DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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今回は番外編というか、どうでもいい話です。


サイレンススズカのお誘い

 スペシャルウィークと特訓を明日やろう、と約束した青年は彼女と別れ町を見て回っていた。

 そしてどこで休もうか、とも考えていた。

 この町に店はあれど宿はない。

 過去にはあったらしいのだが、誰も来ないものだからなくなったらしい。

 ちなみに、その元宿の空き家の隣にあるお店に、オグリは戻ってきたようで開いていた。

 

 町も見終わり、何人かのウマ娘と話し、青年は暇になっていた。

 エアグルーヴに電話を掛けようとも思っていたが、電話を手にした瞬間、何を話したらいいかわからなくなり、やっぱり掛けなかった。

 これからのことも考え、少し先を見ていた方がいいかもしれないと思い、訓練場の入り口辺りへと行く。

 

 崖の上にある木の門を入り口とした、芝と土の道が入り混じる不思議な場所だ。

 上を見上げればあっちこっちの壁面に建物、そして吊り橋。

 結構ボロボロでいつ崩れてもおかしくないだろう。

 だが崖の下にはまるで陸上のレース場のようなものがあった。

 芝と土、二つの種類のレース場だ。

 そのレース場を囲うようにたくさん小屋のようなものがあるのだが、あそこら辺にライスシャワーがあるのだろうか、と青年は考えた。

 

 そしてそんなレース場を見下ろすウマ娘が一人いた。

 ピンク色のウマ娘だ。

 目を輝かせ、レース場に見えるウマ娘を見ていた。

 

「やっぱりカッコいいなぁ……!」

 

 まるで桜のような目をしているウマ娘はそう呟いて、青年にも気付かず見ていた。

 青年は邪魔するわけにもいかないと思い、少し先を見てみる。

 と、そこにはスズカがいた。

 

 スズカはまるで屋台のようなところでだらけていた。

 屋台の前には看板が一つ、『ホースドッグ販売中』と。

 よくわからないものが売っているようだった。

 青年は声をかける。

 

「あら人間、どうかしたのかしら?」

 

 だらけたままニヤニヤした顔で青年を見るスズカに、青年は何をしているのかと聞いた。

 

「私、色々と仕事をしてるのよ。これもその一つね」

 

 そう言ってよくわからないものをパンで挟んだものを取り出す。

 不思議なものであったが匂いはそれなりに良かった。

 いる? と聞かれたが青年は断るとスズカはそれを何処かへと片付ける。

 そして立ち上がると青年に言った。

 

「今からマンハッタンズに行くのだけど、あなたも来るかしら?」

 

 青年が頷くと、じゃあ少し目を瞑ってと言われ、青年は目を瞑る。

 時間にして大体三秒くらい、開けてもいいと言われ、目を開けたそこはマンハッタンズの前だった。

 青年は驚いて辺りを見渡すと、そこはさっきまでいた町の中、一体どうやったのか、とスズカに聞くが曖昧な返事で誤魔化されたのだった。

 店の中へ行くと、中はかなり活気付いており、見たことないウマ娘の結構いた。

 

 スズカが入ってきたことに気づくと、皆スズカに挨拶をする。

 スズカもその挨拶に適当に返してカウンター席へと座る。

 カウンターの向こうにはウマ娘が一人、バーテンダーをしていた。

 スズカを見てちょっと嫌な顔をしていたのは内緒だ。

 

「カフェ、いつものくれるかしら?」

「ツケ、払ってくださいよ。かなり溜まってるんですから」

 

 そう言いながらコップを拭いている。

 スズカは少し考えた様子でこう言った。

 

「じゃあグラスワンダーにツケといてくれるかしら?」

「……またですか。私としても払ってもらえれば、それでいいんですけど。怒ってましたよ」

「大丈夫よ、私にはスペちゃんがいるから。あ、あと人間にはオススメをよろしくね」

 

 そう言って出されたにんじんジュースを飲んだ。

 青年も出された飲み物を飲む。

 かなり苦く、見てみれば真っ黒なコーヒーだった。

 

「……えーっと、何話そうと……ああ、そうそう、スペちゃんのことね」

 

 青年はコーヒーを飲みながらスズカの話を聞く。

 

「スペちゃん、皇帝兵になりたい、って言ってたわよね。で、あの子兵団長さんのとこに入らせてください、と言いに言ったのよ。あれは……数ヶ月前の話だったかしら? それで、まぁ、門前払いよ。実際のところ、優しすぎるからダメ、だって。確かな話よね」

 

 スズカはにんじんを飲んで、ポケットから取り出したおもちゃの銃を磨き出す。

 ただ青年は、そのおもちゃの銃がただのおもちゃの銃には見えなかった。

 なんせ初めてあった時に持っていたものと少し違っていたからだ。

 だが青年はそのことを聞かずに、話を聞き続けることを選ぶ。

 

「それともう一つ。聞いておかないといけないことがあるのよ」

 

 スズカのその言葉に、変な緊張感が場を包む。

 

「人間、あなたは訓練場に現れる幽霊のことを知ってるかしら?」

 

 青年は幽霊の言葉に首を傾ける。

 そもそも訓練場に入ったことすらないのだから、そんな話聞いたこともない。

 青年はスズカに詳しく知りたいと聞く。

 なんせこれから進む場所なのだから。

 

「その幽霊はね、ウマ娘の姿をしているの、まるでシーツのようなものを被っているらしいわ。そしてどこからともなくから現れて、壁をすり抜けるって話よ」

 

 青年はシーツを被ったウマ娘を知っていた。

 もしかして思ったが、スズカには言わないでおいた。

 確信もないのに言えなかったからだ。

 それで話は終わりかと思われた、がスズカはでも、と言った。

 

「スペちゃんが見たのは違うのよ。スペちゃんも幽霊を見たんだけど、それならどうも灰色のウマ娘にだったらしいのよ。髪も肌も、何もかも灰色で、目がないのよ。そしてスペちゃんに色々言って消えたって話よ。まぁ、覚えていないって言ってるから、多分夢でも見たんじゃないかしら?」

 

 スズカはそれだけ言うと一気にジュースを飲み干して、立ち上がる。

 

「じゃ、私そろそろ戻るわね。あ、そうそう。泊まるところがないんだったらお店の隣にある空き家、あそこ使ってもいいって店主が言ってたわよ」

 

 スズカは立ち上がるとおもちゃの銃をしまい、軽く手を振ってその場を去っていった。

 青年もコーヒーを飲み干して、深呼吸をする。

 まだ見ぬ土地と言うものに、言いようものない緊張感を抱いて、寝泊まりできるであろう空き家へと向かった。

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