ゴルシ! ゴルシ! ゴルシ! ジェットストリームゴルシをかけるぞ!   作:ヒシアマゾン爆死勢

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チームスピカに合流するところ書きたかったけど、とりあえず共同通信杯あたりは書いとかないとかなと思ったので


ゴルシ! ゴルオ! ゴルミ! 3人揃ってゴルシ四天王!

 始業式に鳩20羽が乱舞し、反省文を書くように閉じ込められた教室を鳩だらけにしたりしつつ、2月2周目の日曜日を翌日に控えた土曜日。

 ゴールドシップは後藤家でくつろいでいた。出走前日なので、完全休養日なのである。

 

「なー、ゴルオにゴルミ」

 

「どうした、ゴルシ。俺がそんなにキアヌ・リーブスに似てて驚いたか?」

 

「それとも、あたしがスカーレット・ヨハンソンに似てて驚いたか?」

 

 無茶苦茶言い出す2人であるが、それを言ってしまえるレベルの顔面の造形なので性質が悪い。

 

「この膝枕って変じゃねえ?」

 

「分からん」

 

「わっかんねー、わっかんねーなー」

 

 現在、ゴールドシップはソファーに並んで座っているゴルミとゴルオの膝の上に寝転がっている。

 膝枕と言えばそうなのかもしれないが、何かが違う気がしてならない。だが何が違うのか分からない……。

 

「こういう時は文明の利器を使って調べようぜ。ヘイ、ゴルSiri、膝枕って?」

 

「ピピーン、うまく聞き取れなかったぜ!」

 

「ヘイ、ゴルSiri、冷やし中華で検索して」

 

「ピピーン、うまく聞き取れなかったぜ!」

 

「なぁ、冷やし中華があるのに冷やし日本が無いって不公平じゃねえ?」

 

「いまゴルオが超いいこと言った。こんな格差社会は許されちゃならねぇ。あたしはブルジョワに反乱を起こす!」

 

「ほほう、ゴルミの姉貴、その心は?」

 

「うーん……とりあえず、冷やし日本から始まって、冷やし大阪、冷やしアメリカと作っていくぜ!」

 

「だが待って欲しい。冷やし中華はつまり冷たいラーメンみたいなもんだ……すると、冷たい蕎麦が冷やし日本じゃねーのか?」

 

「なっ、嘘だろ!? つまり焼きそばはヒートジャパンだったのか!?」

 

「クールジャパンの次はヒートジャパンが来る……つまり、焼きそばだ!」

 

「そうか、焼きそばか! 焼きそばが来る!」

 

 言いながらゴルシが飛び起き、勝手知ったる我が家の如くホットプレートを出してくる。

 ゴルミとゴルオも呼応して動き出し、冷蔵庫から買い置きの中華麺と野菜を持ち出してくる。

 

「ゴルシが焼き!」

 

「ゴルミが売り!」

 

「ゴルオが食う!」

 

「おまえも売れよ」

 

 唐突に焼きそばを作り出し、そのまま3人とも売らずに食べ出す。まぁ、売る相手もいないのだが。

 

「そういやよ、あたしの応援の準備はバッチリ出来てんのかよ?」

 

「へっ、当たり前だ。横断幕も作ったし、屋台の出店の許可も貰ってあるぜ」

 

「中華麺も1000食分手配したし、ソースの独自配合もばっちり済ませてある。真美との連携訓練もばっちりだぜ!」

 

「さすがじゃねーか! あたしの兄貴と姉貴なだけはあるぜ!」

 

 応援の準備には焼きそばが必要であるらしい。ゴルシ的には正しいのかもしれない。少なくとも喜んでいるし。

 そこで、意味不明な膝枕をしたり、突如として焼きそばを作り出したりする兄姉3人に関わることなく本を読んでいた真美が顔を上げる。

 

「ゴルシお姉様の晴れ姿、楽しみにしてますわ。1着目指して頑張ってください」

 

「へへっ、任せとけって。1着になって見せるぜ。兄貴と姉貴も期待しとけよ?」

 

「え? いや、別に1着は期待してない」

 

