DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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スペシャルで怠惰な家

「ここが私とスズカさんの家ですっ!」

 

 スペシャルウィークは両手を広げて大きな声でそう言った、家の中で。

 

 青年は今、スペシャルウィークとサイレンススズカの家に来ていた。

 理由は外で特訓ができないため、家の中ですることになったからだ。

 

 普通特訓するならば外でもいいのだが、とある事情により外での特訓、戦いができなくなってしまったのだ。

 と言うか、禁止されたのである。

 あの戦いは町にまで影響を及ぼしていたのだ。

 

 町の一部は破壊され、それは酷いものだった。

 ただその問題はスズカによって解決されていたのだが。

 彼女曰く、簡単な話よ、らしかった。

 

 で、そんな彼女は今、机の上で溶けていた。

 溶けているようなすごい姿勢で継ぎ接ぎのソファーに座って、テレビを見ていた。

 いつも着ているパーカーを脱いで、クソダサいTシャツ一枚でいるのだ。

 ズボンは外で履いているのと同じだった。

 

「スズカさんっ! 人が来てるんですよっ!! だらけないでくださいっ!!」

「いいじゃない。人間は私たちの友達なんだから」

「友達だから……む、むぅ。まぁ、それなら……」

 

 よくないのでは、と青年は思ったがスズカに何言っても意味はないだろうと思い、何も言わないでおく。

 青年は何を見ているのか気になり、スズカの側に行きテレビ画面を覗く。

 場面が変わったと思ったら、テレビには何処かで見たような顔が写っていた。

 どこで見たのか青年は考えて思い出す。

 ライスシャワーと見たテレビだった。

 

 場面が変わると同時に、そこに出てきたミホノブルボンの顔を見てスズカは神妙な顔をしていた。

 気づかぬうちに姿勢も直っており、ちゃんと座っていた。

 なんと例えたらいいのかわからない、今までスズカがしたことない顔だった。

 

「ミホノブルボンさんですね、懐かしいですっ!」

 

 横から顔を覗かせテレビを見たスペシャルウィークがそう言った。

 青年は懐かしいと聞いて首を傾げ、スペシャルウィークに何故懐かしいのかと聞く。

 

「懐かしい理由ですか? それはですね、昔……」

「スペちゃん」

 

 スズカじゃあ考えられないような強目の呼び声に、スペシャルウィークはビクッとして声が止まる。

 そしてスズカの方見て、何かに気づき頭を下げる。

 

「あっ。ご、ごめんなさい、スズカさん……」

「いいのよ……ごめんね、人間。それはちょっと話してもらいたくないのよ」

 

 青年はわかったと言って頷くと、スペシャルウィークに家の案内して欲しいと言う。

 スペシャルウィークも頷いて歩き出すと、青年はその後ろをついて行く。

 まず案内されたのはキッチンだった。

 料理された跡があり、ハンバーグが置かれていた。

 

 ちょっと欠けていてフォークが置いてあるところを見ると、食べかけらしかった。

 誰が食べたのか、というのは大体予想がつくのだが。

 スズカを見れば案の定と言った感じで、いつものニヤニヤ顔で口辺りに食べカスをつけこちらを見ていた。

 

「誰が食べちゃったみたいですね。食べてもらいたかったんですけど……人間さん、また作りますねっ!」

 

 青年は頷いて、楽しみにしてると言った。

 

 次に案内されたのはスペシャルウィークの部屋だった。

 特訓はここでするらしく、大体の家具が端にやられていた。ほとんどの家具ににんじんが目立つ。

 と言うか九割がたにんじんのようなもので構成されていた。

 青年はその部屋に驚きつつも、にんじんばかり見てきたことで慣れ始めてもいた。

 

 好きに見てくださいっ! と言うものだから少しばかり部屋を歩き回り始める。

 部屋は結構広く、それなりに動き回ることはできそうだった。

 流石に戦いはできないが、それでも特訓ならばできるであろう広さではあった。

 

 適当に追いやられた家具の中に、一つの写真を見つける。

 スペシャルウィークとスズカ、そしてミホノブルボンに、見たこともないウマ娘が写っていた。

 スズカは見せたこともないような笑顔で、スペシャルウィークは今より幼さがある。

 そして何より、ミホノブルボンはテレビで写ってる限りじゃ考えられないような無表情だった。

 

 スズカが話したくなかったのはこの時なのだろうか、と青年は考えた。

 にしてはそんな写真が何故こんなとこにあるのか、と気になったのだが。

 気になるところではあるのだが、聞いたとしても多分スペシャルウィークは話さないだろうと考えて写真を置く。

 そして一通り見て回り、スペシャルウィークにそろそろ始めようかと言う。

 その問いにスペシャルウィークは元気よく答える。

 

「はいっ! 人間さん、お願いしますっ!!」

 

 青年の赤く光るソウルが出てくると、部屋の雰囲気ががらりと変わり、特訓が始まった。

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