『俺は一体何のために戦っているんだ?』
俺は、自分が何者で何のために作られたのかを知らない。
目が覚めた時から人間のために戦うことを教えられ、それを当たり前になった。そう当たり前だった。
『ゼロ、お前こそがイレギュラーなのだよ。』
数か月前の『レプリフォース大戦』でのアイツの言葉が未だに俺の中にあった疑念を大きくさせた。
戦いは確かに終わった。
だが、俺に残ったものはなんだ?
かつて剣を交えた友の誤解を解くこともできずこの手で殺め、託されたはずの彼女をもイレギュラーとして破壊した。
『ゼロ・・・起きろ・・・・目を覚ますのじゃ・・・』
作戦が失敗し、中破したシャトルの中で意識が曖昧になっている中、またあの声が俺の脳裏に聞こえてくる。もういい加減構わないでくれ。
『・・・忘れたのか?・・・何をすべきか?』
何をすべきか?
俺は、イレギュラーと戦う・・・・イレギュラー?イレギュラーってなんだ?俺は何故、敵をイレギュラーと認識しているんだ?
同じレプリロイドのはずなのに何故なんだ?何故、俺は同情もかけることなく倒せる?
『早く、倒すのじゃ・・・・奴の・・・・奴の系譜を・・・・お前ならやれる・・・・』
奴の系譜?俺は違うのか?
いや、・・・・・・なんなんだ?
雲隠れしたように見えなかった記憶が急に透き通るように見え始めてくる。
ライト・・・・奴の後継者・・・エックス・・・・破壊・・・・そうか・・・
『ワシの最高傑作・・・目を覚ますのじゃ・・・・・』
俺の意識が覚醒する。
俺は、シャトルから出た後かつての味方に連絡を入れ、来るべき場所でアイツが来るのを待っている。俺がハンターの頃にともに死地を乗り越え、成長した後輩ともいうべき存在。
そして・・・倒すべき敵。
「・・・・来たか。」
俺は組んでいた腕を解き、やって来たアイツと対峙する。純白の青いアーマーを身に纏い、その目は覚悟を決めているのが見てわかる。
「ゼロ・・・・」
エックスは、宙に浮いている俺を見ながら口を開く。俺は、軽く笑みを浮かべる。
「・・・来るのを待っていたぞ、エックス。」
「・・・・」
「・・・・正直言うとな、今俺はとっても気持ちがいい。これまでに感じたことがないほどにな。すべてが分かったからな。俺の造られた理由・・・そして、これから為すべきこともな。最早、俺にとってイレギュラーなどどうでもいい存在だ。」
俺は床に着地し、奴と対峙する。
「・・・ゼロ、君は本当にゼロなんだよね?」
「データ反応を見ればわかるだろう?俺は、イレギュラー化などしていない。至って正常だ。」
「・・・・確かにそのようだ。データ反応は、前のゼロとなんら変わりのない。」
エックスは、俺の顔を見ながら言うがその表情はかつての仲間を見る目ではなかった。
「でも、データで捉えられないものがある・・・・それを教えてくれたのは、ゼロ、君だよね。」
「あぁ。」
「・・・・・けれど、今のゼロからは悪を感じるんだ!シグマに似た、いや、それ以上の悪を!」
エックスは、バスターを構えながら叫ぶ。俺もそれに応じてバスターを展開する。
「なら、分かるよな?これから何をするのかを?」
「君を倒す!そして・・・本当のゼロを取り戻す。」
相変わらず甘いな。だが、今回はそれが命取りになる。
「まだ、分かっていないようだな・・・・・これが“本当の俺”だ!!」
俺は、バスターから連続で光輪を放つ。エックスは壁を蹴ることで避けるがそこへ容赦なく斬撃を飛ばした。
「クッ!」
「本気で戦わないと倒れるのはお前の方だぞ?」
俺は、接近しながらセイバーで斬りかかる。エックスは、対抗するようにアーマーを切り替え、白羽取りで受け止めた。
「ウ、ウゥウウ・・・ゼロ・・・・これが運命なのか?これが、君自身の意志だと言うのか!?」
「そうだ!俺たちの戦いは定められた運命だ!!そして、弱い方がここで滅びる!お前と俺、どちらかがだ!!」
俺は、そう言い張ると右腕を再度バスターに変形させて攻撃を行おうとする。しかし、エックスはセイバーを放すと同時にアーマーに蓄積されていたエネルギーを両腕に収束させて俺にぶつけた。
「グウゥ!?」
衝撃波で吹き飛ばされた俺は、壁に衝突して一時的に動きを封じられる。エックスは、更にアーマーを変更して攻撃を仕掛けてきた。
「プラズマチャージショット!!」
プラズマの光弾が連続で俺に直撃する。ボディの装甲に亀裂が走るが同時に周囲のウィルスを取り込んで完治される。
「こんなものか・・エックス?この程度の攻撃じゃ俺を倒すことは無理だ!!」
俺は、地面に拳を叩きつけ衝撃波と同時にエネルギー弾を飛ばす。躊躇していたのかエックスは防御するのが遅れ、攻撃をまともに受けた。
