DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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実は本当に何も考えず、突発的に思いついたことを書いている。
悔いはない。


旧寮
花と女帝


 落ちてから一体、何時間経ったのか。

 穴の底へと落ちた青年は、気づいたら目が覚めていた。

 色とりどりの花の中、包まれるようにして倒れていたのだ。

 そのおかげか、彼の体には汚れがあるものの傷一つなかった。

 

 起き上がり周囲を見渡す。

 周囲にはこれと言って目立つものはなく、目印になるようなものもない。

 上を見上げれば光が射していた。

 高さ的になる十分人が死ねるような高さであった。

 

 一先ず、少し先の方に見えた道の方へと進んで行く。

 何もしなければ何も起こらないからだ。

 

 少し先へと進んだその場所は黒く、暗く広がる場所だった。

 

 あまりの暗さに、今入ってきた入り口と先の入り口しか見えなかった。

 中心の一輪の花が咲く芝を除いて。

 その花は少しばかり、色が奇妙だった。

 なんせ赤と白だけの花だったのだ。

 

 奇妙な花を近くで見てみようと近づいた、その時だった。

 

「やぁ!」

 

 突然青年の近くから声が聞こえた。

 声の主を探そうと周囲を見渡すもの、誰の姿も見当たることはない。

 そこで視線を花にやってみれば、なんと花がくねくね動いていた。

 青年はびっくりしてよろつきながら後ろに下がる。

 

 それとほぼ同時に花がこちらへと振り返った。

 そこにあったのは人の顔だった。

 人の顔よりは少し現実味のない顔ではあったのだが。

 何にしろ奇妙なものであることに変わりはなかった。

 青年は花の前に立つ、すると花は話を始めた。

 

「ボクは……テイオー。見ての通りお花のテイオーさ!」

 

 くねくね体を動かしながら、花は自己紹介をする。

 笑顔で、いかにも友好的で。

 花のテイオーは彼に言った。

 

「むむむ〜? キミは……どうやらこの世界に落ちてきたばかりみたいだね!」

 

 青年は頷く。

 花は青年の反応に嬉しそうに言葉を続ける。

 

「それじゃあここのルールも知らないわけだ。安心して! ボクが教えてあげるからっ! 準備はいいかい? それじゃ始めるよっ!」

 

 その言葉と同時に、彼の前に一つのハートが浮き上がる。

 赤く輝く、綺麗なハートだ。

 そのハートに彼は触れる、どうやら掴めるようだった。

 

「そのハートはキミの魂なんだ。ボクたちは(ソウル)って呼んでるけどね。キミが存在出来てるのも、それのおかげだよ」

 

 ハートを見て、青年は大切なものだということ理解する。

 このハートをどうすればいいのか、と青年は花に聞いた。

 

「そのソウルはね、とても弱いんだ。ソウルが弱いということは当然キミも弱い。でも強くする方法があるんだ!」

 

 そう言うとテイオーの後ろから一匹のミツバチが現れる。

 ミツバチはテイオーの周りをブンブン飛び回っていた。

 止まることなく、ひたすら同じ場所をぐるぐると。

 

「それはLvを上げることさ! Lvって言うのは『LOVE』のこと。つまり愛なんだ! あ、愛って言っても友達とか、そういうのだよ?」

 

 青年は頷いて答える。

 その言葉にテイオーは笑顔のまま言葉を続ける。

 

「それで、キミも『LOVE』欲しくない?」

 

 どうやったら手に入るのか、青年はテイオーに聞いた。

 テイオーは簡単だよ、と言って近くに飛ぶミツバチを自身の花弁に止まらせる。

 

「この子に当たればいいんだ! そうすればお友達になってLOVEも手に入るよ!」

 

 ミツバチは浮き上がり、青年の近くへと飛ぶ。

 青年は自身のソウルをミツバチの前へと出した。

 ミツバチはゆっくりと近づきながら、ハートへと当たる。

 

 気づけば青年の体には、大きな傷が付いていた。

 死にも至るような大きな傷が。

 青年はその傷に血反吐を吐きながら、膝をつく。

 テイオーの方を見ればさっきの友好的な笑顔とは違う、酷く歪んだ笑みを見せていた。

 

