虚構勇者   作:きいこ

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というわけでゴミみたいななろう系を書いてみたいという狂った欲望に身を任せて書きました、品質は一切保証しませんのであしからず(エラそう)


第1話「初めまして異世界」

肌を焼くような日差しが容赦なく降り注ぐ8月も半ばの午前中、南中時刻にはまだ少し早いが、気温はすでに猛暑日と呼ばれる35度を越えていた。アスファルトからは絶えず陽炎が浮かび、前日が雨だったことが追い打ちとなり路面にまだ残っていた水たまりがさらに湿度を上げ、むわっとした独特の蒸し暑さがさらに体感温度を上げていく。

 

 

町往く人々はこの暑さに耐えかね、汗ばみながらそれぞれの目的に従ってあちらこちらへと歩いていく、目的地こそバラバラな大衆だが、その表情だけはこの暑さに対するやり場のない感情を皆同じように浮かべていた。

 

 

「はぁ…本当に何でこんなに暑いんだよ…」

 

 

そんな誰に対して言うでもない愚痴を口にしながら、九条(くじょう)彰人(あきと)は駅前のロータリーを歩いていた。今日は朝から気温が一気に上昇し、自宅から大学に向かうだけでも汗だくになるほどであった。

 

 

今朝の天気予報では今年の夏は最高気温を更新するという事を気象予報士が言っていたが、去年も一昨年もそんな事を言っていたような気がする、あと10年もすれば人間が夏の気温に耐えられなくなるのではないか。

 

 

現在時刻午前11時過ぎ、夏休み期間中の日曜日でありながらスーツを着た仕事中と思わしき年齢性別様々な人々や制服を着た学生たちがロータリーを行き交っている、そういう職業の人たちなのだろうと彰人は思い“ご苦労様”と心の中で労う。しかしそれを言うのなら夏休み期間中にわざわざ大学に向かっている自分も労われたいものだ、とくだらないことを考える。

 

 

大学まであともう少し、というところで彰人はとある異変に気付いた。

 

 

「…ん?何だ…?」

 

 

彰人は思わず足を止めて自身の前方にある“それ”を見つめる、“それ”が何か説明しろと言われれば、『空間に浮かぶ裂け目のようなモノ』という表現が一番近いだろう。紫色のオーラを放つその“裂け目”は文字通り何もない空中に浮かんでおり、創作物などで見かける別の空間に繋がる入り口を思わせる。

 

 

そんなモノがあるはずない、と自分に言い聞かせつつ周りを見渡すが、通行人たちがその“裂け目”を気にする様子はない。空間に投影された立体映像なのか、はたまた暑さで脳がやられて幻覚を見ているのか、気がつけば彰人はその“裂け目”に向かって足を一歩前に踏み出していた。

 

 

次の瞬間、“裂け目”から黒い大きな『腕』が2本飛び出し、彰人をがっしりと捕まえる。

 

 

(なっ…!?)

 

 

あまりの出来事に声をあげる事も出来なかった彰人はそのままもの凄い勢いで“裂け目”の中へと引っ張られていく。

 

 

「だ…誰か…!!」

 

 

彰人は助けを求めて声を出したが、やはりこの異様な光景はおろか彰人自身の姿も誰の目にも見えていないらしく、何も出来ないまま“裂け目”の中へと連れて行かれた。

 

 

「うわあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

一瞬、“裂け目”の向こう側に何かが見えたような気がしたが、その正体を確かめる間もなく彰人は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

(ん…?ここは…)

 

 

 

気づけば彰人は何もない暗闇の中をふわふわと漂っていた、ここはどこだ?なぜ自分はここにいる?。

 

 

 

…駄目だ、頭がぼんやりしていてうまく思い出せない。

 

 

『……ま……ゆ……ま』

 

 

(…?)

