪型を整えていく事にする

 

それで、しばらくして…

 

「…ありがとうございました、何分

 あの洞窟の中で、ずっと隠れ住んでいたもので…」

 

「いいえ、この位なら大丈夫ですよ

 

 それよりも、南野さん達から

 何やら大変なことがあったとお聞きしました…

 

 その、差し支えなければお話を聞かせてもらえないでしょうか?」

 

ウィルの顔立ちは非常に整っており

まさに、好い所のお坊ちゃんといった顔立ちである

 

ウィルは早速、自分達に何があったのかを話していく

 

ウィルが所属していた、冒険者パーティーは

依頼を請け負う際に、とある噂を耳にすることになった

 

ここ二週間以上前から、北の山脈地帯付近で依頼を受けおっていた

冒険者たちが、次々と行方不明になっているという話しを聴いたのだ

 

最初の頃は手あたり次第だったようだが

ここ最近はランクの高い冒険者をターゲットに

次々と福江不明になってきているらしく、そのせいで

周辺の町が、高ランクの冒険者を雇うことが出来なくなって

ほとほと、困り果ててしまっているという事を聞いたのだ

 

中には、家族がいる冒険者もいるので、何とかしたいと

ウィルはそれを聞いて、何とか助けに慣れないかとほかのメンバーに相談した

 

あくまで、自分達は別の依頼を請け負っているので

依頼自体を請け負う事は出来ないが、自分達の依頼のついでに

その行方不明の冒険者たちの捜索の方を行っていくという形で了承する

 

そうして、今より五日前くらいに姫奈達が

とおっていった参道と同じ道を通っていき

 

大体、五合目に到着したある時に

パーティーの前に、一人の人物が現れる

 

その人物は自分達の前に現れると

フードに覆われた顔をこちらに向けてこういったらしい

 

ー活きがよさそうだな、俺と一緒にこい!

 

 真の勇者たる俺とともに、この世界に思い知らせてやろう?ー

 

それは勧誘、いいやまさにあれは勧誘であった

 

当然ながら、そんな怪しい話に

飛びつこうとは思わず、その申し出を拒否した

 

それを聞いたそのフードの人物は激高し

その姿を、恐ろしい姿に変えて行ったという

 

それは、黒い二足歩行の複数の尾を持った魔物の姿であった

 

そこからはもう、何があったのか

ウィル自身も把握しきれていない

 

わかっているのは、壮絶な激闘が繰り広げられ

ウィルのパーティーメンバーの一人を、川に向かって

突き落としていった事、ウィルはそのまま川を流れていき

 

やがて、流れ着いた先にあったこの洞窟に

五日間も身を潜めていく事になったのである

 

なお、同靴内にあった道具は

自分がそこに流れて行った際に

浮き袋代わりに抱えていたリュックに入っていたもの

 

それを使って、食料がなくなるまでは助けが来るのを待つか

あるいは食料が少なく鳴ったら、最悪山を下りて助けを呼ぼうかと

 

そんなを考えていたらしい

 

やがて二週間分の食料も、そこを突きかけて来たので

意を決して山を下りて行こうとしたときに、姫奈達にあった

 

これが、ウィルの話の大まかな内容である

 

「‥‥謎のフードの人物?

 

 なんだか聞いていると信じられないよね…」

 

「でも、こんな状況で嘘をつくとも思えないし

 

 何より状況が状況出しね…」

 

優花は謎のフードの人物

その人物の話を聞いて、もしかして

そう思ったが、その後のその人物は

黒い魔物のような姿になったと聞いて

気のせいかと、残念層ながらも安堵の表情を浮かべて行った

 

「あ、あの!

 

 私のいた冒険者パーティーの皆さんは見つかったのでしょうか!?」

 

「‥‥ごめんなさい、この滝の上流には

 そもそもいっていないの、だから生きているのかどうか…

 

 それについても、私達は答えることは出来ないわ」

 

姫奈は、そう答えていく

 

それを聞いた、ウィルは一向に頭を下げていく

 

「御願いです、皆さん!

 

 差し出がましいのは分かっています

 ですが、ですがどうか私の仲間を見つけてもらえませんか!!」

 

「ウィルさんっ!」

 

必死に頼み込んでいくウィル

 

「…あの人たちは、僕にとって大切な人達何です

 冒険者として駆け出しだった私に、冒険者としての在り方を

 戦い方を厳しくも、同時に優しく教えてくれたんです、あの時だって…

 

 僕の事を、命を懸けて守ってくださったんです

 そんな人たちのために何にも出来ずにいるなんて…

 

 そんなのは、そんなのは私自身が許せない!

 

 お願いです、どうか…どうか彼らを見つけだしてください!!」

 

ウィルの必死の訴え、その言葉には

仲間を襲った敵への憎悪と、仲間たちへの慈しみ

何よりも、その仲間を置いて逃げてしまった自責の念

 

それらを感じられた

 

「‥‥ウィルさん、最初に言っておくわ

 私達はあくまで、貴方を連れて帰るのが任務…

 

 貴方の仲間を探すのは、リスクはあるし

 何よりもあなたの仲間が生きているという保証はない…

 

 それでも、私達に依頼をするの?」

 

姫奈は問いかけていく

 

「…わかっています、私も彼等が

 死んでいる可能性があることは覚悟しています…

 

 でも、いずれにせよこの事態を放置したら

 それこそ被害者は増え続けていきます、それを放っておいたら…

 

 それこそ私は、私を助けてくれた皆さんに顔向けが出来ません…

 

 ですからどうか…私の御願いを聞いていただけないでしょうか…?」

 

ウィルは譲らない、強い意思を示していく

 

それに対して、答えたのは…

 

「‥‥わかりました、ウィルさんの御願い…

 

 お引き受けしましょう」

 

愛子であった

 

「愛子殿…」

 

「実は私の大切な生徒も、この辺りで行方不明になっていまして

 貴方と一緒に捜しているんです、ですから大切な仲間を助けたい…

 

 貴方のその気持ち、私にもわかります

 私では、どこまで役に立つか分かりませんが…

 

 できる限り、お力をお貸ししましょう」

 

愛子は、ウィルの手を取って彼の願いを聞いていく

 

それを聞いて…

 

「ありがとうございます…

 

 ありがとうございます…」

 

ウィルは、涙を流して愛子に感謝の言葉を述べて行った

 

「あーららら…

 

 愛ちゃん先生、引き受けちゃったよ

 

 どうするの、姫奈?」

 

「‥‥どっちにしても、彼は

 梃子でも動かなかったと思うし…

 

 これはこれでいいと思うわ、それに

 ここの付近の冒険者がいなくなってるって話も気になる…

 

 どっちみち、調べてみる必要があると思うわ」

 

「そうですね…」

 

姫奈は、ウィルの言っていた

冒険者が行方不明になっているという

その話について、いくつか気になった事があり

 

そちらの調査の方も進めて行こうと考えていた

 

その際に、ウィルが言っていた言葉に

引っ掛かりを覚えて、考え込んでいく姫奈

 

「‥‥どうしたんですか、南野さん?」

 

愛子は、姫奈の同意を得ようと

話しかけて行ったが、何やら考え込んでいる

彼女の様子に不意に声をかける

 

「‥‥ウィルさん、一応聞くけれど

 

 冒険者が行方不明になり始めたのは

 二週間と少し前くらいって言ってた?」

 

「…あ、はい、間違いありません

 

 私達が訪れていた町の支部の人から聞きましたから…」

 

ウィルはそう答えていく

 

「‥‥ねえ、優花…

 

 確か清水君が行方不明になったのって…」

 

「え?

