戦いでダメージを負ったゼロは、仕掛けた張本人であるダイノボットに担がれながら妖怪の山の麓にまで来ていた。
「ここが妖怪の山か。」
思うように動けない状況の中、ゼロは顔を上げて目の前にそびえる山を見る。
「ダアァ、本当にこんなところに直せる奴がいるのか?あの女、嘘ついたんじゃねえだろうな。」
「アリスさんは、嘘つきません。でも・・・・」
怪しそうに山を睨みつけるダイノボットに対し、アイリスは否定するがどこか不安そうな顔をする。
「『でも』なんだよ?」
「この山に住んでいる天狗って言う妖怪たちは余所者に対して警戒が強くて、侵入しようとした人たちに最初に警告をしてくるそうです。そして、その警告に従わなかったら・・・・」
「容赦しねえってか?ダアァ~ふざけんな!?こっちは怪我人連れているんだぞ!!頼みに来たのに帰れってことはねえだろ!!」
話を聞いてダイノボットは、しかめっ面になる。
「お前だって俺のことを勝手に敵と認識して攻撃しただろ?似た者同士じゃないか。」
「なんだと?」
「二人ともこんなところで言い合いは・・・・とにかく早く行きましょう、理由を言えば通してくれるかもしれませんし。」
三人は、暗い山道へと入って行った。
一方、ここは三人が目指している河童の住処の一つである山の洞窟。外では河童たちが何かを作っている中、洞窟の中で騒いでいる者がいた。
ゼロに首を吹き飛ばされたテラザウラーだ。
「嫌ザンス!何が何でもミーはこんな奴から治療は受けたくないザンス!!」
「そんなこと言っちゃダメですよ!?せっかく直してくれるんですよ!?」
駄々を捏ねる彼に対し、大妖精は説得を試みているが聞く様子は全くない。ちなみにチルノは、この山の上に遊びに行ってこの場にはいない。
っと言うのも問題は治療を担当する相手に原因がある。
「何でミーがサイバトロンに手当てされなくちゃならないザンスか!?このサイに治療なんてされたら頭ん中に爆弾仕込まれちゃうザンス!!」
「頭ん中に爆弾って・・・ボルガ博士じゃないんだから・・・・って言うか、今時このネタ知っている人、誰もいないんダナ!」
呆れながらツッコミを入れるのは細見の彼とは正反対のガタイの良いロボットだった。彼は、テラザウラーの頭を取ると少し睨みつけて軽く脅すように言う。
「あんまり文句ばかり言うと直さないどころかバラバラにして焼き鳥にして食っちまうんダナ!寺子屋の子供たちのおやつとして配っちゃうぞ!」
「カ、カッ!?や、焼き鳥!?」
以前もやったようなやり取りに彼は黙る。それを確認するとロボットは修理工具を取り出し、溶接で首を繋げ合わせ始める。
「すみません、ライノックスさん。毎回お世話になっちゃって。」
大妖精は、彼に頭を下げてお礼を言う。
「別にこのくらいのことお安い御用だよ。こんな僕でも役に立てるからね。」
ライノックスは、感慨深い顔をしながら手を進める。その傍では河城にとりがワシ型のレプリロイドをメンテナンスしていた。彼女は、ゴーグルを外すとレプリロイドを再起動させる。
「もう、動いても大丈夫だよ。飛行システムも正常、駆動系が少し錆びついていたけど新しいものに交換しておいたから問題ないよ、イーグリード。」
再起動したイーグリードは、上半身を起こして体を動かしてみる。
「調子が良くなったよ。ありがとう、にとり。」
「いいってことだよ。君たちが来てくれたおかげでここ最近ここはお祭り騒ぎだからね!」
彼は、礼を言うと治療中のテラザウラーを見る。
「また、喧嘩を売りに行ったのか?ここに来てもう随分経つんだからいい加減諦めたらどうだ?俺の世界じゃ、イレギュラーとして処分されているぞ。」
「カァ~余計なお世話ザンス!ミーは、あの赤ヘルメットのことでムシャクシャしているザンス!今度会ったらギッタンギッタンのバラバラに・・・・」
「お前も赤だろうが!全く、そんなに喧嘩ばかりしているともう直さないぞ。」
不機嫌そうに返事をするテラザウラーに対し、ライノックスはツッコミを入れる。しかし、その言葉を聞いてイーグリードは、何か思い当たるのか首を傾げた。
「赤ヘルメット?どんな奴なんだ?」
「えっ~と、肩当てに『Z』のマークがあって後ろから長い金髪伸ばした変な奴ザンス!」
「『Z』マークと金髪?何か見覚えがあるな・・・・」
「お~い~にとり~!」
そこへ外で作業していたモブ河童の一人が慌てた様子でやって来た。
「どうしたの?」
「山に変な外来人が侵入してきたって天狗たちが大騒ぎしているんだ。なんか総動員で応戦しているんだって!」
「変な外来人?」
その言葉に彼女は、眉を動かす。対してイーグリードは、気になったこともあって質問をする。