 

 

どこからか誰かの声が聞こえる、何を言っているのかは聞き取ることが出来ないが、自分に対して言っているのだろうか?。

 

 

「まれ…さま……びと…さま…!」

 

 

耳を澄ませてみると次第に何を言っているのかが聞き取れるようになってきた、するとその声に呼応するように、今まで上下左右の感覚すら無くなるほどの暗闇の空間に一筋の光が射し込み始めた、彰人は無意識にその光に向かって手を伸ばすと、光もそれに応えるようにその輝きを増していく。

 

『まれびと…さま…!』

 

 

 

 

『マレビト様!』

 

 

 

 

 

 

「…はっ!?」

 

 

何者かの呼び掛けるような声に反応し、彰人はガバッと飛び起きる。

 

 

「おお!マレビト様が目を覚まされたぞ!」

 

 

その声とともに自分の周りから歓声が上がるが、当の本人である彰人は状況が飲み込めずに困惑していた。

 

 

「えっ…?ここ…どこ?」

 

 

彰人は自分の周りをキョロキョロと見渡す、その場所は一言で言うなら『城の大広間』と言ったところだろうか、白い大理石のようなもので作られた広間には人が歩く場所を誘導するための長く赤い絨毯が敷かれており、その脇には何本もの柱が並んでいる、天井も高く作られており、豪華なシャンデリアがいくつもぶら下がっている。

 

 

もっと雑に例えてしまえばRPGの一番最初に出て来る王様と謁見する王座の間みたいな場所だった、少なくとも彰人が住んでいた東京…ましてや日本ではまず見られないような場所である。

 

 

「無事に成功したようで何よりだ」

 

 

すると彰人の前にひとりの男が歩いてきた、黒く短い頭髪は白髪一本無く若々しい印象を受けるが、顔には所々しわが見える、見た目から大ざっぱに推測するに50代後半から60代半ばといった辺りだろうか。黒い立派なマントを身に付け、頭には小振りながら豪華な王冠を乗せている、これまたRPGでよく見る『王様』といった格好だ。

 

 

「…ん?」

 

 

ここで彰人は自身の足下の“異変”に気づく、サークル状に幾何学的な模様が白色の光を帯びながら回転しており、RPGなどのゲームでよく見る“魔法陣”を思わせるモノであった。

 

 

(おい…まさか…これって…)

 

 

ここで彰人はある可能性を頭に浮かべる、近年の創作物において散々目にしてきた、しかし所詮は空想の産物であり、現実には起こり得るはずが無いと思ってきた事…。

 

 

「私はドレッド=バルコニア、バルコニア王国の国王です、あなた様は『救国の勇者(マレビト)』として我々に召喚されました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「異世界召喚だとおおおおおおぉぉぉ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、ひとりの青年が救国の勇者として召喚され、魔王との戦いに身を投じる事になる物語である。

 

 

 

 

 

 

「改めまして、私はドレッド=バルコニア、バルコニア王国の国王です」

 

 

「えっと…九条彰人…です」

 

 

あまりにも衝撃的過ぎる出来事から数十分後、彰人は自分を召喚したというドレッドから改めて説明を受けるためにドレッドの私室に案内された、戸口には鎧を着た年若そうな男性が護衛として立っている、近衛兵か騎士に相当する立場なのだろう。

 

 

(てか…いきなり異世界飛ばされたのに何でこんなに落ち着いてるんだオレ…)

 

 

異世界に召喚された事にも驚きだが、思いの外冷静に今の状況を受け入れている自分自身に対してもっと驚いていた、動揺しすぎて逆に冷静になっているのか、はたまたそれともこういう状況に対する願望を無意識のうちに持っていたのか、どちらにせよ今一番考えていることは“元の世界に帰りたい”という事だった。

 

 

ちなみに彰人の服装は元の世界で着ていた服ではなくこの世界の服だった、どうやら元の世界の持ち物は持ってこれないらしく、召喚時に着ていた服や持っていた携帯電話、背負っていたリュックなどは一切身に付けておらず、代わりにこの服を着ていた、元の世界に残っていればいいのだが…。