 

 二週間とちょっと前だけど

 それが一体、どうしたのよ?」

 

姫奈の問いかけに優花は首を傾げながらも答えていく

 

「‥‥もしかして、姫奈さん…

 

 今回の件には、清水君が関わっていると?」

 

愛子は不意に訪ねていく

 

「まあね…

 

 まあ、それを判断していくには

 答えはまだ少ないから、まだ予想の範囲内ね…

 

 どっちにしたって、調べて行けば分かるでしょ

 

 ウィルさん、よかったらこの滝の上流

 そこにまで続くルートの方を案内してもらえる」

 

「そうはいっても、私もここまでは

 無我夢中でしたので、詳しい所までは…

 

 それに、ここまでの道も

 そのフードの人物の攻撃で、随分と

 変わってしまっているみたいですし…」

 

「そっか…

 

 ウィルさんたちが来た時と

 地形が変わっちゃってたんだね」

 

風香がそう言うと、ウィルは申し訳なさそうに頷く

 

「‥‥なんにせよ、まずは

 この滝の向こう側にまで行ってみましょう

 

 ここからは無理でも、どこかルートは

 あるかもしれないしね、風香、頼める?」

 

「うーん…

 

 ここって地形が複雑に

 なっているから、ちょっと時間がかかるかも…

 

 場所を変えたら、行けるかもしれないけれど…」

 

風香はそう答えていく…

 

「わかった、取りあえずは場所を変えましょう…

 

 散策が行える地形に付いたら

 そこからは風香、お願いできる?」

 

姫奈は言う

 

それに対して…

 

「任せて」

 

風香は、自信満々に答えていくのであった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

ばぢょを移動するために一行は

来た道を戻っていく事にした一行

 

「……」

 

どこか、思いつめたような表情を見せていく玉井

 

そんな彼に話しかけていくのは…

 

「どうしたんだよ、淳史?

 

 何か、思いつめたような表情してさ」

 

相川であった、さらに仁村の方も会話に加わっていく

 

「…え、ああ…ちょっとな…」

 

玉井は急に振られて、取りあえず

軽い返事の方で、返していく事にする

 

「なんだよ、思いつめた表情してさ…

 

 何かあったのかよ?」

 

それに対して、仁村がそう返していく

 

「…ああ、何かあったって言うか

 何にもなかったから悩んでるって言うか…」

 

玉井は、なんだか取り繕っている自分が

なさけなく感じてしまい、ここは本題の方を切っていく事にする

 

「俺たちってさ…

 

 なんだか、なんの役にも立ててない気がしねえ?」

 

「え?」「あ…」

 

玉井の言葉に、ほかの二人は

どこか目を見開いたように答えていく

 

「…俺たちって、元々あんなところで

 じっとしてるのが嫌で、だからこうやって

 愛ちゃん先生の農地開拓に参加させてもらってるわけじゃん…

 

 だから愛ちゃんの仕事を手伝ったりしてるじゃん

 

 でもさ、今の俺たちってぶっちゃけ何か役に立ってるか?」

 

「それは…

 

 で、でもそれはしょうがねえよ

 

 南野達は、王国を離れてから

 すっごい旅をしてて、それで俺たちの

 想像も出来ねえ、すっごいスキルを手に入れたんだしさ…」

 

相川が、玉井の気を晴らそうとしていく

 

しかし…

 

「‥‥確かに、南野達の力はすげえよ

 正直に言って、俺たちなんて比べ物にならねえくらいに…

 

 でも、本当にこのまま俺達、あいつらに頼りっぱなしでいいのかなって…

 

 南野達にとっては、俺たちの事象はついでで、自分達にもやる事があって…

 

 それなのに俺達、本当にこのままたよりっぱでいいのかなって…」

 

「それは…

 

 そうかもだけど、でもさ

 まずは目の前のことに集中しようぜ

 

 あんまり、思いつめてるとそれこそ

 足元を掬われる可能性もあんだしさ」

 

明人がそう返していく

 

「それもそうだよな…」

 

淳史も、まだ思うところはあるものの

明人の言葉に同意し、目の前のことに集中する

 

その一方

 

「‥‥ウィルさん、今のうちに聞いておきたいことがあるの…」

 

「なんですか?」

 

姫奈が、不意に質問をしていく

 

「‥‥ウィルさんたちの事を教えた黒いフードの人物のことだけれども

 

 何か特徴、あるいは何かが異変のような物とかがあったら

 知っている範囲でいいから教えてくれないかしら、もちろん

 言いたくなかったり、簿えてなかったりしてたら、無理しなくていいから…」

 

「…いいえ、答えます…

 

 その黒い人物はフードで顔を覆っていたので

 顔は分かりません、声の方は私よりも若い感じがしました」

 

ウィルはそう答えていく

 

「ウィルさんより若い…?」

 

同じく話しを聴いている、愛子達

そのうちの優花がそんなことを呟いていく

 

「…背丈の方も、皆さんと変わらないくらいだと思いますね…

 

 その人物に関しては、そのぐらいでしたが

 そのフードの人物が魔物に変化したときにおかしなことが起こったんです…」

 

「おかしなこと?」

 

ウィルの言うおかしなこと

 

その言葉に、声に出した妙子のみならず

他の面々も、不思議そうに首をかしげていく

 

「黒い人物が、魔物の姿になった際に

 周りが何だかおかしくなったんです…

 

 周りの景色がゆっくりになったり

 私も思う様に動けなくなったりと…

 

 私達も応戦しようとしたんですが

 なんでかそこでは、魔法もスキルも使えなくなりと…

 

 そんな事が起こって…」

 

「そんなことが?」

 

奈々は、ほえーと言わんばかりに

ウィルの言葉を不思議そうに聞いていた

 

「南野さん…」

 

愛子が、小声で姫奈に訪ねていく

 

「‥‥魔法やスキルが使えなくなった…

 

 これってもしかして、前に南野さんが

 話してくださった、罪徒の力によるものでは?」

 

「いいえ、確かに罪徒の力には

 魔法やスキルの力を塗り替えていく力があるけれど…

 

 少なくとも、誰かが動けなくなるような

 そんな程度の現象じゃないわ、でも確かに…

 

 能力はどこか、罪徒に関係がありそうな気がするけれども…」

 

姫奈は、愛子の指摘したように

能力は罪徒のそれに似ている、しかし

その能力の規模が少ない、まるで罪徒の力を

扱いやすいようにコンパクトにまとめている

 

そんな感じがするのだ…

 

「なんにしても、奴の能力は強大でした…

 

 僕も戦った、それなのに…」

 

ウィルは、悔しそうに表情を険しくしていった

 

それに対して

 

「ウィルさん、落ち着いて…

 

 それとよく話してくれましたね」

 

「僕がお願いした事です

 

 むしろ、この位は…」

 

ウィルがそこまで言った

 

その時である

 

『『『『『「っ!?」』』』』』

 

一同の身に、何やら異変が起こる

 

「な、なにこれ!?」

 

「き、急に動きが鈍くなって‥」

 

妙子と奈々が、突然のことに目を見開いていく

 

「こ、これです!?

