世界に愛された元徳者と世界を憎みし原罪者 ー世界を憎みし少年とその少年より生まれし九つの罪の王と罪徒となった少女達・世界に愛された少女達と聖徒に選ばれし少女達ー   作:lOOSPH

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Unter dem Mond Disputatio

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

ある場所

 

そこに一人佇むのは一人の女子生徒

 

「あれ‥‥ここは…?」

 

白崎 香織

 

 

彼女は今、治癒師としての格好をして

手にアーティファクトの杖を持っている

 

すると、目の前には

ボロボロになった一人の少年が磔にされていた

 

それは、香織がよく知る人物であり彼女の想い人である

 

南雲 ハジメ

 

 

彼であった

 

「ハジメ君!」

 

そんなボロボロの彼の元に、急いで駆け寄ろうとするが

突然後ろから引っ張られてしまい、引き留められてしまう

 

そんな彼女を引き留めたのは

 

「へっへっへっ‥‥」

 

「…‥…」

 

香織の方を見て下品な笑みを浮かべて居る男子

 

檜山 大介

 

 

表情を出してはいないが

行ってはいけないと言った様子で首を振る男子

 

天之河 光輝

 

 

更にその後ろには香織たちのクラスメートが大勢控えているが

目の前でボロボロになっているハジメのことを誰も助けようとしていない

 

「離して‥‥離してよ…離してってばああああ!!!」

 

そう言って声をあげて訴えるが

檜山も光輝もどちらも離そうとはしない

 

すると、目の前の暗闇が光に包まれた

 

「え!?」

 

香織はあわてて、目の前の方を見ていくと

そこには炎に包まれてもがき苦しんでいくハジメの姿が

 

「ハジメ君!?

 

 待ってて、すぐに助けるから!!」

 

香織は急いでハジメの元に向かおうとするが

檜山と光輝に掴まれて向かって行くことが出来ない

 

振り向いて二人に離してと言おうとするが

香織は二人の表情を見て絶句した、何故なら二人の表情は

 

香織が思わず声に出すのを憚れるほどに

醜くゆがんだように不気味な笑顔だったのだから

 

檜山と光輝だけではない

後ろにいるクラスメートたちも同様であった

 

まるで、ハジメが死に行くのを楽しそうに、喜ぶように

 

「いや…」

 

炎に包まれて行くハジメ

 

「いや…」

 

その様子を不気味なまでの笑顔で見つめるクラスメート

 

やがて香織の表情は

段々絶望に染まっていくのが分かり絶叫する

 

「いやああああ!!!」

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

「いやああああ!!!」

 

香織が大きな声をあげて飛び起きたそこは

これから向かうオルクス大迷宮の入り口がある町

 

宿場町ホルアドの王国が用意した宿部屋であった

 

「はあ‥‥はあ…はあ‥‥…」

 

香織は目を覚まし、アレは夢であったのだと理解したのだが

それでも体の震えとあふれてくる涙が止まらずに、必死に抑えようと

自分の身体を抱えるようにしていくが、それでも収まる様子はない

 

「‥‥アレは夢、アレは夢、アレは夢、アレは夢…」

 

必死に自分に言い聞かせるように呪文のように呟いていく

 

そこに、一人の影が訪れてくる

 

「どうしたの香織!?

 

 こんな夜に叫び声なんて上げちゃって…」

 

八重樫 雫

 

 

香織の親友で、剣聖の天職を持つ女子

彼女がどうして部屋の中にいるのかと言うと

 

現在、彼女らにはそれぞれ

二人部屋で二人ずつ分けられている

 

香織の相手は雫である、そこからも分かるように

中の良い者同士で相部屋になっていると言う事だ

 

なお、クラスの大半から嫌われているハジメは当然の如くはぶられ

なぜか騎士団の面々が止まっている大部屋に入れられてしまっていた

 

ハジメはこの時、修学旅行の班決めで

グループに入れなかったボッチみたいだと感じていたという

 

また、香織が、だったら私がハジメ君とおんなじ部屋になる。と暴走して

雫達や渚沙、ハジメ本人からも止められてしまっていたのは別の話である

 

「‥‥雫ちゃん…ねえ、南雲君本当に大丈夫かな!

