世を照らすのは日輪だけじゃない。   作:千月

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 次回の更新は8月になると言ったな。あれは嘘だ。次がそうだ。今回の話は長めです。ざっと一万文字。時間がある時にお読みください。捏造の呼吸常中です。お気をつけ下さい。
 前半ちょろっと悪魔とゲスメガネの話。
 お待たせしました“式”でるよ!!


第5話 託されたもの。

 

 二週間程前の事だろうか、買い出しに出掛けた悪魔こと佐藤勇太は、とんでもないことになった。一瞬死にかけたと言えば、どれ程のものだったか理解できるだろう。

 

 そんなことになった原因は、趣味の服を織る布でも見に呉服屋に入った時だった。布を見ていた一組の男女の女ほうが、ワンピースの袖から指をちょっぴり出すスタイルをしていたのである。まぁここまでは良かった。別に悪魔もあら、可愛いわねで流した。ただそこからが駄目だった。目に入れても痛くない程に可愛い可愛い有一郎と無一郎が、あんなスタイルで、きゅるんっという擬音と共にアタシの名前を呼んだら………と、妄想してしまったのが駄目だった。

 

 冒頭で死にかけたと言ったが、お察しの通り心臓が麻痺ったとか脳が詰まったとかじゃない。

 ある意味間違いではないかも知れないが、端的に言ってブバッと鼻血出た。それで死にかけた。しょうもねぇ死にかけ理由である。これで死んだら笑えない。死因が萌えとか、本人以外本望じゃない死に方である。天国の親父さんがまた泣くぞ。

 

 話を戻そう。

 

 鼻血で死にかけた佐藤勇太は、呼吸を使って止血した。そして心配して声を掛けてきた店員に目もくれず、何反もの絹の布をお買い上げになると、我らが同士、隠の前田まさおのところに突撃した。

 

 ここで一つ前置きしておくと、前田まさおとは、隠の縫製係の中で卓越した技術を持つ男である。彼の手にかかればどんなに中古ものでも新品同様に綺麗になり、ぼろ布でも元の姿を取り戻す。そんな神の手を持つクセに「女体に吸い付く服を作り上げたい」とのたまう変態である。もっと言うと、鬼殺隊の中で一番の変態は誰かと言ったらコイツの名が挙がる程のド変態である。更に言えばスケベメガネという不名誉な称号を満場一致で与えられたド変態ゲスメガネである。

 

 どんなに罵られても、どんなに怒られても、コイツはめげない止めない諦めない!! 以前とある柱に毒を盛られたことがあったが、何故か効かなかった。多分なんか凄い超常的な何か、スタンド的なものに護られている。

 

 佐藤勇太は、山姥の異名に相応しい形相で、裁縫係の戸を叩く。

 

「まさぉぉぉぉ!!!」

「何ですか騒がしい。私は今最新作のハから始まってチで終わる四文字のものを作成中なんですよ」

 

 瓶底メガネをカチャカチャして出てきた前田は、どこか楽しそうである。

 

 ハから始まってチで終わる四文字のものと言ったら、アレであるし、前田の楽しげな雰囲気を見て至極まっとうな答えに達した悪魔は、やれやれと肩をすくめた。

 

「またハレンチな服作ってるの? 懲りないわねぇ、アンタも」

「残念作ってたのはハンカチでした!!」

「しばくわよ」

 

 それはさておき、前田の首に腕を回して耳元で囁く。

 

「ほう、萌え袖………はいはい……なるほど……確かに……良いでしょう」

 

 エロスを胸に宿す前田は、顔布の向こうでニヒルに口の端を吊り上げた。眼鏡が初期のコ○ンばりに光ってる。

 そして悪魔と前田は仲良く作業部屋に戻って行った。

 

 その後ろでは、顔を青く染め肩を寄せ合う善良な同僚たち。

 

「どうしようどうしよう!!? また胡蝶様がお怒りになるぞ!!」

「それだけじゃない! もしゲスメガネへのお怒りが此方に飛び火したら俺たちの命も危ない!!」

「ヤバイ。今からでも前田を抹殺した方が良いか!!?」

「だが前田は使えるからな。くそ、役立たずなら追い出してやったのに……!!」

 

 ゲスメガネの技術は天下一品であるため追い出すに追い出せないのだ。

 そんな風に慌てる先輩方を見て、一人の新人が隣の先輩に声をかけた。

 

「あの、一体なにを皆さん慌ててるんです?」

「そっかお前は新人だがら知らないのか。山姥とゲスが混ざったらヤバいものしか生まれないのよ」

「なにその混ぜるな危険。一体何が生まれるんです?」

「阿鼻叫喚の地獄絵図」

 