 

 あのフードの人物が魔物になった際に

 起こった、例の動きにくくなる現象…」

 

「これが、噂の…」

 

愛子も、現在自身が感じ取っている現象に驚愕している

 

しかし…

 

「お、お二人共…

 

 大丈夫なんですか?」

 

纏が、動きが見事に囚われてしまっている様子

 

その一方で…

 

「みんな、どうしたの?」

 

「みんなの動きがおかしくなってる?

 

 もしかして、これがウィルさんの言っていた…」

 

風香と姫奈は、特になんの不調も感じられなかった

 

「‥…でも、私達の方は何ともない…

 

 一体どうして?」

 

「‥‥どうやら、この現象は私達

 

 もとい、聖徒の力は効かないみたいね…」

 

姫奈は、自分達がこの現象の影響を受けない理由に

自分達が罪徒に覚醒しているからと結論していった

 

それと同時に…

 

「風香、気を引き締めて…

 

 ウィルさんの言う通り

 この現象が起こっているってことは…」

 

「っ!

 

 ウィルさんの仲間を襲った犯人が

 近くに潜んでいる、そう言う事だね!!」

 

それを聞いて、風香は片手槍を

姫奈は剣の方を構えて、辺りを警戒していく

 

すると…

 

「うん?

 

 風香、足元!」

 

「っ!」

 

姫奈の声を聴いて、風香が気が付き

突如として、自分の元に振るわれた攻撃を受ける

 

幸いにもかわしきれたものの、聖徒を使っていないとはいえ

身体能力においては、この世界の戦闘職にも引けをとらない

風香の動きを捕らえ、かわしたもののなかなかの動きであった

 

「あ、危なかった…」

 

「今のは一体…」

 

風香は安どのため息をつき、姫奈は辺りを警戒する

 

そこに…

 

「なんだ…

 

 活きがいいのが来たから

 どんな奴等が来たのかと思ったら…

 

 何だ、懐かしい顔じゃないか」

 

「「っ!!」」

 

二人は、声のした方に目を向けていくと

そこには、黒いフードで顔を覆っている人物が現れる

 

「何者!」

 

姫奈と風香は、武器を構えていく

 

さらに…

 

「こいつ…こいつです…

 

 こいつが…私達を…」

 

「えっ!?」

 

ウィルが、そう答えていった

 

「なるほど…

 

 あいつが冒険者を誘拐してる犯人って言う訳ね!」

 

「なんで、ウィルさんの仲間を…

 

 というよりも、何で冒険者をさらっているの!?」

 

姫奈は、問いかけていく

 

しかし…

 

「そんなもん、お前らに答える必要ねえだろうが!」

 

フードの人物は、そう言い放つと

何とその姿を別の姿に変えて行った

 

それは…

 

「な、なんだよあれ!?」

 

「化け物!?」

 

男子たちが、それを見て驚愕していく

 

フードの人物が変化したその見た目は

まるで豚のような人型の異形が、まるで

その身体をローブのように布で覆い、それを

体に鎖を巻きつけて固定している、そんな風な

見た目をしており、まさに化け物と言った感じである

 

「あんた、何者…!

 

 どう見ても、人間って感じじゃないわよね…」

 

姫奈は、剣を構えながら

目の前の異形に話しかけていく

 

それに対して…

 

「そうだ、俺は人間じゃねえ‥‥

 

 俺は、人間を超えた存在‥‥

 

 咎徒さ!」

 

異形はそう言いきっていく

 

「咎徒!?」

 

風香が、覚えのない言葉を聞いて

少し疑問符を浮かべていると、その隙をついて

咎徒と呼ばれる異形は、そのまま姫奈と風香の二人

それぞれの首根っこをそれぞれの手で掴んで持ち上げていく

 

「ぐう…

 

 何よこれ、すっごい力…」

 

余りの、腕力に驚きの声を上げていく風香

それに対して、咎徒と名乗ったその異形は

 

「どうだ?

 

 これが俺の新しい、いや

 俺が求めた本当の力だよ!」

 

「ぐう…」

 

風香は、首を絞められながらも

咎徒に向かって蹴りを繰り出していく

 

それによって、咎徒はかなり驚いたのか

二人を掴んでいた腕を思わず話してしまい

 

二人は、どうにか解放される

 

「ぐう…

 

 ゲホッゲホッゲホッゲホッ!!!」

 

「ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ…

 

 な、何とか助かった…」

 

咳き込みながらも、何とか持ち直し

目の前に現れた異形、咎徒の方に目を向けていくと

 

「ちい!」

 

咎徒は、不意に愛子の方に目を向けていく

 

「せっかくの機会だ、こいつをいただいていくか!」

 

そう言って、愛子の方にずかずかと歩み寄っていく咎徒

 

だが…

 

「この…

 

 愛ちゃん先生に…近づくな…!」

 

そう言って、優花が懐から

あるものを出していった、それは投げナイフだ

 

優花の天職は投術師、物を投げつけて攻撃するのに

特化している天職であり、優花の持つこの投げナイフ

実はアーティファクトであり、手元に一本さえ残って言えば

魔力を流して、すぐさま手元にへと戻していく事ができる機能を持つ

 

優花はそのナイフを、咎徒に投げつけるが

思う様に動けなくなってしまっている影響で

思うような投術が出来ず、ナイフの威力は落ち

 

咎徒の体に、情けない音を立てて弾かれてしまう

 

「あ?

 

 何だこの、へなちょこ攻撃は

 こんなもんで、俺を攻撃するなんざ‥‥

 

 舐めた真似をしてくれてんじゃねえぞ!」

 

そう言って、優花の方に手を向けていく咎徒

 

「っ!」

 

思わず、目をつむっていく優花

 

しかし

 

「風香!」

 

「オッケー」

 

姫奈と風香が、構えていった

 

そして

 

姫奈と風香は、右手に浮かんだ聖痕を掲げていくと

そこから出た光を下に放つと、その光は二人の足元を照らす

 

二人は、それぞれの服装が変わっていき

姫奈は、剣士を思わせる服装となっていき

 

風香は、身軽そうな服装に変わっていく

 

姫奈と風香が、聖徒の姿になったその瞬間である

 

「きゃあ!」

 

優花たちの動きが、元に戻っていき

普通に動くことが出来るようになった

 

「元に戻った?」

 

「おっしゃ、これで何とか動ける!」

 

今までの感覚が嘘のように元に戻ったのを見て

面々は、そのまま攻撃の方に転じて行こうとする

 

「何!?

 

 なんでお前らまで、動けるように!?」

 

それを見て、咎徒は驚いたような声を上げて行った

 

「教えてあげるよ!

 

 私達はね、聖痕の力を開放させると

 特定の班ににいる人達にも私達の力を

 伝えさせていく事が出来るんだよね!」

 

「貴方の能力は、私達には効かなかった…

 

 効かなかったってことは、貴方の力は

 私達の持つエーテルには効果を及ぼせない…

 

 確証はなかったけれども、これで無事に

 私達の仮説が正しいことを証明することが出来たわ!」

 

二人は、そう言って構えていく

 

「くそぉ‥‥

 

 何なんだよ、何なんだよてめえら

 何だっててめえらみたいにそんな力が‥‥

 

 それは、そう言うのは俺に起こるもんだろうが!」

 

どこか、苛立ちをこみ上げてさせていく咎徒

 

「ようし!

 

 動けるようになれば

 こっちのものですよ!!」

 

 

纏も、槍のアーティファクトを構えていく

彼女の天職、棒術師の能力でぶんぶんと振るっていく

 

「おい、お前ら!

