DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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実はゲームの方でライスシャワーを持っていないです。
だから何と言われたら、セリフ書くのが難しかった、とだけ言っておきます。
許して、世のライスシャワーのお兄様、お姉様。


青薔薇のゴースト

 青年は白いシーツを被った幽霊に、声をかける。

 幽霊は一瞬ビクッとして飛び上がり、恐る恐る後ろを向いた。

 そのウマ娘はシーツをまるでパーカーのように被っているだけだった。

 顔だけ出して正面から見て頭辺りに、青い薔薇を刺していた。

 

「ひゃぁっ!?」

 

 驚きの声を上げて、とっとっとっ、と言ったような感じで走り出す。

 その少女はウマ娘にしてはどうにも遅い走りだった。

 青年は事前に得た情報とは違うことに疑問を抱く。

 が、一先ず追いかけることにしてみた。

 

 走り始めて一分もしない時間。

 結構呆気なく追いついてしまった。

 だが無理やり捕まえようと言う気にはならず、どうしようかと悩んでいたところ、少し出っ張っている木の板に足を引っ掛けて転んでしまう。

 

 その転んだ音を聞いた前を走るウマ娘は、立ち止まって青年へと駆け寄って。

 

「あ、ああ……ど、どうしよう……ライスが、ライスか逃げたからっ……!」

 

 青年はその言葉を聞いてささっと起き上がると、そのウマ娘に大丈夫と言った。

 それでもなお、少女はオロオロして青年ことを心配していた。

 

 そんなこんなしていると、青年の前にソウルが現れ周囲の雰囲気が変わる。

 真っ赤なハートの形をした魂が、浮いている状態でそこにある。

 そのソウルを見て、少女はハッとする。

 

「あ、ソウル……え、えっと。人間さんは、ソウルに詳しい?」

 

 首を傾げて言うウマ娘に、青年は否定する。

 少しオドオドしながらもそのウマ娘は自身の胸元に手を当てる。

 すると白い光とともに普通のハート型の上下逆の形をした、真っ白なソウルが現れる。

 

「これがウマ娘のソウルだよ。えへへ……」

 

 そう言って青年に向けて、笑顔で手に持ったソウルを見せてくる。

 青年もそれに返すように自身のソウルを見せた。

 

「ソウルは、動かせるんだよ。こんな風に」

 

 ウマ娘がソウルを手放すとふわふわ浮く。

 そして少しずつだが、ゆっくりと動き始めた。

 ソウルは彼女の周囲をくるくる回って、動き回る。

 

「でも、みんな戦う時は、ソウルを体の中に入れるの。ソウルと体は繋がってるから、ソウルが傷つくと、体も傷ついちゃうから……」

 

 青年の前のウマ娘は、何処か悲しそうにして言った。

 そうして自身の手元にソウルを置き、胸元に当てる。

 そうするとソウルは消え去った。

 

 青年も同じようにソウルを動かしてみて、自身の胸元に当てるとソウルが消える。

 周囲の雰囲気はウマ娘たちと遭遇した時と同じ雰囲気のままで。

 

「あの、人間さんはどうしてこんなところに……?」

 

 青年は落ちてきたから、と答え、目の前のウマ娘に、君はどうしてここに? と聞いた。

 

「あ、えっと。ライスはね、ここのドーナツを食べたくて来たんだ……人間さんも、食べる?」

 

 食べてみたいな、と答えると自身のことをライスと言ったウマ娘は嬉しそうに、こっちだよ、と言って歩き出す。

 すると周囲の雰囲気がいつも通りの普通の様子に戻った。

 青年はライスの後ろをついて行く。

 

「ここのドーナツは、美味しいんだよ。ライスもよく、食べに来るんだ」

 

 道を何度か曲がりながらも、先へと進んで行く。

 しばらく歩いていると少し開けた場所に出る。

 