 遠い目をした先輩の目は直ぐに死んだ目に変わった。一体何があったのか聞くのが恐ろしい。

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 初任務から二週間が経った。流石にあんな任務は二度目はなく、ちゃんとした鬼狩りをしている。

 

 黙々と任務をこなす毎日で、階級はつい昨日壬に上がった。

 

「死ね」

 

 そして、今も尚俺は鬼狩りの最中である。これで累計十件目。

 

「ギャァッ!?」

 

 鈍くさい鬼は短い断末魔と共に首が胴体に別れを告げ、そのまま灰化。

 はい任務完了。

 

「カァカァ、オ疲レサマ有一郎チャン!」

 

 上空を飛んでいた金子が俺の肩に降り、「オヤツ食ベル?」という言葉と共に差し出されたのはミミズ。

 

「いらない。あと人間はミミズ食べないから」

「ム、ナラ私ガ食ベテモイイ?」

「いいよ」

「アリガトー」

 

 ひょいっと宙に投げてぱくり。ミミズは金子の腹の中へと消えた。

 

「それで、次の任務は?」

「無イ! 次ノ任務ガ来ルマデ藤ノ家デ待機! チャント休息ヲトルノヨ。ゴハンモシッカリ摂ルノヨ」

「そうか、久々の休日だな」

 

 金子を肩に乗っけたまま近くの藤の家を目指して歩き、夜が明ける前に着いた。

 

 お腹空いたなぁ、と腹を鳴らしながら俺は軽く戸を叩く。

 

「――――はい、鬼狩り様ですね。お待たせ致しました」

 

 出迎えてくれたのは老齢の男性。そして曲がった腰を更に曲げると二の句を繋いだ。

 

「恐れ入りますが、今日こちらは別の鬼狩り様が一人居られます。それでもよければ歓迎しますが、如何致しましょうか?」

「はい。問題ありません」

「承知いたしました。ではご案内致します……」

 

 屋敷の中は少し古ぼけているが、かなり立派な作りでそうそう壊れはしなさそうだ。

 

 老爺さんは俺を客間へと案内したあと、食事の支度をしに去っていった。部屋の中から溢れる蝋燭の光で、障子の向こうに誰かが居ることが分かる。少し深呼吸して障子を開ければ、そこには俺と良く似た姿の少年がいた。 

 

「無一郎!」

「兄さん!?」

 

 食膳の前に座していた無一郎は、箸を掴んだまま飛び付いて来た。

 

「兄さん久しぶり! 元気だった!? 怪我してない!?」

「落ち着け無一郎。元気だしどこも怪我してない。それと危ないから箸を離しなさい」

 

 離れがたく一度ぎゅっと抱き締めた無一郎は、俺の背中に回していた腕を離し、お椀に箸を置いた。解放された俺は途中で渡された浴衣に着替る。

 

 丁度着替え終わると食事が届いたので、俺は無一郎の隣に座って食事を始める。

 

「へぇ、無一郎も久々の休息なんだ」

「うん、ところで兄さん、二週間前くらいに俺のこと呼んだ? ほら新月の日だよ」

「……多分呼んだ」

「やっぱり! 僕あの時聞こえた気がしたんだ! ……危ない任務だったの?」

 

 喜色満面の顔から一転、無一郎は眉を寄せて俺に問う。

 

「あまり話したくないが、聞きたいか?」

「うん」

「実はな……」

 

 初任務であった出来事を全て伝え終わった頃には、無一郎は唇を白く染めてプルプル震えていた。

 

「兄さん、それ、幽霊じゃ」

「うん、幽霊だろうな」

「……お祓いは済ませた?」

「次の日に済ませた」

 

 初対面なのに全てを悟ったように、お坊さんは「大変だったねぇ」とお祓いをしてくれた。逆に怖かった。

 

「お前のほうは? 何かあったか?」

「そうだ! 聞いてよ兄さん! 二つ目の任務でのことなんだけどね―――」

 

 久しぶりに弟と水入らずの時を過ごす。心地いい一時だ。ほんと、こんな時間を脅やかす鬼なんて滅んじゃえばいいのに。

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 明朝から昼過ぎまで二人で寝て、ご飯を食べて無一郎と日輪刀の手入れをしていたら、金子と銀子がガァガァと喧嘩をし始めた。

 

「どうしたんだ急に?」

「喧嘩しちゃ駄目だよ」

 

 俺は金子を、無一郎は銀子の羽を掴んで引き剥がす。

 

「「ダッテ銀(金)子ガ可愛イノハ無(有)一郎ダッテ」」

「「は?」」

 

 詳しく訊いてみれば、俺と無一郎がどれだけ可愛くて格好いいかを互いに言い募っていたそうだ。

 