 

 死んじゃったりとか、殺されたりとかしないかな!!

 

 今からでも南雲君を訓練から外すことは出来ないかな!?」

 

「香織、落ち付きなさいよ!

 

 一体何があったの?」

 

不安に駆られる香織を雫が必死になだめて落ち着かせていく

香織も雫と言う心を許せる親友の前なのか少しだけ安心しているようだ

 

「‥‥実は…」

 

香織は雫にさっき見ていた夢の内容を聞かせた

ハジメが目の前でボロボロになって磔にされていた事

 

自分がそれを助けに行こうとしたら檜山と光輝に止められたこと

 

ハジメの周りが炎に包み込まれて行ってしまった事

 

そんな様子を醜く歪んだ笑顔でクラスメートが見つめていたこと

 

「‥‥そう、だったの…」

 

「‥‥分かってる、アレはただの夢なんだって

 分かってるけれど何でか忘れられないの、あんなの…

 

 あんな夢なんて忘れたいのに

 いつもだったら夢を見てもすぐに忘れるのに…

 

 怖いの‥‥ひょっとしてこれから先、南雲君の身に

 何かが起きるんじゃないのかって、そう考えたら…」

 

香織は今もなお、体を振るわせていきながら

内に秘めている感情をひねり出していくように口にしていく

 

「‥‥怖かったでしょ…恐ろしいでしょう‥‥…

 

 少なくとも香織が不安になる気持ちはわかるわ…

 

 でも、あくまで夢は夢、それは香織も分かってるんでしょ?」

 

「‥‥うん…」

 

不安と恐怖に駆られて行く香織を優しく抱きしめ

その手をそれぞれ使って香織の背中をポンポンと優しく叩き

頭を優しくゆっくり撫でて、香織を安心させていく

 

「‥‥それでも不安だって言うなら

 香織が南雲君の傍にいればいいじゃない

 

 南雲君のことを護ってあげるって約束したんでしょ?

 

 だったら彼の傍にいて、南雲君のことを護ってあげればいいのよ…

 

 香織は南雲君の味方なんだっていう事を‥‥香織がしっかり

 行動で示してあげなさいよ、昔の香織がそうだったようにね…」

 

「‥‥雫ちゃん…」

 

雫の精一杯の言葉を受けて

香織の表情はどこか明るくなっていくように感じている

 

「‥‥そうだよね、雫ちゃん…

 

 こういう時こそ、私がしっかりしないといけないもんね…」

 

そう言って決意を新たにする香織

 

「‥‥ようし!

 

 明日の訓練、私は南雲君の傍から離れずに

 しっかりと南雲君の事を護ってあげるからね!」

 

「香織~、いつもの香織に戻ってくれたのは嬉しいけれど

 またいつものように暴走して、南雲君の足を引っ張らないようにね~?」

 

決意を口にする香織に、雫は、ああまた暴走するんだろうな、と

頭を抱えながらも、その表情はどこか安心したような表情を浮かべていたのだった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

雫は香織を安心させて寝かしつけると

雫自身もまた、香織の言っていた夢のことが気になり

 

どうにも落ち着かない様子になってきていた

 

「‥‥少し、夜の風に辺りにでも行こうかしら…」

 

そう言って、香織を起こさないように部屋を出て

綺麗な月の光に照らされた夜の空を見上げていると

 

不意に足音が聞こえてきて、雫はその音のする方に眼をやっていく

 

そこにいたのは、雫もよく知っている人物であった

 

「…あれ?