 

 いつまで呆けていやがる

 さっさとこっちに来やがれ!!」

 

咎徒は荒々しく呼び掛けて行った、その時であった

 

「きゃ!」

 

突然、飛び出してきた何かにぶつかられて

そのまま、地面に叩きつけられていった優花

 

「優花っち!」

 

「この!」

 

妙子は、自身の天職である操鞭師の能力で

手に持っている鞭型のアーティファクトを振るう

 

それを使って、相手の動きの方を止めること

その敵の正体を確かめていく事が出来た、それは何と

 

人型の蛇のような異形、こちらも体を」

ローブのように布で覆い、鎖で巻き込んだ姿をしている

 

さらに…

 

「うお!?

 

 な、何だ!?」

 

玉井は急に、何かに捕まれると

そのまま空高くまで持ち上げられていく

 

玉井は不意に、持ち上げていく者の方を見ると

そこにいたのは、雰囲気は豚や蛇の異形と同じだが

 

こちらは、鳥を模したような姿をしている

 

「こんにゃろ、化け物め!

 

 さっさと放しやがれ!!」

 

そう言って、鳥型の異形を武器である

曲刀型のアーティファクトで斬りつけていく

 

玉井の天職は、曲刀士

歪曲した刀の扱いはお手の物である

 

しかし

 

「どんなもんだい…ってうおおお!?」

 

流石に、空を飛ぶことは出来ない

 

玉井は、そのまま地面に真っ逆さまに

落ちていってしまったのであった

 

「淳史ぃ!?」

 

「大丈夫か!?」

 

「な、何とか…」

 

幸か不幸か、木の枝に引っかかって

地面に激突することだけは避けられた

 

「みんな、大丈夫!?」

 

「なんとかね…

 

 それにしても、こいつら」

 

優花は、突然に現れた二体の異形を見て

表情を険しくしていき、敵の方をみやる

 

豚型の咎徒の呼びかけに現れたのは

蛇型の咎徒と、鳥型の咎徒であった

 

「まじかよ、仲間がいたのか…」

 

思わぬ伏兵に呆然としていく一同

 

「へっへっへっ‥‥

 

 こいつらは、俺の引き立て役さ

 さあ、さっさとこいつらを始末しろ!」

 

豚型の咎徒が、蛇と鳥の咎徒に命ずると

蛇型をその身体をオーラに纏って動いていく

その動きによってオーラが伸びているそれが

まさに蛇のように見え、一同に向かって行く

 

鳥の方は、背中から鳥を模した翼を広げ

上空から、一同の事を狙わんとしていく

 

「来るわよ!」

 

姫奈が呼びかけていくと、風香もそれに合わせ

武器である持ち手を銃のように構えていき、それで

空から遅いかからんとしていく、鳥型の咎徒を攻撃していった

 

その時であった…

 

「っ!?

 

 なにこれ…」

 

風香は、不意に自分の力が弱くなっているのに気づく

厳密には、自分の攻撃が何かセーブがかかったかのように

その威力が抑えられているかのように弱くなっていったのだ

 

「やあ!」

 

姫奈も、迫って来た蛇型の咎徒に

攻撃の方を仕掛けて行った、しかし

 

「うん!?」

 

姫奈の方も、自身の攻撃に何やら違和感を覚えていく

姫奈の聖器である剣の攻撃の通りが妙に悪くなっているような感覚

 

それによって…

 

「きゃあああああ!!!」

 

「ああああ!!!」

 

風香は、鳥型の咎徒の爪による一撃を

姫奈は、蛇型の咎徒の尾による一撃でふっ飛ばされる

 

「何よこれ…

 

 奴らの攻撃に当たった際に

 急に聖器の威力が、というよりも…

 

 私達の力が弱くなった!?」

 

「これっていったいどういう…」

 

姫奈も風香も、自分達のみに起こった

謎の異変に、困惑を覚えていくのであった

 

そこに

 

二体の咎徒がm、一斉に仕掛けていく

 

そこに…

 

「はあああ!!!」

 

「やあああ!!!」

 

優花の投げナイフが鳥に向かって投げつけ

玉井が武器である曲刀で蛇の猛攻を止める

 

「貴方達!?」

 

「姫奈、風香…

 

 私達も手伝わせて!」

 

優花は言う

 

しかし

 

「無茶だよ、相手は皆が勝てるような相手じゃ…」

 

「そんな事わかってるよ、でも

 だからってこのまま見ているだけなんて

 

 あのときみたいになんでも出来ないままなんて

 そんなのは、そんな事は誰よりも俺自身が許せない…」

 

玉井は言う

 

「南雲だって、周りから蔑まれても

 皆が怖がっている中でも、あいつは…

 

 あいつは結果的に、俺たちの事を助けた…

 

 ここで何にもしないでいるなんて、それこそ

 それこそ俺は、あいつに申し訳が立たねえよ!」

 

「玉井君…」

 

玉井は、武器である曲刀を握りしめながら言う

 

「ここで何にも出来なかったら…

 

 結局俺は、あの時の何にも出来ない、俺のままだ…

 

 だからこそ俺は逃げない、逃げずに俺は最後まで戦う!」

 

玉井は決意を口にしていく

 

それに対して…

 

「‥‥わかった、それじゃあお願いするわ!」

 

「え、姫奈!?

 

 いいの!?」

 

姫奈が、玉井の決意を尊重する

 

「‥‥どの代わり、絶対に死なない事

 ここで死んだりするのなんて、絶対に許さない

 

 生きて、生きてその決意をしっかり伝えるべき人に伝えなさい!」

 

姫奈は言う

 

「…わかった、約束だ!」

 

そう言って、両手に曲刀を構えていく玉井

すると、そんな彼の隣に一人の影が現れていく

 

「昇?」

 

「言っただろ、最後まで付き合うってさ…

 

 俺たちだって、気持ちは一緒なんだ

 俺ももちろん、一緒にやらせてもらうぜ

 

 それに、一人より三人の方が

 なおさら、生き残れるかもだろ?」

 

そう言って、アーティファクトの戦斧

所謂、ハルバードを手に身構えていく相川

 

その後ろには、手を翳している仁村の姿も…

 

「行くぜ、二人共!

 

 最後まで付き合うぜ!!」

 

「「おう!!」」

 

玉井と相川が、それぞれ武器を手に

蛇型の咎徒に戦いを挑んでいく、三人は

姫奈と風香の広げているエーテルフィールドのお陰で

自由に動けるし、魔法やスキルを使用することが出来る

 

蛇型の咎徒は、そんな二人に向かって

頭部に付いた牙型の装飾から、まるで

毒吹きコブラが吹く毒のように弾丸のような物が放たれる

 

「っ!」

 

二人は、それを何とかかわしていき

蛇型の咎徒にスキルを使って仕掛けていく

 

しかし、蛇型の咎徒は素早い動きで

その攻撃を見事にかわしていくと、そこから

逆に二人に向かって、襲撃の方を仕掛けていく

 

両腕を、蛇の牙の様に変形させると

それを二人の体に向かって突き立てていく

 

「ぐあ!」

 

「ああ!」

 

咎徒の攻撃は、二人の体を貫く

 

しかし…

 

「っ!?」

 

貫かれた、二人の体はまるで

消しゴムで消されて行くように消えていく

 

「かかったな!」

 

仕掛けたのは、仁村であった

 

彼の天職は幻術師、相手を惑わせることに

特化したスキルを使う魔法職である、それによって

 

玉井と相川の幻術を見せていき

蛇型の咎徒への攻撃を誘導させたのだ

 