「有一郎チャンハネ! 可愛イダケジャナク優シイ所モアルノヨ! 今日ダッテミミズ食ベテモイイッテ言ッテクレタモン!!」

「無一郎チャンハソンナモノジャナイワヨ! 無一郎チャンは初任務ノ時カラ被害者ノ話ヲ聞イテ寄リ添ウ子ナノヨ! 心ガ綺麗ナノヨ有一郎チャントハ違ッテネ!!」

「ハァーン!? 何モ知ラナイクセニ適当ナコト言ウノヤメテクレマスー!? アンタノ目ハ鳥目ナノ!?」

「ハァーン!? アンタ馬鹿ジャナイノォ!? 鴉モ鳥デスゥ! ダカラ鳥目デアッテマスゥ!! アンタ遂ニボケテ阿呆鳥ニナッタノォ!?」

「ハァーン!? 阿呆鳥デスッテェ!? アンナ簡単ニ人間ニ捕マッテ絶滅寸前ニナルヨウナ輩トハ一緒ニシナイデクレマスカ!? コノ鳥頭!!」

「ナンデスッテェ!!?」

 

「「はいはい落ち着いて」」

 

 宥めるように言っても止まらず、金子は「私ハコレクライ有一郎チャンガ好キ!」と羽をおっきく広げ、銀子も触発されたように「私ハコンクライ無一郎チャンガ好キ!」と羽を広げてぴょんぴょん飛び跳ねだした。

 

 そしてはぁはぁ、と息を整えた二羽の鎹鴉はそれぞれの担当の膝にぴょんと飛び乗ると、互いの顔をビシッと羽先で示し、

 

「「コノ分カラズ屋!」」

 

 と叫んだ。

 それを見た無一郎は目尻を柔らげ、膝に座る己の鎹鴉を撫でるとにこやかに笑った。

 

「仲いいね、二人とも」

「「ヨクナイ!!」」

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 その日の夕方、任務が入った。場所はここから北の山。名を風前山。

 

「兄さんと一緒だね!」

 

 無一郎の言う通り、今回は俺と無一郎に同じ任務が下った。

 早速隊服に着替え、刀を佩く。玄関前で老爺の切り火を受け、そして任務の山へと駆け出した。

 

「兄さんと一緒ならどんな鬼でも負けないね!」

 

 横を嬉しそうに走る無一郎に、俺もそうだなって返す。

 

 駆ける足取りは軽く、不調はない。今ならどんな鬼でも負けない気がした。

 

 空も山も、何もかも。世界は鮮やかな西日で染まっていた。

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 夜の帳は既に下り、空には月が昇っていた。

 お陰で視界はそこまで見辛くなく、だからそれがはっきりと見えた。

 

 風前山の麓まで来たときだった。

 

 踏みしめられた道から獣道に変わる、そこの境目に人が倒れていた。黒い隊服に刀を手にし、事切れた人は、俺たちと同じ鬼殺隊。その顔は苦悶に満ちていて、ひしゃげていた。

 

「兄さん」

「ああ」

 

 これは生半可な相手ではない。倒れた同志の顔を清め、手短に南無阿弥陀仏と唱える。

 

「金子、救援と隠の要請を頼む」

「ワカッタワ。気ヲ付ケテネ!」

「銀子も、僕たちの側にいないで遠くにいて」

「エエ、ワカッタワ」

 

 夜闇に羽ばたき、姿を消した金子と銀子を見送ったあと、全てを呑み込むような暗闇の中へと、俺たちは鬼が潜む山へと踏み入れた。

 

 俺たちが歩く音だけが仄かに響く。梟の声も、虫の音もせず、異様な雰囲気が満ち満ちて、踏みしめる土にも染みていた。

 

 その状態がしばらく続き、開けた場所に出た。

 

「に、兄さん、あれ」

 

 無一郎の震える指が示す先には、人間の髑髏がぶら下がっていた。一つだけではなく、両の手では数えきれない程の夥しい数の髑髏が、骨が、腐りかけた肉が、吊られていた。

 

「いらっしゃい鬼殺隊。私は鋭狐(えいこ)。今宵は良い夜だ。骨が光を浴びてきらきら光る。実に良い」

 

 ハッと振り返れば、木の枝に腰をおろした鬼がいた。目は切れ目で着ている着物は血で黒く染まっている。でも一番目を引いたのは、その目。鬼の左目には“下壱”と刻まれていた。

 

「お前たちの味は、甘いのかな? 辛いのかな?」

 

 その意味を考える前に、鋭狐と名乗った鬼は、凄まじい速さで俺たちに向かってきた。

 

「兄さん!」

「ああ!!」

 