「1着にそんな拘らなくてもいいだろ」

 

 即座にはしごを落としにかかるゴルオとゴルミ。

 さすがに真美とゴルシも驚いてきょとんとする。

 

「おまえは楽しいこと以外やるつもりねーんだろ? だから、1着になるんじゃなくて、レース楽しんで来いよ」

 

「まぁ、1着になるのが一番楽しいんだっつーならあたしからはなんも言わねーけどよー」

 

 ずるずると焼きそばを手繰りながら、ゴルミとゴルオは何の気なしにそう言う。

 楽しそうなことのためなら大抵の用事は放り出すのがゴルミとゴルオだ。小さかった頃はお使いのボイコット常習犯だった。今では誰も2人にお使いを頼まない。

 

「はー……そっか。そう言えばそうだったな。ゴルシちゃんとしたことが、楽しむ前に1着になろうとしちまったぜ。レース前から掛かっちまったな。たはー」

 

 ついうっかりとゴルシは笑う。家族が応援に来てくれると聞いて、つい舞い上がってしまったらしい。

 こんなんじゃあたしらしくねーな、とゴルシは自分の頬を叩いて気合を入れ直す。

 

「よっしゃ! 最高におもしれーレースにしてやるか! ついでに1位も取ってやらぁ!」

 

「いいぞゴルシー! 輝いてる! キレてるキレてる! ナイスバルク!」

 

「その腹筋3LDKだねぇ! そしてここで俺のターン! 熟成済みのガトーショコラを攻撃表示で召喚! そして皿を4枚置いてターンエンドだぜ!」

 

「なにぃ!? あたしのターン! ここであたしの手札に封印されしゴルゾディアが揃った! あたしの勝ちだ!」

 

「馬鹿な!?」

 

「いいや! ゴルオの兄貴! 勝負はまだ終わっちゃいないぜ! あたしは手持ちからこんぺいとうを発動! 全体に200ダメージだ!」

 

「うおおおおお! ゴルシぃぃぃ!!!」

 

「ああっ! 兄貴が死んだ!」

 

「落ち着けゴルシ! 落ち着いて脈拍を確認するんだ! ……まだ息がある! 手術を始めるぞゴルシ!」

 

「ああ! 兄貴を絶対に助けて見せる!」

 

 そんなやり取りをしている間に真美は勝手にガトーショコラを切り分け、勝手に食べ始めていた。

 ゴルオの菓子作りの腕は絶品だ。ゴルシと同じく変な技能はいっぱい持っているのだ。ちなみにゴルミは菓子作りは出来ないが、飴細工が得意だ。

 

「ああ、お兄様のガトーショコラ美味しいですわぁ……も、もうちょっとだけ食べても……」

 

 そっと真美が追加でガトーショコラを切り分けて食べ始める。パクパクですわ。

 お菓子を食べてる時が一番最高の笑顔をしている。気付いたら1人で1ホールケーキを半分平らげるくらいは朝飯前なのが真美だ。なお、ガチで朝飯前なのでその後に普通に食事も食べる。

 

「ふぅ、施術完了! 見ろ! これが新しいゴルオ兄貴……! ゴルオ兄貴姉貴だぁ!」

 

「世界最高の仕上がりでございますわよ、お客様ぁん、あは~ん」

 

「これが……新しい私……!」

 

 ヅラを被らされて貞子へ進化し、雑に口紅を塗りたくられて口裂け女へとジョグレス進化し、チークの塗り過ぎでちびまる子に完全変態したゴルオが起き上がる。

 

「う、美しい……! ハッ! なんと驚きゴルミちゃんアタック!」

 

「おぐえぇぇぇ!」

 

 そしてなぜかゴルミの渾身の拳がゴルオのみぞおちに突き刺さった。

 

「なー、ところでいいのか、兄貴。このままじゃ真美がガトーショコラ全部食っちまうぞ」

 

「げほっ、ごほ……な、なに? あっ、真美! おまえ1人で4分の1食ってんじゃねーよ!」

 

「お、お兄様のお菓子が美味しすぎるのがいけないんですわ!」

 

