DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

18 / 32
スペシャルな試練⑤

 橋はそれなりに長く、二人の声がギリギリ聞こえるかどうかと言う程度の長さだった。

 橋の下を見れば谷のようになっており、掘った痕跡が見られる。

 そしてその掘った場所には、槍を始め様々な危険物が備え付けられていた。

 青年はアレが最後の試練なのだろうか、と考えると少し怖くなってしまった。

 だが今はただ自身の意思に従い、歩き出す。

 

 遠くで二人は何か話していたが、聞き取れなかった。

 青年が橋の前に立つと、二人は青年に気づき大きな声で言う。

 

「人間さんっ!! ここが最後のっ! スペシャルな試練ですっ!!!」

 

 そう言って腰に手を当てて、胸を張る。

 そんなスペシャルウィークの近くには、青年が直した機械に酷似した機械があった。

 機械には一つ、大きなレバーが付いており、スペシャルウィークはそこに手をかけている。

 どうやら、何かを動かす機械のようだった。

 青年にはなんとなく、動かすものがわかっているのだが。

 

 青年は聞いた、ここでなにをすればいいのか、と。

 スペシャルウィークは胸を張ったまま答える。

 

「それは……この橋を渡るだけですっ!!」

 

 青年は橋の下を見て、スペシャルウィークに聞く。

 ただ橋を渡るだけでいいのか? と。

 スペシャルウィークは首を横に振って、レバーを降ろす。

 瞬間、橋の下にあったものが上昇して様々な動きをし始める。

 その動きは明らかに、殺しに来ていた。

 

「ふっふっふっ……今回は故障していませんよっ!」

「スペちゃん。これじゃあ死んじゃうわ」

「大丈夫ですよっ! 確か緩めるボタンが……これですっ!」

 

 何やらボタンを押した、すると青年の背後に柵のようなものが地面から出てくる。

 そして燃え出し、青年から逃走という選択を奪い去った。

 青年は二人の方を見ると、スペシャルウィークはとても慌てていた。

 

「……こ、これでしたっけ?」

 

 別のボタンを押すと、青年の真上から大きな岩のようなものが落ちてくる。

 青年は咄嗟に避け、更に橋の方へと近寄る。

 と言うより、逃げ道が橋以外無くなってしまった。

 

「あー、スペちゃん?」

「だ、大丈夫、なはずですっ!」

 

 流石のスズカも少し心配そうにスペシャルウィークを見る。

 スペシャルウィークはポケットから、説明書のようなものを取り出し凝視しながら機械を触る。

 だが止まることなく、逆に激しくなり続けていた。

 

 そしてついに、青年は橋の上に立つ。

 少し不安定な橋、頑丈そうに見えるものの、罠のせいで崩れてしまいそうな感じがあった。

 青年は二人の名前を叫んでみる。

 

「多分これで……止まる、はずですっ!」

 

 そう言いながら押した瞬間、大爆発とともに機械は粉砕された。

 それはもう、見事な爆発であった。

 三人はただそれを見つめることしかできなかった。

 それに伴い、更に激化する罠の数々。

 と言うか、爆発したことによって動いていなかった全ての罠が動き出す。

 

「に、人間さん……」

 

 少し涙目でスペシャルウィークは青年の方を見る。

 その時、青年は既に走り出していた。

 背後から、上から、下から、迫る死に対して逃げるように。

 青年は死ぬわけにはいかないと、ただ必死に走る。

 ありとあらゆるとこから攻めて来る、罠を避けながら。

 

 そんな時、ついに橋が壊れ始める。

 制御装置を失った罠たちは加減を知らない。

 

 橋の直径はそう長いものではない。

 だが目前に迫る罠が青年を通らせまいと道を塞ぐ。

 その一方で青年の後ろの橋は崩壊を始める。

 

 それを見た青年は、目を瞑って走り出す。

 罠の恐怖心を無理やり打ち消すように。

 

 だが後もう少しというところで、前方からの大きな音に目を開いてしまう。

 いや、開いたこと自体は正解だった。

 だがそこで一瞬戸惑ってしまったのがダメだった。

 前方の橋が崩れかけていたのだ。

 

 一瞬の恐怖に足が止まりかけるが、その場は無理やり走ろうとした。

 だが、次の瞬間には橋は崩れ、落ちかけていた。

 青年は咄嗟に飛び上がり、二人のいる場所に手を伸ばす。

 

 だが後少し足りず落ちかけた、その一瞬、体が浮いたような気がして、ギリギリのところで手が届く。

 見上げろてみればそこには、ニヤニヤ顔のスズカが立っていた。

 

「大丈夫だったかしら?」

 

 そう言ってポケットから手を出し差し伸べる。

 晴天はその手を取り、なんとか引き上げられる。

 自身の渡ってきた場所を見返すと、何か破壊されたような跡があり、機能を停止していた。

 その光景に思わずゾッとする。

 

「その様子だと怪我はなさそうね」

 

 その言葉に、死にかけたけど、と答える。

 青年は機械の方へ向かって軽く中身を確認してみる。

 どうやら最初から壊れかけだったようだ。

 事故、と呼ぶには酷い感じてはあったのだが。

 

 青年は話を聞こうとスペシャルウィークを探すが、姿はない。

 スズカにどこへ行ったのか、と聞くが首を横に振って、わからないと言った。

 もはや修復不可能であったため、機械は置いといて先へ進もうとする。

 だがスズカに呼び止められ、足を止める。

 

「もしスペちゃんに会っても、許してあげてね? あの子もほら、悪気があってやったわけじゃないから」

 

 青年はその言葉に頷くと、相変わらずの顔で青年の先を歩いて行った。

 青年はスズカについて行くように、先へと歩き出す。

 騒がしくも、明るい方向へと。

設定資料出して欲しい?

  • YES
  • NO
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。