 刀を構えて迎え撃つ。狙うは頸一点。全集中の呼吸で跳ね上がった渾身の一撃を、その頸目掛けて繰り出した。

 

 それがどんなに無謀な行為かも知らずに。

 

「馬鹿な!?」

「そんな!?」

「愚か」

 

 俺たちの渾身の一撃は、あっさりと止められた。

 

「こんなもので私の血鬼術を越えられるとでも思うたか」

 

 傷どころか、刃すら届かない。刃は頸に到達する前に何か分厚いもので防がれた。

 顔や刀を握る手から、冷汗が滝のように滲み出てくる。

 その事実に茫然とする俺たちをよそに、余裕磔磔にその光景を眺める鋭狐はニヤリと嗤った。

 

「血鬼術・連連千刃風(れんれんせんじんふう)

 

 その言葉が発せられると共に、何処からともなく現れた風の刃が、俺たちの隊服を紙のように裂き、肌を切っていった。

 無様に転がった俺たちに、鋭狐は追い討ちをかけずにただ佇んでいる。

 

「弱い、弱いぞ。強いと思ったがただの見かけ倒しか。だが実に愉快。そして滑稽だ。力無き者の足掻く様。いつ見ても無様で面白い――――だが見飽きているのでな、さっさと死んで私の糧となるがよい」

「誰が簡単に死んでやるか!!」

 

 怒りを胸に呼吸。

 

 霞の呼吸 伍ノ型 霞雲の海

 

 低い姿勢で刀を振るいながら突進し、高速の細かい連撃を繰り出す。

 

「甘いなぁ」

 

 だがこれも止められた。

 駄目だ。無理だ。勝てない。情報も何もかも足りない状態で、これ程強い鬼とは戦えない。それに俺たちはまだ鬼殺隊に入って二週間程度で経験が浅いんだ。

 

「無一郎逃げるぞ!!」

「そう易々と逃がさんぞ」

 

 救援を待つか撤退か、どちらにせよこの場を離れる必要があったが、鋭狐が手招くと強烈な鎌鼬が吹き荒れて、俺たちの行く手を阻んで逃亡を許さない。

 

「私は狙った獲物は逃がさない。そもそも十二鬼月の下弦の壱である私から逃げられるとでも思ったか?」

 

 なるほど“下壱”はそんな意味が。意味が知れたのは良いが知ったことにより今の状況がとんでもなく不味い事が分かる。今まで斬った鬼の目には何の証も無かったから、十二鬼月というのは鬼舞辻無惨の精鋭なのだろう。しかも下弦の弐は十二鬼月の大体真ん中位の強さだと推測できる。つまり全ての鬼の中で、鋭狐は上から六、七番目の強さを持つということだ。

 

「無一郎、いけるか?」

「もちろん」

 

 切れる風が全方位から飛来する。その全てが喰らってしまえば死を覚悟してしまうほどの切れ味。当たることを許されない攻撃の嵐を防ぎ、反らし、回避し、俺たちは亀の歩みで鋭狐に向かっていく。

 

「ううおぉぉぉぉ!!」

「そーらやり直しだ」

「ぐっ……!!」

 

 真っ正面から飛来した空気の塊が俺たちに衝突し、近寄ることを許されない。俺たちは必死であるのに相手はお遊び気分で対処される。

 

「くそっ!!」

 

 当り前だ。身体能力も、経験も、技術も。何もかもが足りない。俺は天才じゃない。たかが一ヶ月鍛練したからといって互角以上に渡り合える器じゃないんだ。

 

 それでも、諦める訳にはいかないんだ。

 

 霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り

 

 僅かに風が収まった瞬間を狙って肆ノ型で滑り込む。そして弐ノ型、八重霞。迫り来る鎌鼬を体を大きくひねって躱し、前方の上中下段に、渾身の五回の連続斬りを叩き込む。その甲斐あって傷を付けることは出来たが、切り落とすところまではいかず、瞬く間に再生された。ホント頭にくる。ふざけるなよ。折角与えた傷も治ってしまえばやり直しだ。

 追い討ちをかけた無一郎の傷も、元通り治ってしまった。

 

「ちょこまかと動きよって。足でも切り落とすか」

 

 ニタリ、と不気味な笑みを零した瞬間、暴風雨の如き鎌鼬が吹き荒れ、背後の森の一角が、まるで豆腐の様に切断され、音を立てて倒れた。

 

 ぞっと背筋を悪寒が走り抜ける。

 

「さて、どうする?」

 

 到来する刃の数は数え切れず、それらが高速で俺たちの手足を刎ねんと動き出す。

 

 陸ノ型 月の霞消

 

 今の俺が出せる最強の一撃。縦横無尽に動き回りながら周囲を振り払う斬撃を繰り出し、刃を弾き続ける。

 

「さぁさぁ何処まで持つかなぁ!!」

 

 攻撃を受ける度に、攻撃を繰り出す度に、両腕と両足は痺れと疲れを蓄積する。

 

 全く近付けない。だが刀は無事だ。ならば大丈夫。まだいける。まだ身体は動く。攻撃も防げる。ならば進める戦える!!