 

 八重樫さん?」

 

南雲 ハジメ

 

 

香織の想い人であり

つい先ほど話題になった人物であった

 

「‥‥はあ…」

 

「え?」

 

あまりのタイミングの良さに呆れた様子で

ため息を付いていく雫にハジメは疑問符を浮かべていく

 

「‥‥ああ、ごめんなさい…

 

 いきなり知り合いがここに

 来たことにちょっとびっくりしちゃってね…」

 

「…そうなんだ…

 

 ところで八重樫さんはどうしてここに?」

 

「うん、実践訓練のことでちょっと緊張して眠れなくってね…

 

 そういう南雲くんこそ、こんな夜に何をしているのかしら?」

 

「あははは…何しろ僕の周りが大の大人ばっかりで

 どうにも落ち着かなくって、それでちょっと抜け出してきたっていうか…」

 

気まずそうに答えていくハジメに、雫は少し噴き出して笑みを浮かべる

まあ、いきなり知らない大人たち、それも鍛え上げられた戦士たちと一緒など

 

色んな意味で畏まってしまうのは無理はないであろう

 

「南雲君も本当に大変ね…」

 

雫は思わずそんな言葉を口にしてしまうが

ハジメは怒ることは無くむしろそうなんだよと肩を落としていった

 

「‥‥ねえ、南雲君…

 

 身体の調子はどう?

 

 けがはまだ治り切っていないって聞いているけれども…」

 

雫がそんなことを聞いていくと、ハジメはうんと呟きながら頷く

 

「最初のころに比べるとそれなりに動けるようにはなってる…

 

 でも、激しい動きをする分にはどうしてもうまくいかなくって…」

 

そう言って自分の右手を開いたり

閉じたりして少し悩んでいる様子で応える

 

「そっか‥‥でも、あんまり無茶はしないでね…

 

 貴方に何かあったら香織が悲しむし、私だってつらいの…

 

 だから無理だって思ったら遠慮なくいってね、私もサポートしてあげるから」

 

「うん…ありがと…」

 

雫の自分のことを気遣ってくれている言葉遣いにハジメも不思議と答えていく

 

「そう言えば、昨日…

 

 香織と仲直りしたんですって?

 

 香織がそのことで私に楽しそうに話しかけてきたわよ

 おかげですっかり辺りが暗くなっちゃったけれどもね…」

 

雫がそう言ってハジメに香織のことを聞いていく

 

「べ、別に喧嘩をしていたわけじゃ…

 

 むしろ…申し訳なかったというか…」

 

ハジメはあわてて弁明すると、最後はやや小さい声になっていく

 

「申し訳なかったって?」

 

「う…うん…」

 

雫はハジメに有無を言わせないように顔を寄せていく

ハジメはそれを見て、気まずそうに顔を背けるも話していく

 

「…実は僕ね、今まで白崎さんが

 傷ついちゃったのは僕のせいなんだって思ってたんだ

 

 両親の仕事の手伝いが忙しくって、学校の授業も殆ど寝てばっかりで

 そんな僕のことを白崎さんがいっつも気にかけていてくれていたこと

 

 でも、そのせいで檜山君たちに襲われて、そんな僕を助けようと

 してくれてた南野さんが襲われそうになったのを僕がどうにか抑えて

 

 それで、その時の出来事がみんな僕が主犯だってことにされて…

 

 それで白崎さんが学校をやめてしまおうかと思うくらいに僕のことで傷ついて…

 

 どうやって向き合っていいのかわからなかったんだ…」

 

ハジメは恐る恐る答えていく

 

「それで香織に対して、突き放した態度を取ってたのね…」

 

「うん…」

 

雫は納得したような不満そうな様子をハジメに向けていく

 

「まあ、南雲君の事情は分かったわ…」

 

「う、うん」

 

雫はしんけんな表情でハジメの顔を見詰めていく

 

「でもね、南雲君?