さらに…

 

「っ!」

 

蛇型の咎徒が玉井と相川だと思って

攻撃を仕掛けて行ったのは、何とただの岩

 

蛇の牙のような形に変形したその両腕は

深々と、その二つの大岩に突き刺さってしまっていた

 

そこにすかさず

 

「昇!」

 

「おっしゃ!」

 

そこに、昇が戦斧を振るい

それを身動きの取れない咎徒に仕掛けていく

 

行ける、相川本人もほかの二人もそう確信していた

 

しかし

 

「フン!」

 

何と、咎徒はその大岩を自分の腕力のみで砕く

 

その際に起こった、ロックチップ

小さな岩の破片は相川に向かって放たれる

 

「うお!?」

 

幸いにも、目立ったダメージはない者の

それによって攻撃の方を中断していく事になる相川

 

その隙をつかれて

 

「しゃああ!!」

 

「うああああ!!!」

 

蛇型の咎徒の攻撃を受けて

そのまま、近くの木々に激突し

気を失ってしまうほどのダメージを受けてしまう

 

「昇!」

 

「この!!」

 

そうはさせないと、玉井が攻撃を仕掛けるが

それを素早い動きを駆使することで見事にかわされる

 

それどころか、咎徒はそのまま

玉井に向かって蛇が吹いた毒のような弾丸を

放っていき、玉井もそれをどうにか躱していくが…

 

「しゃああ!!」

 

「があああ…」

 

そこから、締め上げられていき

玉井は気を失って行ってしまうのであった

 

「ひぃ!」

 

二人がやられたことに、怖気づいてしまうも

その時には、彼もまた締め上げられて気を失わされていく

 

「玉井君、相川君、仁村君!」

 

愛子の悲鳴のような声が響く

 

「あいつら…」

 

優花は、三人がやられたのを見て

表情を険しくしていくものの、そこに

駆けつけていく事は出来なかった、なぜなら

 

「くええ!!」

 

空から、鳥型の咎徒が

両手足に携えたするどい爪を使って

優花に攻撃をしかけていくのであった

 

しかし、その攻撃を何とかわしていく優花は

その際に、咎徒に向かってナイフを投げつけていく

 

しかし、そのナイフは咎徒に当たることはなく

咎徒は、優花達に向かって翼を広げていくと何と

その翼から、広範囲にかけて羽型の弾丸が放たれていく

 

優花は、それを何とかかわしていく

 

「おらああああ!!」

 

そこに奈々が、氷の魔法で氷を生成して

その氷を上空にいる鳥型の咎徒に向かって放つ

 

奈々の天職は氷術師、文字通り

氷属性の魔法を使用することが出来る

 

しかし…

 

咎徒はその攻撃を、背中の翼で全て

弾き飛ばして見せていくのであった

 

「さすがに凌がれるか‥」

 

奈々に向かって、一気に急降下を仕掛ける鳥型の咎徒

 

しかし

 

「おっと!」

 

優花が奈々を倒すことで、彼女を守っていく

 

「奈々、大丈夫!?」

 

「うん、ありがとね優花っち」

 

しかし、敵の猛攻が潰えたわけではない

鳥型の咎徒は、武器である爪を振るって再び

二人の方にへと飛び込んでいった、その時であった

 

「そらあ!」

 

妙子が、鞭型のアーティファクトで

鳥型の咎徒を捕らえて、その動きを止める

 

「‥‥このぉ…

 

 大人しくしてなさい!」

 

妙子はそういって、鞭を引いて

その動きの方を封じて行かんとしていく

 

しかし

 

「フン!」

 

咎徒は、そのまま勢いよく引っ張っていき

逆に妙子の方を、空中にへと放りだしていく

 

「え、ちょ!?

 

 きゃああああ!?」

 

そのまま、空中に放りあげられた妙子は

そこから勢いよく地上の方にへと放り投げられていく

 

「妙子!」

 

「たえっち!」

 

二人は、妙子の方に駈け寄ろうとしていく

妙子は幸いにも命に別条はなさそうだが、何しろ

高い所から一気に地面に叩きつけられたのだ

 

相当なダメージを受けていることは変わらない

二人は、急いで妙子の方に駈け寄ろうとしていった

 

その時であった

 

「きゃ!」

 

その妙子に何かが、勢いよくかぶさっていく

 

それは、鳥型の咎徒であった

 

咎徒はまるで、妙子を抑えて

俺の獲物に手を出すな、と言わんばかりに

優花と奈々の方に、目を向けて行った

 

「このっ!

 

 たえっちを返して!!」

 

「待って奈々、ダメよ!

 

 ここで攻撃したら、最悪

 妙子に当たっちゃうよ!!」

 

攻撃をしようとする奈々を制止する優花

 

二人の攻撃は遠距離に特化している分

攻撃が最悪、抑えられている妙子の方にいく可能性がある

 

二人はうかつに仕掛けられない

 

鳥型の咎徒は、それが分かっている様に

妙子を足で抑えて、彼女から離れようとしない

 

「フン!」

 

すると、鳥型の咎徒は二人に向かって

翼を広げて、そこから羽型の弾丸を放っていく

 

「っ!」

 

優花達に、銃撃が炸裂せんとした

 

その時であった

 

「やああああ!!!」

 

ひとつの影が現れて、その攻撃から

優花と奈々の二人を守り抜いてみせた

 

その人物は…

 

「ふう…

 

 大丈夫ですか優花さん、奈々さん」

 

「纏…」

 

「纏っち!」

 

纏であった

 

さらに…

 

「やああああ!!!」

 

「おりゃあああああ!!!」

 

玉井達を締め上げる二人に拳を打ち付けるのは

 

姫奈と風香の二人であった

 

「があっ!」

 

「ゲホゲホゲホ…」

 

玉井と仁村は解放されて、せき込んでいく

 

「玉井君、仁村君!

 

 相川君のところに行ってあげて!!

 

 こいつは、私達が引き受ける!!!」

 

「で、でも大丈夫なのか?」

 

風香は、相川の介抱を玉井と仁村に頼む

 

「あんた達の覚悟を見せてもらったんだもの

 攻撃が通らないぐらいで怖気づいてなんてられないわよ

 

 だから今度は、私達も覚悟を見せる番よ!」

 

姫奈は言い切っていく

 

「玉井君、仁村君

 

 二人の決意、しっかりと感じたよ

 

 もちろん、相川君もね」

 

風香も、そう答えていき

 

目の前にいる敵の方に目を向けていく…

 

「だから今度は、私達がその決意に

 答えてあげる番、だから三人は休んでて…

 

 ここからは、私達が引き受けるから!」

 

「ええ、アンタたちは先生のところに行ってあげなさい

 

 先生を守り、支えてあげるのが、貴方達の役目なんでしょ」

 

そう言って、二人は武器を手に取る

しかし、その武器は聖器のそれではない

 

「…なんだよそれ、何を取り出すかと思ったら

 それってアーティファクトじゃねえか、そんなもんが

 通じないのは、こいつらとの戦いで知ったばっかだろうが?」

 

豚型の咎徒が、嘲るように言う

 

そう、二人が手にしたのは

それぞれがこの世界に取り出した際に

王国の宝物庫から取り寄せられたアーティファクトである

 

姫奈に至っては、その剣を雫に譲っているので

アーティファクトですらもない、ただの剣である

 

「そうだね…

 

 でも、貴方達を相手にするには…」

 

「これで十分なのよ!」

 