 

「ぐぅあああああああ!!!」

「兄さん!!!」

 

 そう思った矢先、知覚外の攻撃が俺の足を深く貫いた。

 勢い余って転んだ体は、土砂を巻き上げ木に衝突する。

 

「うあああぁぁぁっっ!!」

 

 更に真上から潰されるような圧力を加えられ、身体中から嫌な音がなった。

 

「なまじ戦えていたから希望を持ったか? 愚かなことよ。貴様らを葬ることなど児戯に等しい」

「ふぅぅぅっっ………ふぅぅぅっっ……」

 

 肋骨が……多分四本は折れてる。それに身体中の骨に罅が入っていると思う。無茶すればまだ動けると思うが、現状を打破する手立ては思い付かない。最後の頼みの綱の“竹の笛”も、多分割れてしまった。

 

 勝機は薄い。だけどまだ無一郎がいる。まだ諦める時ではない。

 

「ははは、弱い弱い、無様な姿よ。地に這いつくばる姿はまるで芋虫、いや弱虫のようだ。ククククッ……おっと気に障ったか? うん?」 

「兄さんは弱くない!! お前なんかが兄さんを侮辱するな!!!」

「落ち着け無一郎! 挑発に乗るな!」

 

 痛みで掠れた俺の言葉は届いて居ないのか、無一郎は我武者羅に刀を振り回す。呼吸も身体運びも、まるで幼い子供の癇癪のようで、鋭狐に易々と防がれている。

 

「無一郎! 呼吸だ! 呼吸をちゃんとしろ!!」

 

 何度言っても無一郎は聞き耳をもたない。怒りに支配された大振りかつ単調な動きは避けるに容易く、避けられてしまえば致命的な隙ができる。

 そして鋭狐は、無一郎の隙を、見逃さなかった。

 

「死ね」

「無一郎!!」

 

 底冷えた、どす黒い声音が耳を突き刺す。一秒の間もなく巨大な刃が無一郎を薙いだ。そして呼吸を忘れた無一郎は、血を吹き出して俺の傍に転がった。

 

「無一郎ぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 崖が崩れるような、世界が崩れる音がした。

 

「駄目だ……」

 

 俺のせいだ。俺がもっと強ければ、もっと早く倒せていればこんなことにはならなかったのに……。

 

「駄目だよ、むいちろぅ」

 

 動かない。

 

「起きて、頼むから」

 

 動かない。

 

「一緒に、一緒に鬼を倒そうって言ったじゃんか」

 

 ねぇ。

 

「ごめん、ごめんむいちろぅ、俺が悪かった」

 

 一緒に守ろうって言ったのに、お前を守ることができなかった。

 

 嫌が応にも、あの、夏の夜が脳裏にちらつく。

 今もなお鮮明に焼き付いているその光景が、あの夜の繰り返しだとばかりになぞられる。

 お前の弱さだと突き付けられる。

 お前のせいで弟は死ぬんだと責められる。

 

 無一郎の呼吸がどんどん遠のく。

 胸の血は止まらず流れ続ける。

 

「まだ生きていたか。存外しぶとい奴だ。一人では寂しいだろう? 感謝するといい。お前もすぐ同じ所へ行く」

 

「ふざ、けるな……!! お前は俺が、俺が殺してやる……!!」

 

 煮え滾る憤怒が涙を流し、頬を伝わる。

 

「そうか、頑張るといい。――――たが、先に死ぬのはお前だ」

 

 一瞬だった。

 

 たった瞬きする間に、数多の刃が鋭狐の背後に展開され、俺たち目がけて飛んで来た。

 

 避けられない。

 防げない。

 

 俺は無一郎に守られたのに、無一郎を守ることができなかった。

 

 だからせめて、これ以上傷が付けられないよう、俺は無一郎の前に立つ。

 

 父さん、母さん、ごめんなさい。無一郎を守ることができませんでした。不出来な兄でごめんなさい。

 

 濁流のように過ぎ去る走馬灯の中で、一番幸せだった頃を思い出す。

 その中には、父さんとの約束があった。

 

 

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは年開けぐらいの頃だった。

 

『その耳飾りってなぁに?』

 

 満点の星空の下、夜に掛かる月を眺めながら、横に座る父さんに訊ねた。すると父さんは空を見た。じっと、じっと、何かを探すような、どこか哀しい目で。そして不意に、唄うように言った。