「えへへへ、キミはバカだね。この世界では殺すか殺されるかさ。Lvを上げる絶好のチャンス。そんなの逃すわけがないでしょ?」

 

 テイオーは土の中を移動し、青年の前に現れる。

 地面からからはツタを伸ばし、青年のソウルをしっかりと持った状態で。

 テイオーはまるでソウルを砕こうと徐々に力を強めて行く。

 青年は何も出来ず、ただその様子を見守ることしかできなかった。

 

「バイバイ」

 

 別れ言葉を最後に、思いっきりソウルを締め付け砕こうとした。

 その瞬間、背後から強烈な爆発音のようなものが聞こえ、テイオーは咄嗟にソウルを手放し後ろを見た。

 だがその爆発は砂塵を巻き上げて周囲を見えなくし、青年とテイオーをかく乱させた。

 

 テイオーは逃げ出そうと土の中に潜ろうとしたが、砂塵の中から手が伸びてきてテイオーの根元を持ち引っ張り上げた。

 うねうね動いて逃れようとするが、時すでに遅く砂塵の中から二つの目がテイオーを睨みつけていた。

 

「貴様……誰の了解を得て私の庭へと足を踏み入れている」

「……えへへ」

 

 テイオーは笑うことしかできなかった。

 なんせ花であるテイオーは土の中でしか攻撃手段を持たない。

 さっきのミツバチも既にいないのだ。

 

 その砂塵の中の誰かはテイオーを見て怪訝そうな顔をする。

 

「……貴様、タキオンのところの実験生物か……」

「は、離してくれると嬉しいなー……なんちゃって」

「ならばもう二度とここへは現れないことだな。次見たその時は……」

「ひぃっ! わ、わかったよぅ! もう二度と出てこないからぁっ!」

 

 テイオーが怯え怯えにそう言うと、砂塵の中の人は手を離す。

 ばさっと音を立てテイオーは落ちて、土の中へと潜ると姿を消した。

 テイオーが消えると砂塵は止まり、正体不明の誰かは姿を現し青年のことを見た。

 それは頭から馬の耳を生やした綺麗な女性だった。

 

「む、貴様は……まさか、人間か?」

 

 青年はゆっくり頷くとその女性は少し考え込む。

 その間、青年は身動き一つ取ることができなかった。

 なんせ今のを見てしまっては、動いたらどうなるか分かったものではないからである。

 要はちょっと怯えていた。

 

 女性はさっき青年が入ってきた入り口を見る。

 

「なるほど、落ちてきたのか。人間が落ちてくるなど何年振りか……ふっ、大丈夫だったか?」

 

 そう言いながら女性は優しそうな笑みとともに青年へ手を差し伸べる。

 青年はその手を掴んで立ち上がる。

 

「私の名前はエアグルーヴ。今は……ここ旧寮の管理人をしている」

 

 青年はその言葉に、何故旧寮なのか、と聞いた。

 

「人間ならば知っていると思うが……この地下は昔、私たちウマ娘が強くなるために使っていた施設だ。昔はこの旧寮ももそのウマ娘たちのためにあった場所なのだが、施設の各所にウマ娘たちが住処を作るようになってからは寮も使われなくなっていった」

 

 そう言いながらエアグルーヴは歩き出す。

 青年は置いていかれまいと、急いでついて行く。

 

「二つあった寮のうち片方は廃棄になり、もう片方は『皇帝』の住みかとなった。その時、使われなくなった寮がここなのだ……と言っても、貴様には何もわからないと思うがな」

 

 暗い暗い空間を抜け出すとそこは、ボロボロになった建物の中だった。

 青年とエアグルーヴが立っている場所は廊下で、いくつも扉がある。

 床を見れば木の板がだいぶ痛んでおり、今にも抜けそうだった。

 奥の方を見れば、いくつか扉や天井から顔が出て青年を見ていた。

 

「さて、貴様にここを案内するとしようか。ついてこい」

 

 その言葉に青年は、エアグルーヴについて行くように寮の奥へと進んで行った。




人間
名前:アオイ
普通の青年で地下のウマ娘たちに戸惑っている。
なんと脱出するために、地下世界を進んで行く。

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