そう言って、動揺するそぶりも見せずに構えていく二人

 

「フン、だったらやって見せろよ

 

 やれ!」

 

豚型の咎徒が、指示を出していくと

蛇型の咎徒が、素早い動きで駆け抜けていく

 

「風香!」

 

「オッケー!」

 

姫奈と風香が、蛇の素早い突進をかわすと

そこにすかさずに、武器である槍を手に取って

 

攻撃の方をしかけて行った

 

しかし

 

蛇はそれを、素早い動きで見事にかわしていき

風香を背後の方から、両腕を蛇の牙のように変えて

それをまるで、蟷螂の鎌のようにして振るっていく

 

風香は、それをかわすと

蛇に向かって蹴りを繰り出していく

 

「そりゃそうだよね…

 

 どんな速くったって

 攻撃するには近づかないとね!」

 

そう言って、槍を振るって蛇をふっ飛ばす

蛇はふっ飛ばされた際に、コブラが吹いた毒のように

弾丸を撃ちこんで、不意打ちを仕掛けていくのであった

 

だが、風香は槍を盾のように振るって

その攻撃を全て、防ぎきって見せていく

 

「すごい…

 

 姫奈の予想、大当たりかも

 普通の武器なら攻撃が通る!」

 

風香はそういって、再び仕掛けていく

 

だが

 

「しゃああ!!」

 

蛇は何と、後ろから本物の

大きく長い尾をのばして、風香を捕らえる

 

「うおおおおお…」

 

思わぬ、攻撃と締め上げる力の強さに

驚きと苦しさを入り混ぜた声を上げていく

 

「西宮さん!」

 

愛子が、心配そうに声を上げていく

 

「大丈夫だよ、先生…

 

 ちょっとびっくりしただけ…

 

 このくらいなんてことはないよ…っ!」

 

そう言って、締められる体に

対抗するように、力の方をいれていく

 

「ぬうっ!」

 

それに驚いたのは、蛇の方であった

 

なぜなら…

 

「確かに貴方も強いよ…

 

 玉井君達がやられちゃうのも

 納得するくらいの強さだよ、でもね…

 

 少なくとも貴方のこれは、私達が

 闘ってきた奴等に比べたら、こんなの…

 

 大したことはないよ!」

 

風香は、そう言うと

自信を拘束していた尾の拘束を

単純な筋力のみで、振りほどいて見せた

 

罪徒という、強大過ぎる敵と戦ってきたのだ

その力をコンパクトにしたようなその力ではどうしようもない

 

風香は、ゆっくりと息を吸って吐いての深呼吸で

自分の気を落ち着かせていく様子を見せていった

 

「さあ、ここからは私の番だ!

 

 行くよ!!」

 

そう言って、風香は槍をもって

そのまま蛇の方にへと向かって行く

 

「しゃああ!!」

 

蛇は、なめるなと言わんばかりの咆哮を上げ

再びの素早い動きを使って、風香に仕掛けんとしていく

 

「貴方の動きは確かに早いけれども、言っちゃえばそれだけ

 

 攻撃は単調だし、力も能力も脅威と感じるほどじゃない!」

 

風香は、そう言って槍を前に突きだしていき

敵が向かってくるであろう方向に、意識を向けていく

 

「しゃああ!!」

 

ばかめと言わんばかりに彼女の死角から責めていく蛇

 

しかし

 

「やっぱり、そこに来るよね」

 

風香は、そう言いながら

自分に向かってきた蛇のいる方に向かって

武器である、アーティファクトの槍を振るい

 

蛇を切り裂いていく

 

しかし、さすがにそれだけでは

倒しきれなかったのか、地面に倒れこむぐらいにしかならない

 

だが、その隙をついた風香は…

 

「おりゃあああああ!!!」

 

槍を勢いよく、蛇に突き立てて行った

 

「があっ!」

 

槍が、見事に蛇の体を貫き

その一撃によって、蛇の体に

どんどんと亀裂が入って広がっていく

 

更によく見ると、蛇の胸元の中心にある

黒っぽい紫色の意思があり、それにもひびが入っていた

 

「あ、ああ‥ああっ!?」

 

自分の体が、砕けていくのを感じた蛇は

その身体に触れた際に、その石にも亀裂が走っているのに気づく

 

すると

 

「うわああ!?

 

 ああ!!」

 

必死に石の喜悦が広がるのを抑えようとするが

そんな思いもむなしく、亀裂は全体に広がっていき

 

「ああ!!」

 

石が砕けると同時に、蛇の体も砕けるのであった

 

「っ!

 

 今のって一体…」

 

蛇型の咎徒が、砕けていくのを見た風香

 

疑問は多いものの、今はとにかく

ほかのところの救援に向かっていくことを優先する

 

そのころ

 

「優花さん、奈々さん

 

 妙子さんを連れて、先生のところに!」

 

「うん!」

 

「気を付けてね、纏!」

 

纏は、そう言って武器である

槍をぶんぶんと振るってけん制していく

 

その間に、優花と奈々は

敵が飛ばされたことで解放された妙子を連れて

急いでその場を離れて、愛子のもとに戻っていく

 

「くええ!!」

 

纏の前に、立ちふさがるのは

背中の翼を、バサバサッっと羽ばたかせて

彼女に威嚇するようにして、迫っていく鳥型の咎徒

 

「行きますよ!」

 

纏は、武器である槍型のアーティファクトを振るって

そのまま、鳥に向かって槍を勢いよく振るって行った

 

しかし

 

「おおっと!」

 

纏の攻撃をかわす際に、勢いよく翼を羽ばたかせ

空に飛んで、彼女の追う劇をかわしつつ狙いを定めていく

 

「はああ!!」

 

翼を広げて、そこから羽根型の弾丸を

纏に向かって、広範囲に討ち込んでいく

 

纏は、槍を振るいながら弾丸を弾きつつ

素早く移動をしつつ、攻撃の方をいなしていく

 

「(さすがに、空を飛ばれると

  こっちが一気に不利になってしまう…

 

  何とかして、地上に降ろしていかないと…)」

 

纏は、そう言って

鳥をどうやって落としていくか

 

それを考えつつ、相手の出方を見ていく

 

一方の鳥は、両手足から鳥の足の爪を模した

鋭い爪を展開していき、それを使って纏に仕掛けんとする

 

「っ!

 

 そっか、地上に向かって行くように仕向ければ!!」

 

纏は、そう言って鳥に向かって

あえて背中を向けて、逃げ出していく

 

それを見て、鳥は翼を広げ

そこから再び、羽型の弾丸を放っていき

 

「きゃああああ!!!」

 

纏は、悲鳴を上げながら

攻撃によって舞い上がった砂埃に包まれる

 

「まとっち!」

 

「北浦さん…」

 

それを見て、不安を覚えていく愛子達

 

「はっはっ‥」

 

鳥は、翼を羽ばたかせながら下に降りていき

纏を倒したと思い、そのままその場を離れて行こうとした

 

その時

 

「やああああ!!!」

 

「うん?

