DERBYTALE (AU)   作:フラウィー

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スーパーなスペシャルウィーク

青年はまだ見ぬ土地に、これからことを思うと決意がみなぎった。

 

 

 

 スズカと別れてから先へ進んだ。

 その先にあったのは小さな箱と二手に分かれた道。

 箱の近くには看板が立っており、こう書かれている。

 

『共同異次元BOX:貴方だけの特別な箱!』

 

 よくわからなかったため、取り敢えず開けて中を覗く。

 中にはグローブのようなものが一つ、置かれているだけだった。

 青年はそれを拾ってカバンにしまう。

 取り敢えず武器になるかもしれない、という淡い希望を抱いて。

 

 改めて二手に分かれた道を見る。

 片方は上へ、片方は真っ直ぐに進んでいた。

 適当に足元にあった石を蹴ってみると上の方へ飛んで行く。

 そこで青年は上へと進んで行くことに決めた。

 

 上には進んで行くと、寂れたプレハブ小屋が目に付いた。

 かなり苔が生えたりしており、ドアに手をかけてみたが錆びついていて飽きそうになかった。

 窓も汚れきっていて飽きそうになかった。

 

 取り敢えずぐるりと一周すると、ドアの近くに吸盤の矢を見つけた。

 紙が巻き付けられており、どうやら矢文のようであった。

 紙を矢から取って開く。

 

『妥当◼︎◼︎◼︎!』

 

 そう書かれていた。

 妥当の後の文字が読めなかったが、その下にはなんらかの電話番号が書かれていた。

 青年は見なかったことにして矢文を元に戻す。

 そうしてその場から離れていった。

 

 今度は行かなかった方向へと向かう。

 足を先へ進めると二つの人影が見えた。

 当然ただの人影ではない、ウマ娘である。

 だが青年には二人が誰か遠くからでもわかった。

 二人の近くへ行くと、どうやら話し込んでいるようだった。

 

「そしたらエアシャカールさん。テメェはまだダメだ。なんて言うんですよっ! 酷くないです……」

 

 そこまで言ったところで、スペシャルウィークが青年の存在に気づく。

 サイレンススズカも気づいて青年の方を見る。

 そこで青年は妙な違和感をスズカに抱く。

 だが二人は悩む青年を気にすることなく、お互いに何度か顔を見合わせた後、スペシャルウィークが青年に指を向ける。

 

「あ、あれってっ!! もしかしてっ!!」

「そうね。あれは木ね」

 

 そう言ってニヤニヤした笑みを浮かべて、青年の隣に立っている木を見ている。

 スペシャルウィークは少し残念そうにする。

 

「なんだ木ですか……って違いますよねっ!? その隣のやつですよっ!!」

 

 と、残念そうにしていたのも一瞬のことで、青年にもう一度指を向ける。

 そして後ろを向く、スズカも後ろを向く。

 二人で内緒話を始めたのだが、青年には思いっきり聞こえていた。

 

「あ、あれって……人間さん、ですよね」

「そうね。人間ね」

「わぁっ! ど、どどど、どうしたらいいんでしょうかっ! も、もしここで捕まえたら私もついに……! 昔のスズカさんみたいになれるんですねっ!」

「スペちゃん、深呼吸よ」

「は、はは、はいっ!!」

 

 少し興奮した様子で青年の方へ向く。

 スズカも相変わらず怠そうにして、青年の方を向く。

 そしてスズカは左手を腰に当て、右手を真っ直ぐ青年に向けた。

 

「に、人間さんっ! ここから先は通しませんよっ! この私っ! スーパーなスペシャルウィークの手によって、捕まるんですからねっ!」

 

 そう言って胸を張る。

 スズカはニヤニヤと笑みを崩す気配はない。

 青年は二人にただ、戸惑っていた。

 どう行動したらいいのだろうかと。

 そこでまず行動したのが、スペシャルウィークだった。

 

「スズカさんっ! お願いしますっ!」

「え。私がやるの?」

「足止めをお願いしますっ!」

 

 まさかの発言にスズカは戸惑う。

 その足止めは果たして、スペシャルウィーク自身が捕まえたことになるのだろうかと。

 そしてその心配以上に、めんどくさかった。

 

「あー……えっと、今日はやる気が出ないのよね……」

「ダメですっ! 今日ばかりは仕事してもらいますからねっ!」

「……わかったわ」

 

 頭をボリボリ掻きながら、青年の前に立つ。

 申し訳なさそうな顔をしながら左手をゆっくりと上にあげた。

 

 その瞬間、一瞬だけスズカの左目が青く光った、ような気がした。

 それと同時に青年の足元から青い巨大なにんじんが生えてきた。

 と言っても二、三本程度で、それらは青年の体を貫通しているのにも関わらず、全く傷が入っていなかった。

 ただ、動けなくなるだけだった。

 

「流石スズカさんですっ! それじゃあ私、縄持ってきますねっ!」

 

 そう言って何処かへと走り去っていった。

 見えなくなった頃に、スズカは腕を下ろす。

 すると生えていたにんじんも何処かへと消え去ってしまった。

 

「痛くなかったかしら?」

 

 その言葉に青年は頷く。

 スズカは少し安心したような顔をした。

 パーカーのポケットに手を入れスペシャルウォークの去ったところを見る。

 

「とにかく今は、スペちゃんが戻って来る前に先に進むべきね。戻ってきたら捕まっちゃうから」

 

 青年は戻ってきたらどうするのか、と聞いた。

 スズカはニヤニヤの笑みを浮かべて言う。

 

「大丈夫よ。居眠りしてたら逃しちゃった、って言うわ」

 

 青年はスズカに感謝して、先へと進む。

 この広い広い大農園を抜けるために。

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