IS世界に世紀末を持ち込む少女リベイク   作:地雷一等兵

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焼き直し焼き直し

では本編をどうぞ↓


第10話 教官との実技試験

「教官との実技試験ねぇ…、別に勝っちゃっても構わないんですよね?」

 

 

IS学園入試実技試験会場の第2控え室で南美はぼやくように呟いた。

その言葉を同室にいる鷲頭はしっかり聞いていたようで、小さく苦笑いを浮かべる。

 

「自信満々だね、南美くん。まぁそれくらいの方が我が社のテストパイロットらしいよ、ハハハ。」

 

IS学園の入試試験は筆記試験と実技試験との2段構えになっている。

最初に筆記試験を行い、次に実技試験でもって受験者を振るいに掛けるのだ。

そして実技試験とはISに乗って試験官と戦う事を意味する。

 

だが一般的な受験生はISに乗ったことなどないのがほとんどであり、南美やその他の特別な受験生とISに対する経験値が大きく異なる。

そこで公平を期す為に、一般受験者と特別な受験者とを別の基準で試験するようになった。

南美他、特別な受験者は一般的な受験生と違い、ガチの模擬戦を行うのだ。

と言っても、試験官に比べ、経験の浅い彼女達が負けてしまうことは仕方ないことなので、試験は勝敗を見るのではなく、ISへの理解度等を見るのである。

時折、今の生徒会長のように勝ってしまう者もいるらしいが…。

 

「別に自信がある訳じゃないですよ。ただ、そっちの方が入学できる確率が上がると思ったからで…。」

 

「相変わらずの心配性だね。キミの成績なら大丈夫だろうに。」

 

謙虚なのか、心配性なのかよく分からない彼女の言葉にふぅ、と息をついて鷲頭は肩をすくめる。

 

「少しでも潰せる不安要素があるなら取り除きたいだけです。今回は…まぁ、高校浪人になりたくないからで…。」

 

バツが悪そうに目線を逸らす南美、その様子に鷲頭が声を上げて笑った。

 

「キミの成績ではあり得ない話だろうが、もしそうなったら我が社に就職すればいい。キミなら大歓迎さ。」

 

「そして総合格闘技で世界を獲れ…と。それも悪くないですね~。」

 

「そうだろう? ISで世界一、総合格闘技で世界一…。キミならどちらも出来るだろうさ。」

 

「まぁ今はISでトップを…、モンド・グロッソの頂点を狙いますよ。」

 

よっと南美が腰を上げる。すると、そのタイミングで控え室のドアがノックされ、関係者という刺繍入りの腕章を着けた女性が入ってきた。

 

「え~と、七ヶ星(シチガホシ)中学校、LOCエンタープライズ社テストパイロットの北星南美さん、こちらの準備が整ったので実技会場にどうぞ。」 

 

「ん~。さーて、一暴れといきますか。」

 

名前を呼ばれた南美は返事をすると、ぐっと背を伸ばして固まった体を丁寧にほぐしていく。 

 

「いよいよ伝説の始まりだね。」

 

「勿論です、殴り込みますよ~。」

 

全身を伸ばし終えた彼女は自信に満ちた顔で控え室を後にした。

 

 

 

 

 

─試験監督観戦室

 

 

 

実技試験の会場を見下ろせる位置にある、監督室の中では二人の女性が資料片手にアリーナを見下ろしていた。

 

「…LOCエンタープライズ社か…。あの世紀末企業に所属するテストパイロット…。」

 

「どんな子なんでしょうか…?」

 

監督室のなかで、背の高い女性…“世界最強”織斑千冬はじっと資料とアリーナの南美を交互に見比べる。

 

「筆記試験の結果を見れば、頭は良いようだ。それに、この経歴…、全中総合格闘技3連覇ほか、数々のタイトルを獲得か。あの社長がスカウトしたのも頷けるな。」

 

南美の経歴が書かれた書類に目を通した女性、織斑千冬が溜め息を吐く

世界最強が見つめるその目線の先には専用機“ラスト”を装着した南美がいた。

 