 

 あなたのその行動が結果的に香織を傷付けることになった…

 

 そのことはわかっているわね?」

 

「う、うん

 

 それはもちろん、分かってるよ…」

 

雫は其れを聞くと口元に笑みを浮かべていく

 

「‥‥だったら、私からは何も言わないわ

 

 香織もやっとあなたと話すことが出来て喜んでたしね…

 

 でも、覚えておいてね

 もしもまた香織を傷付けるような事をしたら…

 

 その時は、許さないからね」

 

「う…うん…

 

 それはもちろん…肝に銘じるから…」

 

そう言って、フフフフと笑顔を浮かべていく雫

それを見てハジメは緊張が解けたのか、ふうと一息ついていく

 

「まったく、頼りになるのかならないのか…

 

 でも、そうやって物おじしない

 ところも、南雲君の良いところなのよね」

 

「え?」

 

雫はそう言って話しをしていく

 

「‥‥南雲君、確かに貴方は私の中では一番弱いかもしれない…

 

 でも強さは力だけじゃないんだってことを、貴方が証明してくれてる…

 

 でもね、時には誰かの事も

 頼ってあげるのも大事な事よ

 あの時だって貴方は目の前で危ない目に

 あいそうになった姫奈のことを一心不乱に守ったし

 

 この間の時だって、東雲さんのことを護ろうと必死だった…

 

 例え腕っぷしが弱くても‥‥喧嘩が苦手でも…それでも‥‥…

 

 あなたはとっても強い人なのよ」

 

「八重樫さん…」

 

雫はそう言って微笑みながら言う

 

「明日は大変かもしれないけれど、心配しないで…

 

 あなたは決して一人なんかじゃないってことをね…」

 

「八重樫さん…」

 

やがてお互いに笑いあい、しばらく雑談したのち

それぞれの部屋に戻っていくハジメと雫であった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

宿屋の庭の方で一人浮かび上がっている

月を見上げている一人の女子生徒がいた

 

「‥‥いよいよ、明日か…

 

 本当に、どうなってしまうのだろうか…」

 

東雲 渚沙

 

 

彼女が一人、そんなことをつぶやいていると

 

「こ~ら、こんな夜中に女の子が一人で何やってるの?」

 

そんな渚沙に一人の女子生徒が話しかけてきた

 

「‥‥纏か…

 

 私に何か用事かしら?」

 

「ちょっと、確かにこうして

 ゆっくり話すのもしばらくぶりだけれど

 

 そんなに冷たく返すこともないんじゃないの?」

 

北浦 纏

 

 

渚沙、優花、恵里ら七大天使に数えられる女子生徒の一人

 

渚沙とは小中高と一緒なのだが

渚沙がハジメに構うようになってから、しばらく合う事もなかった

 

「それにしても、大丈夫かしら南雲さん…

 

 この間、檜山さんから受けた怪我だって

 全然、完治もしていないというのに、しかも

 訓練の方だってまともに受けさせてもらえなかったのに…

 

 そんな状態で実戦訓練なんて、非常識にもほどがあるわ…

 

 南雲さんの事を殺したいのかしら…」

 

「‥‥教会はむしろ、南雲君に死んでほしいのよ…」

 

渚沙のその答えに、纏は絶句する

 

「‥‥どういう事!?」

 

「‥‥簡単な事よ、教会にとって

 南雲君は目の上のたん瘤、とはいえハジメも

 奴らが言うところの神の使徒であると言うのも変わらない…

 

 向こうで死んでくれればそれでよし、生きてもどってきても

 なんらかの疑惑を持たせて異教徒認定してしまえばいい、奴らは…

 

 自分達の手を汚さずに、南雲君を排除したいんだよ…」

 

渚沙はそう言うと、纏は信じられないと言った表情を浮かべて居た

 

「そんな‥‥いくら何でもめちゃくちゃじゃない…」

 

「この世界は千年以上も戦争が続いている…

 

 命を奪い、命が奪われて行くを繰り返していくうちに

 私達の世界に比べても圧倒的に命の価値が低くなってしまったのよ…

 

 命が失われていくのに慣れすぎてしまってね…」

 

「どっちにころんでも‥‥南雲君はどうなるの…?」

 

纏はぎりっと渚沙の方を見ていく

 

「‥‥おそらく…最悪の展開になっていくでしょうね‥‥…」

 

「そんな…」

 

渚沙は淡々と答えていくが、その表情はどこか張っているような印象を受ける

 

「‥‥もちろん、そんなことは私がさせないわ…

 

 もうこれ以上、彼を虐げさせてなるものですか…」

 

その中で決意を口にしていき、ぐっと拳をつくっていく

 

「‥‥ねえ、渚沙ちゃん…

 

 渚沙ちゃんはどうしてそこまで

 南雲君をのことを気にかけるの?