「うわぁあ!?」
強化アーマーのおかげで致命傷は免れたが、どころどころの装甲が剥がれ落ちてもう使い物にならない。俺は更に追撃を行う。
「幻夢零!!」
俺はセイバーにエネルギーを集約させることで巨大な斬撃波を放つ。エックスは、アーマーの切り替えが間に合わずにその場に伏せるが背中が切り裂かれた。
「痛・・・スピアチャージショット!」
「ちっ!」
奴のチャージショットが俺の右腕を貫く。これでしばらくバスターが使えなくなった。俺は接近すると同時にエックスはアルティメットアーマーへと換装し、ビームソードで応戦した。
「ゼロは、本当に運命を信じているのか!?」
「あぁ!俺がいなければシグマがイレギュラー化することはなかった!!カーネルとアイリスが死ぬこともな!!」
「えっ?」
俺の思わぬ発言にエックスは一瞬動揺する。その隙をついて俺は完治したバスターを奴の顔に向けた。
「クッ!!」
エックスは寸でのところで回避して直撃を免れるが一部が破損し、額からエネルギーが血のように流れる。同時に奴のビームソードが俺の胴体部を掠った。
「ウッ!」
俺は、すぐに距離を取る。それに対してエックスはさっきの言葉に驚きを隠せなかった。
「シグマが?一体どういう・・・・」
「今は関係ないことだ。今の俺たちにはな。」
俺は、未だに残っている感情を押し殺す。
「待ってくれ、ゼロ!君は・・・・」
「あの世へ行け、エックス!!」
俺はバスターに限界以上のエネルギーを収束して発射する。エックスの方も致し方ないと判断し、プラズマチャージで応戦する。エネルギー弾は、お互いにぶつかり合い相殺されるがその威力は発生する衝撃波にも及び俺たちは双方ともに吹き飛ばされた。
「ウッ!?」
「ウワーァアア!!」
その場で一瞬の閃光が灯り、俺たちはその場で倒れた。
「ウ、ウゥ・・・・・」
衝撃で強く頭を打ったのかエックスは意識を失う。俺は、ウィルスの影響で意識は戻ったが体が思う様に動かない。どうやら再生できないほどの重傷を負ったようだ。
「え、エックス・・・・・」
俺は、仰向けの状態から何とか動かしてエックスの方を見る。するとそこには既にアイツが待っていたとばかりに止めを刺そうとしていた。
「クククッ。・・・よくやったよ、エックス。今、楽にしてやる!!」
シグマは両手からエネルギー弾を放とうとする。俺は、自分の限界が来ていることを感じながらもバスターを変形させた。
「させるかあああああ!!!」
「何ッ!?」
運よく光弾ではなく光輪が出たことでシグマの両腕は切断された。俺はすかさずセイバーを奴の急所にめがけて投げた。
「グ、グオオオオオオ!?」
動力炉がある胸部を貫かれてシグマは、怯む。俺は、体を起こすとエックスの方へと近づき通信を試みる。
「こちら・・・・ゼロ・・・・ハンターベース・・・応答してくれ。エックスが・・・エックスが負傷した・・・・」
あれだけの戦闘でウィルスを消耗したおかげかエイリアが通信に出てくれた。
『ゼロ!?貴方、大丈夫なの!?』
「エックスのおかげでな・・・・・・俺のことはいい・・・・・コイツをベースに転送してくれ。」
『分かったわ。すぐに準備するけど、こっちからだとエックスの反応しか確認できないの。だから、貴方は近くにいてちょうだい。一緒に転送するから。』
「いや・・・俺はいい。後を頼む。」
『えっ?ちょっとゼロ・・』
彼女が何か言おうとしたところで俺は通信を切る。俺はエックスをできるだけ離れた場所へ運び、向き直ろうとする。
「グッ!」
そこへセイバーが飛んできて俺の胸部に突き刺さった。
「おのれ、ゼロ。真の姿に目覚めてまでエックスを庇うとは・・・」
姿は見えないがシグマの声が聞こえる。よく見ると先ほどの標準サイズではなく、限りなく巨大な奴が腕を組みながら俺のことを見下ろしていた。
「シグマ・・・・。」
「さて、ここで問題だゼロ。私のバックにはお前のことをよく知っている老人がいる。そして、老人はお前の真の姿を見てエックスを倒すところを見たかったが・・・・肝心なところでしくじった。それは誰かな?・・・そう、お前自身だ。」
シグマは、巨大な腕で俺を摘まみ上げる。
「うぅ・・・・」
「さて、これからどうするか?私と戦うか?それともあの老人の元へと戻り、エックスとの再戦をするか?まあ、そんな体で私の相手をするのは無謀だが。」
シグマは皮肉を込めるように指を動かしながら言う。それに対し、俺は不敵に笑みを浮かべた。
「分かり切っていることを・・・・聞くなよ?俺がその老人の元へ行くと思っているのか?」
「では、私に倒されるというのか?残念だな、あの老人はゼロこそが地上最強のロボットだと言っていたが。」