 

 “約束しましょう。遺しましょう。あなたが何時か、天へと昇れるようにと願いましょう”

 

 軽やかに揺れた耳飾りとともに、そう唄った父さんはおもむろに腰を上げた。そして神棚にあった榊を手に取ると、

 

『ちゃんと見てるんだよ』

 

 そう父さんの背中が囁いて、庭に出た背中は軽やかに舞った。天女の羽衣のようにふわりと、音もなく舞った。

 その瞬間、世界が鮮やかに見えた。虫の音、風の音、星々の煌き、木々の騒めき。そして父さんがもつ榊の葉擦れ。口から漏れでる、光り震えるような呼吸音。

 くっきりと鮮明に聴こえたそれらは、とても、とても、美しいものだった。

 

 でもどうしてだろう。涙が出てくるのは。胸に満ちたこの感情をなんと呼ぶのか分からず、ただただひたすらに涙が溢れた。

 

 一通り舞った父さんは再びおれの隣に腰かけて、月を模した耳飾りをそっと手に取った。しゃらりと、冬の小川のせせらぎのような音がなった。

 

 父さんは耳飾りを外すと、今まで見たことないほど優しい目で手の中の月を見た。

 

『………約束なんだ。かつてご先祖様が誰かと交わした約束を、私たちは果たさないといけないんだ』

 

 壱式、闇月

 弐式、弄月

 参式、銷り

 

『全部で六つの式を、絶やさず壊さず、美しいままに、何時か天に昇れるように、この耳飾りと共に継いでいくんだ。できるかい、有一郞?』

 

 知らずのうちに流れた涙は顎を伝って寝間着に落ちて、まぁるい染みを浮かべた。

 何の声も出せず、こくん、と頷いたおれに、父さんは小指を出した。

 

『約束だ。さぁ、小指を出して。ほら、一緒に唄おう。……せーの、約束しましょう。遺しましょう。あなたが何時か、天へと昇れるようにと願いましょう』

 

 

 今度はおれが、俺が継ぐ番だ。

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 

 

 ホォォォォォォ―――………

 

「壱式 闇月ィィ!!!」

 

 記憶の父さんの教えの通りに刀を振れば、切っ先から三日月が飛び出した。

 地上に降りた三日月は、その力強さで迫る刃を打ち砕き、鬼にその威を刻み込む。

 

「なんだと!!?」

 

 驚愕を露にする鋭狐には、今までの余裕な態度はもうない。

 鬼の体が横にずれる。俺も逃がさないと追いかける。

 

 でも。

 

「……はっ…あっ…」

 

 うまく息ができない。多大な負荷が肺に掛かっているのを感じる。

 早く、早く鬼を倒さないと。俺の身体に限界がくる前に。止まりかけた足をどうにか動かし追い掛ける。俺が死んだら、無一郎だって死んでしまう。

 

 走れ、走れ、走れ。

 

 足が千切れても、腕が捥げても構わない。足の一本や二本、腕の一本や二本などくれてやる。

 もう歩けなくなっても構わない。

 もう無一郎を抱き締められなくなっても構わない。

 

 そんなことより。

 無一郎が死んでしまうことの方が何よりも恐ろしい。

 

 だから。

 

「もし俺が死んでしまっても構わない!!!」

 

 弟を失うことに比べれば、うなじにかかる死の息吹なぞ春のそよ風のようなもの。

 もちろん兄を失くした弟の気持ちを、考えなかった訳ではない。

 もし無一郎が生き残って、俺の亡骸を見たら、俺の死を聞いたら、どんな気持ちになるのか、想像するのは容易かった。

 でも大丈夫だ。

 

 無一郎なら、必ず立ち直る。

 俺はそう信じている。

 

 そして。

 

「たとえ約束が守れなくても構わない!!!」

 

 代々継いできた約束が途切れてしまうけれど、きっと父さんなら許してくれる。父さんならきっと、俺の背中を押してくれる。

 

「お前は必ずここで斃す!!!」

 

 これは自分自身への鼓舞だ。己の命と引き換えにしてでも、何としてでも鬼を殺すと決めた、自分の背を押すための叫びだ。

 

「たとえ相討ちになったとしても!!!」

 

 刀を握り直し、飛来する刃を弾く。弾き損ねた鎌鼬に切り裂かれても気にも止めず、己の足を叱咤し、己の腕を鼓舞し、猛進する。

 

「あああああああっ!!」

 

 全身の細胞から力を振り絞り、振り絞った全力で最後の式を繰り出せ。

 

『陸式』

 

 一分の隙間も無く埋め尽くし、地上に数多の月が舞う。

 

 そしてついに、ついに。

 

 ついに。

 

 鬼の頸に、刃が食い込んだ。

 

「うぉおおおおおおお!!!!」

 

 肉を進んで骨を断とうとした瞬間だった。

 

 

 

 

 バキンッ

 

 

 

 

 

 刀が、折れた。

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 

 

 此処は何処だろう?

