DERBYTALE (AU) 作:フラウィー
特にサンズ枠の方は。
にんじん大農園の二人組
扉を抜けた先にあったのは森だった。
森の奥にはいくつか耕された土、田畑のようなものがある。
そして空を見れば隙間一つないはずなのに、何故か太陽のようなものが上に見えた。
まさに奇妙、そう言う以外ないだろう。
先へ進もう──とする前に、青年は自身の格好を見た。
不思議なことに、戦ったはずの傷はあるのに服は汚れていなかった。
普段仕事で着ているワイシャツにズボンという服装。
少し血に滲んでいる程度でそれ以外の汚れは一切なかった。
傷を見ようと服を脱ぐが、ここに出てきた時点で傷も完全に癒えていた。
元からなかったかのように。
不思議なことに首を傾げつつも、もはやこの地下世界ではどんなことも起きると、青年は適当に納得することにした。
取り敢えず先へ進むためにも耕しやすそうに土を踏んで歩き出す。
上に太陽のようなものはあるもののここは森、少し薄暗く静かだった。
その静かさは恐怖心を煽るには十分でほんの少しの音でもビビってしまう。
木片が落ちた音に足を止めて振り返ってしまうほどには。
そして自分の踏んだ木の棒の音にもビビるくらいに。
何もないとわかり一安心して前に進もうとする。
が、一瞬何かの気配を感じ振り返る。
だがそこには何もいない。
少し自分はビビリ過ぎなのではないのだろうか、と思いながら歩く。
柵、いやこれは門と言うべきか。
それが橋の上にあった。
そのようなもの見て、ここから先は自分の知るものは違う別世界だと青年は感じる。
一旦息を整えるために深呼吸をしようとした瞬間だった。
後ろから足音が聞こえた。
今、おもちゃのナイフはない。
あの場で投げ捨てて拾い忘れたのだ。
そのため攻撃手段、抵抗手段を持っていない。
どうするべきかと頭を悩ませていると、その足音は青年の真後ろで止まった。
そして頭に得体の知れないものを突きつけられる。
「手を挙げなさい。私が、引き金を引く前に」
カチャと言う金属音が鳴る。
その音に青年は唾を飲み込む。
突きつけられたもの、それが銃口だと理解したからだった。
「時間切れ」
その言葉とともに大きな銃音が辺りに響き渡り──少女は笑った。
「なーんちゃって。冗談よ、ふふっ」
青年がその言葉に振り返ってみれば、そこにはダサいと言う他ない中心ににんじんの描かれたTシャツに、緑のパーカー、そしてジャージのズボンのようなものを履いた栗毛のウマ娘が立っていた。
髪は適当に切っているのか前も後ろもパッツンで、肩ぐらいまでの長さしかなかった。
と、言ったもののやはりそこはウマ娘、美少女であった。
手に持っていたのはおもちゃの銃と、大きな音が鳴るミニクッションだった。
「よくある悪戯だけど、もしかして……嫌いだったかしら?」
少し不安そうな顔で青年を見る。
青年はその言葉に首を横に振った。
その反応に少女は嬉しそうにする。
「そう、よかったっ。私はサイレンススズカ、見ての通りウマ娘よ」
手を差し出され、青年も手を出し握手を交わす。
と、さっきの銃音が鳴り響く。
つけたままだった、と笑いながら言って手につけていたミニクッションを外す。
「私はここで人間が来ないか見張ってるの。って言っても……私自身、人間とか興味はないのだけどね。けどスペちゃんは……いえ、この話はまた後でしましょう、どうやら来ちゃったみたいだから」
来て、と言う言葉に青年は取り敢えず付いて行く。
話してみた限りでは悪いウマ娘ではないようだったから、取り敢えず信じてみることにしたのだ。
橋を渡り門のような柵のようなよくわからないものを潜る。
進んだ先には国境のようなものがあった。
ただその規模はかなり小さいもので、少し遠回りすれば見つかることなく入れそうだった。
国境のようなものにはカウンターがあり、スズカはそこを指差す。
「あそこに隠れてて、見つかったら大変なことになってしまうわ」
薄い笑みを崩すことなくそう言う。
青年は言われた通りにカウンターの後ろへと屈んで隠れる。
少しすると今来た方向とは別の方向から別のウマ娘が現れる。
紫色のケープに動きやすそうなドレスみたいなのを着て、手袋をつけたウマ娘が。
少し怒った様子でやって来た。
「スズカさんっ!! こんなところで何してるんですかっ!! 罠の確認しといてくださいってお願いしましたよねっ!!」
「スペちゃん、ちょっと見張りをしていたのよ」
「……知ってるんですよ。仕事をサボってカフェさんのところで飲んでたって」
「あらら、バレちゃってたのね」
少し笑ってパーカーのポケットに手を入れる。
青年は少しカウンターから顔を出して二人の様子を見る。
紫色のケープを身につけたウマ娘は、そんな青年に一切気づいていなかった。
「でもあそこのジュースは
「……スズカさん。ダジャレとか苦手だって言ってませんでしたか」
紫色のウマ娘は一瞬笑うが、すぐに調子を取り戻すと落ち着いた様子で言う。
「苦手よ。でも思いついたから言ってみたのよ、面白かったかしら?」
「そんなわけないですよっ!! ……もう、本当にスズカさんは怠け者なんですからっ!」
とても怒った様子で、この場所から離れて行った。
スズカはそれを見送り、カウンターの方を見る。
「もう出て来ていいわよ」
それを見送って青年が表に出てくる。
スズカは相変わらず笑っていた。
「あれが私の後輩、スペシャルウィーク。イケてるウマ娘でしょ?」
取り敢えず青年は頷いておき、先へ進もうとする。
だがそこでスズカは青年に声をかけて止める。
青年は振り返ってスズカの方を見た。
「ねぇ。ひとつだけ……お願いしても、いいかしら? スペちゃんに会ってくれないかしら? スペちゃんの夢は人間を捕まえること。でも、あの子のことだからそんなことはできないわ。だから会ってくれればそれでいいの。そしたら諦めると思うわ。それにあの子、それほど危険じゃないしね。だからよろしくね。私は先に待ってるから」
と言って紫色のウマ娘と別の方へ歩いて行った。
青年も先へ進むために歩き出した。
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