「そんなに食ったら太るぞー」

 

 ははは、とゴルシが笑いながら言う。

 

「大丈夫ですわ。私、食べても太りませんもの」

 

「あー。そうな、うちはみんなそうだな」

 

「太らない家系なんじゃね? ゴルシもそうだろ?」

 

「あー、あたしも確かにそうだな。食っても上に伸びるからよー。ん?」

 

 どこかで葦毛のウマ娘が嫉妬に狂ったような気がしたゴルシだったが、気のせいかと流した。

 

「まーいいや、食おうぜー。ちょうど4分の1だから4等分して……1切れは母ちゃんの分だから残しといて」

 

「ほら、ゴルシ。あたしこっちな」

 

「俺の分は?」

 

「ない」

 

「なんでだ! ふざけんな! 次は常温保存のチューペット食わせるぞ!」

 

 1人霞を食べるゴルオ。そのうち本当に霞だけで生きていけるようになるだろう。

 ゴルオは既にゴルオと言う一個の生命体であり、人間の常識に捉えてはいけないのだ。

 

「うーん、兄貴の作る菓子はうめーな! そこらの店も顔負けだぜ!」

 

「末端価格がグラムあたり20ドルの上物だからな」

 

「すげー! あたしいまめっちゃ高いお菓子食ってる!」

 

「なんで薬物のような扱いなんですの……いえ、ですが、これは確かに薬物のような依存性がありますわね……!」

 

「おい真美ィ! なんでおまえ母ちゃんの分食ってんだ! 1人で半分食ってんじゃねーよ!」

 

「だって目の前にありましたもの! 目の前にありましたもの!」

 

「霞食ってる俺の前で残酷なことしてくれんじゃねーか……まあいいけど、母ちゃんにも霞食わせるし」

 

 目の前に出されると食う。パブロフの犬かなにかだろうか。

 そうしてもなんだかんだ許してるあたり、ゴルオもゴルミも妹には甘い。

 ゴルシからしても、真美におやつを取られてもなんだかんだ許しそうな気がするので気持ちは分かるのだが。

 

「まぁ、俺の作るお菓子がそれだけうまいってことだよな。よーし、このまま鍛えに鍛え抜いて、取ってやるか……! ノーベル賞!」

 

「へっ、応援してるぜ、ゴルオの兄貴……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後藤ルドマンは後藤家の大黒柱である。通称ゴールドパパ。

 外資系企業のサラリーマンだった彼は日本で後藤旗子と結婚。その際に婿入りしたので後藤ルドマンとなった。日本に帰化もした。

 とはいえ元々が祖国で就職し、日本に赴任していた身。事あれば本国に呼び戻されたり、他国を飛び回ることもざらな身である。

 そんな彼が呼び出されたのは東京競バ場。

 

「娘がレースにでるからはよ帰ってこい」

 

 と妻の旗子に呼び出されたのだ。意味が分からない。

 これがどこぞのサーキットならゴルミが「リアルマリカーやろうぜ!」とか言い出してレースに参戦したんだろうな、と予想がついたのだが、東京競バ場である。

 ウマ娘しか参加できないはずのレースになぜゴルミか真美が参加できるのか。

 意味が分からないなりに帰国し、東京競バ場へと出向いてみれば、なんとゴルオが焼きそばを焼き、ゴルミが売りさばき、真美が看板娘として売り子をしているではないか。割といつものことな気がした。

 うちの子たちはこれで全員のはず……と困惑しつつも「マミーは観客席にいるからはよいってこいや。あと、今晩ゴールドパパの全身の骨圧し折るから用意しといて」とか殺害予告染みたものをされて観客席に出向く。

 そこではパドックからゲート入りするウマ娘たちを見守る旗子がおり、そこに合流すると「ほら、うちのゴルシがゲート入りするわよ!」と初対面の娘を指さされる。

 

「あれは……うちの子だ!」

 

 ゴールドパパ、速攻でゴルシを自分の娘認定した。

 あなたの父ですよ、と迫る狂人ではない。魂の親子なのでもんだいありません、ごあんしんください。

 