「俺は、そんなこと気にしない。・・・だけどな、俺一人で行くのじゃ寂しい。だから、お前を道連れにしてやるぜ!!」
「ん!?」
俺は、最後の力で辺りのウィルスをすべて吸収してボディを無理やり再生させる。そして、セイバーで指を溶断するとシグマの口へと飛び込んで行った。
「な、何をする気だゼロ!?」
シグマは、体内に入った俺に動揺しながら聞く。
『俺の全力をもってしてもお前を完全に吹き飛ばすのは不可能だ。だが、中の動力炉ごと吹き飛ばせばどうなるんだろうな?』
その言葉を聞くやシグマの態度が変わる。
「や、やめろ!?そんなことをすれば貴様のパーツなどこの世に一つも残らず消えてしまうぞ!?」
『構わない。これでお前と俺の因縁も終わるんだからな。』
俺は、奴の体内を手あたり次第壊しながら動力炉に辿り着く。熱量は凄まじく、破壊すれば俺どころか地上に大穴ができるかもしれない。
「・・・・・・」
俺はバスターを最大出力にチャージして動力炉に当てる。動力炉は機能が暴走し始め、誘爆を始めた。
「ぐ、グオォオオオオオオ!?」
シグマはもがき苦しむように暴れ始める。俺は力尽きてその場で倒れた。
「これでいい・・・・・これで・・・・」
目を閉じると走馬灯のように記憶が蘇ってくる。
これで負の連鎖が途絶える。
そして、新しい未来が訪れるはずだ。
かつての仲間たちが築くであろう平和な世界が。
「・・・・・エックス、後を頼んだぞ。」
爆発と共に俺の意識はそこで途絶えた。
・・・・・・
あれ?生きてんのかなこれ?
「・・・・・・」
お~い~起きろよ~こんなところで寝ていると風邪ひくぞぶ~ん~。
「・・・・・」
なんか見つかったのか?
あっ、まりさ~。ここに変な鎧着たお兄ちゃんがここに倒れているんだぶ~ん。
変なのはお前もだろ。
ひどい~。
「・・・・だ、誰だ?」
聞き覚えのない声でゼロは目を覚ます。目を開けるとそこにはとんがり帽子を被った金髪の少女と巨大なハチが顔を覗かせていた。
「!?」
あまりにも現実離れしていた出来事にゼロは思わず顔を起こす。その勢いでハチの顔にぶつかった。
「あ~ん~痛い~。」
ハチは、ひっくり返りながら転ぶ。彼はそんなハチを気にする余裕もなく辺りを見回す。辺りは見渡す限りの森でシグマと心中した場所と全く別になっていた。
「なんだここは?どこなんだ?」
「おい、そこの兄ちゃん大丈夫か?えらく驚いているようだけど。」
困惑している様子を気にしてか少女は、気にかけるように声をかける。そんな少女にゼロは、動転しながらも答える。
「あ、あぁ・・・すまない。目が覚めたらよくわからない場所にいたんでな。」
「コラ~ぼくちゃんにぶつかったんだから先に謝るんだぶ~ん~!」
巨大なハチは、怒っているかのように彼の周囲を飛び回る。そのしつこさはハチと言うよりもハエと言った方がいいのかもしれない。
「おいおい、そう怒んなよ。この兄ちゃん、外来人だからこの辺のこときっとわからねえんだ。後でキノコやるから許してやれ。」
「昆虫ゼリーも付けてくれなきゃヤーだよ~!」
(そのぐらいで許すのか?)
意外なもので許すハチの様子を見てゼロは、ますますここがどこなのか分からなくなった。少女は、ハチが落ち着いたのを確認すると改めて彼に声をかける。
「いや、家のハチがうるさくて悪かったな。私は、霧雨魔理沙。魔理沙って呼んでくれ。兄ちゃん、名前は?」
「俺?俺はゼロ。」
「ゼロか。アンタ、私たちに見つけられるなんて運がいいぜ?この辺は人を食う妖怪が普通にウヨウヨしているからな。」
「人?俺はレプリロイドだが。」
「レプリ?なんだそれ?」
ゼロの言葉に魔理沙は、きょとんとする。その反応を見て彼も不思議そうに見ていた。
「なんだそれって・・・・レプリロイドを知らないのか?人間のパートナーとなるべく作られたロボットのことだぞ。」
「ロボット?ってことはコイツの仲間か?」
魔理沙は、自分のハチに指を指しながら言う。
「仲間って・・・・コイツはどう見てもただのデカいハチじゃ・・・・」
「いやいや、コイツも歴としたロボットだぜ。なあ、ワスピーター?」
「ぼくちゃん、メ〇ロイドの仲間じゃないも~ん~。ワスピーター、へんし~ん~!ブブブブ~ン~!」
ワスピーターは掛け声を上げると同時に頭が割れ、ハチとロボットが合わさったような姿に変わる。これにはゼロもびっくりだった。
「変形するって・・・・どういう仕組みなんだ?」
「ぶ~ん~カッコいいでしょう~。」
「なっ、すごいだろう。ゼロも変身するのか?」
「冗談はやめてくれ。」
ゼロは、もう付いて行けないと頭を抱えるのであった。
続きは・・・・・リメイク前通りになるのか?