DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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スズカと支店

長く続く道にこれからのことを思うと、決意がみなぎった。

 

 

 

 倉庫を出て再び歩いていると、見覚えるのある姿が目に入る。

 この地下に来てから何回目かもうわからなかったが、かなり見覚えのある姿だ。

 青年はその名前を呼んで手を振る。

 

「あら、こんなとこでどうしたの?」

 

 緑のパーカーににんじん柄のよくわからないTシャツを来たウマ娘。

 サイレンススズカだった。

 さっきの電話ではスペシャルウィークと一緒にいるはずだったのだが、何故こんなとこにいるのだろうかと、青年は考えた。

 だがスズカはよくわからないところが多々あるのであまり考えないことに決める。

 青年はこんなところでなにをしているのか、と聞いた。

 

「ビジネスよ。ま、一般的に言うと仕事ね」

 

 そう言うと背後に置いてあったものを取り出す。

 遥か先まで見えそうな大きな望遠鏡だった。

 スズカはそれを遠く離れたパドックに向けて設置する。

 

「普段ならお金を取るのだけど……スペちゃんの友達だし、タダにしといてあげる」

 

 いつものニヤニヤ顔でそう言った。

 青年はせっかくだからと望遠鏡を覗いてみる。

 よくお店に売っている高そうな望遠鏡で、質感的にな少し重そうだった。

 こんなもの一体どうやって持ってきたのかと思いつつ、遠くを見る。

 

 だが何も映らない。

 と言うより真っ暗だった。

 ピントが悪いのだろうか、と思って弄ってみるも何も映ることはない。

 しばらく動かしていたが、結局何も映らなかった。

 青年は目を離して一歩下がる。

 

「どうだったかしら?」

 

 青年が何も見えなかった、と伝えるとおかしいわねと言って望遠鏡をベシベシ叩く。

 

「きっと故障していたのね、よくあることよ。それにしても人間……面白い顔をしてるわ」

 

 青年はどういうことだろうと思いつつ、スズカと別れて歩き出す。

 スズカからすぐ近くに入った建物へと入ると、そこには一人のウマ娘がいた。

 

 これまた見覚えのあるウマ娘で芦毛のウマ娘、オグリキャップである。

 看板には大きく『オグタマショップ:練習場支店』と書かれていた。

 

「む、人間か。また会ったな」

 

 昨日会ったばかりだけど、と青年は言葉を返す。

 青年はあの後、タマモクロスとは出会えたのか聞く。

 その言葉に一瞬、ビクッとして、言い澱みつつも答える。

 

「あー……そう、だな。ああ、出会えたぞ。用事も済ませたから安心してくれ」

 

 青年はその反応に不思議がりつつも、支店の様子を見る。

 支店、と言ってもそう大きくはなく看板立ててカウンターを置いただけの簡単なものだ。

 奥には商品が見えるがそれだけである。

 ただの一つ、青年が気になったものがあるとすれば、奥の商品は全部同じ箱であるということだけだ。

 

 青年は聞く、ここには何があるのかと。

 

「ここにはにんじん棒しかないぞ」

 

 オグリのその言葉に、青年は買おうか悩む。

 なんせお詫びと言って貰ったにんじん棒がまだ、二本残っているからである。

 だがせっかくの来たのだからと、一本だけ買うことを決めた。

 青年は一本だけほしい、と言う。

 オグリキャップが持って来たにんじん棒とお金を交換して、青年は簡易的な袋に入っているにんじん棒をカバンにしまう。

 

「それとこれだ」

 

 オグリキャップはどこからかチケットのようなものを取り出して、青年に手渡す。

 チケットには『にんじんくじ引き券』と書かれていた。

 これは何かと、オグリに聞く。

 

「この先にも支店はあるんだが、そこで使えるものだ。大事に取っておいてくれ。それと。何かという質問についてだが、タマモから渡すようにと言われただけで、実のところ私はよく知らないんだ……」

 

 青年はありがとうと言うと、建物から出ようとする。

 そこでオグリに止められる。

 

「……人間。一つ聞いてもいいか?」

 

 青年は頷いた。

 

「ウマ娘と人間が共存……できると、思うか?」

 

 また青年は頷いた。

 確固たる自信を持って、頷いた。

 それはこの地下世界での旅から感じていることだった。

 

「そう、か……済まない、時間を取らせて。ありがとう」

 

 オグリは少し安堵したような顔をしていた。

 青年は先へと進むために、また歩き出して行く。

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