 

 ひょっとして、彼のことが気になってるとか?」

 

纏は不意に気になったように聞いていく

 

「‥‥私も最初は別に南雲君に興味なんてなかった…

 

 いいえ、南雲君だけでなく周りの人たちに何の興味もなかった…

 

 最初のうちの南雲君への変わり者だって思ってたわ

 いっつもきだる気で寝てばっかりで、いまいちパッとしない感じだった…

 

 でもある日、彼と偶然図書館で会ってね

 それから話をする機会が多くなったの、初めてだったわよ…

 

 誰かに興味を抱いたのなんて‥‥

 

 それ以来、話す機会が多くなってそれなりに親しい間柄になったわ…

 

 そういう事なのか、どこか放って置けない感じがしてね

 あの事件があってからも、私なりに彼と交流し続けていったわ…

 

 ホント‥‥どうしてこうも、情に脆くなってしまったんだか…」

 

そう言って笑みを浮かべる渚沙

そんな彼女の様子を見て微笑ましそうにしていく纏

 

「‥‥なによ、にやにやしちゃって…」

 

「ううん、渚沙ちゃんが誰かのことで

 そこまで話をしていくなんてね、やっぱり

 渚沙ちゃんにとって南雲さんは特別な存在なんだね」

 

纏が少し含みがある様子で言うと、渚沙は驚いた様子を見せていく

 

「‥‥そう…なのかな‥‥…?」

 

「そうだよ、絶対に…

 

 なんだか南雲君が羨ましい

 私だってこうやって渚沙ちゃんと小学生のころに会ってから

 話せるようになるのに、中学校になってそれからしばらくかかったのに…」

 

「‥‥それは大げさなんじゃ…」

 

「そんなことないって!

 

 現に渚沙ちゃん、色んな男の子に告白されてるのに

 それに興味ないの一言でばっさり切り捨てられちゃって

 

 多くの男子生徒が撃沈していったんだよ!!

 

 しかもその中には天之河君ほどでないけれど人気の人もいたんだよ?」

 

纏にそう言われて、そうだったのと少しキョトンとしていた

渚沙も七大天使に数えられているためそれなりに男子からの人気は高いのだ

 

ただ、男子へのこのいわゆる塩対応や、七大天使が祭り上げられたのは

二年生に上がって少したってからなので、四人の女神程ではないのだが

 

あまり他人とかかわらず、一人で物静かに過ごしている事もあって

ミステリアスな雰囲気がすると、不思議と男子生徒を惹かれさせているのだ

 

「‥‥そうだったんだ…まあどうでもいい‥‥…

 

 興味だって湧かないしね‥‥私たちが今気にするのは明日の事…」

 

「そうだね…

 

 確かに私達は訓練を受けているとは言っても

 今の今まで戦いなんて経験したことなんてなかったもんね…

 

 渚沙ちゃんは、不安…?」

 

纏はそう言って、渚沙に聞いていく

 

「‥‥不安じゃないといえば嘘になる…

 

 でも、それでもやらないといけない事には変わらないから…

 

 だから‥‥やるしかない…」

 

「‥‥そうだね…

 

 渚沙ちゃん、絶対に生き残って元の世界に戻ろうね…

 

 もちろん、渚沙ちゃんの大切な人も一緒にね」

 

「‥‥うん…」

 

こうして、辺りが月の光に照らされて行く中で

二人の少女が決意を新たにしていくのであった

 

しかし、この時彼女達は気が付いていなかった

 

悪意の糸がゆっくりと、網を張っていく事に

 

それによってハジメに迫る恐るべき危機に

 

そんなことを知る由もなく、夜は明けていった

 

… ‥‥ ‥ …‥ ‥‥‥ ‥‥‥‥ …‥‥ …‥‥‥ ‥‥‥‥‥

 

‥ …‥ … ‥‥ ‥‥‥ …‥‥ ‥‥‥‥

 

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