 

 

 

 

 

side 南美

 

 

 

「どうも、北星南美です。試験官さん、今日はよろしくお願いします。」

 

「はい、ご丁寧にどうも。試験官の愛乃です。」

 

挨拶をすると向こうも丁寧にお辞儀までして返してくれた。

 

やっぱりアイサツは大事だね。

 

 

 

向こうのISは量産機の打鉄(ウチガネ)、防御に重点を置いた、いわゆる固い機体だ。

 

固い機体、好都合だ。

 

私の専用機“ラスト”は貫通力ともう1つ、あることに重点を置いて作られた機体だ。その力を試すにはもってこいの相手だろう。

 

 

 

時は金なり、やるなら早いところ始めよう。

 

さぁ行くよ、ラスト!!

 

 

 

 

 

side out...

 

 

 

 

 

side 試験官、愛乃先生

 

 

 

 

 

さすがに専用機は速い…。

 

でも見たところ接近戦しか出来ない機体みたいだし、弾幕を張りさえすれば押さえ込めるでしょ…。

 

 

 

 

そう思っていた時期が私にもありました。

 

 

 

いくら手加減して弾幕を張っていると言っても、まさかあそこまで簡単そうに掻い潜って来るとは思ってませんでした。

 

軽いトラウマです。

 

 

 

あの目の前に急に突っ込んでくる急加速やら手刀突きで吹っ飛ばされたことは暫く夢に出そうです。

 

 

 

ボコボコにされたせいで打鉄の調子も悪くなっちゃいましたし…。これって始末書行きでしょうか…?

 

 

 

すいません、彼女との試合を思い出したらちょっと涙が出てきました。

 

 

 

何ででしょうか、なんともないはずの肋骨が痛むんです…。

 

 

 

side out...

 

 

愛乃教官との実技試験を終えた南美は、鷲頭とともに廊下を歩いてアリーナを後にしようとしていた。 

ラストの固い踵がコッコッと音を響かせながら廊下を歩いていれば、二人の前方から金髪縦ロールヘアといういかにもという、ややもすればテンプレートなお嬢様が青いISを身につけて歩いてきた。

そのお嬢様を見れば鷲頭がふむ、とアゴヒゲを撫でる。

 

「南美くん、彼女を覚えておくといい。あれがイギリスの国家代表候補生主席だ。」

 

「…へぇ、彼女が。」

 

鷲頭の言葉に南美はニヤリ、と不敵な笑みを溢す。

その瞳はネコ科の肉食獣を思わせるほど鋭いものだ。しかし、彼女も今は違うと弁えている。その獰猛さをすぐに内へとしまい込み、平静を装う。

しかし件のお嬢様の後ろに控えていたサングラスを掛けた老紳士とすれ違うとき、南美の背筋にぞくり、と言い知れぬ寒気が走る。

バッと思わず振り向くも、既に彼女らは曲がり角を曲がった先であり…その後ろ姿を見ることは叶わなかった。

南美はふぅ、と一息入れると背筋に走った寒気を振り払うように話題を変える。

 

「ねぇ鷲頭さん。」

 

「どうしたんだい、南美くん。」

 

「いや~、前に言っていたパッケージ装備ってどうなっているのかなと思いまして。」

 

「あぁ、それのことか。それならもうほとんど完成しているよ。後は最終調整をすれば運用出来るだろう。」 

 

へぇ?と新型パッケージ装備のことを聞くとニコッと笑みが漏れる。さっきとはうって変わって、まるで新しいオモチャを前にした子供のように純粋なものだ。

 

そうして他愛ない会話をしながら帰路につく。

この後は愛しの妹とゴロゴロしようと心に決めた南美だった。

 

 

 

 

 

 

後日、合格通知と一緒に届いた辞書並みに分厚い参考書を見て、意気消沈した南美の姿が北星邸にて発見された。

 

 

 





ではまた次回~ノシ
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