DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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バクシン的なマネキン

 青年は近く深く、暗い底にて目を覚ます。

 落ちてきた場所はどうやら川のようで、体に傷はなかった。

 ビショビショに濡れているものの、浅いところに流されていたようで命に別状はなさそうだった。

 一先ず青年はエアシャカールの追跡から逃れたことで、安心のため息を漏らす。

 

 ここはどこだろうか、と周りを渡す。

 川なのは確かなのだが、どこにある川なのかはさっぱりだった。

 近くに橋の切れ端、青年が立っていた場所があるところを見ると、落とされた場所から意外と近いのかもしれない、と考える。

 

 よし、と立ち上がり、シャツを脱いで軽く絞ると、他に着るものもないので着直して歩き出す。

 少し歩いていると、何かの山が見えた。

 近づいて行くと、なにやら悪臭が漂ってきて、青年はあまりの臭さに顔を歪める。

 

 そこにあったのはゴミ山、人間のものが流れついてきたゴミの山だった。

 何故、人間のものと理解したか、それはゴミ山にあったもので理解できた。

 なんせウマ娘の世界では明らかに存在しないであろうものばかりだったからだ。

 例えばアニメDVDのケースとか、かなり古い携帯とか。

 様々なものがあったからだった。

 

 主人公は軽く懐かしみながらも、何故こんなものがあるのかと考えた。

 頭にコツンと、何かが落ちてきて、それを見て彼は気づいた。

 

 落ちてきたものは人間の物、落ちてくる場所は滝からだった。

 要は山に放棄され川に流されたゴミ達が、ここに流れ着いているということだった。

 

 青年はそんな負の山を乗り越えるために歩き出す。

 先へ進むために歩いていると、少し古いマネキンが目に入る。

 マネキンと言っても、ただのマネキンではない。

 

 ウマ娘の体をしたマネキンで、自支えもなしに立っているのだ。

 そして真面目で元気の良さそうな顔をして、ピンクな服を着ていた。

 軽く触ってみるも動きはしない。

 いくらウマ娘の世界と言えど、命があるわけないかと、青年は前を向いて歩き出す。

 

 少し歩いたその瞬間、誰もいないはずの川に声が響いた。

 

「そこでストップですッ! 人間さんッ!!」

 

 急な声に振り向いて見るも、そこには誰もいない。

 ただマネキンが一つ、立っているだけだ。

 もしかしてエアシャカールの部下が来たのかもと思い、急いで移動しようとした。

 しかし前を向いたその瞬間、それは目の前に来た。

 

 さっき触れた、あのマネキンである。

 

「さっき私に、触れましたね!」

 

 青年な咄嗟に頷く。

 と言うよりも頷いてしまった。

 あまりの突然のことに驚き隠せず、頷いてしまっていたのだ。

 

「いえいえ、私は別に怒っているわけではありません! 学級委員長たるこの私に触れたくなる気持ち、よくわかりますッ! ですが! それはいけないことです!」

 

 青年の頭の中にいくつかはてなマークが浮かび上がる。

 学級委員長とは一体なんのことだろうかと。

 この周辺には見る限り学校はない。

 かと言って生徒でもなさそう、と言うかマネキンである。

 

「人間さんには罰を受けてもらいます!」

 

 マネキンはそう言うと軽く構える。

 すると周囲のゴミ山から色々なものが浮かび上がり、青年へと向きを変える。

 青年は、足を踏み込んで構える。

 

「ふっふっふっ。覚悟の用意はよろしいでしょうか!?」

 

 などと言われたものの、青年は当然覚悟などできているわけなかった。

 あまりの突然のことに何も準備できていないのだ。

 と言ってもそんなことは散々あった。

 ただ相手はマネキンである、わけわからなさで大混乱なのだ。

 

「それでは人間さん! お覚悟をッ! バクシーンッ!!」

 

 謎の掛け声とともにそのマネキンは青年へと飛びかかる。

 青年も踏み込んでマネキンを退けるために走り出した。

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