 

 

「まず最初にあなた様を召喚した理由ですが、端的に言えば魔族を統べる存在である『魔王』を倒す力添えをしてもらいたいのです」

 

 

「魔王…ですか…」

 

 

“やっぱり”という感想を思い浮かべながら彰人は言葉を返す、勇者と言えば魔王の存在がお馴染みになりつつあるが、まさか魔王を倒せなどという台詞を自分が言われることになるとは夢にも思っていなかった。

 

 

まずはこの世界についての説明を、ということで、ドレッドがこの世界の歴史を簡単に語って聞かせた。

 

 

曰わく、魔族と人間は遙か古の時代にこの世界と同時に神によって生み出されたと言われているようだ、当初は同じ土地で暮らしていた両者だが、力ある強きものだけが生き残るべきだという魔族の祖先と、強き者も弱き者も助け合って生きていくべきだという人間の祖先で意見が対立し、両者は住む領地を分けたらしい。

 

 

それから長い年月が経った後、人間を弱きものとみなした魔族たちが人々を征服し領地を手に入れるという目的で侵攻を開始した、人間たちも必死に応戦したが、後に魔王と呼ばれる魔族の一族を中心として編成された魔王軍の侵攻の勢いは凄まじいの一言で、人間たちは徐々に劣勢に追いやられていき、魔族によって支配される領地が増えていった。

 

 

しかしその人間の状況を哀れに思ったのか、神は魔王を倒す力を持った異界のマレビト…勇者を呼び寄せる御業を人間たちに与えたらしい、その御業によってこの世界に呼ばれた勇者は神より与えられしその圧倒的な力をもって瞬く間に魔王軍を押し退け、魔王を打ち倒したという。

 

 

それ以来、人類が魔王軍の侵攻を受け、人間たちの存続が危ぶまれるとき、神の御業により異界から呼ばれし勇者(マレビト)が魔王を打ち倒す…という伝承が後の世に伝わっているらしい。

 

 

「…そしてその神の御業の授かったのが私たちバルコニアの王族…というわけです」

 

 

ドレッドはそう言って読み上げていた伝承の書かれた本を閉じる。

 

 

「…何というか、この世界の神様は随分と身勝手な御業を授けたんですね」

 

 

最後まで話を聞いていた彰人は率直な感想を口にする、確かにその神が授けた御業とやらはこの世界の人間にとってはまさに救世主と言えるような代物だろう、しかし呼ばれた側からすればたまったものではない話だ。

 

 

こちらの生活や都合を一切合切無視して勝手に呼び出すばかりか全く関わりのない世界を救うために魔王を倒す戦いに駆り出されるなど理不尽もいいところだ。

 

 

「彰人様の仰りたいことは分かります、ですが彰人様がこうして現れたということは魔王軍が再び攻めてくるのは確実、そうなれば我々人間は再び魔族たちの侵攻を受けることになりかねません、身勝手を承知で言います、どうか魔王を打ち倒すべく、我々に力をお貸しください」

 

 

ドレッドは深々と頭を下げ、改めて彰人に頼み込む、しかし彰人にはそれ以上に気になっていることがあった。

 

 

「ちなみに、オレが元の世界に戻ることは可能なんですか?」

 

 

彰人は恐る恐るといった様子でドレッドに問う、彰人が一番気になっていること、それは自分が元の世界に帰れるかという事だ、自分は元の世界に未練もあれば帰りたいという気持ちももちろんある、異世界で二度目の人生を謳歌しようなどと考えるほど元の世界の生活に嫌気は差していない、というか出来るなら勇者(マレビト)など断って今すぐ帰してほしい。

 

 

「…申し上げにくいのですが、伝承には勇者様は己の役目を終えたとき自ずと元の異界へと帰る、とだけ残されております、神の御業には呼び出す手段はあっても帰す手段は残されておりません…」

 

 

「…マジか」

 

 