 

 目を開ければ見たことの無い場所に居た。

 辺りを見渡せば、彼岸花がそこらじゅうに咲いていた。

 

 そっか。僕死んじゃったんだ。

 

 そう唐突に理解してしまって、涙が溢れた。

 

 兄さんを独りにしてしまった。約束を守れなかった。一緒に守ろうって言ったのに。

 

 ―――我慢ならなかったんだ。血を流して地面に伏した兄さんを、あろうことか弱虫だと愚弄するなんて。

 

 我を忘れた僕の身体は、忘れてはいけない呼吸まで忘れてしまって。そして、こんなザマになってしまった。

 

 情けない。何が兄さんを守るだ。結局兄さんの枷になっただけじゃないか。

 愚かしい。こんな自分が恨めしい。

 

 もっと強く、もっと速くならなくちゃいけなかった。

 

 でも今更もう遅い。

 

 此処に来てしまった以上、帰ることなどできやしない。

 

 悔しい。悔しい。悔しい。

 

 拳を握り締めながら瞼を落とす。涙が幾筋も頬を伝った。

 父さんと母さんは死んで、唯一残った兄すら守れず、自ら交わした約束も守れず、僕は一体何をしに生まれてきたのか。

 

 無一郎は地面に蹲まり、懺悔のように汪然と泣き崩れる。

 

 こんな不出来な弟を、兄は要らないって思うのかな。

 お前なんか俺の弟なんかじゃないって、嫌悪が込もる目で、蔑みが込められた言葉で、僕を突き放すのかな。

 

 あぁ、そう思うだけで、考えるだけで、こんなにも胸が締め付けられて、張り裂けそう。

 

「兄ざん、ごめん、なざ、い、ごめん、な、さい、こんな、こんな不出来な弟で、ごめん゛なざい゛」

 

 お願いどうか嫌わないで。

 ずっと兄さんと一緒に居たい。

 兄さんの隣で過ごしたい。

 

 こんなことをした僕を、兄さんを独りぼっちにした僕を、父さんと母さんはどう思うだろう。それ以上考えてはいけないと思っても、心は勝手に考えてしまう。

 

「父ざん、母ざん、ごめんなさい。兄を、有一郎を独りにしてしまいましたっ」

『無一郎、そんなこと無いよ』

 

 突然耳朶を打った、優しい声。

 緩慢に声の方へ顔を動かせば、川の向こうに誰か居る。

 

『無一郎はよく頑張っている。まだ諦めるのは早いよ。さぁ、兄を助けに行きなさい。まだ戻れるよ』

 

 直後、後ろに強い力で引かれ、景色が遠退く。

 

「誰!? 誰なの!!?」

『無一郎。有一郎を宜しく頼む』

 

 光が象ったしなった口元、そして目尻が下がった目元。どうしても見覚えがある。

 あれは、父さんだ。

 

「父さんっ父さん!!!」

 

 手を伸ばしても届くわけがなく、視界が次第に色を失っていく。

 

『ここで母さんと見守っているよ。行ってらっしゃい』

 

 

 

―――………

 

 

 

「きっ、貴様あっ!!」

「っ!!!」

 

 鬼の怒号とともに覚醒し、手に持ったままの刀を握り締める。

 

「絶対に守るんだ!!」

 

 兄さんの耳には届かないことは分かっている。それでもそう口にせずにはいられない。

 だってこれは、自分自身への叫びでもある。覚悟の誓いでもある。

 

「今度こそ、必ず!!」

 

 限界を越えて、無限の力を引き出すための咆哮でもある。

 

 刀を構え、足に力を込めて地面を蹴る。

 

 全集中、霞の呼吸――――

 

 無一郎の脳裏に、あの日の思いが蘇る。

 

 ……あの日、兄さんが独りで山賊と戦っていたのに、僕はただ遠い木の陰で見ているだけだった。

 動きたくても動けず、ただ見ている自分が情けなく思った。そう思ったあの日のことは、今も鮮明に胸にこびりついている。

 いつか肩を並べて、背を預けられるような、何の言葉も要らず互いに互いを守って攻撃できるような、そんな日が来ることを胸に抱いた。

 

 その想いを叶えるように、僕は今、刀を持って独りで戦う兄さんのもとへ、駆けている。

 

 

 

 

 

 兄さん、僕来たよ。今度こそ。

 

 

 

 

 

 ――――漆ノ型 朧

 

 

 刀が折れた兄さんの背後から、僕は刀を振り切った。

 