「その外来人って言うのはもしかして赤いヘルメットに長い金髪がなかったか?」
「う~ん~、よくわからない。でも、剣振り回して大暴れしているそうだよ。『河童はどこダー!!』って。」
「ウゲッ!?アタシら目当て!?」
「どの道、ほっとく訳にはいかないんダナ。僕らも加勢しよう。ダナァ~~!!」
ライノックスは、叫んだのも束の間もう一つの姿であるサイに変形する。
「にとり、悪いけどコイツの治療の続き頼むよ。」
「はいはい、任せて。」
二人は、洞窟から出て地上と空に分かれて現場へと急いだ。
妖怪の山の麓では剣と盾を盾を構えた白狼天狗たちが自分たちより一回り大きいダイノボットと対峙していた。周囲には彼の手で倒れたと思われる天狗たちが転がっており、少し離れた木の物影ではぐったりとしたゼロがアイリスに抱きかかえられていた。
「ダァア~~~!!いい加減しつこいぞ!!俺たちはここにいる河童に用事がある言ってるんだ!!」
「だ、だからと言ってお前みたいな物騒な輩を山に入れるわけにはいかない!増しては仲間を倒した奴なんぞに!!」
「ダァアア~~~!!」
「ヒッ!」
既に仲間が何人も倒されたこともあり、言い返した白狼天狗『犬走椛』は、顔を夜叉の如く顰めるダイノボットを見て思わず悲鳴を上げた。まさか、こんな妖怪がこの山に喧嘩を売りに来るなど思っても見なかった。目から怪光線をを出し、近づけば回転する盾をサーベルで斬りかかってくる。ある意味鬼よりもたちが悪い。
仲間たちと身構えている彼女たちに対し、ダイノボットは一歩、そしてまた一歩と詰め寄ってくる。
「「「う、うぅ・・・・」」」
「そこをどけ!さもないと・・・ここにいる全員八つ裂きにするぞ!!」
彼は、そう言うと一気に駆け出して今にも斬りかかろうとする。最早ここで腹を括るしかないと決め、椛たちは応戦しようと盾を構える。
「やめなサイ~!!」
「「「「!?」」」」
そこへドスドスとものすごいスピードで走ってくるライノックスが姿を現した。彼は急ブレーキをかけると砂埃を巻き上げて両者の間に割って入る。その砂埃のすごさに両者は思わず動きを止めた。
「ダァアア~~~!?ゲホッ、ゲホッ!?何が起こりやがった~!?」
「剣を振る物騒な大男が暴れてるってまさか君だったなんてね。こんな形で再会できるとは思わなかったよ、ダイノボット。」
咳込むダイノボットに対し、ライノックスは煙の中でロボットモードになって姿を現した。
「あぁ!?ライノックス!?お前、何でここにいるんだ!?」
「それはこっちの台詞だよ!こんなところで大暴れして、一体何考えているんだい!」
「それは・・・その・・・・・」
「私たちのせいなんです。」
説明に困ったダイノボットの代わりにゼロを背負ったアイリスが目の前にやって来た。
「君は?」
「私は、アイリスと言います。私たち、この山にいる河童に頼んで彼を直してもらい来たんです。」
「なんだって!?そんなことのためにこんな騒ぎを?」
ライノックスは、目を丸くしてダイノボットを見る。彼が短気でぶっきらぼうな性格なのは元から知っていたがまさかこんな騒動を起こすとは。
「なんでもっと早く言わないんだ!?」
「言った!でも、聞かなかったのはこいつ等の方ダッ!!」
「・・・・貴方が河童に用があるとしか言わなかったからじゃないですか。」
恨めしそうに睨む彼に対し、椛たちは文句言いたげな顔で答える。
「ライノックス!その男が犯人・・・・・ゼロ?お前、ゼロなのか!?」
遅れて現場に駆け付けたイーグリードは、背負われているゼロの姿を見るなり驚く。その声に気づいたのかゼロも顔を上げてみる。
「イーグリード・・・か?」
「驚いたな、お前ほどの男がこの地に来るとは。最後にあった時と比べて少し変わっているな、何かあったのか?」
「怪我をしているんです。彼の治療のためにもここを通していただけないでしょうか?」
アイリスは、頭を下げながら頼み込む。理由が分かった二人は椛たちと相談すると向き直る。
「分かったよ、道はイーグリードが案内してくれる。行っていいんダナ。」
「ありがとうございます。」
イーグリードは、彼女からゼロを受け取って目的地を目指して歩き始める。ダイノボットは着いて行こうとするがライノックスに止められる。
「ダァア!?なんだよ!わかったんじゃないのかよ!?」
「お宅は居残りで怪我人の搬送だよ!!こんな騒ぎ起こして『さようなら』で済むはずないでしょが!!」
二人は、謝罪も兼ねて怪我をした天狗たちを担いで別の道を行くのだった。
一応流れは旧作と同じだけど結構変わったな。