 

 うああ!?」

 

纏の攻撃を受けて、背中の翼にダメージが入った鳥

これによって、しばらく飛ぶことは不可能になってしまう

 

「ぐう‥」

 

「とどめの確認は、しっかりしておかないとね!」

 

そう言って、槍を振るっていく纏

 

「うああ!!」

 

鳥は、両手足の爪を振るい

それを使って纏に攻撃を仕掛けていく

 

纏も、天職である棒術士の能力をいかし

鳥の爪による、応酬に対抗していった

 

だが、元々の強みは空を飛ぶことにあった鳥

爪による攻撃も申し分はないものの、纏の武器である槍は

威力もリーチもあるので、思う様に攻めきる事が出来ずに次第に圧される

 

「やああああ!!!」

 

纏は、そのまま棒術による振り上げで

鳥に必殺の一撃を喰らわさんとしていく

 

しかし

 

「フン!」

 

「え!?」

 

鳥は、纏の一撃を止めて見せる

纏の方も、まさか止められるとは

思っていなかったのか、目を見開いていく

 

鳥は、そのまま纏を棒を掴んで

彼女を一気に背負い投げのように投げ飛ばしていく

 

「きゃあ!

 

 があっ!!」

 

背中を、地面に叩きつけられる纏

そんな纏に向かって、鳥は爪の方を立てんとする

 

「北浦さん!」

 

愛子の悲鳴のような叫びが、辺りにこだまする

纏の方も、さすがにこれには死を覚悟し、目をつむる

 

その時に聞こえたのは

 

「そおらあ!」

 

そんな声と共に、鳥の背中が切り裂かれる

これによって翼は完全に破壊をされてしまう

 

「よっし…

 

 大丈夫、纏?」

 

「な、何とか…

 

 ひやひやしましたよ…」

 

纏に手を伸ばしたのは、姫奈であった

 

纏は、その手を引いてもらって立ち上がる

 

「なるほど…

 

 ちょっと見くびってたかもね

 罪徒ほどではないにしろ、奴等も

 それなりの強敵ぞろいって言う事みたいだし…」

 

そう言って、姫奈は剣を取って

その切っ先を鳥の方に向けていく

 

「フン」

 

鳥の方も、両手足に爪を取り

それを振るって、姫奈にとびかかっていく

 

鳥の爪による素早い攻撃が切りだされる

 

しかし…

 

「残念ね、速さはあるけれど

 それこそ目で追えない程じゃないわ!」

 

姫奈はそういって、斬り返していった

 

そこに…

 

「やああああ!!!」

 

姫奈が、剣を突き出していき

それを受けた鳥は、勢いよくふっ飛ばされる

 

「ええい、役立たずが!」

 

「ぐえ!」

 

ふっ飛ばされた先に、フードの人物が変質した

豚型の咎徒がおり、その彼に見事に蹴り飛ばされる

 

「さっさと立て!

 

 こんなところで寝てんじゃねえよ!!」

 

豚にそう急かされて、渋々ながら起き上がっていく鳥

 

そこに…

 

「姫奈!」

 

風香が、無事に合流した

 

「玉井君達は?」

 

「大丈夫だよ、向こうの敵も倒したし

 

 後は、そこにいる二体だけだよ!」

 

風香は、ここまでの経緯を報告していく

 

「全く、どいつもこいつも‥‥」

 

「くええ!!」

 

鳥は、二人に向かって駆け出していき

両腕の爪をあわせながら、迫っていく

 

しかし

 

「「やああ!!」」

 

「ぐええ!!」

 

姫奈と風香、二人がそれぞれの方向に移動し

そこから通り抜けていく際に、鳥に向かって

 

それぞれ姫奈が剣、風香が槍を振るい

見事、鳥の身体に一撃を食らわせて行った

 

その際に、二人の攻撃が鳥の胸元についている

黒っぽい紫色の石に炸裂、これによって石に亀裂が走る

 

「あっ!?

 

 ああ‥」

 

体に亀裂が走っていくのを見て

鳥は引きつった様子で見つめていき

 

そのまま…

 

「うああ!!」

 

その肉体は、崩れ落ちて行ってしまう

 

これで残すは、豚型の咎徒のみ

 

「これで残るは、アンタだけね!」

 

「ようし、このまま一気に決めちゃおう!」

 

そう言って、残った豚型の咎徒の方に向けていくと

 

「ええい!

 

 俺の邪魔をするってんなら

 俺だってもう容赦はしねえぞ!!

 

 勇者にも匹敵する、俺の力を見るがいい!!!」

 

豚型の咎徒がそう言うと、彼の両足から何やら

黒い煙のようにオーラのようなものが噴き出していき

 

それが、地面にまるで生きているように

地面に添って、移動をしていき二人に迫る

 

「なにこれ!?」

 

なにやら、ただものではないと感じた二人は

地面に広がっていく真っ黒い何かを避けるように下がる

 

「へっへっへっ‥‥

 

 見せてやるよ、こいつが俺の新しい

 

 いや、俺の本当の力って奴だよ!」

 

そう言って、地面からその黒いオーラが

まるで、突き出されていくように跳び出していく

 

「っ!」

 

姫奈は、それを剣で止めていく

すると、その黒いオーラに振れた剣は

まるでその部分が一気になくなったように消えていく

 

「風香、気を付けて!

 

 この黒いオーラは、多分

 触れたものを消滅させるみたい!!」

 

「ええ!?

 

 何なのそれぇ!!」

 

姫奈のそれを知って、風香は驚きの声を上げる

 

そんな二人に、黒いオーラがまたしても迫っていく

 

「ひっひひひ‥‥

 

 どうだ、思い知ったか?

 

 俺の力は、お前らがさっき倒した雑魚共のそれと違う

 こいつの力は、まさに最強と言ってもいい力なんだよ!」

 

そう言って、地面に広げているオーラを

自分の体に覆っていくと、手を突き出していき

まるで、爪をのばしていくようにして仕掛けていく

 

「このっ!」

 

風香は、それをどうにか躱す

一方の姫奈も回避をしようとするが

 

姫奈は、何かに気付き

剣を使って攻撃を受けていく

 

「え!?」

 

姫奈の剣は、それによって

完全に使い物にならなくなり

ボロボロになった剣のパーツがばらばらと

地面に虚しく落ちて行ってしまうのであった

 

「‥‥あんた、わざと狙ったわね…」

 

姫奈は、そう言って敵の方を見る

 

「ヒヒヒ‥‥」

 

その彼女の問いに、豚型の咎徒は

引きつったような笑みを浮かべていく

 

「どういうことだよ?」

 

「…まさか、あいつ姫奈を狙う際に

 私達のいる方に向かって攻撃を!?

 

 だから、姫奈はよけようとしても避けられなかったって事じゃ…」

 

「そんな‥」

 

優花の言葉に、奈々は驚愕の表情を浮かべていく

 

「南野さん!」

 

武器をなくした、姫奈に心配そうに呼び掛けていく愛子

 

「‥‥大丈夫、先生はそこから動かないで!」

 

姫奈は、そう言って呼び掛けていく

 

しかし

 

「ひっひひひ‥‥

 

 随分と強がってるじゃねえか?

 

 剣をなくしたお前に、何ができるってんだよ!」

 

そう言って、さらに黒いオーラを

姫奈野方にへと伸ばしていく、もちろん

 

かわしたら、愛子達に当たるように調整して

 

「っ!」

 

姫奈は、左手に電気を纏わせていくと

 

「やああああ!!!」

 

それを、突き刺していくように

向こう側にいる豚型の咎徒に向かって放つ

 

それは、見事に…

 

「うあああ!!!!」

 

豚型の咎徒に当たり、それに驚いて

後ろに飛ばされる形で地面に倒れこんでいく

 

「おお!