「いったいどうして? なぜうちに生まれてこなかったんだ?」

 

「迷子だったのよ、たぶん」

 

「スケールの大きい迷子だなぁ」

 

 さらに言うとゴルオとゴルミとは数歳ほど年齢が違うので数年単位の出遅れをしていることになる。ゲート難、出遅れ、よし、ゴルシだな。

 

 

 結論から言えば、ゴルシは共同通信杯を難なく勝利。クラシック級初戦を無事に白星で飾ることとなったのだった。

 その後、ウイニングライブを家族総出で見守った後、担当トレーナーと話し込んでいたゴルシと家族総出で合流する。

 

「おーい、ゴルシ! いいライブだったぞー! 22万ドルの夜景くらいの価値があったぜ!」

 

「疲れたろ? キンキンのホットコーヒーと、ゴウゴウに冷たい麦茶があるぜ!」

 

「おっ、ゴルオー! ゴルミー!」

 

 ゴルシとゴルミとゴルオが抱き合う。こうしてみると本当にシャレにならないほどに似ている。幸い、ゴルオは胸が平らで髪が短いし、ゴルミはウマ耳がないので見分けはつくのだが。

 

「……?????????」

 

 一方で担当のゴルシそっくりの謎の男女が現れたチームスピカのトレーナーは意味が分からない。

 トレーナーであるからして、ゴルシのプロフィールは粗方把握しており、家族構成が無しと言うことも知っている。秘密だから未記入なのではなく、正真正銘存在しないのだ。

 ゴールドシップは天涯孤独のウマ娘であり、児童養護施設育ちなのだ。親類縁者がいるわけもない。

 じゃあこいつらだれだよ?

 

「ご、ゴルシ、知り合いか?」

 

「あん? んだよ、知らねーのかよ! 第4089回ゴルシちゃんで賞受賞者のゴルオとゴルミをよ!」

 

「知らねーよ!? なんだその賞?!」

 

「おっま、世界的名誉があるゴルシちゃん賞知らねーとかどうなってんだよ!」

 

「そうだそうだ! 恥を知れよ! 恥を!」

 

「そうだ! 聡を知れよ! 聡を!」

 

「そう!」

 

「どういうこと!? なんだこれ!? どうなってんだ!」

 

 後にチームスピカとか言う総獲得賞金額65億円超の厨パを創り上げるトレーナーであるが、今の彼は未だ未熟。ゴルシ節を理解できるレベルには至っていない。

 いつか辿り着けるとは言っていないが、ひとまず今はそのレベルに至っていない。

 

「あのう……」

 

「えっ、あ、はい……ええと?」

 

 そこで旗子が声をかける。常識人っぽい人が出て来たので、とりあえずトレーナーは一安心して応対するが、やっぱりだれなのか分からない。

 

「ゴールドシップの母の旗子です」

 

「えっ。あ、ええと、ど、どうも……」

 

 常識人かと思ったら突如現れて担当ウマ娘の母を名乗る謎の人物だった。

 そして、旗子の隣に立っていたゴールドパパも声をかける。

 

「はじめまして。ゴールドシップの父のルドマンです」

 

「あっ、そうですか……そ、そうですか……」

 

 どう見ても男に見えないって言うか、透き通るような緑の瞳と言い、艶やかな黒髪と言い、ウマ耳がないだけでウマ娘にしか見えないのだが、とりあえずトレーナーは流した。理解が追い付かなかった。

 

「ライブはもう終わりなんですよね? 祝勝会をしてあげようと思っていますので、連れていってもいいでしょうか?」

 

「あ、はい……ええと……ご家族の方なら……問題、ない……と思い、ます???」

 

 家族とは。この謎の一家はなんなのか。トレーナーにはもう何も分からない。

 

「あ、もちろんトレーナーさんもご一緒にどうぞ。ゴルシの担当の方ですものね」

 

「あ、はい……」

 

 がんばれスピカトレーナー、負けるなスピカトレーナー。

 ゴルシワールドはまだまだ始まったばかりだ。




続きは人類すべてがニュータイプに目覚めるまでには投稿します
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