 開けた場所、と言うかロビーだった。

 結構な人数のウマ娘がいて、皆会話を楽しんでいる。

 その中でも、何人かのウマ娘たちはお店のようなものを開いていた。

 そこの一つの店へと二人は足を運ぶ。

 

「いらっしゃいませっ! キングドーナツとキングサイダー、いかがですか!」

 

 笑顔で二つの商品を勧めてくるウマ娘に、ライスはドーナツを二つ頼む。

 それに加えて、サイダーも。

 袋に入れてもらい、ライスが受け取る。

 

 ライスは青年を連れ、近くの廊下に向かって歩き出す。

 先へ進み、一つの鍵が閉まっているドアの前まで来る。

 

 そしてライスは鍵を取り出し、ドアを開けて中に入った。

 青年も後に続いて入る。

 

 中は結構綺麗で、椅子や机もありそれなりに整理されていた。

 だが窓には木の板が打ち付けられており、開けることはできなそうだった。

 二人はベッドの上に腰掛ける。

 

「ここはね、昔ライスが住んでた部屋なんだ……あ、昔って言っても、十年ぐらい前の話だよ?」

 

 ライスは袋からドーナツとサイダーを取り出し、青年に渡す。

 青年は受け取って、ドーナツを見た。

 緑色のチョコドーナツっぽかった。

 

「……またブルボンさんと、食べたいなぁ」

 

 ブルボンさん? と青年は聞く。

 ライスは頷いて、近くにあった動きそうにないテレビのリモコンを手に取り、電源をつける。

 そこで見たものは青年は驚きを隠せなかった。

 

 なんせ地上でやってるものは全然違う番組がやっているからである。

 そもそもテレビと言うものが、数百年間地上と遮られていた地下世界にあること自体驚きだった。

 

 で、肝心の番組の内容は、一人のウマ娘が料理をしている番組だった。

 番組名は『ミホノブルボンの即興クッキング』と書かれていた。

 

 ライスがチャンネルを切り替えると、次はドラマがやっていた。

 のだが、また同じウマ娘が映っている。

 また番組を変えるのだが、やはり映っている。

 あれがブルボンさん? とライスに聞くと、ライスは頷いて、そうだよ、と言った。

 

「ブルボンさん、昔より明るくなってるんだ……」

 

 少し悲しげにテレビを見つめる。

 青年にはどうしてそんな顔をしているのか、わからなかった。

 だがどうにかしたいと思い、一つ提案をするためにライスの名前を呼ぶ。

 

「人間さん、どうしたの?」

 

 ライスに、また一緒にドーナツを食べたいな、と言う。

 

「ライスと? ……い、いいの?」

 

 少し嬉しそうな顔をして、青年のことを見る。

 えっとそれじゃあ、と言って青年に紙切れを渡す。

 紙切れはどうやら地図のようだった。

 

「ライスの家はね。この寮を出て、人参畑を抜けた先の……練習場(トラック)にあるんだ。えへへ、ドーナツ買って待ってるね……!」

 

 嬉しそうにライスは立ち上がって去ろうとする。

 が、一度足を止めて青年に近づく。

 そして少し恥ずかしそうにしつつも、青年に言った。

 

「に、人間さん。あの……人間さんのこと、お兄様、って呼んでもいいかな?」

 

 青年がその言葉に頷くと、更に嬉しそうになる。

 そして一先ず二人は廊下に出て、ライスがドアの鍵を閉める。

 

「あの、お兄様……またね」

 

 また、と青年は言葉を返し、お互いに手を振って別れた。

 やることもなくなった青年は、エアグルーヴのところへ向かうため、複雑な廊下を歩き出した。




ライスシャワー
白いシーツを被り、青い薔薇を刺した幽霊のようなウマ娘。
原作と比べて性格が内気になっている反面、好奇心が高くなっている。
練習場で住んでいて、最近は新しい商売を始めたらしい。
好物はキングヘイローの作ったキングドーナツ。

Undertale原作でのナプスタブルーク枠。

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