 

 やったね、姫奈」

 

「いいえ、まだよ!」

 

そう言って、相手の方を見る姫奈

 

すると

 

「いっててて‥‥

 

 やってくれやがったな

 

 もしも、俺がこの闇を体に

 纏わせて居なかったらどうなっていたか」

 

そう言って、立ちあがっていく豚型の咎徒

 

「どうやら、あいつのオーラは

 いろんな使い方があるみたいね…」

 

「姫奈、下がってて…

 

 とどめは私がするから!」

 

そう言って、槍をかまえていく風香

 

「ぬかせ!

 

 俺がてめえらをここで切り裂いてやるよ!!」

 

そう言って、両腕に闇を纏わせていき

それを、二人の方に向かって伸ばしていく

 

風香は、風の力で空を浮かんでいき

空の方から、攻撃の方を仕掛けて行った

 

「ちい!」

 

それを見て、豚型の咎徒は

煩わしそうに、風香に向かって

黒いオーラを勢いよく、突き出していく

 

「うおっと!?」

 

風香も、余りの猛攻によって

豚型の咎徒に攻撃を仕掛けられない

 

「っ!」

 

姫奈も、攻撃の方を仕掛けたいが

剣は完全に破損してしまってどうしようも出来ない

 

そこに…

 

「南野!」

 

そこに、玉井が姫奈に向かって

あるものを投げつけていった、それは

 

曲刀であった

 

「玉井君!」

 

「俺にはこれぐらいしか出来ないけど…

 

 絶対に決めて行けよ!」

 

玉井が檄を贈る、仁村も同意するように力強く頷く

 

「‥‥ありがとう」

 

姫奈は、笑みを浮かべていき

玉井が投げた曲刀を手に取っていき

 

豚型の咎徒が、風香への攻撃に

目を向けていった、その隙をついて

 

奴の背中を斬りつけて行った

 

「やああああ!!!」

 

「があああ!!!!」

 

それを受けて、攻撃の方を中断させるが

それでも自分に攻撃を仕掛けて行った姫奈に

攻撃を仕掛けんと、その身体を一気に反転させていく

 

だが、それによって

 

「やあああああ!!!」

 

風香の槍による一撃が、続いて炸裂していった

 

「このぉ‥‥」

 

豚型の咎徒は、ダメージを受けながらも

それでも二人への敵意を失うことはなかった

 

そこに

 

「「やああ!!」」

 

姫奈と風香、二人の同時攻撃が炸裂し

それによって、咎徒の体に亀裂が入っていく

 

そして

 

「うあああ!!!!」

 

豚型の咎徒の体は、一気に崩れ落ちていった

 

「‥‥…」

 

姫奈は、玉井が貸してくれた曲刀をしばらく握りしめて行く

 

暫くして…

 

「南野さん、西宮さん!」

 

愛子達が、二人のもとに駈け寄っていく

 

「やったね!」

 

「うん、何とかね…

 

 それにしても、咎徒か

 奴らは一体、何者なんだろ…」

 

風香は、そう言って

考え込むように顔を上に向けていく

 

「わかんねえけれど…

 

 でも、倒せたんだし

 これで万事解決だよな?」

 

「バカ!

 

 行方不明の冒険者達がまだでしょうが…

 

 ウィルさんの仲間の行方も、気になるところだしね」

 

姫奈が、そう言うと一行の後ろから

おそるおそる顔を出していくウィルが口を開いていく

 

「姫奈殿、でしたよね…

 

 つかぬことを伺いますが

 さっきの奴等を倒してしまって…

 

 本当に良かったのですか?

 

 居場所を聞きだせないのでは…」

 

「…‥ああっ!?

 

 そう言えばそうじゃん!?

 

 どうすんの、姫奈!?」

 

「‥‥何にせよ、一旦は町に戻りましょう…

 

 奴らにどうして、私達の聖器が効かなかったのか

 戻って色々と確かめていく必要もあるし、それから

 

 戻って、行方不明になった冒険者の足取りを追って行きましょう

 

 そこでなら、何かが分かるかもしれないしね」

 

姫奈は、現状で出来る限りの事をして行こうと提案する

 

姫奈は、武器を失っているので

新しく新調していく必要がある

 

「そうだな…

 

 菅原や昇の治療もしないといけないし…」

 

玉井が不意に、呟いていくと

彼のもとに何かが差し出されて行く

 

それは…

 

「…え、これって…」

 

「‥‥玉井君、貴方の決意

 しっかりと見せてもらったわ…

 

 それからありがと、おかげで助かったわ…」

 

玉井が、あの時に渡した曲刀

差し出したのは、姫奈であった

 

「…お、おう、サンキュー…

 

 でも、武器が無いと困るんじゃねえの?」

 

「さっきの奴等はともかく、魔物ぐらいなら

 雷属性の攻撃でどうにかなるわ、それに何より

 

 貴方達の方も、しっかり万全にしておかないと…」

 

姫奈は言う

 

「万全って‥

 

 咎徒ならさっき、やっつけたじゃん‥」

 

「‥‥確かにね、でもなんでか感じるのよ…

 

 まだ闘いの方は、終わっていないんじゃないかってね…」

 

姫奈は、意味深に言う

 

姫奈の言う言葉は、ただの直感だが

風香と纏の二人は、少なくとも姫奈のその言葉に

 

不思議と同意の感情を抱いていた

 

「‥‥とにかくいったんは戻りましょう…

 

 準備を整えたら、改めてウィルさんの仲間たち

 もとい、行方不明の冒険者の捜索に行きましょう

 

 それでいいわよね、ウィルさん」

 

「はい!」

 

姫奈の言葉に、ウィルは決意を込めて返事をしていくのだった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

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‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

姫奈達が街に戻っていったあと

 

一羽の烏が、一つの石を

嘴で咥えて、運んできた

 

黒っぽい紫色の石、それを

一人の人物が受け取っていく

 

その人物は、全身をローブで覆い

頭もフードで覆い、顔には鳥の頭を模した

所謂、ペストマスクのような物で覆っており

 

その手には、抱えるようにして

一本の大鎌を持っているのであった

 

その人物は、鎌を持っている手とは

反対側の腕に烏を止めると、その烏が咥えていた

黒っぽい紫色の石を、受け取っていった

 

「…悪運が強いですね、貴方も…

 

 他の咎徒はダークが砕けるほどの

 攻撃を受けてしまったというのに…」

 

ペストマスクの人物は、何やら

その石に話しかけていくように口を開く

 

すると、鎌を脇に抱えると

ローブの袖の部分から、何かを取り出す

 

それは、今持っている石とは違い

色は真っ黒なうえに、輝きが無い

普通の石のようなそれであった

 

「…もう一度、貴方の悪運を試してみてください…

 

 今度こそ、貴方の理想に近づけるかもしれませんよ?」

 

そう言って、黒っぽい石を差し出すと

右手の黒っぽい紫の宝石のように輝くそれは…

 

その石の中にへと、まるで

生きているかのように入っていった

 

すると、二つの石が一つに合わさっていき

やがて段々と、形を変化させていくのであった

 

「ウフフッ…」

 

ペストマスクの人物は、それをも届けていくと

後は好きにするようにと言わんばかりに、その場を離れていく

 

人知れずに暗躍していく、悪意

 

姫奈の言う通り、この闘いはまだ終わっていないのであった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

多くのモチーフに使われる七つの大罪、皆さんが一番強いと思うのは?

  • 原罪(スルー推奨)
  • 傲慢
  • 虚飾
  • 嫉妬
  • 憤怒
  • 怠惰
  • 憂鬱
  • 暴食
  • 色欲
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