DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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スペシャルな試練④

この道も終わりが近づいていると思うと決意がみなぎった。

 

 

 

 青年は一、二時間ほど休憩し、地雷原での疲れを癒した。

 完全に癒えた頃に、自身の体に傷がないことを確認して足を進め出す。

 土を踏み、ウマ娘たちと話し、戦い抜き、そして前へと進んで行く。

 しばらく歩いていると、もう何度目かわからないが二人がいた。

 サイレンススズカ にスペシャルウィークだ。

 

「スズカさん……なんでこんな、こんなことに?」

「あー、見張りはしてたのよ? 私としては、ちゃんと」

「じゃあ、なんでこんなことになったんですか?」

「……あの二人よ。ほら、いつも追いかけっこしてるでしょ?」

「グラスちゃんとエルちゃんですか……そう言えば向こうで気絶してましたね」

 

 そんなことを薙刀で一刀両断された機械の近くで話していた。

 どうやらスズカが見張りを任されていたようだが、グラスワンダーともう一人のウマ娘の追いかけっこにて破壊されたようだった。

 青年は機械を見て、自身もああなっていた可能性があることを思い出し恐怖していた。

 

 そんなこんなで二人が喚いていると、二人の視線が青年に向く。

 青年も二人の視線に気づいて軽く手を振る。

 スペシャルウィークは少し汗を垂らして申し訳なさそうな顔をしている。

 スズカは相変わらずいつもの顔だった。

 

「……えっと、人間さん。そのこ、今回は、なしです」

「まぁ色々あって壊れちゃったのよ。ごめんなさいね」

「ですがっ! 次のっ! 最後のっ!! ラストのっ!!! ふっふっふっ……ファイナルでスペシャルな試練……そこで私の勝ちで終わりますから、楽しみにしていてくださいっ!」

 

 気を取り直したようで高笑いととも去って行った。

 あれでよかったのだろうか、と青年は考え機械に近づく、

 そんな青年の隣にスズカは立つ。

 青年はそんなスズカに一応、何があったのかと聞く。

 

「見ての通りね。人間さんも襲われたからわかってるんじゃないかしら?」

 

 まぁね、と言って機械に触ってみる。

 

「もしかして直せるの?」

 

 見てみないとわからないと、青年は言葉を返す。

 青年の仕事、それはこれである。

 機械を弄って上手い具合に直す、要は機械技師と言う奴である。

 

 外見の大部分が破損してはいるが、中身がスカスカで動いていたおかげで、そこまで酷いわけではなかった。

 適当に応急処置をして、余計な部分の部品をカバンに突っ込む。

 もしかしたら何かに使えるだろうと思って。

 

 ちなみに、彼の仕事で扱うものは基本、大型機械である。

 トランシーバーのような携帯などはあまり得意ではなかったりする。

 

「へぇー……人間ってすごいのね」

 

 スズカは感心した様子で機械を見ていた。

 軽く触ってみると、どうやら動いたようで青年の体に強力な電気が走る。

 その電気をモロに食らった青年は大きく痺れた後、機械から急いで離れた。

 

「それ、ウマ娘には反応しないのよ。人間だけに反応して動くのよ……それよりも、なんで直したのかしら? こんなもの、直したところであなたの得にはならないでしょ?」

 

 そう言って機械を撫でるように触る。

 そんなスズカに、痺れながらも青年は答える。

 

 人助けが好きだから、と答えた。

 スズカは一瞬キョトンとして、笑った。

 

「人助けが好き、ね……そう、見極める価値はあるようね」

 

 青年は最後のボソボソ声が聞き取れず、スズカに聞いたがなんでもないわ、と言ってた有耶無耶にされた。

 そして気づけば、スズカの姿はどこかへと消え去っていた。

 

 青年は機械を一瞥した後、道を歩き出す、

 道中ウマ娘から話を聞いたり、戦ったりしつつ、足を進めて行く。

 すると何度か見た見張り小屋が目につく。

 見張り小屋の下ではマスクをつけたウマ娘が気絶していた。

 あのグラスワンダーと追いかけっこしていたウマ娘だった。

 

 青年は彼女を起こすと戦いになるだろう、そう考えて刺激をしないよう、静かにその場を通った。

 なんとか無事通れた青年は、遠くに橋のようなものを見つける。

 橋の向こうには二人の姿。

 

 青年はさっき聞いた、最後の試練という言葉を思い出す。

 きっとこれが最後なんだろう、これで終わりだろう。

 そうなれば多分、戦うことになるのだろう。

 

 そう考えたことで、足を進めることを躊躇してしまう。

 もし足を進めれば戦いになる。

 戦いになるということは、エアグルーヴの時のように行く保証もないわけで。

 だが青年に、人を、ウマ娘を殺すような勇気もないわけで。

 

 しかし青年は、胸に決意を秘めていた。

 家に帰ると、この地下世界から出ると。

 その思いはだんだんと強くなって行く、考えれば考えほど強く。

 気づけば青年の足は前に出ていた。

 二人の、最後の試練の元へ。

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