DERBYTALE (AU) 作:フラウィー
グラスワンダーが駆け出すとほぼ同時に、二人のソウルが浮き出る。
青年はグローブを着け、グラスからの攻撃にしっかりと構える。
しかし相手が振るうのは薙刀、刃物だ。
それは大きく振るわれ、少し離れたところからの攻撃に青年は避ける以外の行動は取れなかった。
防ごうとすればグローブごとズバッと行かれるのがオチだからだ。
「それなりに動けるみたいですね」
青年はそんなグラスに、やめないか、と訴える。
そこから続けて、命令を聞いているだけなら、この戦いは意味がないとも。
だがグラスは青年に向けて首を横に振る。
「いいえ、この戦いに意味はありますよ。私はスペちゃんのためだけに、この刃を手にしているのですから。人間さん、殺しまではしません。ただ捕まってくれればそれでいいんです」
グラスワンダーはスッと静かに構える。
それに対して青年は当然、身構える。
捕まればどうなるのか彼は知らない。
だが、ロクでもないことが起こるのだけは確かだと。
青年にはそんな確信のようなものがあった。
またグラスワンダーが飛び出す。
大振りの一撃、振り下ろしの一撃だった。
当然青年は横に飛び避ける、だが。
地面に向けて放った一撃は土を掘り起こし、そこに混じった小石を降らせた。
その小石は青年に対し、小さくもダメージとなる。
更にその小石によって目眩しをされ、その一瞬の隙を狙ったグラスは青年の直近まで接近する。
青年は咄嗟に、拳を突き出して反撃を繰り出す。
グラスはギリギリのところで薙刀で防いだ。
だが薙刀越しに拳の衝撃を受け、驚いたような顔をする。
「……これが人間さんの決意……成る程、皇帝が結界を破れると言った意味、漸く理解しました」
その言葉に青年は尋ねる。
それは一体、どう言うことかと。
グラスはしばらく黙ったまま動かず、そして口を開く。
「そう──ですね…………これならば話しても問題はないはず。私たちウマ娘は人であって人間ではありません。それがどう言うことか、理解できますか?」
いいや、と青年は首を横に振る。
そうですよね、と言ってグラスは言葉を続ける。
「ウマ娘達は人間さんのように、決意を持たないんです。ソウルはあっても、それはただウマ娘と言う器を維持するための魔法でしかない。ですが、代わりに魔法の力がある。そしてその魔法の力を利用して決意を取り込めば……この地下世界に張る壁を、結界を打ち破ることができる。あと一つのソウルで、私たちは救われるんです。わかってもらえますか?」
青年は頷く、頷いてこう言った。
君は一体何者なんだと。
スペシャルウィークの部下とかではないのだけは確かだった。
「……秘密です」
問いにそう答え微笑んだ。
青年はその微笑みに軽い恐怖を抱いていた。
グラスは改めて武器を構える。
「ともかく、私たちウマ娘の事情はよく理解できたと思われます。ですからそのソウル、私にくれませんか?」
青年は首を横に振り、グローブを構える。
彼女達を可哀想だと、たしかに青年はそう思った。
それは同情と言うだけであって、彼の目的にはなんら関係のないことである。
決意を胸に抱いた彼には、一切関係のないことであった。
「そうですか。ならばここで……死になさいッ!」
だが青年はこう思った。
彼女達を救う方法はきっとあるはずだと。
彼は伝説を知っている、ウマ娘の話を。
地下世界へと逃げたウマ娘を閉じ込めた人間達の話を。
そう、閉じ込めたの他でもない、人間達だ。
だからこそ、自分ならば救える、そう考えた。
青年はグラスに訴えかける。
オレンジ色の攻撃を纏った薙刀が繰り出される前に。
「人間さん。何を、言っているのですか?」
微笑んでいた、が目は笑っていなかった。
だが武器は下ろした。
その隙を狙いとにかく語りかける、自身の考えを。
この地下に残っている人間たちのソウルを、もし自分が取り込んだのならば結界を破ることができるかもしれないと。
その言葉を聞いたグラスは少し考え事を始める。
「……その辺りは私の専門外なのでわかりません。ですが、少しだけ、考えてみる余地はあるかと思います」
二人に浮かんでいたソウルが消える。
そのことに青年はホッとしてグローブをしまう。
グラスは背を向け、その場を立ち去ろうとする。
「このことは皇帝に報告します。もしかしたらまた、戦う時が来るかもしれませんけど。その前にエルを探さなくては……エル〜? どこにいるのですか〜? 皇帝様に謝りに行きましょうね〜」
そう言いながら徘徊しに戻っていった。
なんだかかなり疲れてしまった青年は、どこか休めるところはないかと探しに行くことにしたのだった。
思いついたことパッと書くからこうなるんだよね。残念ながら人間性です。
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