「斬れろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「がァァァァ!!!?」

 

 気付いた鋭狐が我武者羅に血鬼術を放つ。頬、腕、指、腹、身体中に何度も鎌鼬で斬られたが、それしきで止まる程、僕の覚悟は脆くない。

 頸に入った刀は少しずつ進み、筋肉を割き、骨を断ち、そして。

 

 鮮血と共に頸が舞った。

 

 最早体力は残っておらず、僕は刀を取り落として地面に倒れ込む。

 

「何故生きている!? お前はもう動けない筈だっただろ!! くそくそくそっ!! 私はまだ死にたくない! あのお方の役に………」

 

 転がった頭は地面の上で無様に転がり、そのうち灰となって朽ちていった。

 

 間違いなく鬼が死を迎えた証拠。

 

 ――――僕たちの、勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん………生きてる?」

「ああ……………なぁ無一郎」

「なに……?」

「ごめんな、約束守れなくて」

「兄さん、それなら僕も約束守れなかった」

「そうか……じゃあ今度こそ、守ろう。お互いに」

「うん………」

 

 兄さんも僕と同じことを思ってたんだ。

 何故だか無性に笑えてしまって、そのせいで胸の傷が強く痛んだ。

 それでも不思議と、僕の心は穏やかだった。

 

「それとな、無一郎」

 

 隣を向けば、重たげに持ち上げられた指の先がピン、と空に向かって伸ばされた。

 

 その先にはポカリと丸く切り取られた夜空があって、

 

「お月様だ」

 

 大きなお月様が、にっこり微笑んでいた。

 そういえば、母さんが言っていた。どんなに不利な戦いでも、結局は勝利の女神様が微笑んだ方が勝つって。

 

「綺麗だねぇ」

 

 ならあのお月様は、僕たちに勝利を運んでくれたのかな。

 

 そのままお月様を見ていると、小さな黒い点が二つ、お月様を背に飛んでいる。

 

「………こっち来てる?」

「……うん来てるね」

 

 みるみる大きくなっていく黒い点に、翼が生えて喋り出した。

 

「―――ァァン!! 有一郎チャァァァァン!!!!」

「―――ァァン!! 無一郎チャァァァァン!!!!」

 

 あっ、金子と銀子だ。

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 到着した翅羽織の人に全身包帯でぐるぐる巻きにされた後、隠の人に僕と兄さんは仲良く背負われて、蝶屋敷と呼ばれる医療施設に運ばれた。

 

 




 時透さんちの有一郎くん。
 約束を継いだ人。今度は蝶屋敷イベントが発生する。
 骨がやべぇことになってるのに無茶して鬼を追い詰めた。さすが長男。さすが“彼”の子孫。当の“彼”は次回ちょっと出演予定。

 時透さんちの無一郎くん。
 臨死体験をした人。霞柱の道が開かれた。
 二つ目の任務の話はいずれちょぴっとだけ出す。

 鎹鴉の金子ちゃん。
 銀子とは犬猿の仲。でも嫌っているわけではない。だって姉妹だもの。

 鎹鴉の銀子ちゃん。
 金子のことは頭が少し抜けてると思ってる。これからもチキチキどっちが可愛いか選手権を開催する。実は気を掛けてる仲間が一羽いる。

 下弦の壱、鋭狐。
 名前はぱっと思いついたのを採用。狐から連想し、血鬼術は鎌鼬。意味ありげな話を書いた割には技名がひとつしかでていない上にサクッと死んだ不憫な奴。

 佐藤さんちの勇太さん。
 メロリンラブしてフォーリンダイしかけた人。オカマの勘で有一郎と無一郎が死にかけたのを察知した。

 前田さんちのゲスメガネことまさおさん。
 スタンドは変態仮面≒神。基本指先に憑依しているされている。世の煩悩を糧とし、日々勤しんでいる。そんなことをしてるので、大正日本の性犯罪は少ない。ある意味影の功労者。

 胡蝶さんちのしのぶさん。
 破廉恥な隊服が送られて来る度に燃やしてゲスメガネに毒を注入していた。直接乗り込んだときには絶対零度の微笑みで辺りを極寒地獄に叩き込む。遇に灼熱地獄になるときもある。

 鬼舞辻さんちの無惨様。
 呆気なく死んだ下弦の壱に苛立ち、下弦の参から陸の心臓をバーンと吹き飛ばした。その後大陽克服ガチャを回しに市井を歩く。

 初期の名探偵コ○ン。
 やたらとピカピカ眼鏡が光ってる。歩いてはピカリ。俯いてはピカリ。考えてはピカリ。キメ台詞ではピカピカ光ってる。おのれはどこぞの電気鼠か。

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