何となく予想出来たことではあったが、彰人はため息を吐きながら額に手を当てた、つまり自分は魔王討伐という役目を果たすまでは元の世界には帰れないということだ、仮にここで断ったとしてもこの異世界の住人として一生を終えるという道しか残されていないだろう、それならば選択肢はひとつしかない。

 

 

「分かりました、勇者のお役目、引き受けさせてもらいます」

 

 

「ほ、本当ですか彰人様!」

 

 

彰人がそう答えるとドレッドの表情が途端に明るくなる、断る道を絶って首を縦に振るしかない状況で召喚しておいてよく言う、彰人はそう心の中で悪態をつく。

 

 

「魔王を倒さなきゃ帰れないのなら仕方ないです、というか、魔王を倒すだけの力が、本当にオレにあるんですか?」

 

 

自分で言うのもなんだが彰人は特別身体能力が高いわけではなかった、というかそもそも異世界から勇者を呼び寄せる御業が存在するということは『魔法』のようなモノがこの世界にあるのは確実だ、そんな世界で自分のような地球人が魔王を倒せるとは到底思えない。

 

 

「ご心配には及びません、勇者様はこの世界に召喚される際に神より特別な力を授かると伝承にはあります、早速彰人様の力を調べてみましょう、ボールス!例のモノをここへ!」

 

 

ドレッドが戸口に立っていた騎士の格好をした男…ボールスに指示をすると、ボールスは透明な水晶のような物を持ってきた。

 

 

「これは個人の魔力を調べることが出来る魔法道具…魔力測定器(スキャナー)です、これで彰人様の魔力を調べますのでこの水晶に手を置いてください」

 

 

ドレッドに言われたとおり彰人は水晶に手を乗せると、水晶が淡い光を放ち始めた。

 

 

(神より授かりし力か、どんな能力が出るやら…)

 

 

十数秒程その状態が続いたとき、水晶から立体映像を思わせるディスプレイが浮かび、文字やらゲージの図形やらが羅列されていく。

 

 

(随分ハイテクな魔法なんだな…)

 

 

彰人がそんな事を考えていると、ドレッドが驚きに満ちた表情でディスプレイの内容を見ているのに気付く。

 

 

「な、何て事だ…まさかこんな事が…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなにも魔力が低いとは…!」

 

 

 

「…へ?低い?」

 

 

 

ドレッドの言葉に彰人は素っ頓狂な声を出す、お約束ならここはめちゃくちゃ高い、言うならチート級の魔力を持っているというような流れだが、結果はその逆、めちゃくちゃ低いだった。

 

 

「…本当ですね、これでは並の冒険者以下だ、マレビトたる勇者の魔力がこれほどまでに低いなんて…属性の適性はあるようですが、これではほとんど威力が出ないと思われます」

 

 

(…あれ?ひょっとしてこの流れマズくね?)

 

 

ドレッドとボールスが口々に言い合っているのを彰人は内心焦りながら聞いていた、力が弱いということは勇者として役に立たないという事だ、ひょっとしたら別の勇者を召喚されて自分は追い出されるなんて事には…。

 

 

「いや、この魔力の低さは恐らく彰人様のこの能力によるものだろう」

 

 

そう言ってドレッドはディスプレイに書かれている彰人の授かったいくつかの能力のうち、最後の行に書かれている部分を指差した。

 

 

「“倒した魔物の魔力を吸収して自らの魔力を強化する能力”…『魔力強化(レベルアップ)』?聞いたことのない能力だな、これが神より授かりし力という物なのか…」

 

 

ボールスが物珍しげな顔をしながら彰人の授かった能力の詳細を読み上げる、それほど珍しい能力なのだろうか?。

 

 

(てか魔力強化(レベルアップ)って…まるでゲームの世界だな)

 

 

「なるほど、戦うほどに自身が成長する能力…というわけか、ならばこのタイミングで召喚できた事も頷ける」

 

 

