DERBYTALE (AU) 作:フラウィー
「わかっとんのか、オグリ」
「……わかっているさ。タマ」
二人のウマ娘はただ、その様子を見届けようと茂みに隠れていた。
雪は降らないが、土の山ににんじんの山。
地下世界の中でも『供給源』としての活路を見出された地。
それを知るものは少ない。
知っているとすれば、この二人のウマ娘くらいだろう。
オグリキャップとタマモクロス。
このにんじん大農園で唯一、にんじんを作り売っているウマ娘たちである。
それが意味するのはたった一つ。
彼女たちもまた、皇帝直属の部下であると言うことだ。
「ええか。ウチらの使命はにんじんを育てること……せやけど、今日限りは人間の監視や」
「……わかっている」
「本当にわかっとんのか……?」
真剣な眼差しでどこかを見つめるオグリの顔を見たタマは心配そうにしていた。
時間としては、青年が店を出てすぐのことだ。
タマを探しに行ったオグリはちょうど帰ってくるところに遭遇し、事情を聞いた。
『皇帝からの勅令』だと。
即ち、絶対に遂行しなくてはならない、と言うことだ。
皇帝は優しい、誰にでも分け隔てなく接し、ウマ娘たちのために戦っている。
だがその一方で、彼女は信頼を絶対としている。
信頼を裏切ること、それ即ち、彼女を裏切ることと同意義だと。
タマモクロスはそれが怖かった。
「オグリ来たで!」
「む……!」
にんじんをガン見していたオグリも視線を移す。
そして、木々によって作られた一本道、そこを通る人間の姿を見ていた。
だが突然、この辺では滅多に、と言うか起こるはずのない霧が出始める。
タマは不審に思いつつ、監視を続けている。
青年は気にするそぶりを見せず、歩いていたからだ。
「なんやこの霧……」
「アレじゃないか? 魔法、とか」
「そないなこと……いや、あり得るか? でも……」
少し考え込み、視線を下に下げた。
その瞬間だった。
「タマ、何か変だぞ……!」
その言葉にタマモクロスはすぐさま顔を上げ、青年の様子を見る。
歩く青年の後ろから、誰かが近づいていたのだ。
その誰かが片手を振り上げると青年の目の前に大量の尖ったにんじんが生える。
青年はにんじんによって足を止め、振り向く。
にんじんが生えると同時に周囲の霧は晴れ、その誰かははっきりと見えるようになる。
そこに立っていたのはいつにも増して真剣な表情で立つ、スペシャルウィークだった。
「人間さん、そこから先は通行禁止です」
青年は振り向き、スペシャルウィークに聞く。
どうして通してくれないのか、と。
「私……この、私がっ!! 人間さん、あなたを捕まえるからです」
そう言って振り上げた手を下ろすと同時に、その手の中ににんじんで出来た剣が出てくる。
そして少し申し訳なさそうを顔して、少し時間が経つ。
やがて顔を上げて口を開いた。
「さっきは、その……すいませんでした。私のせいで、人間さんが死にそうになって……」
青年はもう過ぎた話だ、と言いつつも気になっていることがあった。
もしかしてスペシャルウィークは捕まえた後のこと、そのことを知らないのではないのか、と。
スズカ曰く、スペシャルウィークの夢は人間を捕まえること、と言ってはいたが、それはただの経過地点に過ぎない。
彼女は昔のスズカみたいに、と言っていたのだ。
それが意味するところはよくわからないが、結局のところ人間を捕まえるのは手段であって、目的ではないと言うことだった。
青年は少なくとも、そう結論づけた。
ならば、だとしたらば、少なくとも和解はできるはずだと。
「……ですけど、その話とこれは別ですっ! 私は人間さんを捕まえて、そして……! 勝負です。覚悟の準備はいいですかっ!!」
スペシャルウィークはにんじんを生やして逃げ場を塞ぐ。
そしてにんじん剣を構え、青年と向かい合う。
青年もグローブを着け、構える。
様子を見て、慌てていたウマ娘が二人。
二人いたのだが、スペシャルウィークと青年はそんなこと知ることなく、お互いに向かい合って駆け出したのだった。
ガバガバ関西弁なタマちゃん。
関西弁って難しいよね。
設定資料出して欲しい?
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YES
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NO