「…ん?それってどういう事です?」

 

 

『このタイミング』という妙に引っかかる言葉を聞いたので彰人はドレッドに疑問をぶつける。

 

 

「本来この勇者(マレビト)を召喚する御業はいつでも使えるわけではなく、我々人間たちが魔族の侵攻を受け滅亡の危機に瀕した時にのみ神から召喚を許されるのです、普段はこの召喚の御業を行っても何も起こらないのですが、今回はどういうわけか小競り合い程度の戦況がひっ迫していないうちから召喚が出来てしまったのです」

 

 

「え…」

 

 

予想外の事実に彰人は口をあんぐりとさせる、つまり勇者の召喚というのは神より許された魔王に対抗する事実上の最後の手段、ということになる。セオリー通りならピンチの時にレベル99の勇者を召喚し魔王をワンパンする所を、今回はかなり早いタイミングでレベル1の勇者を召喚できてしまった…といったところだろうか、イレギュラーにも程がある。

 

 

「ですが、この能力を見て得心がいきました、彰人様の能力は元々の魔力の低さを自身の成長で補うというもの、つまり神は召喚を早める事で彰人様にお力を付けていただく時間を与えて下さった…ということになります」

 

 

(いやいやいや!“慈悲深い神様素敵!”って感じの言い方してるけど、それってつまり魔王を倒せるくらいになるまでレベルを上げなきゃいけないってことじゃないか!セオリー通りに召喚された勇者より元の世界に帰れるようになる日が遠退いてるって事だぞ!)

 

 

彰人は授かった能力のとんでもなさにたまらず頭を抱える、しかしいきなり魔王(ラスボス)に挑むよりはその辺のモンスター相手に練習できた方がまだ心の準備が出来るだけマシだというもの事実だ、そう考えればこの能力も悪いところばかりではない。

 

 

「まぁ何はともあれ、色々あってお疲れでしょう、今日はゆっくり休んでいただいて、魔法の使い方や戦いの指南についてはまた明日ということで、ボールス、彰人様の指南を頼めるか?」

 

 

「かしこまりました、では彰人殿、お部屋にご案内しよう」

 

 

「あ、はい」

 

 

ボールスに案内される形で彰人はドレッドの私室を出る、その様子をドレッドは何も言わずに見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

彰人は案内された部屋のベッドに寝ころぶと、息を吐いて身体の力を抜く、王城の客室とだけあってその内装はとても豪華で、海外の一等ホテルくらいはあるのではないかと思うほどだった。

 

 

客人(マレビト)…それに勇者…か」

 

 

今日一日の出来事を思い返しながら彰人は窓の外を眺める、時間はすっかり夜になっており、綺麗な満月が浮かんでいた。

 

 

「こっちの世界でも月があるんだな」

 

 

そんな事を独りごちると、落ち着かない様子で二度、三度と寝返りを打つ、異世界に勇者として召喚されたという現実味が未だ自分の中に満たされておらず、このまま眠って次に目が覚めたら全て夢だった…というオチではないかと思ってしまう。

 

 

だが今更そんな事を言っても仕方がない、目的を果たさなければ帰れないのであれば魔王討伐だろうが何だろうがやるしかないのだ。

 

 

(てか、オレってこんなに前向きな性格してたっけ…?)

 

 

現実味が無いと言いつつも、早くもこの状況を受け入れ始めている順応の早さに自分自身も驚きを隠せない、やはりこういった願望を潜在的に持っていたのか、はたまた現実味が無さ過ぎて逆に冷静になっているだけなのか、それはやっぱり分からなかった。

 

 

(とりあえず今日はもう休もう、詳しいことはまた明日、追々考えていけばいい…さ…)

 

 

つい先程まで色々ありすぎて眠るどころではないと思っていたのだが、身体は正直なもので目を閉じるとすぐに眠気が脳から全身を支配していき、気付けば彰人は眠りに落ちていた。




導入なんてあってないようなモンですね。
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